Chapter1 起動
────アビドスの砂漠。
かつて学園都市キヴォトスにおいて、最大の規模を誇っていたアビドス高校。しかし幾度も現れる砂嵐による被害により砂漠化が進み、建物が砂に埋もれ、広大な砂漠の一部となった場所もある。どこまでも続く砂の大地を夜空に浮かぶ月の光が照らしている時…
「はぁっ…!はぁっ…!」
その夜の砂漠を懸命に駆け抜ける一人の少女が居た。少女は盾を持ち、傷が所々に見受けられ、服を砂まみれにしながらも必死に走っていた。
ゴゴゴゴゴゴ…!
「!もう来た…!?」
地面が揺れ始め、何かを察した少女が呟くと、轟音と共に地面から巨大な機械の大蛇が現れた。大蛇は少女を視界に収めると、大蛇の背中に丸い穴が開く。
「っ!まずっ…!」
少女が咄嗟に盾を構えると、大蛇の背中の穴からミサイルが大量に発射され、少女の居る地点に着弾し、その場を爆炎で包んだ。
そしてその時、爆発が起きた地点の遥か下の場所。
『…………』
その場所は砂漠で埋もれる前から地下にあり、鉄で出来た無機質な壁に覆われたその空間の中央には、一つの人型機械が鎮座していた。
ゴォォォォン…
地上のミサイルの爆破による衝撃と、大蛇が動く際の揺れが僅かにだがその空間を揺れ動かす。すると…
『───付近にて巨大な熱源反応を感知』
どこか機械的な少女の声が響くと、その機械の目に光が宿り、頭上にヘイローが現れた。
『メインシステム、戦闘モードを起動します』
「っ…あっ……ダメ、か…」
そして地上では少女と大蛇の戦闘が終了し、少女は先ほどより重傷になり、地面に倒れ伏していた。大蛇は少女に対して口を大きく開くと、口の中にエネルギーが集中し始める。
(ごめん……ホシノちゃん……)
少女はぼんやりと大蛇の口の光を見つめながら、学校の後輩の名を心の中で呼ぶと…
ドゴォォォォォォン!!
少女と大蛇の間を遮るように砂が爆発し、砂煙が柱の様に舞い上がる。大蛇は咄嗟に口の中からレーザーを放とうとした瞬間…
ドゴンッ!!
舞い上がった砂煙の中から巨大なグレネード弾が現れ、大蛇の頭部に命中し、頭が衝撃で動いた影響でレーザーが明後日の方向に飛んでいった。
「な、何が……っ!?」
少女がレーザーが放たれた時に発生した風圧に耐えながら呟くと、風圧によって砂煙が吹き飛ばされ、その中に居た存在の姿が明らかになる。
それは人型の機械で、右手にはミニガンを、左手にはショットガンを装備していた。そして何より目立つのはその機械が背負う巨大なバックパックとそれから機械を囲む様に伸びている輪っかだった。
「グオォォォ…!!」
大蛇は突然現れたその機械に対して唸り声を上げる。
『敵性反応を感知』
「っ、しゃ、喋った…?というか、あの機械もヘイローが…?」
『BALTEUS、戦闘を開始…対象を殲滅します』
「グオォォォォォォォ!!」
バルテウス、と自身をそう呼んだ機械が殲滅します、と言った瞬間、大蛇はミサイルを放った。バルテウスは上昇するとミサイルもそれを追って上昇する
『迎撃します』
バルテウスは右半身を下に向けるように機体を傾け、右手のミニガンでミサイルを撃ち落としていく。しかし、迎撃し切れなかったミサイルがバルテウスに直撃し、爆炎に包まれる。
「グオォォォ……ッ!?」
大蛇が空中の煙を見つめ、やがて煙が晴れると…
「む、無傷…?」
空中にダメージ一つ入っておらず、周囲に電気のバリアのようなものを展開しているバルテウスが悠々と浮かんでいた。
『パルスアーマーに問題無し。反撃開始』
するとバルテウスのバックパックの左右から帯の様に鉄のレールが伸びてリングの前の方に接続される。そしてそのレールがドーム状に展開されると…
ズドドンッ、ズドドドドッ!!
大蛇が放ったミサイルよりも圧倒的に大量のミサイルの雨がレールの一本一本から放たれた。
「グオォォォォォォォッ!?」
大蛇はその巨体でミサイルの雨をまともに食らってしまうと、バルテウスはバックパックに付いたグレネードで更に追撃を入れ、高速で接近する。するとバックパックからリングに沿うように何かが現れると、それは先の方から炎を噴射した。
「グオォォォ、ォォォォ!?」
バルテウスは火炎放射器を真横に向けて放ちながら突進し、大蛇とすれ違い、その長い身体をなぞるように、切り裂くように炎を浴びせ続ける。
「す、凄い…」
そこからはずっと一方的な戦いが繰り広げられた。大蛇を空中での高速機動で翻弄しながらミサイルやグレネード、火炎放射を浴びせつつ、ミサイルをミニガンやショットガンで迎撃した。大蛇の身体が激しく損傷し、反面にバルテウスは無傷で余裕そうに空を舞い続ける。すると…
「グ、グオォォォォォ…!!」
大蛇は地中に潜ると、砂を降り起こして膨大な砂煙を発生させた。バルテウスは上昇し、様子を見ると砂煙からミサイルが飛んでくる。バルテウスはそれを射撃で迎撃すると…
『!巨大な熱源反応感知』
そう言うと大蛇が勢いよく地中から飛び出してきた。そして、その口の中には光が集中しており…
ドォォォォォォォォォン!!
大蛇の口からレーザーが放たれた。
『パルスアーマー、最大出力』
バルテウスがそう呟くとレーザーが当たる直前でバルテウスを囲んでいたパルスアーマーが強く光り、その範囲を広げる。パルスとレーザーがぶつかり合い、拡散したレーザーが周囲に降り注ぐ。
『パルスアーマーの許容限界…発射時間…威力…問題無し』
バルテウスはそう呟くとレーザーをパルスで防ぎながら大蛇に向けて真っ直ぐ突撃する。そして…
「!?」
ガチャン!
大蛇がレーザーを撃ち終えたと同時に…開いた口に向けて、二つの火炎放射器が向けられていた。
『出力最大、噴射開始』
「──────ッ!?」
口の中に炎をありったけぶち込まれ、大蛇の装甲の隙間から炎が溢れ出る。そしてバルテウスが炎を放つのを止め、離れた瞬間…
ドゴォォォォォォォォォォォン!!
大蛇は頭から身体の一部にかけて大規模な爆発を起こし、残った身体が砂漠に倒れていった。バルテウスはその様子をジッと眺めながら下降し、地面をホバーする高さまで降りる。
『戦闘終了…システム、通常モードに移行します』
バルテウスは亡骸となった大蛇の身体を眺めながら思考する
『疑問、当機体は一体…私は一体…』
バルテウスは、先程まで戦闘に集中していたが故に考えていなかったが、ある疑問を抱いていた。それは
『データを整理…私は… BALTEUSという名以外、不明…当機体の存在理由に関するデータ無し。データ修復開始…推測…武装…システム…起動時の状況…当機体を兵器と仮定』
大量に積まれた火器にそれを操るシステム。そして起動時に近くで戦闘が起きていた事からバルテウスは自分を兵器だと仮定した。
『───データ修復完了…存在理由に関するデータ…一件』
修復されたデータを確認すると、そこには短く、こう記録されていた。
─秩序維持─
『…把握、当機体… BALTEUSは秩序維持の為の抑止力である兵器と認識します』
バルテウスはそう結論づけると、機体の向きを変える。すると視界に地面に座り込んだままバルテウスをジッと見つめる少女が居た。バルテウスがホバー移動で少女に近付くと、少女は身体を震わせる。バルテウスは近付くとホバー移動を止め着地し、巨大な機械が少女を見下ろす。
『…状態、重傷…移動不可能と判断』
「えっ…?」
するとバルテウスのヘイローが消え、お腹の部分から機械的な音が響き、開いていく。そして…
「重傷者を保護、応急処置を施し、安全な場所に移動します」
中から少女が現れた。
「……えっ?」
後にこのアビドスの少女…生徒会長であるユメは、この出会いについてこう語る。
この出会いも、一つの奇跡だったと…
「動かないでください…先ほど目覚めたばかりですが、応急処置の知識はあります」
「あ、はい…」
少女と機体の名はBALTEUS…遥か太古の古代文明の遺産である古代兵器。その存在理由は秩序の維持、そして……
名もなき神々の勢力に対抗すべく生まれた、殲滅兵器である。
「あの、本当に飛ぶの?」
『低空飛行です、ご安心ください』
「いやけど、機体にしがみついてるしかないのは不安っていうか」
『それでは、出発します』
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
バルテウスがこのキヴォトスでどう過ごすのか、どのような運命を辿るのか…これは、やがて色んな生徒から目をつけられながらも、キヴォトスの秩序の為に活動する少女の、青春の物語である…
「ちょ、せ、せめて速度!速度落としてぇぇぇぇぇ!!」
『…減速します』
ちょっとした紹介
バルテウス
皆知ってるChapter1のアイツ。最近弱体化が入った。中に居る女の子と接続するとヘイローが出て来る。キヴォトスでも普通に強すぎる兵器。なお、弱体化前個体である。
バルテウスの中の少女
バルテウスとはニコイチ的な存在。見た目は紫の目と髪のクールイケメン系身長185cmの胸も尻もデケェ女。うぉ、でっか、樹大枝細…ヘイローは淡い紫で四角い。こいつの見た目に関しては完全に作者の性癖。
誰か続き書いて…