【呪術廻戦✕ワンパンマン】ハゲの代わりに呪われた人達がやって来た   作:サクラン

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呪術かワンパンマンか、どっちの一話にしようか迷ったけどまずはワンパンマンの方で。

それではお楽しみください。


第一章 廻廻奇譚
第一話 現代最強のヒーロー(呪術師)


 賑わう街、仕事場に向かう為に改札を通るスーツ姿のサラリーマン、遅刻しそうなのか、パンを咥えたまま全速力で走る学生、公園でベンチに腰掛け、日向ぼっこをしている老夫婦。各々にとっての形は違えど、平穏な日常を謳歌していた。

 

 

 

 

 

 ポウ

 

「ん?何だあれ?」

 

「流れ星?」

 

「真っ昼間からあり得ないだろ」

 

 

 

 

 

 そんな中、突如として空に光が見えた。気付いた人々は空を見上げて指差し、ざわざわと騒ぎ始めた。

 そうしている間にも光は浮かんだままであり、何の変化もなかったが―

 

「おい、強く光りだしたぞ!」

 

「「!」」

 

 ―誰かが光球を指して叫ぶと、他の者達もまた空を見上げる。確かに、光球の光が強くなっていた。どんどんと輝きが強くなり、人々が興味津々に眺めていると―

 

 

 

 

 

 ドグワッ!!

 

 

 

 

 

 ―突然、大爆発を引き起こした。

 光球の真下にいた人々は愚か、周囲一帯の建物すら巻き込んだ凄まじい爆発だった。

 突如として日常を破壊した爆発の中心地には、いつの間にか一つの影が降りていた。

 

「……………」

 

 それはシルエットこそ人型だったが、細かい箇所を見るととても人間とは言えなかった。

 紫色の身体、細身ながら筋骨隆々の二メートルはある体躯、頭部からは触覚のようなものが一対生えている。

 この世界においては“怪人”と呼ばれる類の生命体だ。

 その怪人は周囲を軽く見渡すと、周囲に先程爆発を引き起こしたものと同じ光球を生み出す。そして―

 

 

 

 

 

「━━━━━ッ!!」

 

 ドゴゴゴゴゴン!!

 

 

 

 

 

 ―おもむろに周囲へ手を振るって放った。

 光球は着弾すると同時に大爆発を連鎖的に引き起こし、次々と建物を瓦礫の山に変えていく。

 そしてそれ程の衝撃は、警報と共に遠くの街の人々も感じ取っていた。

 

『A市にて、怪人災害が発生しました。災害レベル“鬼”、A市

の皆様は近くの避難所、またはシェルターへ避難してください。繰り返します―』

 

「A市で鬼だって、ヤバくね?」

 

「最近怪人多いよねー。学校休みになんねーかなー」

 

「このタイミングで!?くっそ会社に遅刻しちまう…早くヒーローが退治してくれないかな…」

 

 鳴り響く警報や衝撃音に人々は騒めくものの、隣街ということもあって本気で焦っている者は少なかった。当然恐ろしくはあるが、退治してくれるヒーローという存在がいる限りは大丈夫だと、何の根拠もない確信を抱いていた。

 だが、衝撃音が鳴り止むどころか、どんどん大きくなっているのを聞いて人々の表情は曇り始める。そしてその後に流れた警報が決定打となった。

 

『緊急避難警報!緊急避難警報!A市に出現した怪人の災害レベルが“鬼”から“竜”に格上げされました!近隣の市の皆様は急いで避難してください!繰り返しま―』

 

 最初の警報のような人工的なアナウンスではなく、焦ったような人間の生の声を聞いたことで、人々は衝撃が強くなっていることに今更気付き、大急ぎで避難し始めた。

 

「い、急げ!逃げろ!!」

 

 誰かの声を皮切りに、人々は叫びながら少しでも災害から逃れようと走り出す。

 その中の誰かが空に振り返ると、黒い影が光球を腕を振るって放っていた。

 

 

 

 

 

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 そして渦中のA市では、平穏とは程遠い光景を描いていた。

 周囲は瓦礫と火の海となり、所々には人々の死体が見える。怪人は、そんなものに気を止めることもなく光球を放ちながら歩いていた。

 

「うえ〜ん!パパ〜!ママ〜!」

 

「!」

 

 そんな中、一人の少女が声を上げて泣いていた。避難している途中で逸れてしまったのか、あるいはもう…。

 怪人はそんな少女に気付き、ゆっくりと近付いて行くとスッと手を差し出した。怪人と言えど小さな命には情けを掛けるのか―と思われたが、その手が巨大で刺々しいものに変化していくとそんなことは微塵も思えない。次の瞬間、少女は見るも無惨な肉塊に変化することを予想することは容易い。

 そして怪人は思い切り手を握り締めた―が、手応えがない。少女探す為に周囲を見回すと―

 

 

 

 

 

「ふー、危なかったね。移動地点が近くて助かったよ全く」

 

「!」

 

 

 

 

 

 ―綺麗な白髪に黒ずくめの男が少女を優しく抱きかかえていた。助けられた少女は困惑しつつも問い掛ける。

 

「お、おじさん誰?」

 

「おじっ…!?そっかあ…僕ってもうおじさんに見られちゃうのかあ…まだ30いってないんだけどなあ…」

 

 少女におじちゃんと呼ばれたことにショックを受けたのか、男はガックリと肩を落とす。

 怪人はそんな緊張感の無い男の態度に苛立ち、額に青筋を浮かべながら男に問い掛ける。

 

「何だ、貴様は。ふざけているのか?」

 

「はぁー、ま、いいや」

 

 男はショックから立ち直ったのか、少女を守るようにして怪人に対して立ち塞がり、不敵な笑みを浮かべるその顔には黒い目隠しをしていた。

 

「僕はヒーローをやってるんだ。さっきまで数量限定の特製パンケーキを食べてたってのに、君の所為で呼び出されたんだ。ってなわけで、さっさとやられてくんない?正直時間が惜しいんだ」

 

 男は真面目なのかふざけているのか、怪人を指を指しつつ上から目線で物を言った。

 

「ヒーロー…?時間が惜しい…?」

 

 怪人も男の巫山戯た言い様に苛立ちを隠せない声で呻き、そして自身に手を当てて叫んだ。

 

「私は環境汚染を繰り返す人間どもの害悪文明を滅ぼすために生み出された地球意志の使徒!ワクチンマンだ!!」

 

 怪人―ワクチンマンは怒りを爆発させ、二メートルの身体をどんどん膨張させていき、少女はワクチンマンの威圧感によって身体が竦み、震えていた。

 そんな少女の頭に、ポンと男の手が乗せられる。

 

「ワクチンマンね…名前のわりには随分身体に悪そうな色と見た目してんじゃないの」

 

「地球は一個の生命体であり、それを蝕む貴様ら人間は病原菌に他ならない!!その病原菌がヒーロー!?時間が惜しい!?片腹痛いわ!」

 

 男は絶えずワクチンマンに向かって悪態を吐き続け、ワクチンマンも怒りのままに男に向かって叫ぶ。

 そして身体が二十メートル近くまで膨張すると、ワクチンマンは叫びながら人間で言う所の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「やはり人間!根絶やしにする他ないようだ!!」

 

「へえ…そこまでのレベルとは珍しいね」

 

 男が感心するような声を上げると同時にワクチンマンが叫んだ。

 

 

 

 

 

「領域展開!!―神下殱浄陣(しんかめつじょうじん)!!」

 

 

 

 

 

 ワクチンマンが唱えると周囲から黒い膜のようなものが閉じ込めるようにして発生し、男と側にいた少女は完全に囲い込まれる。

 そして完全に別の空間に隔離されると、辺りが真っ暗な空間の中、空には明るい太陽か月のような星が一つ、ぽっかりと浮かんでいた。

 

「ふーん、趣もクソもない殺風景な場所だね」

 

「ここに招き入れたからには塵も残さん!!自らの愚かな行いを呪いながら死んで行け!!」

 

 ワクチンマンが腕を振るうと、真っ暗な空の彼方から星が―否、数えることすら馬鹿らしい程の光球が男と巻き込まれた少女に向かって降り注いだ。

 一見するととても幻想的な光景だが、直撃すればワクチンマンの宣言通り塵も残らない死の雨。少女はあまりの恐怖に思わず目を瞑った。

 

 

 

 

 

「大丈夫。僕、五条サトル(最強)だから」

 

「!」

 

 

 

 

 

 その時、男が少女を側に抱き寄せ、励ますように笑った。

 

「折角だ。中々頑張ったからサービスしてあげる」

 

 男は迫りくる光球に焦る様子も見せず、ゆっくりと目隠しを外して行くと同時に右手の人差し指と中指を交差させる。

 そして―

 

 

 

 

 

「領域展開―」

 

 

 

 

 

 ―少女の瞳には、どこまでも澄み渡るような蒼が広がった。

 

 

 

 

 

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 ―数時間後

 

「ふー、やっぱり腹ごなしのアイスはサイコーだねー」

 

 男はヒーロー協会本部で報告ついでに帰りに買ったアイスを休憩室で美味しくいただいていた。

 身長190センチ超えの全身黒ずくめの目隠し男がアイスキャンディーをペロペロと舐めている様は中々に不審者めいた絵面だった。

 その時、休憩室の扉が音を立てて開いた。

 

「やっと見つけた」

 

 開いた扉の先から現れたのは、非常に小柄な緑髪の天然パーマが目立ち、身体のラインが浮き出るドレスを着た少女だった。

 

「お、タツマキー。どったのー?」

 

「どうしたも何もないわよ。アンタがレベル竜を倒したって聞いたから少し顔を見に来たのよ」

 

 タツマキと呼ばれた少女はふわりと()()()()()()()()()()、そのまま男の元まで飛行し、向かいのソファに座り込んだ。

 全身黒ずくめの大男と、緑髪の少女の対面という下手をすればもしもしポリスメン案件だが、この二人に限ってはそんな案件は永遠にあり得ないだろう。

 何故ならこの二人は、人類を守護するヒーロー協会の頂点、“S級ヒーロー”に名を連ねているのだから。

 

“S級3位 無限のサトル”

 

「説教なら勘弁してほしいな。今回相当急いだんだから」

 

“S級2位 戦慄のタツマキ”

 

「別に責めに来たわけじゃないわよ。アンタはバカだけど、クズじゃないからね。人命が関われば手を抜くような奴じゃないことぐらい分かってるわよ」

 

 この二人こそ、ヒーロー協会の最終兵器とも言える存在。

 1位のヒーローが滅多なことでは表舞台に出ようとしない為、サトルとタツマキの二人が単純な戦闘力ではトップとされている。

 

「じゃあどうしたの?嫉妬?」

 

「違うわよ!最近怪人災害が増えてるじゃない?それでもレベル竜は中々現れないからどんな相手か気になっただけよ」

 

「ふーん」

 

 タツマキの解答にサトルは少し笑った。小生意気ではあるが、この少女がヒーロー活動に対して非常にストイックなのはサトルもよく理解している。自らの強さを底上げできるのなら躊躇なく行う性格だということも知っている。サトルとしてもそこは同感である為、特に忌避することもなかった。

 

「ま、そこまで複雑な相手ではなかったよ。広範囲を殲滅できる光球を放てて、本体の格闘力も結構高かった。シンプルイズベストって感じの奴だった」

 

「報告だと領域も使えたみたいじゃない。どんな効果だった?」

 

「別に?これも必中の光球を雨あられのように降らせるっていうシンプルなタイプだった。技術や戦闘方法という点じゃ、目ぼしいものはなかったかな」

 

「そ、まあアタシ以外にアンタの無限が簡単に突破できる奴なんてそれこそ術式の強制解除とかぐらいしかなさそうだもんね」

 

 タツマキはサトルの話を聞いても特に残念そうな様子は見せない。あくまであれば儲けものという程度で、特に期待していたわけではなかったようだ。

 

「ただ…一番気になったのは誕生経緯だね」

 

「? 何かあったの?」

 

「ああ、アイツは自分を“地球意志の使徒”って言ってた」

 

「…地球に対する恐れから生まれたとかじゃないの?あるいは自分をそうだと勘違いしてる元人間とか」

 

「僕もそう思ったんだけど呪力が呪霊や元人間のそれじゃなかったんだよね。それに呪霊はともかく元人間から変異したタイプの怪人が僕と領域の押し合いができるとは思えない」

 

「!? アンタと!?」

 

 タツマキはサトルの発言―領域の押し合いができたという発言に驚く。

 少し、とは言えヒーロー活動をしている者ならサトルと領域の押し合いができたということの重大さが嫌でも分かるだろう。領域とは一種の奥義であり、そもそも習得している者が少ない。

 人類最強クラスの者達が集っているS級ヒーローの中でも、領域が扱えてかつサトルと領域の押し合いが可能なのはそれこそタツマキぐらいしかいない。

 

「…アンタどうやって勝ったのよ」

 

「別に真正面から戦いながら領域を維持できたわけじゃないよ。僕が少し殴ったら即押し勝って、動きを止めた後赫を何発かぶち込んで終わらせたさ」

 

 サトルが語った事の顛末にタツマキは少し驚きが小さくなったものの、その表情から驚きは消えきっていない。

 

「…赫も何発か耐えたのね」

 

「シンプルな強さなタイプ故にタフネスもそこそこあってね。結構面倒だったよ」

 

「で?結局何が言いたいのよ?」

 

 タツマキはサトルの発言を理解し、そこから何が言いたいのかを問い掛ける。

 

「ここから怪人災害は更に激化していくと思うんだよね。最近サボってたけど、そろそろ久し振りの“S級特訓会”を再開した方が良いかもだ。S級だけじゃない。他のヒーロー達もどうにかレベルを上げて行かないと死者も増える。ただでさえS級以外のヒーローは鬼以上の相手には厳しいってのに」

 

「…アタシとアンタ以外のS級はともかく、それ以下のヒーローなんて伸びる?あの侍の三弟子が伸び代次第って感じぐらいで、それ以下なんてどうしようもなくない?」

 

「まあ言いたいことは分かるけど、それでもやんなきゃ0が1にならないからね。まずは見所のありそうな奴を良い感じにしていくよ」

 

 ふわふわとしたサトルの発言だが、声色自体は真剣そのものだ。

 タツマキはそんなサトルの姿を少し複雑な表情で見詰める。基本的に彼女は他人に期待しないが、彼の若い頃に色々あったのは彼女も知っている為、強く否定することはできない。

 

「…ま、私もできるなら程々に手伝うわ。私みたいなタイプのヒーローってフブキ以外にいるかしら?」

 

 だからこそ、タツマキも協力は惜しまない。変に気遣う負担が減るのはありがたいことこの上ない。

 

「確かC級に一人ぐらいいた気がする。後でイジチに調べさせるよ」

 

「…アンタも何気に人遣い酷いわよね。アイツが歳の割に老けてるのってアンタといるストレスの所為じゃないの?」

 

「え?僕といることができるなんてご褒美でしょ」

 

「…そういうとこよ」

 

 タツマキは呆れたようにため息をつき、サトルは呆けているのか心の底から分からないのか、首を傾げていた。

 

「そう言えば最近アンタの側にメグミいないわね。何してんのアイツ?特訓会するならアイツいなきゃできないじゃない」

 

「ああ、ちょっとお使いを頼んでるんだ。多分お土産も買って来てくれるよ」

 

「はあ、はいはい。期待してるわ」

 

 タツマキはどこまでも飄々としたライバルに呆れ、サトルは「どうおちょくろうかなー」などと言いながら携帯を取り出していた。

 

 

 

 

 

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 これは歯車のない世界で、呪いが廻る物語。




はい、一話から結構飛ばしていきました。この後書きでは軽ーく捕捉をしていきます。


・サトル(五条悟)
この世界だとタツマキと並んで最強クラス。ヒーローネームは正直適当。無難な奴しか考えられなかった…こっちの世界でも後進育成に力を入れてる。原作から強化された部分は後々描写していきます。

・タツマキ
原作からスタンスは変わっていない。ただブラスト以外にも同格がいるので精神面はちょっと気楽かも?強化は描写するけど、今回で分かったと思いますが、領域展開できます。

・ワクチンマン
やっぱりカマセになるかわいそうな奴。ただできる限り強く見せようと思いサトルの領域と僅かに押し合える程強いことにした。赫も何発かなら食らっても耐える程度には硬い。この先の描写次第では強化されたヒーロー、呪術勢でも味方で勝てるのはタツマキとサトルぐらいになるかもしれない。

・救われた少女
原作だと気絶してたけど、話の展開的に起きてた方が都合が良いと思って起きたままにした。多分一般人で一番レベルの高い戦いに参加した。


まあこんなもんかな。次回は呪術での一話を描写することになるかと思います。呪力や呪霊に関する設定は後々。

評価、感想もよろしければお願い致します。

それでは次回をお楽しみに。

明かされた全貌!殺し合いはどっちが強い?

  • 五条悟(不意打ち虚式なし、縮小領域アリ)
  • 宿儺(完全体、十種、術式情報なし)
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