【完結】銃で撃たれても痛いだけで済む神秘的存在   作:Leni

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後日談:夢の終わり、新しい道
EX1.エーテルフォトニクス社 概要


 キヴォトス外の新技術であるエーテル通信を持ち込み、またたく間にキヴォトスの通信事業を牛耳ったエーテルフォトニクス社。

 今回は、そのエーテルフォトニクス社にある各部署の概要を見ていこう。

 

 

 

■経営陣:【道上リク社長】【小鳥遊ホシノ副社長】エーテル技術とフォトン技術を握るリクと、アビドスに詳しいホシノが主な方針を考え、幹部会としてリクとアビドス廃校対策委員会の計六名で方針を決めていた。なお、アビドス高校の廃校阻止成功により、幹部会は役割を終え、ただの女子会と化した。

 

 

 

■経営企画本部:【十六夜ノノミ本部長】

 

-経営戦略室:主に他企業から事業の買収を行なう新設の部署。シャーレが解体したカイザーグループの事業を回収中。また、アビドスの土着企業であるセイント・ネフティスの吸収合併を秘密裏に計画中。

 

-広報室:起業当初はリク&アビドス生の六人で身内ノリの宣伝をしていたが、今はしっかりとした部署となっている。

 

-法務部:キヴォトスでは泣きを見ることが多いであろう部署。ただし、エーテルフォトニクス社には、社長と副社長の圧倒的武力があるため、暴力に負けず強気に出られる。

 

-企画部:現状、新製品のアイデアは社長やエンジニア部から直接出てくるので、この部署では主にコラボ企画等既存の商品を売り出す企画を立てている。

 

-情報部:アビドス高校の借金が返せそうな事業を探して、エージェントを派遣していた部署。現在はアビドス自治区の複雑に入り組んだ権利関係を整理している。

 

 

 

■経営監査本部

 

-内部監査部:社員が悪いことをしていないか見張る部署。キヴォトスの治安を考えると当然忙しい。

 

-品質管理部:エンジニア部の面々が販売物に変な物を仕込んでいないか見張る、忙しい部署。

 

-セキュリティ推進部:エーテル通信分野に秀でた人材が稀少なため、ミレニアムサイエンススクールのヴェリタスに外部委託中。頑張れチヒロ。

 

 

 

■事業本部:【奥空アヤネ本部長】

 

-通信事情部:エーテル通信事業を一手に担う部署。影響範囲がキヴォトス全体のため、最近では経営戦略室が買ってきたカイザーグループのコンビニ事業の運営まで任されてしまい、早くコンビニ専門の部署を作ってほしいとの要望が上がっている。

 

-開発事業部:主に土地の開発を行なう部署。ただし、建設作業等の実働部隊は営業本部の工務部であり、こちらは企画と運営を担っている。

--アビドス開発課:社が確保したアビドス自治区内の土地を再開発する部署。ビナーを完全破壊して砂漠地帯を解放してくれた社長を礼讃している。

--リゾート開発課:リゾート群島の再開発・経営を行なう部署。

 

-薬品事業部:新設の部署。リク社長がキヴォトスの外から持ち込んだアークス製の薬品が正式に認可されたら、本格稼働する予定。

 

-研究開発部:エーテル技術やフォトン技術の研究や、新製品の開発を行なう部署。

--第一研究課:ミレニアムサイエンススクールのエンジニア部に外部委託中。早く卒業して本格入社してくれないかなぁ、と課長(非技術者の管理職)は思っている。

--第二研究課:メイトやアトマイザーなど、アークス製の薬品を研究する部署。

--第三研究課:エンジニア部とは独立した技術研究を目的とした新設部署。各方面から技術者を集めている最中。

 

-製造部:アビドス内にある各製品の製造工場が所属する。

 

 

 

■営業本部:【砂狼シロコ本部長】

 

-工務部:キヴォトス中にエーテル通信塔を建てるクソ忙しい部署。

 

-警備部:【クロコ(平社員)】アビドス自治区全体の治安維持を行なう。この部署の設立により、アビドス自治区の治安は急速に回復した。

 

-営業販売部:【黒見セリカ部長】自社製品の販売と販路の新規開拓を行なう部署。セリカはエーテルフォトニクス社に遅れて合流したため、本部長の役職にはない。

--カスタマーサポートセンター:販売した製品の問い合わせ窓口。

 

 

 

■管理本部

 

-人事部:元アビドス自治区の住人を中心に採用中。

 

-総務部:エーテルフォトニクス社の規模が日々拡大し続けているため、激務に追われる事務職の人達の居場所。

 

-経理部:「リゾート開発とか税金対策の大赤字事業だろ!」と思っていたらなんか普通に黒字転向しそうでハラハラしながら見守っている人達の居場所。

 

-購買部:社内に必要な物を用意する部署。ウタハ率いるエンジニア部の暴走を止められる、数少ない人達の居場所。

 

 

 

■その他

 

-外部顧問:【安藤優顧問】エーテルフォトニクス社設立にあたって全面協力をした、連邦捜査部シャーレの顧問。通称先生。今でもたまに幹部会に顔を出しにきて、経営方針の助言をする。

 

-医務室:社員の健康を守る専属産業医。仕事は持病や精神的ケアよりも、警備部の外傷治療がメインなあたりがキヴォトスクオリティ。アークス製の薬品類を早く事業展開してほしいと、要望を上げているとか。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 連邦捜査部シャーレと連邦生徒会の手により、カイザーグループは解体された。

 

 連邦生徒会相手にクーデターを起こした罪により、カイザーコーポレーションのプレジデント及び複数の幹部は逮捕。カイザーグループが抱えていた事業は小分けにされて売却され、市場は大騒ぎとなった。

 

 私、道上リクが社長を務める我らがエーテルフォトニクス社も、カイザーグループのコンビニ事業をしっかりと獲得しており……いや、ちゃんと経営会議で検討したうえでの獲得だよ? でも、リゾート開発以上に専門外の事業を持ってくるなと、情報部と事業本部の人達に文句を言われたよ!

 でもねぇ。各学園自治区の独立性が高いこのキヴォトスで、コンビニという全国規模の商圏にガッチリ食い込める事業をここで確保していくことは、悪くないと思うんだよねぇ。

 

 コンビニを足掛かりに、最終的にはエーテル通信端末、要はスマホの次世代端末を各自治区に売り込むのが最終的な目標なんだけど……コンビニ事業を任される人にとってはそんなの関係なかったか……。

 

 そんなこんなで、解体されたカイザーグループのあれこれは、今いろんな企業が入れ食い状態。なりふり構わず利権を奪い合っている状態だ。

 うちはというと、コンビニ事業の獲得に関しては、難なくといった感じであった。しかし予想外にも、アビドス自治区の土地の権利を回収しようとすると、途端に困難になってしまった。大きな対抗馬が出てきたのだ。

 私達エーテルフォトニクス社はアビドス自治区に本社を置く企業なわけだけど、実はアビドス土着の企業ってやつが他にもあったんだよね。

 

 その名もセイント・ネフティス。

 

 ネフティスは、もともとアビドス自治区で権威を誇っていた大企業。ただし、自治区の環境悪化と共に経営が悪化し、鉄道事業で再開発を行なおうとして失敗して、アビドスから撤退していった経緯を持つ。

 そのネフティスがまだアビドスに未練があったのか、カイザーグループから放出されたアビドスの各種権利を回収しようとしているんだ。

 

 私は困った。困ったので、新しく経営戦略室なる部署を立ち上げて、ネフティスに対抗することにした。

 エーテルフォトニクス社の社員は、元々アビドス自治区に住んでいた人達が多い。衰退し続けるアビドス自治区に必死で残っていた人達や、アビドス自治区から泣く泣く逃げ出した人達だ。その中には、ネフティスの元社員もいる。ネフティスと商売や取引をしていた人達もいる。

 ゆえに新設の経営戦略室は、その伝手を辿って、ネフティスの幹部から切り崩していくことで、今回の件を解決することとなった。

 

「というわけで、ノノミ本部長。新しく設立した経営戦略室は、本部長の経営企画本部直下の組織だよ。そしてこの人が新任の室長さん」

 

 と、私はエーテルフォトニクス社の本社にある会議室で、アビドス高校の現役学生であり、我が社の幹部でもあるノノミ経営企画本部長と面談を行なっていた。

 ちなみに、面談の参加者は、社長の私とノノミ本部長、そして経営戦略室の新任室長だ。

 

「お久しぶりです、お嬢様。直接お目にかかるのは、二年ぶりになるでしょうか」

 

 室長さんが、ノノミにうやうやしい礼をした。

 うーん、様になっているね。まあ、それもそうか。この人、ノノミの元執事だもんね。

 

「えっと……」

 

 まさかの相手に、ノノミは困惑した表情を隠せないでいる。

 そんな彼女に向けて、室長は言葉を続けた。

 

「このたびはわたくし、執事を辞め、エーテルフォトニクス社の社員となりました」

 

「えっ? えっ?」

 

 うん、事前にノノミ本部長へ相談をしないまま、室長を置いたからね。

 

 さて、ここで一つ事情を整理しよう。

 十六夜ノノミは、良家のお嬢様だ。彼女の実家は執事さんがいるような立派な家で、彼女は中学時代まで何不自由なく過ごしていたらしい。

 その中学は名を私立ネフティス中学校といい、彼女の実家が経営する学園であった。

 そう、ノノミの実家は、セイント・ネフティスの経営者一族なのだ。

 

 で、このたび、我が社はアビドス自治区の権利回収に関して、ネフティスと対立することとなった。それに合わせて、私はエーテルフォトニクス社の社員達に手伝ってもらって、ネフティスの経営者一族の執事をヘッドハンティングしてきたわけである。

 そんなことをノノミにつらつらと説明し、さらに部下となる室長の仕事も説明しておくことにする。

 

「経営戦略室は、他企業の事業買収を主に担当してもらうことになるよ。中にはM&A、企業そのものを買収して合併することも視野に置いている」

 

「買収、ですか?」

 

 私の説明に、ノノミが目を細めて問い返してくる。

 

「うん。まだ幹部会や経営会議の承認を得ていないけど、私の目標としてはネフティスを買収し、エーテルフォトニクス社に吸収させようと考えているよ」

 

 私のその言葉には流石に驚いたのか、ノノミは細めていた目を勢いよく見開いた。

 そんな彼女に、私は続けて言う。

 

「エーテルフォトニクス社の誕生の経緯は、ノノミ本部長も知ってのとおり。アビドス自治区を再興させるために、わざわざ私の本拠地のミレニアムの外で起業したことが始まり。そして、ネフティスも昔は、アビドス自治区土着の企業だったらしいね?」

 

 先ほど述べたとおり、エーテルフォトニクス社の社員には、昔はネフティスに勤めていたって人も多い。

 

「ちょっと言い方は悪いけど、エーテルフォトニクス社がアビドス自治区を完全に牛耳るためには、ネフティスが抱えている権利や商圏、人脈等をどうにかして確保する必要が、今後出てくるだろうね」

 

 エーテルフォトニクス社がアビドス自治区を牛耳ることは、アビドス再興には必須の事項だ。いや、別にアビドスが再興するなら、ネフティスに牛耳ってもらっても構わないんだけどね。しかし、今のネフティスには、アビドス全体の土地を買収して再開発する体力なんて無い。

 最悪なのは、エーテルフォトニクス社とネフティスで、アビドスの土地を奪い合ったまま対立してしまうことだ。アビドス自治区が二つの自治区に分裂してしまいかねない。

 

 なので、アビドスの今後のためにエーテルフォトニクス社が、ネフティスの持つ全てを確保する方針を私は独断で打ち出すことにした。ノノミには、思うところがあるだろうが……。

 

「もちろん、ネフティスの買収は、まだ私と室長と情報部の一部でしか話していない草案だよ。幹部会の誰にも告げてないし、経営会議に出すのもまだ先。ノノミ本部長が反対すれば、すぐに撤回する。まあ、カイザーが手放したアビドスの土地を全て回収しきる方針は、変わらないけれどね」

 

「ええと……ネフティスを買収するということは、私の実家は……」

 

 ノノミが、尋ねて当然の疑問を私に尋ねてくる。

 もちろん、その回答も用意済みだ。

 

「本部長の実家は、ネフティスの経営から手を引くことになる。もちろん、有能な人材には、エーテルフォトニクス社でも役職に就いてもらえないか打診することになるけど」

 

「…………」

 

「で、有能な人材確保の先駆けとして、本部長の実家の執事さんをヘッドハンティングしてみたわけだ。彼の仕事は、まずはネフティスと交渉してのアビドスの土地確保。そして、ネフティス買収にゴーサインが出たときの切り崩し役になる予定だね。立場としては、ノノミ本部長の直属の部下」

 

 私は改めて、経営戦略室の室長さんをノノミ本部長に紹介する。

 まあ、私よりも本部長の方が彼のことをよく知っているだろうけれど。

 そんな室長さんが、ノノミに向けて頭を下げて言った。

 

「よろしくお願いします、お嬢様。いえ、本部長とお呼びした方がよろしいでしょうか?」

 

「あ、はい。ええと、よろしくお願いします、執事さん」

 

「すでに執事の職は辞していますので、どうか室長、とお呼びください。ああ、ですが、執事の最後の仕事として、お嬢様へお伝えしなければならないことがあります」

 

 ロボットの頭を持つ、キヴォトス特有の人種である室長さん。その頭部のモニターに映るデフォルメされた目を細めながら、彼は告げた。

 

「ご実家よりお嬢様に渡されておりましたゴールドカードは、次の更新が行われないことが決まりました。現在の期限満了をもって、失効となります。お嬢様がエーテルフォトニクス社の本部長となられたことで、独り立ちしたとの判断とお聞きましたが……実際のところは、ネフティスと対立する企業の幹部となられたことで、家と決別したと見なされたのでしょう」

 

 ああ、そういえば、ノノミはゴールドカードを持っていたね。シャーレの安藤先生が持つ大人のカードみたいな不思議な力はない、ごく普通のクレジットカードのようだったけど。

 

「そう、ですか……カードは、しばらく使っていなかったので、問題はないのですが……」

 

 実家から切られたことがショックだったのか、ノノミが目を伏せるようにして言葉をしぼり出した。

 そんな本部長に、私は元気づけるように一つの事実を口にした。

 

「もしネフティスの吸収合併が成ったら、エーテルフォトニクス社の経営権の一部を持つノノミ本部長より上に就く人は、現ネフティスの経営陣からは出ないだろうから、本部長が実家で一番上の立場になるだろうね」

 

「ええっ!?」

 

 十六夜家総帥、十六夜ノノミの誕生である。

 

「本部長がそうなるよう、誠心誠意M&Aの成功に向けて努めさせていただきます」

 

 室長さんにもそう告げられ、ノノミの困惑した顔は、やがて決意を秘めたものへと変わっていった。

 




ネフティス「あっ! 棚ぼたでアビドスの鉄道周辺の権利が降ってきた!」
エーテルフォトニクス「うちのシマに何してんじゃコラァ!」
こうして不毛な争いが始まる……!
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