BALTEUS Archive   作:猪のような

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割とサクサク進むぜ。何故ならさっさと本編に入りたいからな!!


Chapter6 愛おしい日常

 

 

 

 

 

「着きましたよ、リオ会長。ここがアビドスです」

 

「ここが…かつてキヴォトス最大の規模を誇ったアビドスの校舎…」

 

「はい。と言っても、本館は砂に埋もれてしまったようで、ここは別館らしいですが…行きましょう」

 

「ええ」

 

バルテとリオは現在アビドスに足を運んでいた。その目的は、アビドスの生徒会にMT販売事業の話をする為である。

 

「アビドスにようこそ〜!」

 

「ちょっとユメ先輩…すみません、会長が…」

 

「いえ、お元気そうでなによりです。お久しぶりです、ユメさん、ホシノさん」

 

「ホント久しぶりだね!取り敢えず上がって、お茶用意するから!」

 

「せんぱ…会長、それは私がやります」

 

校舎に入り、話をする教室へと案内された二人はホシノがお茶を持って来るまで雑談する事にした。

 

「それにしてもビックリしたよ。クロノスニュースを見たらバルちゃんがミレニアムに入学して委員長になってたんだもん」

 

「今思い返しても、やはりアレはかなり強引でしたね」

 

「もう少し慎重に行動していれば、ここまで苦労する事は無かったんじゃないかしら?」

 

「PCAの活動を考えれば遅かれ早かれですよ。それならさっさとやってしまう方が良かったでしょう」

 

「それもそうね…」

 

「あのロボットは?どうしてるの?」

 

「バルテウスなら工廠の地下施設にあります。入り口も秘密にしてあるので侵入される事は無いかと」

 

「ふーん…」

 

「ユメ会長、お茶を持って来ました」

 

「お、ホシノちゃんありがと〜!じゃあホシノちゃんも来たし…そろそろ本題に入ろっか」

 

「そうですね、では…」

 

バルテは資料を取り直し、ユメとホシノに差し出す。

 

「ミレニアム…正確に言えばPCAは、各学校に対するMTの販売事業を開始しようと考えています。そこでMTを購入する事でどのような利点があるのか…それを分かりやすく宣伝する為に、アビドスにMTを配備させて欲しいのです」

 

「…要は広告塔になって欲しいという訳ですね」

 

「その通りです。アビドスには度々、ヘルメット団なる不良生徒達による襲撃があります。お二人だけでの防衛はかなりの苦戦を強いられるでしょう」

 

「そうだね…今のところはホシノちゃんのお陰でなんとかなってるけど…私も来年には卒業しちゃうし…」

 

「そこでMTを多数この学校に配備し、校舎の防衛に務めさせて欲しいのです。如何でしょうか?」

 

「…ありがたい話だけど、MTを買う資金なんて…ウチは借金があるし、弾薬費とかも…」

 

「いえ、ユメ会長。この資料、ここ」

 

「ん、何々?えっと…MTは無償で提供し…弾薬費など管理費についてはPCAが全額負担する…?修理費も…?え…?」

 

ユメがホシノから教えられた資料の文章に目を通すと、その内容に目を見開く。

 

「流石に私も借金があるアビドスから更に金を取るような事しません。そもそもこちらが頼んでいるのですから」

 

「とはいえかなりPCAへの損失は大きいわ。全てこちらで用意する代わりに、アビドスには絶対に広告塔としての役割を成功してもらう事になるわ」

 

「えっと……因みに失敗したら…?」

 

「特には…」

 

「あ、良心的…」

 

「ですが一つだけ」

 

「と思ったら何かある!?」

 

「ユメさん、卒業しますね?」

 

「え、う、うん…」

 

「MTをアビドスに配備するのはユメさんが卒業した後の話になります…そこで……」

 

バルテはそこで資料をもう一つ取り出し、ユメに差し出す。

 

「ユメさん、PCAで働きませんか?」

 

「………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アビドスさんMT販売事業の広告塔になる事が決まり。AC計画は順調に進んでいった。

 

「リペアキット?出来るさ!」

 

「ヒマリ部長、ちょっとここ…」

 

「ねぇバルテ、新型のデザインを考えたのだけれどどう思う?」

 

「……斬新なデザインですね、後リオ会長は休んでください。会長はセミナーの仕事もあるのですから、疲れてますよね」

 

「残念ながらリオのデザインセンスは休んでも良くなりませんよ」

 

来る日も来る日も工廠に集まり…

 

「ジェネレーターが出来ましたね」

 

「バルテ、右腕の駆動チェックが終わったよ」

 

「ありがとうございます。スキャナーの方はどうですか?」

 

「ヒマリ部長がもう少し待って欲しいと…」

 

やがて二年生になり……

 

「さ、記念すべき二年生に上がってからの最初の登校日ですが。今日も張り切って開発しましょう」

 

「じゃあ早速、ACの統一規格に関する事だけど…」

 

「管理AIに関する機能は…」

 

そして……

 

「ジェネレーター出力安定…射撃能力も問題無し…機能確認テストクリア…完成ですね」

 

「終わった……」

 

「管理AIの方も終わりましたよ、後は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何っでアタシらが実戦テストの相手をするんだよぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「うわー広ーい!」

 

「それではC&Cのお二方、よろしくお願いします」

 

遂にACは開発の最終段階。実戦テストを迎える事となった。

 

「いきなり呼び出されたらPCAの新型と戦えとか、意味分かんねぇ…!」

 

何時ものテスト場にはミレニアムのエージェントであるC&Cの美甘ネルと一ノ瀬アスナ。そして二人と対面するように完成したACが立っている。

 

「やはりデータはFOX小隊の時もそうでしたが、優れた生徒との戦闘データの方が有益なので」

 

「ちっ……他の奴等は?」

 

「皆さんはお疲れのようで、寝ました」

 

「呼び出しといてアイツら…!」

 

「そう言わないでください。最後の方は特に忙しかったので、インドア派の皆さんには体力的にかなり無理があったでしょうから」

 

「…はぁ…で、コイツと戦えばいいのか?」

 

「はい。準備はよろしいでしょうか?」

 

「問題ねぇ、アスナも良いよな?」

 

「うん、いつでもOKだよー!」

 

「では始めます。カウントダウン開始、5、4、3、2、1、戦闘開始!!」

 

バルテの掛け声と共に二人は駆け出し、ACはブースターを吹かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、行ってきます」

 

「気をつけなさい、分かっていると思うけどゲヘナは…」

 

「大丈夫です。私でしたら戦闘に巻き込まれても問題ありません。リオ会長も、トリニティの方はよろしくお願いします」

 

「…ええ、そっちも、頼んだわよ」

 

「あ、あのビックシスターが素直に人に頼っている…!?」

 

「私が人を頼るのがそんなにおかしいかしら、ヒマリ」

 

ゲヘナとトリニティにバルテとリオがそれぞれ赴き…そして…

 

「ゲヘナに来ないか?」

 

「………はい?」

 

ゲヘナに来て早々、バルテはゲヘナの生徒会…万魔殿の議長、羽沼マコトにそう言われた。

 

「キキキッ…ゲヘナの…いや、万魔殿のこのマコト様の下で働かないかと聞いているんだ、古帯バルテ」

 

「マコト先輩?一体何を……」

 

「お前の事は調べさせてもらった。突然現れた正体不明の編入生、その前はブラックマーケットで傭兵稼業をやっていた記録しかなかったが…恐らくミレニアムのビックシスターから接触があったのだろう」

 

「…なるほど、ミレニアム内部の事をそこまで知ることが出来るとは…優れた情報網をお持ちのようですね」

 

「キキッ…!PCAに関しても調べさせてもらったが…使われている兵器…MTやLCはミレニアムの技術を殆ど使っていないだろう?」

 

「!!」

 

(そこまで分かっているのか?)

 

「ま、それはどうでもいいが…重要なのはアレらの兵器とそれを製造する設備を作り出す技術力をお前が持っているという事だ」

 

「……私を引き入れて、どうするおつもりですか?」

 

「簡単な事だ、忌々しい風紀委員会を排除し、新たにゲヘナの治安を守る組織のトップとして君臨し、このマコト様の力となって欲しいだけだ、キキキッ…!」

 

マコトは笑みを浮かべ、バルテは真顔で視線を交わし、イロハはそれを側でジッと見守っていた。

 

「…何故、私をそこまで信頼するのですか?」

 

「お前は誠実な人間だと報告が来ているからな。悪に手を染めなければ、決して裏切らないとも…どうだ?ミレニアムより良い待遇をすると約束しよう」

 

「……すみませんが、今はまだミレニアムを離れられません。リオ会長との契約があります…それに…風紀委員会を排除する方針は私は許容しかねます」

 

「ふむ…そうか……今日は諦めよう。本題に入るとするか。おいイロハ、アレを出せ」

 

「え、あ、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、本日はありがとうございました」

 

「キキッ…勧誘の件、気が変わったらいつでも連絡するといい。ああそれと、()()()()()()についても期待している」

 

(……この人、偶に馬鹿ですが情報に関しては侮れませんね…)

 

「ええ、その件に関してはいずれ。では」

 

「ああ、また」

 

バルテは去っていき、マコトとイロハはその後ろ姿をジッと眺める。少しするとマコトは身を翻して戻って行く。

 

「マコト先輩、妙にPCA委員長に固執していましたが、何か理由が?」

 

「キキッ……そうだな…今はまだ話せん、いずれ、な…」

 

イロハは何か含みのある笑みを浮かべるマコトに対して疑問を抱きつつ、その後は何も訊かなかった。

 

(そう…本命はPCAの兵器ではない、それも魅力的だが、本命は……あるのだろう?古帯バルテ…恐らくは、PCAの所有する施設の何処かに……このキヴォトスの如何なる兵器にも勝る何かが)

 

「キキキッ…!それを手に入れれば…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんやかんやあり、AC計画は無事に終了し、ゲヘナとトリニティにACを売る事が決定した。忙しい日々がようやく終わり、バルテ達は…

 

「は〜…極楽だね…」

 

「はい、これが温泉…初めて入りましたが、素晴らしいものです」

 

慰安旅行として、計画に関わったメンバー全員で百鬼夜行自治区にある旅館に来ていた。

 

「リーダー、背中流してあげる!」

 

「お、わりーな」

 

「そしたら私の背中も流して!」

 

「あー分かった分かった…」

 

「ヒマリ、上がりたくなったら言いなさいよ」

 

「おや、リオがそんな気遣いが出来るなんて、これは明日は槍が降りますね」

 

「やっぱり自分でなんとかしなさい」

 

「もう、超天才清楚系病弱美少女ハッカーの軽いジョークじゃありませんか。ね、バルテ?」

 

「ヒマリさん、リオ会長に意地悪をするのは程々にしてくださいね?」

 

「む、バルテまでそのような…」

 

「おいバルテ!サウナ行こうぜ、勝負しろ勝負!」

 

「!すみません、少し行ってきます」

 

バルテは温泉から上がり、ネルと共にサウナ室へと入っていった。

 

「全く…ネル、実戦テストに協力する代わりにあんな事を要求するなんて…」

 

「…リオ、一つ訊きたい事があります」

 

「何かしら?」

 

「何故、慰安旅行に行く事を提案したのですか?私は最初貴女がその提案をした時、槍の雨どころかミサイルの雨が降ると思ったのですが」

 

「……そうね…他の皆は…露天風呂の方に行ったみたいね…ヒマリ」

 

「はい?」

 

「約束通り、バルテの正体について教えるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『かんぱーい!』

 

風呂から上がり、次にバルテ達は浴衣に着替えて豪華な食事を堪能していた。

 

「リオ会長、お注ぎします」

 

「ありがとう。ほら、貴女も」

 

「いえ、私は…」

 

「遠慮しないでちょうだい」

 

「……」

 

お互いに飲み物を注ぎ合っているバルテとリオをアスナはジッと見つめると、ある疑問を口に出す。

 

「ねぇねぇ、なんでバルテちゃんって誰にでも敬語を使うの?」

 

「え?」

 

「確かに、気付けば随分と長く一緒にいたけれど、敬語以外で喋ったところを見た事が無いね」

 

その言葉で全員の視線がバルテに向けられる。

 

「いや、それが普通というか…それを言うならコタマさんもそうではありませんか?」

 

「巻き込まれた…」

 

「いや、コタマと比べてもバルテは明らかに距離を感じるよ。なんというか…」

 

「バルテは事務的な話し方をしているのですよ。恐らく無表情が相まってそうなっているのでしょうが。これを気に改めては?」

 

「で、ですが…」

 

バルテは助けを求めるようにリオに視線を向ける。

 

「……私も、貴女とはもっと気軽に会話したいわ」

 

「うっ…」

 

「バルテ、ここにいる面々はAC計画の為に協力した仲間だろう?仲間にいつまでも他人行儀な話し方をするのは良くないと思うな」

 

「確かにな、会ってからまだ少ししか経ってねーけど、アタシはお前の事気に入ってるぜ」

 

「さっきの勝負は負けたもんね♪」

 

「うるせぇ!」

 

「それに後輩にもそのような感じでは怖がられてPCAの印象にも影響が出ますよ。さぁ、どうしますか?」

 

バルテは眉間に皺を寄せ、やがてため息を吐く。

 

「…分かった、分かったよ、今後は少しずつ改善していくから勘弁してくれ」

 

バルテのその言葉にメンバーは満足気な表情を浮かべ、その後は再び料理を楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてすっかり夜になり、旅館の一室で皆が布団を並べて寝ている中、バルテは広縁で椅子に座り、ただジッと夜空と月を眺めていた。

 

「眠れないのですか?」

 

「!…ヒマリ」

 

すると声をかけられ、布団の方を見るとヒマリの目は閉じていたが、頭上にはヘイローがあった。ヒマリは目を開けてバルテの方を見る。

 

「私もそちらに行きたいのですが、運んでくれますか?」

 

「分かりまし「ん?」……分かった」

 

バルテは一旦立ち上がってヒマリに近寄り、ヒマリをお姫様抱っこして再び広縁に戻り、ヒマリを座らせると自身も座る。

 

「それで、どうしたんだ?」

 

「…リオから、貴女の正体について聞きましたよ」

 

「…そうか、なら私が起きてる理由も分かっているだろう?私は睡眠が必要無いんだ」

 

「そうらしいですね。計画の時も、中盤辺りから一睡もしてないとか…」

 

「…リオ、そこまで話したのか…」

 

「…リオは…」

 

ヒマリはリオの方に目を向けつつある話をした。

 

「貴女の為に、今回の慰安旅行を計画したと言っていました」

 

「…私の?」

 

「ええ…リオにとって、貴女は大事な存在なんでしょう。でなければあのリオがこんな事をする筈がありませんよ」

 

「……」

 

「貴女にちゃんと休んで欲しいと…そう言っていました」

 

「…それは…私もリオに言ってやりたい言葉だ」

 

「ふふっ…バルテ、ありがとうございます」

 

ヒマリは優しい笑みを浮かべながらバルテに感謝を伝える。

 

「リオは貴女と出会ってから随分変わりました。きっと、悩みや考えを共有できる貴女と会ったからでしょう。今までは何でも一人で解決してきましたからね、あの女は…全く…」

 

「…きっと、実際それで解決できるから、リオはそうなったんだろう…私も最初は心配する事ばかりだった」

 

「そうでしょうそうでしょう…最近のリオは、何だか前より楽しそうです、私も今のリオは前のリオより好ましく思っていますよ?」

 

「…きっとリオも同じだよ、ヒマリ」

 

「…バルテ、ミレニアムでの生活はどうですか?」

 

「ふむ…そうだな…最初は、学校生活とやらに微塵も興味は無かった。私はただ、自分の役割の為にこのミレニアムを利用しようと考えていただけだった…けれど…」

 

バルテは僅かに笑みを浮かべながら目を閉じ、今までの学校生活を思い返す。

 

「…ウタハと出会って、色んな人に認められて…AC計画で皆と協力して頑張った日々は……大変だったけれど…凄く充実していた」

 

バルテはスマホを取り出して画面を点けると、待ち受けにACを囲んだ開発メンバーの集合写真が出て来る。

 

「…私は、自分には兵器としての役割しかないと思っていたけれど…こんな風に過ごせて…私をミレニアムに誘ってくれたリオには、凄く感謝してる。だから…うん、楽しいんだ、今の日常が」

 

「…そうですか…それは良かったです」

 

「ああ、リオに、ちゃんとお礼を言わなきゃな」

 

「そうですね」

 

そう言いながら二人はリオの方に視線を向けると、リオは二人に背を向けるような状態で寝ており、そしてその頭上には──

 

「…さて、リオが私に休んで欲しいと言っているらしいからな。久しぶりに寝るとしよう」

 

「そうですね。私も眠りに就かなくては、この超天才清楚系病弱美少女ハッカーの美貌に悪影響が出てしまいます」

 

バルテはヒマリを運んで布団に寝かせた後に自身の布団で横になり、目を瞑る。

 

『ねぇ、バルちゃん。ミレニアムでの日々は楽しい?』

 

アビドスを訪れたあの日、バルテは帰り際にユメにそう訊かれた。あの時はそれなりと答えたが…

 

(今は、ただ、この日々が…(兵器)にも与えられたこの日常(奇跡)が、何よりも愛おしい)

 

そう思いながら、バルテはスリープモードに入った。

 

「私からも、ありがとう、バルテ…」

 

意識が完全に眠りに就く直前、バルテの耳には確かにその言葉が届いていた。

 

 

 




はい、本編開始前の話はこれで終わりです。え?マコト様が有能ムーブしかしてない?知らない…因みにメインストーリーに関しては実装順でやります。何ででしょうね(すっとぼけ)
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