やっと理事長の過去を書ける...やったぁ!
追記心肺停止は死因ではなく、心臓震盪でした。
指摘ありがとうございます。そして、一話のニュースで『殺害』ではなく『死亡』の間違いでした。お詫びして訂正いたします。
彼女がトレーナーとして、学園に入ってから私の仕事とトレーナーの仕事を同時に進行していた。
私は「無理をしないでくれ」と言い続けていたが、彼女は「心配しないで、私は大丈夫だから」と私に言い続けていた。
彼女の担当は、小さい頃に親から虐待を受けていた娘だった。私は彼女に何故そのウマ娘を担当するのか聞いたことがあった。
「似てたから...かな?」
彼女はそう寂しそうに笑って言った。そのことに関して、私は何も聞くことが出来なかった。
「あの子とは良い関係が築けているよ」と、彼女は言った。
ちゃんと担当のトレーニングを見ながら、私の仕事を手伝ってくれる。私のメンタルのケアもして、担当のメンタルケアもしっかりと行いながら。
だから、だからこそ心配だった。疲れてはいないか、精神面は大丈夫か、ご飯はちゃんと食べているか、睡眠はちゃんととれているか。
一度、私が仕事で忙しいときにお昼に誘ってもらったことがある。
私は「忙しいから良い」と言ったのだが、彼女に無理矢理連れ出されてしまった。
トレセンの近くの商店会の小さなしたカフェだった。
「ここのコーヒーが美味しいんだ」
彼女はそう言って笑っていた。
その店のコーヒーは驚くことにとても味わい深く、優しい味だった。
彼女はホットミルクを飲んでいたが。
「どうしてもコーヒーが飲めなくてね」と、彼女は恥ずかしそうに笑った。
そして、その喫茶店で彼女と普通の女の子のような話をした。
お化粧のメーカーの話、ウマ娘の話、好きな異性のタイプ。
ただ、異性の話だけは二人とも恥ずかしくて言えなかったが。
たくさんお話をして、お昼ご飯を食べて、時間はあっという間に過ぎてしまった。
「そろそろ仕事を再開しないとね」
彼女は立ち上がると、私に手を差し出した。
あまり意味が分からず、反射的に彼女の手に、自分の手をのせると手を握って立たせてくれた。
「お会計、2500円になります」
マスターに言われ財布を出そうとして、財布を忘れたことに気づいた私を見て、彼女は私の分と払ってくれた。
学園に帰ったら返すと言ったのだが「次に来た時に奢って貰うからね」と言って、悪戯っ子のように笑った。
次なんて来なかったのに。
その日は曇りでジメッとした嫌な天気だった。
彼女は「担当のウマ娘に呼び出されている」と言って呼び出された場所に行ってしまった。
仕事が終わったら前に行ったカフェに集まって、また女の子らしいトークをしようと約束した。
私は早く仕事を終わらせようと頑張った。
そして、その日は珍しく定時に仕事が終わってカフェに急いで向かった。
カフェには、マスター以外誰もおらず、シン...と静まり返っていた。
そこから幾ら待っても彼女が来ることは無かった。
次の日、私は走っていた。
そんな、嘘だ。
そんなことを考えて、冷静を保っていられるわけが無かった。
転んでも、すぐに立ち上がり走った。
病院で、彼女の顔には白い布が被せられていた。
「御臨終です」
医者が言った台詞が理解できなかった。
彼女が、死んだ?
どうして?何故?前日まで元気そうだったじゃないか?
彼女の死因は心臓震盪だったそうだ。
でも、私は安心したよ。
彼女はウマ娘として、生まれ変わってきてくれた。
次は絶対に、死なせない。
死んだら、許さないから...
理事長の覚悟が完了しました。ルーヘデスミラーこと深海トレーナーは気を付けてください