遊戯王×プリキュアオールスターズ 世界を超えた絆 作:風森斗真
遊里が黒衣の男との
決闘が終了したことを理解し、スカイとプリズムは黒衣の男を拘束しようと動きだそうとした瞬間。
「ちっ! ここで捕まるわけにはいかない!!」
自分が拘束される可能性に思い至ったのか、デッキとは別のカードホルダーに収められているカードを取り出し、
セットされたカードは、
本来なら、直接攻撃を受けた時にバトルフェイズを終了させる効果を持つカードなのだが、ここではその名の通り、閃光を周囲にまき散らす道具として機能したようだ。
スカイとプリズムが黒衣の男につかみかかる数歩手前で、男の決闘盤から激しい光が放たれ、周囲を白く染める。
目を焼かれないよう、スカイとプリズム、さらに遊里が腕で視界を遮ったため、男が逃げる瞬間をとらえることができず、光が収まったころには、男はすでにその場から姿を消していた。
「あぁっ??!!」
「逃げられちゃった?!」
「……
逃げられたことに関し、悲鳴を上げるスカイとプリズムに対し、遊里はどこか感心した様子で決闘盤からデッキを取り外す。
「って、感心するところですか?!」
「早く捕まえないと、また被害が……」
「そこは大丈夫だろ。少なくとも、今日は」
「えぇ?!」
スカイとプリズムはさらに被害が出ることを恐れて、追いかけることを提案してくるが、遊里は大丈夫と言って、それ以上、追跡を使用としなかった。
「あいつと
「で、でもそんな条件……」
「
どれだけ悪行を重ね、牢獄に入れられた人間だとしても、その人間が決闘者であれば、その条件を順守する。
それが、決闘者としてのその人間の芯になる部分だからだ。
もっとも。
「まぁ、よっぽどあくどいやつでない限り、だけどな」
決闘者としての自分をあくまでも自分の一側面としてしかみないのか、それともその生き様に殉じる覚悟が、その人間に備わっているかどうかで、その部分については変わっていってしまう。
結局のところ。
「そ、それって結局、その人の性格を信じるしかないってことじゃ……」
「まぁ、そういうことだな」
「えぇぇぇぇっ?!」
「ず、随分と不確定ですよね?!」
スカイとプリズムが驚愕するように、不確定要素が多く、町を襲撃しないという保証はない。
やはり、一刻も早く捕らえなければ、とスカイとプリズムは動き出そうとする。
しかし。
「どっちにしても、あいつは引いた。なら、少し様子を見るくらいはしてもいいだろ?」
「で、ですが……」
「何より」
そう言って、遊里は周囲に視線を巡らせる。
スカイとプリズムも同じように周囲を見ると、さきほどまで離れていたと思われる町の人々がカメラを構えて撮影をしたり、口々に言い合ったりしている様子が見て取れた。
「このまま目立つのはよくないだろ」
「そ、それもそうですね」
「こ、ここは一時撤退だね!」
ということになり、遊里たちは一度、その場を離れることとなった。
なお、購入した荷物はいつの間にやらウィンダ以外のガスタの精霊たちがD-ホイールの近くまで運んでくれたらしい。
もっとも、その場面は偶然目撃した数名に写真を撮られ、SNSに上げられたのだが、合成写真として扱われ、あまり大きな話題にならなかったそうな。
遊里たちが決闘が行われた場所から離れだした頃。
黒衣の男はソラシド市の外れにある森の中にいた。
遊里たちの目をくらますために使用した『閃光弾』に一瞬遅れて使用した罠カード『強制脱出装置』の効果でここまで飛んできたらしい。
「あぁ、ちくしょう! 強制脱出装置のイラストからそんな気はしてたけど、まさかほんとに吹き飛ばされるとは思わなかったぞ!!」
ぶつぶつと文句を言いながら、男は森の中を歩く。
だが、その目には苛立ちは見られない。
――さっきの奴、遊里とか言ったな。あいつは多分、この先の計画を邪魔してくるに違いない……一応、データを送信しよう。マイナーテーマだから、データ自体はありがたいはずだ
この男がマイナーテーマという通り、ガスタはそのイラストの美麗さや他シリーズのカードとのバックストーリーで知られているが、その効果と基本戦術について、知っている決闘者はあまり多くない。
そもそも、ガスタシリーズ自体、展開力、ステータスの低さ、耐性などの問題やのちに登場した強力なカードたちの勢いに押され、早々に使われなくなっていったシリーズでもある。
遊里のように扱うカードについてこだわりの強い決闘者や様々なデッキを使うことに挑戦している決闘者、あるいはデュエルアカデミアの教員でもない限り、その効果を知る人間は少ない。
だからこそ、遊里のデッキテーマや戦術についてのデータを仲間に送信することを思いついた。
これから始まる侵略戦争で、大いに役立つはずだ。
そう考え、決闘盤を操作するが。
「な、なんだっ??!!」
突如、男の足元に影よりも暗い、闇と表現するのがふさわしい黒い穴が出現し、男はその中へ落ちていった。
落ちていきながら、男は。
「こんな回収の仕方ってありかぁぁぁぁぁぁぁっ??!!」
恨めしそうな声をあげていた。
もっとも、その穴が閉じた瞬間、その怨嗟の声も聞こえなくなったのだが。