「う〜ん…?」
突然シャーレの先生となって早数日。先生はパソコンと睨めっこしながら何かを疑問に思っていた。
「どうかしましたか、先生?」
そんな先生に対して、先生の所持するオーパーツであるシッテムの箱のメインOS。アロナが声を掛ける。
「キヴォトスの事を色々調べていたらこんなのを見つけて…」
先生はアロナにパソコンの画面を見せると、画面にはアリーナランクというランキングに何かの機械の名前とそれが所属している学園が表示されていた。
「ああ、それは各学園が所持しているACのランキングです」
「AC…?MTじゃなくて?」
「はい。MTとは違い、様々な状況に応じて武装や機体のパーツそのものを統一規格によって自由自在に変更する事が可能なのが特徴で、これもミレニアムのPCA委員会が作り出した兵器なのですが、今では様々な学園がACの開発を行っています。ACは全て『オールマインド』という管理AIによって管理されていて、アリーナランクは各学園のACの実績や戦闘データ、シミュレーターからオールマインドがランク付けしたものなんです」
「へぇ…」
アロナの説明を聞いて、先生は興味深そうにアリーナランクに並ぶ機体名を見る。
アリーナランク1.アルプトラオム ゲヘナ学園
アリーナランク2.エクシア トリニティ総合学園
アリーナランク3.ライコウ 百鬼夜行連合学院
アリーナランク4.レッドベア レッドウィンター学園
アリーナランク5.リュウタロウ ゲヘナ学園
アリーナランク6.ウィンザー トリニティ総合学園
アリーナランク7.クロスゴスペル トリニティ総合学園
アリーナランク8.パッションランプ ミレニアム
アリーナランク9.オフェアリス アビドス高校
アリーナランク10.ヘイグウェ 山海経高級中学校
「色んなACがいるんだね〜……っと、そういえばそのPCAの委員長のバルテから大事な話があるらしいんだよね…」
「そうなんですか?」
「うん、前、ユウカが来た時に伝言でね…確かそろそろ…」
するとシャーレの執務室のドアがコンコンとノックされる。
「入っていいよ〜」
「失礼します、先生」
「バルテ、そろそろかと思ってたんだ。今お茶を出すから…」
「いえ、お気になさらずに…」
「いいからいいから」
先生はシャーレにやって来た生徒…バルテにお茶を出し、二人でソファに座って対面する。
「シャーレ奪還の時以来ですね、先生。キヴォトスでの日々はどうですか?」
「今は大変だけど、やり甲斐は凄くあるよ。それに生徒達も助けてくれるしね」
「それは良かったです…ところで、シャーレには警備がいないのですか?やはりPCAのMTでも…」
「大丈夫だよ、けどもし警備を置く時はお願いね」
「…分かりました…さて、では本題に入るとしましょう」
「うん」
バルテはお茶を一口飲むと、真剣な表情で先生に話し始める。
「先生に、支援してもらいたい学校があります」
「…ミレニアムじゃなくて?」
「はい。その学校はミレニアム…というより、PCAと前々から仲良くさせてもらっている学校でして…アビドスという学校です」
「アビドス…ああ、さっきアリーナランクにもあった…」
「おや、アリーナランクをご覧に?」
「うん、ちょっとね…それで、そのアビドスがどうしたの?」
「はい、PCAは前々からアビドスと協力関係を結んでいるのですが…どうやらアビドスに問題が発生したようなのです。普通であれば私かユメさん…PCAで働いているアビドスの卒業生の方が行くのですが…今とにかく立て込んでおりまして…あまり長い時間ミレニアムの方から離れる事が出来ないのです」
「なるほど…だから私に代わりに行って欲しいと…」
「はい。あまり先生に迷惑を掛けたくはなかったのですが…他に頼れる方も居らず…」
「ううん、頼ってくれてありがとう。私、アビドスに行ってみるよ」
「…あっさり承認してくれますね」
「生徒のお願いだからね。それにアビドスの生徒達も困っているだろうし、生徒を助けるのは先生の役目だから」
「…ありがとうございます先生。では、アビドスに向かうヘリを準備しますので、予定が空いたらミレニアムに…」
「今から行こう」
「……え?」
数時間後、先生はミレニアムに行き、そしてヘリに乗ってアビドスに向かってしまった…
「…行動力の塊だな…」
「けど、あの人ならアビドスの事任せられそう。良かった良かった!」
「ユメさんは何時も楽観的ですね…さて、我々も自分の仕事に戻るとしましょう。明日にはゲヘナに行かなければなりませんし…」
「大変だね〜…」
「他人事ではありませんからね」
「あ、あはは〜……」
「はぁ…オールマインド、先生の案内とアビドスへの連絡は任せる。私とユメさんは今からセミナーに行ってくる」
『畏まりました』
「じゃあ、頼んだぞ。行きましょう、ユメさん」
「はーい」
『初めまして先生。私は、PCAが開発した学園支援システムのAI、オールマインドと申します。本日は先生をアビドスへと運ぶ輸送ヘリの運転、案内をさせていただくので、よろしくお願いします』
「うんよろしくね」
先生は輸送ヘリの操縦席に座り、自動で動く操縦桿とモニターに映るAMの文字があるエンブレムを見ながらオールマインドと会話していた。
「それじゃあ早速訊きたいんだけど、アビドスってどんな所?」
『はい、それでは僭越ながらアビドスについて私から簡単に説明させていただきます』
オールマインドはモニターにアビドスに関する情報を映しながら説明を始めた。
『アビドスの歴史は古く、かつてはキヴォトス最大の規模を誇っていました、しかし…これも昔の話になりますが、突如として自治区が原因不明の砂嵐に見舞われてしまい、対策を講じるも毎年巨大化していく砂嵐によって自治区の大半が砂に埋もれてしまいました。当然、生徒の数、自治区の住民は減っていき、かつてのような活気は失われてしまいました。アビドスの本館も埋まってしまいましたので、現在のアビドスの生徒達は別館に登校しています。砂嵐に様々なものを奪われた学園…それがアビドスになります』
「そっか…砂嵐は今も続いているの?」
『はい。砂嵐に関しては現在アビドスのAC…オフェアリスが調査を進めていますが、未だ原因は不明です。それと…』
「それと…?」
『アビドスの砂漠にはビナーと呼ばれる機械の大蛇が出現します。一度はバルテ様が撃破したようなのですが…どうやら修復機能を保持しているようでして、何度か撃破しようとしたものの、逃げ足が速く、成功には至っておりません』
「ええ……」
『ビナーに関する調査もオフェアリスとミレニアムの特異現象捜査部が執り行っています。これに関する話はまた別の機会にするとしましょう』
「分かった。じゃあ次に…」
先生はオールマインドとアビドスに関する話をしつつ、到着までの時間を潰す事にした。
一方その頃……
「グオォォォ…!!」
先ほどオールマインドが話に出したそのビナーは、現在アビドスの砂漠である存在と戦闘し……そして今、砂の中に逃げて撤退していた。
『ビナーの撤退を確認。戦闘ログをPCA及び特異現象捜査部、そしてアビドスに送信……送信完了』
逃げていくビナーを眺めつつ、先程まで行っていた戦闘の映像データを三箇所に送信しているAC…オフェアリスは、次に自身の状態を確認した。
『AP残り82%、リペアキット残数1、左手武器、残弾52%、右手武器、残弾28%。右肩武器、残弾10%……今日はここまでにしましょう』
そう言って方向転換し、帰投しようとすると、通信が入る。
『───こちらオフェアリス』
『フェア、戦闘ログの送信を確認しました。大丈夫でしたか?』
『アヤネ様。こちらは問題ありません、しかし調査続行は困難。これより帰投します』
『分かりました。気をつけて帰ってきてください』
『了解』
オフェアリスは通信を切り、アビドスに向けてアサルトブーストで移動し始めた。
「ふぅ…」
「どうだった?」
「フェアは大丈夫らしいです。けど今日はもう調査を止めて帰ってくると…」
「ん、そっか。
「そっちは先に報告が来てました。特に変わった動きは無かったとのことです」
「アイツら、一体何をしてるのかしら…」
オフェアリスが通信を切った後、アビドスの対策委員会の部屋ではアビドスのたった5人しかいない生徒の内、4人が集まっていた。
「ん、今はカイザーを気にしても仕方ない。それより先生を迎える準備をしよう」
「そうですね、フェアちゃんの事も紹介したいですし☆」
「けど、本当に信頼できるのソイツ?幾らバルテさんが選んだ大人っていっても…」
「きっと大丈夫だよ、セリカちゃん。シャーレの先生の活躍は最近話題になっているし、良い人だと思うよ」
ガララッ
「それも実際会ってみないと分からないけどね」
「あ、ホシノ先輩!」
部屋のドアを開けながらそう言って入ってきたのは対策委員会の委員長にしてアビドスのリーダーである小鳥遊ホシノだった。
「ただいま、皆」
「おかえりなさい!どうでしたか?」
「問題無し、今日もMT達と一緒に蹴散らしてきた」
「ん、私も一緒に行ったのに…」
「この前拠点を潰したし、今日は残党狩り。シロコまで来る必要は無かった」
「けど…」
「それに、シロコには学園を守って欲しかったし」
「………」
ホシノはショットガンとシールドを壁に立て掛けると、袋を机に置く。
「お菓子とか買ってきたから、シャーレの先生が来たらコレを出そう。オフェアリスは?」
「ビナーを撃退して、今こちらに向かっています」
「また出たのか…アイツもしつこいな…分かった。取り敢えず今日はもう落ち着いたしヘルメット団も少しは大人しくなる筈。シャーレの先生を待とう。ノノミ、迎えに行く時は一緒に来て」
「分かりました☆」
「それで、ホシノ先輩。ヘルメット団は…?」
「やっぱり武装が強化されてた。アレは不良が簡単に手に入れられるような物じゃない…多分だけど、何か裏で動いている奴等がいる」
「初めまして先生、アビドスへようこそ」
「初めまして〜☆」
時間は少し経ち、先生はアビドスに到着していた。
「初めまして、シャーレから来た先生です。貴女達は…?」
「私は、アビドスの対策委員会の委員長をしている3年生の小鳥遊ホシノです」
「同じく対策委員会に所属している十六夜ノノミです、よろしくお願いします☆」
「対策委員会…?」
『ホシノ様、輸送ヘリに補給物資を積んであるので受け取りをお願いします』
「分かった………アヤネ?輸送ヘリの方にMTを回して…そう、物資の受け取り、お願い……よし、オールマインド、何時もありがとう」
『気にする必要はありません。オールマインドは、全ての学生の為にあります』
「バルテさんにも後でありがとうって伝えておいて。それじゃ先生、中に行きましょう、詳しい話はそこで」
「分かった」
『私はここで待っています』
「うん、帰りもお願いね」
先生はホシノ、ノノミと一緒に校舎に入り、対策委員会の部屋へと案内される。オールマインドは校舎に入っていく三人の後ろ姿を輸送ヘリのカメラで見送り、暫くすると…
『!オフェアリス』
『オールマインドですか。物資の輸送、感謝します』
『本日の調査は如何でしたか?というか、いつもより戻りが早いような…』
『…ビナーを撃退したので…戦闘ログを送信した筈ですが…?』
『えっ…?あっ…』
『……まさか、気付いて『それにしても、私もバルテ様も何時も思うのですが、あなたはよくそんなピーキーな武装構成でビナーを撃退出来ますね』……』
『あなたの武装構成は完全に近接特化、乱戦に向いており欲を言えば狭い空間での戦闘が望ましい構成です。そのような構成で広大な砂漠の上で単独でビナーと対峙し、撃退するとは…あなたのランクを見直すべきでしょうか』
『私は別にこのままで構いません。それでは私は整備をしに行ってきます。また後ほど』
『ええ、それでは』
オールマインドは去っていくオフェアリスの後ろ姿を眺め、離れるのを確認すると…
『危ないところでした…』
と呟いた。そして…
『ですが、本当に何故あの機体構成で撃退出来るのでしょうか…?』
と続けて言い、オフェアリスに関するデータを確認した。
AC オフェアリス
機体構成
頭部 HC-2000/BC SHADE EYE
コア CC-2000 ORBITER
腕部 AC-2000 TOOL ARM
脚部 2C-2000 CRAWLER
武装構成
右手 WUERGER/66E
右肩 Vvc-700LD
左手 MA-J-201 RANSETSU-AR
左手2 VP-67LD
アビドスの砂漠を調査する為のACなのでフレームは戦闘より探査向きの物。負荷が低い以外に特筆すべき点は無く、武装に関してはレーザードローンで敵の動きを阻害し、バーストライフルで牽制しながら接近、レーザーダガーとレーザーショットガンで仕留める完全近接特化スタイル。(けど正直ライフルはクッソ空気by作者)
『……やはり、理解出来ません…』
よくこれでビナーを撃退出来るな、と思うオールマインドだった。
はい、そうです、オフェアリスが作って動かしてたACです。割と可能性のある機体です。こいつでG4とG5倒せるし、エンフォーサーも倒せるし、アイビスも私が企業だ!もウォルターも倒せました。だからきっとビナーもいけます。そしてごめん皆…この世界、おじさんがおじさんにならなかったよ…因みにデカールは自作ですクッソ大変だった。