「……これが、貴女の考えた計画?」
FOX小隊の潜入調査から数日。バルテはリオに対してある計画書を提出していた。
「はい。私のデータには無い全く新しい兵器を開発し…それを他校にPCAの兵器として技術提供する…他校との繋がりを強くし、PCAの隠された部分全てに触れる事が無い方法です」
「……確かに、私達が直面している問題を全て解決している計画ね…けれど、一体何を作るつもり?」
「この計画にあたって、新型に対して求める条件は幾つかあります。一つ、
「その条件にどのような意味が?」
「ようは完全に他校の兵器とする為の条件です。トリニティやゲヘナのやり方に合わせた装備、戦術、思考…それらを学ぶ為に自律思考型のAIを搭載し、その学校で学び、成長し、その学校の為だけに戦う兵器にする…その為に設定した条件です」
「なるほど…それは分かったわ。ハッキングに関しては…ヒマリでさえ突破できないシステムを作る貴女なら問題無いでしょう。それで、新型は先ず何処にやるつもり?」
「やはりここは影響力の強い学校…トリニティとゲヘナですね」
「でしょうね…分かったわ、その二校と話は通しておくから。貴女は新型の開発に専念して」
「はい…あぁ、リオ会長。それと一つ」
「何かしら?」
「新型の開発ですが……エンジニア部の白石ウタハさん。彼女に協力させて欲しいと考えています」
「エンジニア部…何故?」
「私は今まで自分のデータにある兵器を開発、改良してきましたが、今回の新型は完全新作…私も初の試みです、こういった経験が豊富で、私の信頼する友人である、ウタハさんの力が計画の完遂には必要不可欠です」
「……分かったわ。エンジニア部には私から話しておくから、貴女は準備を進めなさい」
「はい、ありがとうございます」
「それで、私が再びここに呼ばれた。という訳だね」
「はい。今回はよろしくお願いします、ウタハさん」
新型開発の準備が進められ、ウタハは再度PCA工廠に招待されていた。
「こちら、PCA工廠への通行証です。差し上げます」
「ありがとう。にしても、この前までは何も見せてくれなかったのに、いきなり通行証をあげてPCA工廠での自由な行動を許可するなんて、あっさりしているね」
「ウタハさんは信頼出来る方ですから。まぁ、会長を説得するのは少々大変でしたが…」
「ふふ、信頼に応える為にも、今回の計画には全力を尽くさせてもらうよ…それで、先ず訊きたいことがあるのだが…
「……その話をするのなら、この計画の重要性について説明する必要がありますね」
バルテは開発室にあるモニターに画面を映し出す。
「ご存知の通り、ミレニアムはPCA設立後、自治区での犯罪率が明らかに減少しました。ですが様々な要因が重なり、ミレニアムは他校から怪しまれており、現在三大校の中で最も不安定な立場にあります。この前はSRTが調査に来たほどです」
「SRT…ああ、連邦生徒会長が立ち上げた…大丈夫だったのかい?」
「ご安心を、LCの実戦テストにご協力してもらった後にお帰りいただいたので」
バルテはミレニアム自治区に現れた他校の諜報員の画像や様々なデータを映しながら説明を続ける。
「このままではミレニアムの立場は益々危ういものになります。その前に、他校にPCAは怪しい組織では無いと理解してもらう必要がある…その為の今回の計画です。つまり…」
「この新型開発に、ミレニアムのこれからが掛かっている…という事だね」
「その通りです…それほどまでに重要な計画…ですので…」
バルテは最後に計画に用意された予算を映した。
「新型開発の為の予算は、これほど用意してもらいました」
「おお…!これは驚きだ……これは俄然、気合を入れて臨まなくてはね…!」
「やる気も十分のようですし、始めましょうか。ミレニアムを救う新型開発……『アーマードコア計画』を」
「ぐぬぬぬぬ…!」
一方その頃、ミレニアムに存在する何処かの部屋…ヴェリタスと呼ばれるハッカー集団の部室で、一人の生徒がパソコンと睨めっこしていた。
「……いけません、私はミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカー…この程度で腹を立てる訳には………くっ、一体どうなっているのですか、PCAのシステムは…!」
「………何をしているの?ヒマリ」
PCAにハッキングを仕掛けようとしている少女の背後からリオが声を掛けると、ヒマリと呼ばれた少女が不機嫌そうに振り返った。
「あらリオ、ノックも無しに入って来るとは、失礼ですね」
「ノックはしたわよ。気付かないほど集中しているなんて、PCAのシステムを破るのに苦戦しているようね」
「………ふん、それで?態々そのような事を言う為に来たのですか?相変わらずですね」
「別に喧嘩をしに来た訳じゃないわ……PCAの事を知りたいのでしょう?」
「知りたいのは古帯バルテです。彼女、ミレニアムに来る前の情報が殆どありませんでした…精々少し前に傭兵稼業をしていた程度。それ以外が一切分からない…それで?まさか教えてくれるのですか?」
「ええ、教えても良いわ。ただし…」
リオはそこでバルテが作った計画書を取り出す。
「計画に協力してくれたら、だけれど」
「……何かしているのは分かっていました。エンジニア部が関わっている事も…先ずは訊きましょう。貴女と古帯バルテは、一体何をするつもりですか?」
「……PCAの設立、そこから起こった様々な出来事は、貴女も分かっているでしょう?」
「ええ、貴女と古帯バルテが急に、無理矢理立ち上げたPCA…あれによってミレニアム自治区は以前よりも効率的に安定して治安を維持しています。しかし、PCAの扱う兵器によってミレニアムが危うい立場になりつつある、でしょう?」
「その通りよ。PCAが開発した兵器は強力で、並の不良生徒ならあっという間に制圧出来てしまう…今までのパワーバランスが一気に崩れた事で他の学校はミレニアムに対する警戒心を強めているわ…それで、この計画よ」
ヒマリはリオに手渡された計画書に目を通す。パラパラと捲り、やがてヒマリは険しい表情を浮かべる。
「リオ…正気ですか?この様な兵器やそれに関する技術、情報を…あっさりとトリニティやゲヘナに渡すと?」
「……私だって最初は躊躇ったわ…けれど…これが古帯バルテの目的なのよ」
「目的…?」
「それが何なのか知りたいのなら…」
「協力しろ、という訳ですか………はぁ…分かりました、不本意ですが…古帯バルテの情報を得る為です。本っ当に嫌ですが…!この計画に協力します。ミレニアムの現状に関しては、私も思うところがありますから…」
「…感謝するわ、それと…ごめんなさい」
「いえ…というか、何故私に協力を?」
「それもバルテから言われてよ…彼女、使えるものは何でも使うつもりよ…それに…この計画はミレニアムの今後を左右する重要なもの。私もなりふり構っていられないわ」
そう言ってリオはため息を吐くと部室の部屋が開き、生徒が一人入って来る。
「ヒマリ部長、今戻りまし…生徒会長!?」
「おや、丁度いいところに来ましたね、コタマ」
「揃った訳だし、彼女への説明は移動しながらにしましょう。PCA工廠に行くわよ」
「分かりました。コタマ、帰ってきたところで申し訳ありませんが、出かけますよ」
「え、え?」
何が何だか分からないまま、音瀬コタマは連れられ、三人はPCA工廠に向かうのだった…
「やはり武装の多様性を充実させる為にハンガーを付けれるようにすべきですね」
「脚は…他に何か採用するかい?四脚とか」
「良いですね。でしたら…」
三人がPCA工廠に着き、新型の開発を行なっている場所に行くと、そこには開発に没頭しているバルテとウタハの姿があった…
「バルテ、言われた通りにヒマリ達を連れて来たわよ」
「!リオ会長、気付かずに申し訳ありません…ウタハさん、少し待っててください」
「大丈夫、他に追加出来そうな機能を考えておくよ」
バルテは一旦手を止めてリオ達に近寄って来る。
「ようこそ開発室へ。リオ会長と、そちらの二人が…」
「ええ、こっちの車椅子の子が「そう!私こそがミレニアムの高嶺の花であり、一年ながらに学年問わず皆から憧れの視線を向けられる超天才清楚系病弱美少女ハッカーの、明星ヒマリです!」……それでこっちが…」
「…音瀬コタマです…」
「はい、明星ヒマリさんに音瀬コタマさんですね。歓迎致します。私はPCAの委員長を務めております、古帯バルテです。今回は計画のご協力頂き、誠にありがとうございます」
「それで、新型開発の調子はどう?」
「今のところは順調です。ウタハさんを誘ったのは正解でしたね……それではこちらにどうぞ。今お茶を用意します」
バルテがお茶を用意した後、5人は卓を囲み、計画について話し合う。
「今回私がヴェリタスのお二人に依頼したいのは、新型の機能であるスキャンシステムの開発と、管理AIの製作にご協力願いたいのです」
「……前者はともかく、管理AIですか?」
「はい。この計画の後にPCAは各学校に対してMTの販売事業を行いますが、その時にある可能性を考えなければいけないのです。それは…MTが悪意ある存在の手に渡る事…」
「治安維持の為のMTが逆に治安を乱してしまうのはバルテとしては防ぎたいんだろうね」
「その通りです。ですので、PCAから外部に売り出す兵器に関しては全て、管理AIの制御下に置き、緊急時の機能停止やハッキングなどに対抗出来るようにしたいのです。このAIは新型にも適応するつもりですので、新型開発と同時に進める必要があります。ですが私やウタハさんだけでは人手が足りないので…」
「私達に頼ったと…分かりました、でしたら先ずは新型に関するデータを見せてもらっても?」
「はい、こちらをどうぞ」
「今、計画書に目を通してますけど…これ、やる事めちゃくちゃ多くないですか…?」
「色々終わる頃には、私達はとっくに二年生になっているだろうね…」
長期戦が確定した事実にコタマは表情が暗くなる。リオはその横で計画の進行状況などに目を通していた。
「予算ももしかしたら足りなくなるかもしれないわね…追加の予算も用意しておくわ」
「…大丈夫なのですか?」
「何とかしてみせるわよ、背に腹は変えられない。その代わり、失敗は許されないわよ」
「ありがとうございます、リオ会長」
「そういえばMTの販売事業って、どうやって広告するんですか?」
「ミレニアムでのMTの働きぶりを見せれば十分だと私は思うけどね」
「ですが実際に他校に配備して効果を実証する方がいいのは間違いありません。私に当てがあります」
バルテはそう言うと端末を操作し、画面を他の四人に見せる。
「かつてキヴォトス最大の規模を誇った学校…アビドス高等学校に、MT販売事業の広告塔になってもらおうかと」
ちゃんと書けてるか不安だな…あ、アンケート投票ありがとうございます!この世界線の先生は女性になりましたパチパチ…いやまぁ、出て来るのまだ後なんですけど…それではまた次回ですね、良ければ高評価と感想お願いします!作者のモチベの為に!