遊戯王×プリキュアオールスターズ 世界を超えた絆   作:風森斗真

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はやる気持ち

 遊里と未来が四葉邸のサーキットから戻ってくると、興奮冷めやらぬ状態のソラとエレンが早速出迎えてきており、質問攻めにしてきた。

 

「未来さんっ! あのジャンク・ウォリアーというのはどんなカードなんですか?!」

「遊里さん! 最後に伏せていたカード、なんだったんですか?! あれ使ってたらもうちょっと違う結果に……」

 

 見ていたことは知っていたが、まさかここまでの熱が移ったとは思いもしなかったのか、未来と遊里は少しばかり動揺してしまっていた。

 だが、その二人の興奮も。

 

「ソラ様、エレン様。お二人とも、そんなに迫っては未来様と遊里様が答えることができるものも答えられなくなってしまいますぞ」

 

 いつの間にか背後に現れていたセバスチャンの一言で冷静さを取り戻し、すぐに謝罪してくる。

 もっとも、遊里も未来も驚きはしたものの、あまり悪い気はしていなかったようで、部屋に戻ったら説明する、と返していた。

 その言葉の通り、いつの間にかモニターが設置されていた部屋に戻った未来と遊里は、先ほど出迎えてくれた二人と同じような反応をしていた残るメンバーに圧倒されながらも、丁寧に質問に答えていく。

 なお、遊里が最後に伏せていたカードは罠カード『無限泡影(むげんほうよう)』。

 発動したターンのみとはいえ、相手フィールドのモンスターの効果と、その罠を設置した場所と同じ列にある魔法、罠の効果を無力化する効果を持つ妨害用のカードだ。

 その効果でくず鉄のかかしの効果を無効にし、一気に勝負をつけるつもりだったのだろう。

 

「けど、まさかジャンク・ウォリアーに関通効果を持たせた上に戦闘ダメージを倍にするカードを使ってくるなんて思いもしなかったぞ」

「この世界に来る少し前のパックに封入されていたからな。ありがたく使わせてもらうことにした」

 

 いたずら小僧のように、未来がにやりと笑みを浮かべながらそう返す。

 

「うぅむ……これは本格的に他テーマとの混合も考えるべきか?」

「混合するなら『霞の谷(ミストバレー)』あたりが妥当なんじゃないか?」

「あとはサイキック族の特殊召喚とかも考えて『電脳界』か?」

「あぁ、それならスフィアードが出しやすくなるだろうけど、枚数大丈夫か?」

「たぶん、無理。だからいまの形に落ち着いてるわけだし」

 

 だが、遊里はうらやむ様子は全くなく、先ほどの反省と、今後のことも考えたデッキ構築の話し合いに発展していく。

 結果、その部屋にいたほとんどのメンバーが置いてけぼりになってしまったことは言うまでもない。

 だが、中にはどうにかついてくることができるメンバーもいて。

 

「けど、効果で破壊されることで効果を発揮するタイプもいますよね?」

「だから、手札かデッキに戻す効果で返すほうが……」

「あえて、破壊して、その効果を逆手に取る、ということはできません?」

「あ~、どうだろ? 効果破壊を経由しなくても、直接墓地に送られたり、リリースする効果で墓地に送られることをトリガーにして効果を発動したり、墓地にあるからこそ使うことができるカードもなくはないが」

 

 未来と遊里の話に混ざり、議論を交わしていた。

 

 

 

 翌日。

 ありすたちは朝食を済ませると、再び、連絡がつかなかったメンバーにメッセージを送る。

 しかし、十分ほど待っても返信がない。

 行方不明、ということはないだろう。

 もしそうであれば、四葉財閥が抱えている情報メディアから、何かしらの情報が入ってきているはずだ。

 それがないということは、ひとまずは無事であると考えていい。

 もっとも。

 

「最悪の場合、町一つが消滅しているか、住民の皆さんが巻き込まれ、被害を受けていることも想定しなければならないかもしれませんわ」

「いつかの時間停止装置を搭載したロボットやお嬢様方がお話くださったシュプリームなるものが引き起こした現象と似たようなことが起こっている、と?」

「えぇ」

 

 セバスチャンの言葉に、ありすは神妙な面持ちでうなずいて返す。

 

「遊里さんや未来さんの話じゃ、デュエルモンスターズには不思議な力があるって話だし、過去にはカードに人の魂を封じ込めたこともあるそうだし」

「それに、ウィンさんの言う通り、ドーマの目的が蛇神(じゃしん)ゲーの復活なのだとしてら、そのためにわたしたちの世界の人たちを生贄にしようとすることくらい考えるかもしれない」

 

 六花の言葉に、マナとありす、真琴、亜久里、レジーナはうなずいて返す。

 だが、中には、神が降臨するための生贄という話は少し飛躍しすぎなのではないかと考えるものもいるようで。

 

「ちょっと飛躍しすぎなんじゃ……」

 

 藍色の髪をした小柄な少女を中心に、数名が苦笑を浮かべていた。

 だが、それをいさめるように、眼鏡をかけている遊里と未来の二人と同い年くらいの黒い長髪の少女が眼鏡を光らせる。

 

「楽観視もできないわよ? 蛇神ゲーとは違う神だそうだけれど、遊里たちの世界でも実際、多くの人が同時多発的に行方不明になったという現象があったそうだし」

 

 それは、かつてネオ童実野シティがシティ(富裕層)サテライト(貧民層)に分かれていた時代のこと。

 古代ナスカ文明により描かれた巨大地上絵として、地球の大地に封印されていた冥府の神々『地縛神(じばくしん)』とその封印を維持する使命を帯びた五人の赤き竜に選ばれし神官(シグナ―)との戦いがあった。

 その戦いにおいて、地縛神を最初に復活(召喚)するため、決闘の場として選ばれたサテライトに住む多くの住民が姿を消してしまったのだという。

 信じがたい話ではあるが、遊里と未来が嘘をついているように思えない。

 

「となると、やっぱりわたしたちの町も危ないかな?」

「襲撃される可能性は非常に高いと思います」

「なら、急いで帰った方が……」

 

 今こうしている間にも、自分が生まれ育った町が、未曾有の危機に瀕しているかもしれない。

 彼女たちプリキュアに、そんな経験がないわけではないのだが、できることならば二度とあんな悲惨な状態になってほしくはないと思っているのだろう。

 ドーマの決闘者たちに比べれば、自分たちの実力は低いことはわかっている。

 プリキュアとしての力で、デュエルモンスターズのカードに勝てるかどうかも今のところは未知数だ。

 けれど、じっとしているわけにはいかないという気持ちが、彼女たちを焦らせていた。

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