剣姫に兄が居るのは間違っているだろうか   作:Fina

1 / 4
あ、ただいまと言えば良いのでしょうか……お久しぶりです。
帰ってきましたこれから続きを投稿しますっ!!と言いたかったのですが、前のアカウントのパスワードを忘れたため1からの投稿となります。
1からの投稿と言っても前とはかなり違う物語の進行となってますのでお楽しみください。
前よりは投稿すると思います。

それでは始まりの物語……序章をお楽しみください


プロローグ

とある村『離れの花畑』

「ベル」

 

「アイズちゃんどしたの?」

 

白くモフモフな髪の毛でとても紅く今にも呑まれそうになる瞳を持っているヒューマンの少年に悲しそうな表情を浮かべている金髪の少女が問う。

 

「英雄は居るの?」と

 

その表情は、幼い少女がするようなものではなかった。

少年も幼いながら少女の気持ちを察することが出来た。

それは少女に……誰よりも可愛いと思っているからなのかは少年にしか分からない。 そしてその少年は咄嗟なのか立ち上がりいった。

 

 

「僕が」

 

「ベル……?」

 

「僕がアイズちゃんの英雄になる!!なってやる!!」

 

少年は少女に誓う。

 

これは少女を愛し、英雄に憧れた1人の弱く強い少年とその周りの後に英雄と呼ばれるもの達が織り成す英雄譚。

 

 

 

 

 

「すいませんゼウス様ステータスの更新お願いします」

 

俺はアーク・ヴァレンシュタイン。アイズの兄であり、現在レベル2のただの村人である。さっきまでバカ父さんにしごかれていた。

 

「来たかアーク」

 

「はい、しごかれてきたので」

 

「そうかそうか」

 

高らかに笑っているのはゼウス。一応俺の主神である。

 

ゼウスファミリア……いやゼウス様達がこの村に来てから強くなるために恩恵を刻んで貰っている。

ゼウス様達は前居た場所を追放されてこの村にたどり着いたらしい。今はベルと畑仕事しながらのんびり暮らしている。

 

「うむ、かなり上がっておるな。だが相変わらず魔法もスキルも発現しないのぉ」

 

「そっか……」

 

「まぁそう落ち込むな。いつかオラリオに行きいい神の元で冒険することじゃな!」

 

「っ……オラリオ」

 

都市オラリオ。そこにはダンジョンがある。何も言わないけどゼウス様はそのオラリオを追放されたんじゃないかと勝手に思っている。

まぁそんなことは置いておき、俺は家に帰るために「ベルに夜ご飯食べに来なって言っといてください、失礼します」と言葉を残してゼウス様達の家を出た。

 

 

「ただいま〜」

 

「おかえりアーク」

 

家に帰るとお母さんが出迎えてくれた。ゼウス様が言ってたマザコン?みたいだがとても美しい親だと思う。

そして父親は……

 

「ん?帰ってきたのか、おかえり」

 

リビングの方から顔を出したお父さん。さっきまで俺をボコボコにして少し楽しんでいるようだった人だ。

一応元冒険者でかなりの実力者……だったらしい。

 

「ただいま。本見に行ってくるから、ご飯できたら教えて」

 

「わかったわ」

 

そうして近くにある書物室に向かった。

そして色々なものをみること数分、とある英雄譚を見ていて次のページをめくった瞬間紙がヒラヒラと床に落ちた。

 

「ん?なにこれ」

 

それはこの村周辺の地図らしく、近くの森あたりにばってんが記してあった。

 

「明日、行ってみてるか……」

 

「お兄ちゃんご飯できた」

 

「おっ?!アイズ」

 

アイズの声を聞いて咄嗟に地図をポケットにいれた。

どうやらご飯ができたらしい。

 

「パパとママあとベルが待ってる」

 

「そっかじゃあ急ご」

 

「うん!」

 

俺とアイズは3人が待ってるであろう場所に早歩きで向かうのだった。

 

 

 

次の日早速朝一でばってんの場所に向かうことにした。幸運なことに今日の訓練は休み、暇なのだ。

 

「あれ、お兄ちゃんどこかいくの?」

 

「ん?アイズ早起きだな」

 

「うん……少し木刀ふろうかなって」

 

眠そうなアイズは小さな木刀を持って俺の方に近づいてくる。アイズは小さい時から俺やお父さんの姿を見てきているから、剣を振るのが当たり前だと思っている。

お父さんはあまり握らせたくないらしいがお母さんは賛成らしいから何も言えない。

 

「俺は少し散歩かな。」

 

「わかった。気をつけてね」

 

「あぁ。 行ってくる」

 

そうしてアイズに背を向け歩き始めた。

 

 

「ここだよな?」

 

目の前にあるのはツタやらえだやらがもじゃもじゃしている洞窟。 生まれた時から近くの村で住んでるけどこんなところ来たのは初めてだ。

 

「とりあえず入ってみるか……」

 

腰に着けた剣に手を添えながらゆっくりと奥へ進んでいく。 そして五分くらい進んだだろうか、先に進めないところまで来てしまった。 そして奥にあったのは1つの綺麗な剣だった。

 

「綺麗……」

 

思わず手が伸びる。 そして手と剣が触れた瞬間目の前が光り輝いた。

 

「うっ!眩しっ」

 

 

 

 

――あら?久しぶりのお客さんですね

 

やっと周りが見えるようになったと思ったら、目の前には綺麗な女性。一言で表すなら《透き通っている》ような人。 俺は言葉を発しようとする。 が、なぜか声を発することは出来ない。

 

――あ、そうでした!お客さんは話すことは出来ませんでしたね?

 

胸の前で手を合わせて言う。

 

――まずは自己紹介させてもらいますね?私の名はクリスタル。 生命の精霊です。

 

精霊?

 

――今から貴方は私のマスターになるお人。 よろしくお願いしますね? アーク・ヴァレンシュタイン。

 

は?なんで俺の名前を知っているの?

 

――ふふっ、これも奇跡ですかね?同士の血が混ざっている子を主人にするなんて

 

色々勝手に話を進めているクリスタルという精霊に対して不信感を抱くどころか不思議とこの子に引かれている気がする。

 

――とにかく!契約しますかっ

 

ものすごく可愛い笑顔で言う。 どこかお母さんに似ているような気もするがそれは気のせいだろう。

クリスタルは俺に近ずいて言う。

 

――私は貴方と……マスターと共にあります。いつでもお呼びください。

 

そうしてクリスタルの顔は俺の顔に近づいていった気がしたが、気がついたら剣をしっかりと手に持ち洞窟を立っていた。

 

「さっきのは、夢ではなさそう」

 

綺麗でどんな色にもなりそうな片手細剣をみて思う。

 

「よしっ!帰るか」

 

そうして歩いてきた道を戻り家へ。非日常から日常へ戻る。 だがその日常が数週間後、壊れてしまうことをアークどころか村のみんなは知らないのであった。

 

 

2週間後

「なぁ……クリスタルこの剣の名前あんな簡単に決まって本当に良かったのか?」

 

『何回言うんですか!私は気に入ってますよ?結晶の翼と書いて《クリスタル・ウィング》』

 

「まぁお前がいいならいいけどさ」

 

修行の休憩時間にこうやって普通にクリスタルと話しているが、話せるとわかった時は本当にびっくりした。発端はあの日クリスタルと出会ったあと家に帰って両親に剣のことを突っ込まれたときに遡る。

 

「ただいまぁ」

 

「おかえりなさい」

 

帰るとお母さんが言ってくれる。そしてそれと同時にお父さんが反応する。

 

「お前その剣……」

 

「え?ぁあーこれは」

 

そういえばなんて説明するか考えてなかった、どうしよ。

 

「綺麗ね……結晶みたい。それになんか見てると懐かしい気持ちになるわね」

 

「え?」

 

お母さんが言った。 綺麗という言葉には賛成だ。 ただ懐かしいという気持ちはどういうことなのだろうか。

 

「ねぇその剣の名前って?」

 

「特にないけど……」

 

「じゃあ《結晶の翼》。クリスタル・ウィングというのはどう?」

 

「っ……」

 

そんな安直な……そう思った。 実際知らないだけで名前があるかもしれない。すぐにいいねとはいえなかった。だが頭の中で声が聞こえる。

 

『いいですね!!』

 

「っ!?」

 

「どうした?そんなビクッとして」

 

お父さんが心配する。

 

「いやっ!なんでもない!お母さんそれでいこう!めっちゃいいと思う!!俺少し素振りしてくるわ!」

 

そうして俺は逃げるように家を出た。

 

(クリスタル……?)

 

『あれ?どうしたんですか?』

 

頭の中だけに聞こえる彼女の声。

 

(なんでお前直接脳内に語りかけてくるんだよ)

 

『言ったじゃないですか。 マスターと共にあるって』

 

(言ってたけど……)

 

『まぁとにかくこれからもよろしくおねがいしますねっ!』

 

 

みたいなことがあった。そこから俺から呼び掛けたり勝手に脳内で話しかけられたりする。

 

「はぁ、とりあえず修行開始するか」

 

俺はそうして、剣に慣れるために素振りを始めるのだった。

 

その日の夜

 

「アイズ!アーク!逃げるんだ!!」

 

アイズは寝て俺はあと少しで寝ようとしていた時お父さんが突然玄関のドアを開いて叫んだ。

 

「どっ!どうしたの?!お父さん」

 

「押さえ込んでいた黒龍が攻めてきた」

 

「なんですって?!」

 

お父さんの言葉にいつも静かなお母さんが強く反応する。

 

「んぅ、どうしたの?みんな」

 

「アイズ?よくききなさい」

 

お母さんは起きてしまったアイズの肩を強く掴んだ。アイズは少しビクッとしたあと「なに?」といった。

 

「今からお母さんとお父さんはあなた達をなるべく遠くへ逃がすわ!」

 

「は?ちょっと待ってよ!」

 

聞き捨てならなかった。 その言い方じゃあまるで死ぬみたいだと思ったから。だから言葉をさえぎる。

 

「アーク?アイズを頼んだわよ?」

 

「っ……!」

 

覚悟を決めたような表情のお母さんそしてお父さん。

 

「アイズ?お兄ちゃんの言うことしっかり聞いて元気に過ごすのよ?」

 

「ママ……?」

 

少しアイズの目から涙が零れる。

 

「とりあえず外に出てなるべく遠くに!ゼウス様達は先に逃げてる」

 

「ねぇ……ベルは大丈夫だよね?」

 

「それはっ」

 

合図がベルのことをお父さんが何故だか話すのを渋っていた。

 

「ねぇお父さんベルに何かあったの?」

 

「とりあえず外に「お父さん!!」っ……わからない俺が知っている限りだと瓦礫に巻き込まれてかなりの重症だった……ゼウス様に簡単な治療を受けて先に逃げた。いや逃げてもらった」

 

少し間を置いてお父さんはいった。

 

「ベル……」

 

ボソッと名前を呼んだのはアイズだ。アイズはこれ以上声を出さない。だが涙を流し続ける。

 

確かにベルのことは心配だ。だけど今は

 

「「「「っ!!??」」」」

 

突然建物が崩れた音がした。 そして徐々に周りが暑くなっていく。

 

「くそっ!こっちまで燃え移って来たか!」

 

「行くわよ2人とも!『吹け(テンペスト)』エアリアル!」

 

お母さんは魔法を使ったあと、俺とアイズを抱えて走り出した。

 

かなりのスピードで走っているお母さんにお父さんは同じスピードで並ぶ。

そして村を出て近くの草原まで行く。

 

「アリア……本陣がこっちを追いかけてきてるぞ」

 

「えぇ、覚悟を決めましょうあなた」

 

ふたりは止まってお母さんは俺たちを下ろし2人で俺たち兄妹を抱いた。それも力強く。

 

「ママ?」

「お父さん?」

 

「「2人とも……愛してる。幸せになれよ(なりなさい)」」

 

耳元で……俺とアイズに聞こえるように言う。

これが俺たちが聞いた肉親の最後の声だった。

 

 

「くそっ!くそっ!」

 

「ママ!!パパ!!」

 

俺は泣き叫んでいるアイズを抱えて前へ前へと走り抜ける。

 

「ぁあ……あぁああああああああああああぁぁぁ!!!」

 

アイズが声を荒らげて叫ぶ。 後ろで何が起こっているかなんて前しか向いていない俺にはわからない。 知りたくない。 両親が死んだかもという可能性を考えたくない。 今すぐ後ろを振り向いて助けに行きたい。一緒に逃げたい。 だけど手遅れだ。 それはアイズの声で察することが出来た。

この苦しい現実を。

 

 

 

「アイズは寝てるか……そりゃあベルやお父さん、お母さんのことがあったんだ。 」

 

俺は逃げ続けてかなり離れた森に入った。ここだったら大丈夫……なはず。

 

 

ガサガサ

 

「っ!?だれ?!」

 

突然の草の音。 俺はアイズを守るように音の方に剣を向ける。

 

「アーク。ワシだ」

 

「ゼウス様!」

 

音の正体はゼウス様だった。

 

「お前ら無事か?」

 

「うん……でもお母さん達が」

 

「そう、か」

 

ゼウス様は曇った表情をした。 だが俺は自分たちの現状報告よりも気になることがあった。

 

「ベルは……無事なんですよね?」

 

「大丈夫。と言いたいが、分からないというのが現状じゃ」

 

「そっか」

 

「お主らはオラリオに行け。そこにいるはずのロキのところに行きワシの名前を出せば生活はさせてもらえるはずだ」

 

「オラリオ……」

 

こんな事で行ってみたいと思っていたところに行くとは思わなかった。 だが今はそれしか選択肢がない。

 

「わかりました」

 

「お前が18になる年にベルが無事だったら必ずそっちに行かせる。お前宛に手紙もだそう」

 

「はい。ベルをよろしくお願いします」

 

「あぁ。達者でな」

 

そうしてゼウス様と別れた。

 

俺たちは森を出た。俺はほんとに運がないと思う。何故かって?それは

 

 

「魔物が出待ち?ふざけんじゃねーよ」

 

残党のドラゴン達が待ち伏せをしていた。ほんとに思わず笑みが出てしまう。 その笑みは絶望だ。

 

「せめてアイズだけでも」

 

アイズに生きてもらうため、俺が身を呈すことを考えた。

 

《アイズを頼んだわよ?》

 

「違う」

 

お母さんは俺が死んでアイズを活かせという意味で言ったわけじゃない。

 

「違うだろ。 俺も生きるんだ」

 

決意を決める。アイズを地面に下ろしクリスタル・ウィングを構えた。そして脳内で彼女に話しかける。

 

(クリスタル力を貸せ)

 

『やっとですか!待ってましたよ!私の名を呼んでください!』

 

「あぁ。《クリスタル》俺に力を家族を護る力をくれ!!!!」

 

 

俺は口に出して叫ぶ。そして彼女は最後に微笑んで言った。

 

 

 

 

 

『はい。 我が《マスター》』

 

 

 

 

 

10年後

 

とある少女は、自分が愛した少年が死んだと思っている。

でも少女は強くなったみんなから❮剣姫❯と呼ばれるようにまで成長した。

でも少女の絶望はまだ消えていないこの絶望はまた自分が愛した少年に会うまで消えないだろう。だが彼女の絶望が消えるのはそう遠くない未来…

 

 

 

 

 

 

 

とある少女の兄は、この年を来るのを待っていた。前の主神からの手紙をこの十年間まち続けたそうして、あの人からの手紙が来る年になった 

そうして、妹が愛している少年が来るのをずっと待っていた。

その少年が俺たち兄妹の目の前に現れたならば、前みたいな妹の笑顔が……本心の笑顔が十年ぶりに見れるだろう。

 

 

  

 

 

 

 

とある村の少年は、離ればなれになった少女…自分が好きな人に会うために、護るため、《英雄》になるために

この十年間の修行を死ぬ気で頑張った。

とある日お祖父ちゃんから…

 「□□よお前は厳しい修行によく耐えた。だからお前はオラリオへ向かうのじゃ」

 

 少年はこの言葉をずっと待っていた。十年間ずっとまっていた。

 

「はい!お爺ちゃん」

 

そして今一人の少年が今都市❮オラリオ❯へ向かおうとしていた。

 

「アイズ……やっとそっちに行けるよ」

 

16になった少年は空を向いて笑うのだった。

 

 

 

 




プロローグ時点の年齢
アーク・ヴァレンシュタイン(8歳)
レベル2
一応恩恵を授かって2ヶ月程度でレベル2になっているがオラリオに居ないため何も音沙汰がない。
熟練度は魔力以外オールA
最近の悩みは本を沢山読んでるのに魔法が発現しないこと。そしてスキルも……
アビリティは狩人

父親にほとんど毎日と言ってもいいくらいボコボコにされていることを除けば普通の村人。
クリスタルという精霊に出会った。そして彼女には秘密が……?



アイズ・ヴァレンシュタイン(6歳)
アークの2歳離れた妹。
この時はまだ感情を表に出していた。
親の関係に憧れ英雄を求めているか弱い女の子
ベルの英雄になる宣言で元々好きだったのがもっと好きになった。

時々アークや父親の真似をして剣を振っている。才能はあるみたいでかなり上達してきている。


ベル・クラネル(6歳)
この世界軸だと6歳のアイズの英雄になる宣言をした兎のような少年。
一応ゼウスの恩恵を刻まれているが、まずベルがおじいちゃんと思っている人のことをゼウス様……神様と知らないため、まだ知らされていない。更新もしていない。
アイズには一目惚れである。


▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。