遊戯王×プリキュアオールスターズ 世界を超えた絆 作:風森斗真
二人の決闘者、異世界へ行く
デュエルモンスターズ。
それは国境を越え、老若男女問わず、人々に知られているカードゲームである。
だが、ただのゲームではない。
使用するカード一枚に何億という価値が付くことすらあり、時には一枚のカードをめぐり大事件が発生するほど、世界に強い影響を与えているカードゲームだ。
そのカードゲームの競技で世界に羽ばたく人材を育成することを目的としているプロ養成学校『デュエルアカデミア』では。
「いくぞ、未来!」
「こい、遊里!」
「「
バイクレースとデュエルモンスターズの競技が融合した、
未来、と呼ばれた方は疾走決闘の世界大会において優勝を修めたチーム『5D's』のラストランナーを務めた不動遊星の愛機と同じデザイン、同じカラーリングのマシンを。遊里と呼ばれた方は猛禽類を彷彿させるデザインをした、ライトグリーンのマシンをそれぞれ駆っている。
両者とも、高校生くらいの年のように見えるが、熟練のバイクレーサーのようなテクニックを披露しているだけでなく、決闘も一進一退の展開を続けていた。
だが。
「な、なんだっ?!」
「あんなもの、なかったはずだ!!」
突然、二人の目の前に白い光を放つ穴が出現した。
コースに入った時、この穴は存在していなかったことは確認していたため、二人は動揺する。
そんな二人のことは知ったことではない、と穴は無情にも二人を飲み込んだ。
穴を潜り抜けた二人の耳に、優しく穏やかな女性の声が響いてくる。
《お願い……あなたたちの、竜と風の力で彼女たちを……》
だが、その声の主は二人に最後までメッセージを届けることができなかった。
彼女の言葉を最後まで聞くことなく、遊里と未来は光の出口へと姿を消してしまったのだから。
突如出現した光の穴の中へ入ってしまった遊里と未来がその光から抜け出ると、そこは二人が住んでいるネオ童実野シティと似たような、近代的な街並みの場所だった。
だが、周囲に
その代わり、二人が生まれるはるか以前に存在していたというガソリン車が走っている。
その光景に、遊里は首を傾げた。
「どうなってるんだ? おい、未来。お前はだいじょ……未来?」
さきほどまで一緒に疾走決闘のコースを走っていたはずの未来が隣にいないことに気づき、遊里の心に動揺が走る。
だが、深呼吸して動揺した心を落ち着かせ、自分の置かれている状況を分析しようとした。
その瞬間、爆発音が響き、そちらのほうへ視線を向けると、『マドルチェ』や『アロマ』、『フォーチュンレディ』、『マジシャンガール』のような衣装をまとった少女たちが何かと戦っている姿が目に入る。
「な、なんなんですか、これはっ!」
「ランボーグじゃなさそうだけど」
「けど、このまま放っておくわけにもいかないですよ!」
「てか、めっちゃ不気味……」
「ほんとに、いったい何なのよ!」
口々に文句を言いながら、少女たちは深緑の膜に覆われた頭と筋肉質な体を持つ怪物のような存在と戦っていた。
膜に覆われた頭は、鋭い牙が覗いているが目も鼻も耳も存在していないように見える。
その姿を不気味と評した彼女たちの感性は、ある意味正しいといるだろう。
が、遊里はその存在に見覚えがあった。
――あれは……『闇魔界の覇王』? なぜこんな町中に?? いや、そもそもこれは誰かが決闘中なのか??
学生の身分であり、まだ決闘者の卵でしかない遊里だが、目の前で戦っている不気味な化け物がデュエルモンスターズに登場するモンスターカードのひとつであることは理解できた。
だが、デュエルモンスターズはあくまでもカードゲームであり、カードのイラストが飛び出すことはありえない。
まして、そのイラストがまるで実在する生物であるかのように道路や街灯などを破壊するなんて光景はあっていいはずがないものだ。
だが、もし。
――もし、あいつがデュエルモンスターズの精霊なら?
デュエルモンスターズに関する都市伝説の一つに、デュエルモンスターズのモンスターカードには精霊が宿る、というものがある。
カードを愛し、デッキを愛し、それらを信頼する
しかし、遊里は違った。
遊里の周りには、常に彼を守るように、遊里のデッキに組み込まれているモンスターカードのイラストとうり二つの存在が飛び回っていた。
遊里はその存在に気づいており、彼らと意思疎通することもできる、稀有な才能を持っているため、彼らが実在することを知っている。
そして、そんな才能を持っている矜持からか。
――人間が精霊に迷惑をかけるのは許せない。だからって、精霊が人間に迷惑をかけていいとは思っちゃいない!
左手ハンドル部分に取り付けられているデッキホルダーに自分のデッキがセットされていることを目視し、遊里はD-ホイールを走らせ、疾走決闘を行うためのモードに移行させ、走り始めた。
《デュエルモード、ON》
「