ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さんお久しぶりですっ!(>_<)
更新を放置していてすみませんっ!

続きを楽しみにしていてくれた皆様には本当に申し訳ないことをしてしまいました……( ´・ω・`)

本編を楽しんでいただけると嬉しいですっ!


第80話

どうも、兵藤士織だ。

 

 

 

温泉での騒動から次の日。

俺とアザゼル、リアス先輩の眷属はグレモリー家の広い庭の一角に集まっていた。

服装は全員動きやすさ重視のジャージ。

庭に置かれているテーブルと椅子に座って修行開始前のミーティングを行っている。

資料やデータらしきものを手にしたアザゼルが口を開く。

 

「先に言っておく。

今から俺が言うメニューは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。

直ぐに効果が出る者も居るが、長期的に見なければならない者もいる。

ただ、お前らは成長中の若手だ。

方向性さえ見誤らなければイイ成長をするだろう。

―――――さて、まずはリアス、お前だ」

 

アザゼルが最初に呼んだのはリアス先輩。

 

「お前は最初から才能、身体能力、魔力全てが高スペックの悪魔だ。

それに加えて極短期間だが士織との修行で戦術面も補われている。

このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。

―――――だが、将来よりも今強くなりたい、それがお前の望みだな?」

 

「えぇ。

眷属たちよりも圧倒的に弱いというのは示しがつかないわ。

それに、絶対に負けたくないもの」

 

力強く頷くリアス先輩の瞳には決意の炎が灯っていた。

 

「なら、この紙に記してあるトレーニング通り、決戦直前までこなせ」

 

アザゼルから渡された紙を見てリアス先輩は首を傾げる。

 

「……これって別段凄いトレーニングとは思えないのだけれど?」

 

「そりゃそうだ。

基本的なトレーニング方法だからな。

お前はそれでいいんだ。全てが総合的に纏まっている。

1番心配な戦術面も強化されたお前はその基本的なメニューをこなすだけで力が高められる。

……そうだな、後は1日に1回以上、俺か士織とチェスをしろ。

決戦当日までに俺か士織に一勝しなけりゃ……そうだな、サーゼクスにでもお前の黒歴史聞いてばらまいてやる」

 

「わ、わかったわ!!!」

 

鬼気迫る表情とはこのことだろうか。

リアス先輩の真剣な表情には焦りも色濃く出ていた。

 

「次に朱乃」

 

「……はい」

 

アザゼルから呼ばれるものの、朱乃先輩は何処か不機嫌そうだ。

朱乃先輩はどうにもアザゼルのことを苦手、もしくは嫌っている節がある。

それはやはり父親絡みでなのだろうか?

 

「お前は自分の中に流れる血を受け入れろ」

 

「―――――ッ!!!」

 

「フェニックス家との1戦、記録映像で見せてもらったぜ。

なんだありゃ……士織に習ったっつう魔法がなけりゃ負けてたのは確実。

本来のお前のスペックなら敵の『女王(クイーン)』を苦もなく打倒できた筈だ。

―――――何故、堕天使の力を振るわなかった?

雷だけでは限界がある。

光を雷に乗せ、『雷光』にしなければお前の本当の力は発揮できない」

 

アザゼルの言葉は的を射ている。

俺が教えたあの魔法にもし、光を乗せることが出来るのなら、威力は数倍、数十倍にまで膨れ上がり、それこそ『必殺技』と呼べるものになるだろう。

 

「……私は、あのような力に頼らなくても……」

 

「否定するな。

自分を認めないでどうする?

最後に頼れるのは己の体だけだぞ?

否定がお前を弱くしている。

……辛くとも苦しくとも自分を全て受け入れろ。

自分自身を受け入れることができない奴に強さを求める資格はない。

決戦日までにそれを乗り越えてみせろ。

じゃなければ、お前は今後の戦闘で邪魔になるだけだ。

―――――『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろよ」

 

「…………」

 

アザゼルの言葉に朱乃先輩は応えなかった。

しかし、やらなければいけないという事は朱乃先輩自身がよくわかっているはずだ。

 

「次は木場だ」

 

「はい」

 

「まずは『禁手(バランス・ブレイカー)』を解放している状態で1日保たせてみろ。

それになれたら実践形式の中で1日保たせる。

それを続けていき、状態維持を少しでも長く出来るようにしていくのがお前の目標だ。

後はリアスのように基本トレーニングをしていけば十分に強くなれるだろうさ。

神器(セイクリッド・ギア)の扱い方は後でマンツーマンで教えてやる。

……剣術の方はお前の師匠にもう1度習うんだったな?」

 

「ええ。

僕の剣が抜刀術、つまりスピードに特化したものになったと言うと、それは嬉しそうに1から教えてあげると言われました」

 

祐奈に剣の師匠がいたのは聞いていたが誰なのかまでは聞いていなかったのを思い出す。

抜刀術を使うようになった祐奈がさらに強くなるかはその師匠にかかっているな……。

 

「次、ゼノヴィア。

お前は『デュランダル』を今以上に使いこなせるようにすることと―――――もう1本の聖剣になれてもらうことにある」

 

「もう1本の聖剣?」

 

「あぁ、お前は元々二刀流の剣士だろ?

特別な剣だが、使いこなせばお前の強さは跳ね上がるだろうよ」

 

首を傾げているゼノヴィアにアザゼルはにやけ顔で言った。

そして、直ぐにその笑みを止めたかと思えば、一誠にくっつくギャスパーに視線を向ける。

 

「次にギャスパー」

 

「は、はいぃぃぃぃ!」

 

一誠に尚一層強く引っ付くギャスパーだったが、隠れる事はなく、アザゼルの方を向いていた。

 

「そうビビるな。

お前の最大の壁はその恐怖心だ。

何に対しても恐怖するその心身を一から鍛えなきゃならん。

一誠の血を飲んだ時のお前の積極性を飲んでいない状態でも出せるようになるのが今後の目標だな。

安心しろ、お前専用の『目指せ!一誠攻略計画!』なる積極性が増すプログラムを組んだからな」

 

「は、はいぃぃぃ!!

全身全霊、当たって砕けろの精神で頑張りますぅぅぅう!!」

 

「―――――って!

その計画なんですかアザゼル先生?!」

 

今まで黙って聞いていた一誠が叫ぶ。

 

「あん?

ギャスパーのやる気を出させるためのメニューだ気にするな。

それともなにか?

せっかくやる気になったギャスパーにこの計画はなしだって言うのか?ん?」

 

「……わ、わかりましたよ……なんでもないです……」

 

渋々といった様子の一誠。

アザゼルは悪い笑みを浮かべていた。

 

「さて、どんどん行くぞ。

次はアーシア」

 

「は、はい!」

 

アーシアも気合が入っているようで、やる気満々の表情を浮かべている。

 

「お前も基本的なトレーニングで、身体と魔力の向上。

ついでに士織に教えてもらったっていう魔法にも慣れておけ。

あれが完璧に使えるのと使えないのじゃかなりの差があるからな。

だけど、今回のメインは―――――神器の強化だ」

 

「アーシアの神器は最高ですよ?

触れるだけで……あ……」

 

一誠は自分で喋っていて気がついたのだろう。アーシアの神器の決定的な弱点に。

 

「気がついたみたいだな。

そう、アーシアの神器の回復能力の速度は大したもんだ。

だがな、味方が怪我しているのにわざわざ至近距離まで行かないといけないってのは不便だ。

回復役ってのは何時の時代も狙われやすく、真っ先に落とされるんだよ」

 

自己防衛が可能ってなら話は別だが―――――アザゼルはそう呟く。

 

「つ、つまり私は離れたところから皆さんを回復できるようになればいいんですか……?」

 

アーシアは何かを飛ばす様なジェスチャーを交えて言う。

それに対してアザゼルは満足気に頷いて口を開く。

 

「あぁ、直接飛ばす感じだな。

それさえ出来れば活躍の場が格段に増えるぞ?

そして、グレモリー眷属としての戦略の幅が格段に増す」

 

「は、はいっ!

がんばりますっ!!」

 

皆からの期待を受けるのが嬉しいのだろう。アーシアは更に気合いを入れていた。

 

「次は小猫」

 

「……はい」

 

小猫は妙に張り切っていた。

その表情からは焦りを感じる。

 

「お前は申し分ないほど、オフェンス、ディフェンス、『戦車(ルーク)』としての素養を持っている。身体能力も何の問題もない。

―――――だが、リアスの眷属には『戦車(ルーク)』のお前よりもオフェンスが上の奴らばかりだ」

 

「………………わかっています」

 

アザゼルのハッキリとした物言いに小猫は心底悔しそうな表情で俯く。

 

「リアスの眷属でトップのオフェンスは一誠、そしてその次に木場とゼノヴィアだ。

赤龍帝としての力を使いこなして新たな進化を果たした一誠、禁手(バランス・ブレイカー)の聖魔刀、聖剣デュランダル、どれも一級品だ。

……小猫、お前も他の連中同様、基礎の向上をしておけ。

その上でお前が自ら封じているものを晒けだせ。

朱乃と同じだ。自分を受け入れなければ大きな成長なんて出来やしねぇのさ」

 

「………………」

 

アザゼルの言葉に小猫は何も答えなかった。

小猫の抱えているソレは俺がどうこう言うものではない。

俺は小猫の頭を撫でようとして払いのけられる。

険しい表情で俺を睨みつけているようだ。

 

「……慰めなんて―――――」

 

「何をそんなに焦ってんだ?小猫」

 

小猫にそう言ってやれば顔を逸らして俯く。溜息を一つ吐き出した俺は腕を組んで口を開いた。

 

「焦ったところで何も変わりはしねぇよ。

落ち着いて、考えろ小猫。

―――――お前に出来ることは何かを」

 

「………………はい」

 

それだけ消え入るような声で呟いた小猫の表情は未だに険しいものだった。

 

「……さて、最後はイッセー。

お前は……ちょっと待ってろ。遅れてるみたいだからな。

他の奴らは早速修行メニューをこなせ。

時間は待ってくれないぞ?無駄に過ごすも過ごさないもお前達次第だ」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

数名を除いた気合の入った声の後、各々メニューをこなすためにこの場を後にしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――それで、俺の修行って何なんですか?」

 

この場に残ったのは俺と一誠とアザゼルのみ。

一誠は気になっていたであろう事柄について質問する。

 

「それなら―――――よし、来たぞ」

 

空を見上げるアザゼル。

一誠と俺はアザゼルと同じように空を見上げた。

視界に映ったのは何か巨大な影。

こちらへ猛スピードで向かってきている。

 

それは地響きと共に目の前に飛来してくる。

土煙が舞い上がり、それが収まった後にいたのは―――――巨大なドラゴン。

 

「ど、ドラゴン!」

 

「そうだイッセー。こいつはドラゴンだ」

 

アザゼルは満足気に頷き、一誠は瞳をキラキラと輝かせていた。

 

「―――――アザゼル、良くもまぁ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」

 

ドラゴンは口を端を釣り上げて言う。

 

「ハッ!ちゃんと魔王さま直々の許可を貰って堂々と入国したぜ?

文句でもあんのか?―――――タンニーン」

 

「ふん。まぁいい。

サーゼクスの頼みだというから特別に来てやったんだ。その辺を忘れるなよ、堕天使の総督殿」

 

「ヘイヘイ、感謝しとりますよー。

―――――てなわけで、イッセー。

こいつがお前の修行相手だ」

 

「このドラゴンが……俺の修行相手……」

 

一誠がタンニーンと呼ばれたドラゴンをじっくり観察していると語りかけるように口を開いた。

 

「久しいな、ドライグ。

聞こえるのだろう?」

 

すると、一誠の左腕に赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)が出現する。

 

『あぁ、懐かしいな、タンニーン』

 

「知り合いなのか?ドライグ」

 

辺りに響いたドライグの声に一誠は質問を投げかけた。

 

『あぁ。こいつは元龍王の一角だ。

【五大龍王】のことは以前話しただろう?

こいつ―――――タンニーンは【六大龍王】だった頃の龍王の1匹だ。

聖書に記された龍をタンニーンというのだがこいつをさしている』

 

ドライグの説明にあぁ、あの話の時かと納得するように頷く一誠。

どうやらきちんとドライグと対話して色々な知識を取り入れているようだ。

 

「タンニーンが悪魔になって『六大龍王』から『五大龍王』になったんだったな。

今じゃ、転生悪魔の中でも最強クラス。最上級悪魔だ」

 

最上級悪魔という言葉に反応する一誠。

ドラゴンで悪魔、その上最上級の地位にいると聞けばどれほどの実力なのかは分かるだろう。

 

「『魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)』タンニーン。

その火の息は隕石の衝撃に匹敵するとさえ言われている。

未だ現役で活動している数少ない伝説のドラゴンだよ。

悪いがタンニーン、この赤龍帝であるイッセーの修行に付き合ってくれ。

既にドラゴンの力を使えているからそれの精度をあげてやって欲しい。

どうもこいつは燃費が悪くていけねぇ」

 

アザゼルはタンニーンにそう頼み込む。

確かに一誠はちょっとばかり脳筋の気があるからテクニックを磨くのも悪くは無いだろう。

タンニーンは嘆息して言う。

 

「俺がしなくてもドライグが直接教えればいいのではないか?」

 

「それはもう限界値まで行ってる。

そこから実力をつけるのであればやはり―――――」

 

「なるほど、元来からドラゴンの修行と言えば実戦方式。

俺はこの少年をいじめ抜けば良いのだな?

ふふふ……ドライグを宿す者を鍛えるのは初めてだ」

 

タンニーンは目を細めながら楽しげに言った。対する一誠もウズウズしている様子だ。

 

『手加減などするなよ?タンニーン。

今代の宿主……いや、相棒は今までの誰よりも才能は無いがそれを努力と発想で越えてきた男だ。

俺が保証してやる―――――相棒は過去から未来、全てを通してみたとしても()()()()()()だ』

 

ドライグから発せられたその言葉に一誠は目を見開いて照れくさそうに頬をか掻いた。

 

「……ほぅ?ドライグにそこまで言わせるか少年……。

―――――面白くなりそうだ」

 

一方、その話を聞かされたタンニーンは目を細めて一誠を視界の中央に収めている。

そんな様子のタンニーンにアザゼルが腕を組んで話しかけた。

 

「ヒートアップしてるとこ悪いがタンニーン。期間は人間界の時間で20日間ほど。

それまで存分にやってくれ。

イッセー、さらに強くなりたいなら死ぬ気でやれ。

―――――ヴァーリは身内贔屓を無しに見ても天才だ。

のんびりしてると直ぐに追い抜かれるぞ?」

 

「言われなくても」

 

アザゼルの焚き付けるような言葉に一誠は笑いながら答えた。

ヴァーリ程とまでは行かなくとも一誠も強者との戦いに胸を躍らせているんだろう。

 

「アザゼル。

あそこに見える山でやってもいいか?」

 

タンニーンは遥か先に見える山を指して言う。

 

「お前ならそういうだろうと思って許可は取ってるぜ?」

 

「用意のいい奴め。

―――――さて、行くとするか少年」

 

「おう!これから宜しくお願いします!」

 

そう言い合った後、一誠はタンニーンの背に乗って修行場所となる山へ飛び立って行った。

 

 

 

 

 

「……俺も行くとするか……」

 

「何だ?何か用事でもあるのか?」

 

俺の呟きに興味を持ったのかアザゼルが反応する。

 

「俺もレーティングゲームに参加しないといけないからな。

―――――ただの眷属という名前の仲間探しだ」

 

未だに『兵士(ポーン)』の2枠しか埋まっていないのだから少しは探さないと行けないだろう。

美憧と綯奈には修行メニューは渡しているからたまに様子を見に来るだけでいいはず。

 

「へぇ……お前の眷属か……」

 

「今回は1人、『僧侶(ビショップ)』候補が居るからそいつのスカウトだ」

 

実力などは噂に聞いただけだから本当に眷属にするかどうかは分からないが直接会ってみる価値はある。

 

「士織がスカウトするほどのやり手か……何て名前なんだ?」

 

興味津々の様子のアザゼル。

俺はニヤリと笑ってその名前を伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――『シオン・エリファス・レヴィ』って知ってるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編の方は如何でしたでしょうか?
楽しんで頂けたのなら幸いです!(>_<)


さてさて、次回の話から修行や眷属探しのオリジナルの話が混ざってくると思いますが楽しんでいただけるように頑張って執筆しますっ!(>_<)
士織くんの眷属を考えるのにも頭を悩ませています(苦笑)


それではまた次回お会いしましょう♪
感想、お待ちしていますっ!

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