今回主人公のある程度のスペックが分かります。
俺が意識を取り戻した時、そこには少なくとも前世では見ることが絶対に無かった景色が目の前に広がっていた。
姿は殆ど人間と変わらないのに、人間には絶対に無い獣の耳や尻尾、角や翼があるその姿はここが本当にこれまで生きてきた世界とは違うんだというのを今でも理解させられる。そして自分の頭に手を乗せるとそこには前世の俺には無かったケモミミがあり、腰の後ろの辺りにはちゃんと自分の意思で動かせる尻尾があった。
そう、俺は転生するにあたり自分の設定を獣人、もっと言えば狗族として産まれる様に設定した。狗族と言えば原作では主人公であるネギ・スプリングフィールドの最初の同性かつ同年代の親友となる犬上小太郎がいるが、小太郎は設定では狗族の父と人間の母の間に産まれたハーフだった。そこで俺は自分の生まれを小太郎の父と魔法世界に住む別の狗族とのハーフ、謂わば旧世界で呪術を使う狗族と魔法世界で魔法を使う狗族のハイブリッドにしたのだ。
何故こんな設定にしたのか、それは犬上小太郎が今の俺の一押しのキャラだからという理由が最大の理由だ。原作の序盤、修学旅行編で最初は敵役として登場した小太郎はその後麻帆良学園に現れた上級悪魔をネギと共に撃退してからはネギの親友兼ライバルポジションになり、ネギと共に強くなっていくのだが次第にネギとの実力に差をつけられ、最終盤にはそのポジションを同時期から登場していたフェイト・アーウェルンクスに奪われてしまっている。勿論フェイトのキャラが嫌いかと言われればそんな事は無いし、麻帆良に来てから居候していた村上夏美と仮契約して結婚までしているのだから恵まれたキャラではあるだろうが、小太郎押しになってからはどうしても勿体無いと思う場面が多々あるのだ。
それならば自分が小太郎よりも強い亜にとなって小太郎を鍛え上げて、最終盤には人外レベルにまで強くなるネギと最後まで張り合えるキャラにしていこうと考えたのだ。実際小太郎のポテンシャルは十歳であれだけの強さに至り戦えるのだから、まだまだ伸び代はある筈だ。そして目の前に超えるべき目標や壁があればある程修行に熱も入るだろうし俺が強ければ導いていく事も出来る筈だ。
次の理由は小太郎を鍛える溜めには俺自身も強くならなければならない、その為に気と魔法をどちらも扱える身体、加えて小太郎の親族になる為にこの組み合わせを選んだ。小太郎が式神を使役する描写があるからこれを父親譲りにするなら母親に魔法の素養があればその間に産まれる俺はどちらの素養も受け継がれる筈。そうすれば気と魔力を使える様になり、ネギまの中で究極技法と言われていた咸卦法も使える様になるし、どうせ魔法が使える世界に転生するならちょっと位は魔法を使ってみたいという私情も含まれてはいる。
そんな訳で設定を考えたのだが、どうやら俺の希望通りになっている様だ。あの時補佐が言っていた通りこの世界に産まれて五歳の誕生日を迎えてちょっとした位のタイミングで俺の意識が目覚めたらしく、これまでの五年間の記憶も問題無く憶えているし、俺の名がクウガである事もここが何処なのかもしっかり記憶していた。
ここはヘラス帝国の領土の北側にある小規模の街で、獣人や亜人が多く暮らしているらしい。しかしまだ北に位置するメセンブリーナ連合との戦争にはなっていないからか、北から来る行商人や旅人も多いらしく結構賑わっているらしい。そんな街に俺は母親と二人で暮らしている様だ。
何故二人暮らしなのか、それは俺が俺と小太郎の父親となる狗族にある設定を付け加えたからに他ならない。それは…“発情期になると理性を失い易い”というものだ。
いくら長命の獣人とは言えど、普通は一人の女と添い遂げようと思うだろう。そうなると俺と小太郎が歳の離れた兄弟となるのが難しくなる。しかし小太郎の父親は母親と小太郎を捨てたかの様な設定だったので、それならこんな設定にしておけば矛盾は無いだろうと考えたのだが、今になるととんでもないクズ親にしてしまったと思う。一応子供が成長して大人になるまでは生活に必要な金だけは残したり送ったりはする様にしておき、実際家はそれで生活が出来ている様だから設定はきちんと適応されているみたいだ。
取り敢えず意識が戻ったならやるべき事をやろう。幸いこの五年間の記憶にこの街や周辺の地理もしっかりあり、近くに子供が入っても危険は少ない森があるみたいだ、そこで魔力や気の扱いや武術の修行が行える。俺は早速行動を開始した。
森には数分で到着した。五歳の子供とは言えど流石は獣人、素の身体能力は人間以上でここまで走ってきたのに全く疲れてないし走るスピードも速かった。
俺は森の中に入ると早速自身の身体に意識を集中させていく。前世は魔力も気も無い世界だったから取り敢えずは王道のバトル漫画みたいにしてみたら何か分かるんじゃないかと思ってやってみたが、結構あっさりと魔力も気も把握が出来たので先ずは気を意識して集中させてみると、気の総量も強さも結構ありそうだ。勿論今日初めて気を扱ったんだし、この世界には気に関してはバグキャラとまで言われる人外レベルがゴロゴロ居るんだ、楽観は出来ないしちゃんと扱える様にならなきゃ宝の持ち腐れになってしまうから修行は欠かせないな。
次に魔力の方に意識を集中させていくとこっちもそれなりにあるのが分かる。しかし魔力も主人公のネギを筆頭に“サウザンド・マスター”と呼ばれるナギ・スプリングフィールド、ゼクト、アルビレオ・イマ、近衛近右衛門とこっちも人外レベルが幾らでも居る。しかし魔力については気程は重視しなくても大丈夫だろう、咸卦法が使えて一部の便利な魔法が使える様になれれば充分だと思っている。
さて、自身の魔力と気の総量がある程度分かったので早速修行を始める事にしよう。最初はやはり魔法を使ってみようと思い、魔力を集中させていき魔法の修行を始めたネギパーティの面々が練習していたあの呪文を唱えてみた。
「プラクテ・ビギ・ナル…“火よ灯れ”」
そして右の人差し指を天に掲げてみたが…何も起こらない。まあそりゃそうだろうな、今日初めて魔法を知った奴がいきなり魔法なんか使える訳が無い…そう思っていたら…指先に突然巨大な火の玉が現れた!!
「うわあああっ!?何だこれぇっ!!」
指先に小さな火が出る程度の予想が巨大な火の玉が現れた事に驚き慌てている内に魔力の集中が途切れたのか、火の玉は直ぐに消えたが俺は驚きのあまり腰を抜かしていた。あまりにも突然だったから暫し呆然としていたが冷静に考えれば魔力を集中し過ぎたのかもしれない。そう思いながら立ち上がると今度は集中する魔力をかなり少なくしてからもう一度呪文を唱える。
「プラクテ・ビギ・ナル…“火よ灯れ”」
そうすると今度はさっきの火の玉よりだいぶ小さな火が右手の人差し指の先に灯る。今度は成功した様だ。しかし…これは魔力をしっかり制御しないとあっという間に魔力を使い切ってしまうな。実際最初の火の玉を出した時に魔力を結構消費したのが自分でも分かった。これはこれからの課題になるな。
それからは他の属性の水、風、雷、光と一通り試してみるとどれも問題無く発動出来た。流石に闇の魔法に関する事は試していないが影魔法は使い勝手がいいからいずれは覚えていきたいな。
次に気を用いた身体強化や攻撃を試してみようと思っていたら、森の入口付近から人が集まってきてる気配を感じた。おそらくはさっきの巨大な火の玉が見えて何があったのかを確かめに来たんだろう。そうなれば修行所じゃ無くなってしまうがまぁ仕方無いだろう。俺は大人達に見つかると何かあったのかと聞かれたが知らない見てないを通してそのまま街に戻った。幸い時間はまだまだあるだろう、ゆっくりじっくり修行して強くなっていけば大丈夫だと俺は思っていたが…そう都合良くはならなかった。
俺が意識を取り戻してから一ヶ月も経たない内に…ヘラス帝国とメセンブリーナ連合との間で戦争が始まった。そして連合との国境に近かった街は連合によって襲撃されて…俺や街の住人の多くは連合の兵士に捕らわれて連合の領土へと連れて行かれるのだった。
主人公は気も魔力もどちらも扱える万能型ですが、気を用いた戦闘の方が比率は高くなります。
次は捕らわれてからの事を飛ばし飛ばし書いていきます。
こんな駄文ですが次も宜しくお願いします。