双子の英雄 Re:Build   作:黒い騎士王

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お久し振りです。
アニメ開始10周年記念イベントで判明した情報が『双子の英雄』と整合性が取れなかった為、設定をリファインして書き直すことにしました。

2024年7月21日:原作28巻と齟齬が発生したため部分修正。

設定を下記にしています。
・コロナへの言及など現実に即した描写に変更
・『ソードアート・オンライン』が存在。現実世界通りオルタナティブ系を含めた書籍、全八クールのアニメ、OSと言った三本の映画やIMの様なコンシューマーゲーム版などが存在。
・ゲーム版や映画等書籍外で新規登場したメンバーは関連する物をトリガーにして記憶を取り戻す。
→映画組であれば初出の映画を観る、ゲーム組であれば自身の初出のゲームで遊ぶことが必要。
理由はわからないが惹かれる為記憶持ちかどうかわかりやすい。
なお本編軸のメンバーはキリト・アスナ・アリス・ユージオ・ユイであった者を除いて記憶は保持しない。
・オーディナル・スケールが反映された21巻『ユナイタル・リングI』以降の書籍版並びにアニメ三期や映画版プログレッシブで生じた以前の描写との矛盾の出来事の整合性を取るため、アインクラッド一層でのアスナの知識量やキリトがアスナにあげた細剣はミトが絡む形、WoUWにおいて大筋は書籍版通り進むがアスナvsPoH直前の出来事のみ書籍版の韓国人達の対立では無くアニメ版準拠のノーチラスvsPoHが発生したと仮定。なお、PoHの過去は書籍版準拠。


グランド・プロローグ

『無限の蒼穹に浮かぶ巨大な石と鉄の城。』

と言う文言から始まる、小説『ソードアート・オンライン』。

2022年11月6日までには本編が二十七巻「ユナイタル・リングVI」、アインクラッド編の初期を描いたプログレッシブ編が八巻まで刊行されている。

全8クールでアニメが放映され、キリトが初日に街を飛び出して剣を手に入れるまでの出来事である「始まりの日」と言うエピソードを除く十八巻『Alicization lasting』の内容までがアニメ化済みで、後半四クールは劇場版の内容を受けて変更・内容追加がおきている。

劇場版も2017年に完全新作の『オーディナル・スケール』、2021年にプログレッシブ編から第一層を描いた『星なき夜のアリア』、今年には10月22日に前年に引き続きプログレッシブ編から第五層『冥き夕闇のスケルツォ』が公開された。

コンシューマーゲームもあり、「もしもアインクラッド第七十五層で起きたキリトとヒースクリフの戦いで攻略が終わらなかったら」を描いている。2013年の『インフィニティ・モーメント』を皮切りに、SAO二編『インフィニティ・モーメント』『ホロウ・フラグメント』、フェアリーダンス編・マザーズロザリオ編に該当する『ロスト・ソング』、コンシューマーオリジナル編である『ホロウ・リアリゼーション』・ファントムバレット編に該当する『フェイタル・バレット』・Alicization編に該当する『Alicization Lycoris』がコンシューマーでも描かれた。

 

 

と長々語ったのは、まあ。

2022年五月に京都の御大と世界の某のバックアップの元《ARGUS》によって《nerve gear》が発売し、八月に先着千名限定で《Sword Art Online》のβテストが行われると言う情報が様々な雑誌やサイトで掲載されるなど、現実で『SAO』ができる様になると言うアニメ版『SAO』開始から十周年に相応しい年だと多くの人はそう思っていたのだ──。

そして明日は正に『ソードアート・オンライン』作中で『Sword Art Online』の正式サービスが始まった日であり、アニメ開始十周年記念のイベントが開催されるその日である2022年11月6日。これは脱出した後に聞いた話だが某女史の代役として新米歌手の少女が出ていたと言うイベントの開始時刻、17時30分。

チュートリアルが完了し、一万人もの人々が『ソードアート・オンライン』中の『SwordArtOnline』同様《SwordArtOnline》に閉じ込められることになることはまだ数名しか知らない───。

 

 

2022年11月5日夜

埼玉県川越市

桐ヶ谷邸

 

 

TV画面の中で敵の足元を駆け回るのは身長を低くし名前を現在仕様に変更した“俺”と剣の色が違う以外はユージオ・アリスそのものの姿をした“俺”。

操る本人達とボイチャで話しながら連携し、『ソードアート・オンライン Alicization Lycoris』の後半DLCで追加された神獣どもを攻略して行く。

このゲームは四人パーティーで攻略できるが、基本的に三人でプレイする際はリーダーの気分でランダムに余った枠にAIを突っ込むことになる。

俺の場合は“アスナ”、ユージオは基本的に“ティーゼ”、アリスは基本的に“セルカ”を入れる。

今回は俺がリーダーなのでアスナを入れ、現在の戦いで四戦目だ。

 

 

『毎回思うけど。まさか、こんな世界線があったなんてねー。』

赤く染まった金木犀の剣を振るい一撃を入れるアリス風のカラーリングになっている“俺”の中の人、花園亜莉沙がそう漏らす。

 

『ほんとにね。まあ、「AWvsSAO」の時のキリトが失踪したって言う世界は焦ったけどね。』

漆黒の青薔薇の剣を振るって連撃を叩き込むユージオ風のカラーリングになっている“俺”の中の人、紺野優人も同意する。

 

「いや、この時空の俺は俺と色々違うからなぁ。

俺はオリジナルのアインクラッドを完全には攻略できてない。七十五層でヒースクリフ──茅場晶彦と戦いクリアしたからしな。オーディナル・スケールの戦いは数えない。

でもこのゲームの時空の俺は須郷のやらかしの結果……とは言ってもこっちでも起こっている奴だな。三百人未起床事件。あれで引っ張ろうとして逆に奴が引っ張り込まれるやらかしで七十五層で終わらずに、アインクラッドを完全攻略できているんだ。代わりにスグやシノンがアインクラッドに来てしまったけどな。

解放がずれた結果俺の記憶と一致する書籍版で言うアインクラッドとフェアリーダンスが同時進行し、ファントムバレット・キャリバーを一度スキップしてマザーズ・ロザリオ含むオリジナル、オリジナル、キャリバー、ファントムバレット・オーディナルスケール、アリシゼーションと言う流れになるのがまあ一つ。

そして、何より俺の罪の象徴である《サチ》を何はともあれ救い、ユージオの手を取ることができたのがあいつだよ。」

そして、脅威に対抗するために二本目の剣を欲した俺が神獣を倒してリソースを集め、カーディナルによって創造された剣を使う気にはなれなかった(夜空の剣と一対となるのは青薔薇の剣だと思っているからだ。俺には代わりにしか思えない。)が、UWでエリュシデータとダークリパルサーを振るう(SAOで振るうべき剣だ。)のもエクスキャリバー(ALOのレジェンダリーウェポンであり、俺のデータはALOから移動した訳では無い。)やカゲミツG4(GGOから移動した訳じゃない。)を振るうのも解釈違いに陥った為しょうがなく色味が逆転した夜空(『星天の剣』)・青薔薇(『黒薔薇の剣』)を振るう黒革コートを着ている“俺”の中の人である俺こと桐ヶ谷葉月。手元のコントローラーを操作して画面内で、俺の最後の切り札でもある十六連撃《スターバースト・ストリーム》を叩き込みながら反論する。

まあこのゲームではSAO時代にアスナの伝手を頼って彼女の旧友である最高の防具職人に頼んだ黒革コート(また暫くしたら新調する予定だったが、新調せずにクリアした。)の名称が『ブラックウィルムコート』では無く第一層で手に入れた『コート・オブ・ミッドナイト』にされていたり、本来強力なシナジーを持つ夜空・青薔薇の二本を一度目のアドミニストレータ戦しか使えなかったので色味が逆転した二本に違和感が強くなってしまい二刀流が完全封印に近い扱いを受けたり(まあ、俺が使えたのはユージオが居なかったからなので生存していることを考えれば妥当だが、せめて白い夜空の剣あるなら赤薔薇の剣も実装してくれればよかった。紅白の剣があれば染料で服を白くしてゲーム世界でのアインクラッドにおける俺の正装となった《血盟騎士団》の色合いの《赤光の剣士》仕様にできたのだが。)と割と不憫なことになっている気がする。

 

 

 

 

『そういえば、はづは《SAO》買った?明日から正式サービスだけど。ほら、僕と亜莉沙も参加した八月のベータはカズしかやってなかったから心配でさ。』

目標であった五体を狩りきり、二人が退出。セーブしてゲームを終わらせシャットダウンした……ところで優人からかかって来た電話を受けた。

身体を少しでも慣らすためにと優人と亜莉沙は2022年八月の一ヶ月間で行われたベータに参加。片手剣使いの優男と共に最前線を駆け抜けたらしい。

 

 

『勿論買ったさ。ちゃんと十三時にログインしろよ?で、ベータ参加しなかった理由か。俺がベータやるとなると七十五層までなら余裕でクリアしてしまいそうだったからなぁ…。』

言うまでも無く、《SAO》は購入済みである。なお優人や亜莉沙には言っていないが、実は俺が購入したのでは無く《SAO》の開発元である《ARGUS》から送られて来た物だ。しかもパッケージには茅場のサイン入りである。どうやって俺の家の住所を調べたんだか。まあ、デスゲーム起こすんだから罪状増えても関係ないのだろうが。そしてβテストについては、一応表面上の理由を述べておく。

恐らく今の俺なら、全て埋まったマッピングデータとかつて散々鍛えた為熟練度マックスが多いスキル達があれば弱い装備でも十層までは5日ぐらいで突破できる可能性があるだろう。

弱い装備で高位のスキルが発動できるのかチャレンジすればよかったと言う後悔はあるが、ベータに参加しなかったのにはもっと大切な理由がある。

それは、正式版との齟齬を起こし俺の記憶が役に立たなくなるのを恐れたからだ。

かつて俺が遭遇したβ版と正式版の違いは層ボスの獲物が違ったり、ボスの出現数が違ったりと言うものだ。

この二つは一層と二層で起こったことだが、この時点で既にテスターの知識と大きく違いが生じており、現にデスゲーム開始後初の層ボスである《イルファング・ザ・コボルトロード》戦では持ち替え先の武器がベータ版でのタルワールのままと早合点したテスターが、野太刀に変化していたことで死亡してしまっている。この最下層突破のためのボス戦において彼が唯一の死者だった。

しかしボス戦が終わった後になぜか情報を出さなかったからとテスターが糾弾されかけることになる。そこを一番情報を持つ俺(十層のボスの面を拝んだのは間違い無く俺だけだ。最終日に追い越したディアベルと紫のおっさん──ミトですら拝んでいない。そしてテスターの中でも数人しか十層迷宮区に到達していない。)が全ての汚名(実際に情報を独占し、自己優先していたテスターは恐らく全滅したと思われるが)を被り、悪のテスターとして嫌われ者となった。だがテスターだと名乗り出ることはかなり難しかっただろう。なぜならテスターが情報等を独占し多くのプレイヤーを見殺しにしたと言う噂が既に広がっており、テスターだと明かしたとしても糾弾されることを恐れて明かすことはできなかったのだ。

そして、俺が暴れることによる世界の揺り戻しが起こりゲームの内容が変わることを危惧した。

俺の記憶でも、『ソードアート・オンライン』でも「《SAO》のβは2022年の八月と言った一ヶ月間で行われ、千人のテスターはアインクラッドを十層しか踏破できなかった。」と言うのは変わっていなかった。俺の記憶と小説が一致していることから恐らくだが、この『βテストでは十層までしか到達できなかった』と言う流れは変えてはいけないのだろう。

 

「まあ、取り敢えず明日の午前中は『冥き夕闇のスケルツォ』行くんだから忘れるなよ?」

《SAO》正式サービス開始まで何もしないのは何だからと明日11月6日の午前中に俺達三人は『ソードアート・オンライン─プログレッシブ─冥き夕闇のスケルツォ』を俺のお袋の桐ヶ谷翠に頼んで観に連れて行ってもらうことになっている。俺の妹の直葉や優人の妹達で十一歳の藍子と木綿季の双子、そして亜莉沙の妹で九歳の椎佳も一緒だ。

カズは、行くんだろうかアイツ。まあ、行くんだろうな。未だに家族や他人との付き合い方に悩んでいる様だが。

 

『オッケー。ランとユウを連れて行く許可は取れているし、亜莉沙は椎ちゃんから眼を放さないことを条件に許可貰ったってさ。17:30からのイベントは観れないからBlu-ray買わなきゃ……だね。』

 

「俺は出たら買って置いてくれるようお袋に頼んでおいたぜ。親にちゃんと頼んでおけよ?」

 

『その手があったか!ありがとうはづ。お休み!』

明日の17:30から始まるアニメ版『SAO』のイベントについての話をし、優人からの電話は切れた。

 

切れた後になって亜莉沙は起きられるよな?優人に頼んでおくべきだったか?と不安になった。今のアリスは寝坊しかけることが多い。

遠足の時もラジオ体操の時もその他の時も俺達の内早く起きた方(とは言ってもほぼ行ったのは優人)が起こしに行き、三人で向かったのだ。

本人が言うには、整合騎士になるまでの記憶となった後の記憶が完全には結合し切っていないから……らしい。でも確か俺達の眼の前で連れ去られた後13歳の時にシンセサイズされたらしい(聞いた時も怒りで手が震えたが、完全に幼馴染として過ごした記憶を取り戻した今はアレに対して出会い頭に《ヴォーパル・ストライク》を決めたいぐらいだ。)ので去年結合は終わっている筈なのだ。なので現在は単に寝坊助な言い訳だけになっている。

 

 

 

『こんばんは、キリト君。』

次の電話は──。

 

「あんた明日例のイベントに出るって言うんだろ?早く寝てくれよ。」

 

『あははは。だいじょーぶ、彼にも口酸っぱくして言われているからさ。しかしまあ、一応私君らより歳上だしサイン欲しいって言う人が出て来た歌手にして声優なんだけどね。』

 

「そーかい。で、何の用だ。」

 

『んー。君達三人のボイスやモーション系はとっておきの場面で使うって先方がね言っていたから一応お知らせしておこうと思って。』

 

「あー、あれか……。」

数ヶ月前に俺達三人は電話口の彼女ともう一人に連れられ、ある場所に向かった。

その場所にはとある小説家がおり、彼の指示に従い動いたり喋ったりしたのだ。

その音声がどこに入れられるのか、詳しくは教えてくれなかったがとにかくとっておきの所に入るらしい。

内容的には──と予想はできるが、二年後に観られることを楽しみにしておこう。

 

『私の方は、まあお楽しみってことで。』

そして彼女。自身の夢が叶っていたことを知るも、亡き後であり父と幼馴染の暴走の末だった為改めて自身で夢を叶える為に活動しているらしい。

一緒に行った為父とも和解でき、話し合ったそうな。

 

「シークレット枠だっけか。そう言えば、あのテーマソングも三人しか歌手参加していなかったな。……話していいのか?これ。」

 

『一応関係者だし?それに二年の内に忘れると踏んだから。』

 

「そーかい。イベント終わった後、《SAO》入るのか?」

 

『その予定かなー。『今度こそ彼女を護ってみせる』とお父さんに宣言して土下座までしていたからね。

それでお父さんも折れました。ついでにと言わんばかりに、交際宣言されていたのは気に食わないけど。』

 

「なるほど。」

 

『あー、話したらスッキリした!それじゃあ、お休み!』

相槌を打ちながら話を聞いていると彼女も電話を切った。

 

 

椅子に座ろうと思っていたところに二人からの電話が来たため座れずにいた俺は、漸く座り息を吐き出し考えた。

「ふう。明日から約二年……か。どれだけ助けられるのだろう。」

そう、明日11月6日から始まる百層の浮遊城を登る戦いについてだ。

コペルにディアベル、コーバッツそして黒猫団の面々などなど俺が助けられなかった人々を救う為に俺は自ら死地に飛び込むのだ。

「まあ、行き当たりばったりで進むしか無いか。」

“とりあえず今日は寝て、明日考えよう。”そう思って俺はベッドに入った。

 

 

 

双子の英雄【Twin Hero】

グランドプロローグ【Ground Prologue】

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