【呪術廻戦✕ワンパンマン】ハゲの代わりに呪われた人達がやって来た   作:サクラン

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元Twitter(現X)でもお知らせしましたが、S級が一人減ってます。でも物語上不都合もないし、察しの良い人ならまず分かると思います。

今回は待ちに待ったS級会議です。果たしてどうなるか…?

それではお楽しみください。


第十三話 S級会議

「会議って宿儺関連?」

 

「さあ?本当に僕も知らされてないのよ。ただS級に対してもここまで秘匿するって事は相当なんじゃない?上層部は腐ったミカンのバーゲンセールだけど、まともな奴もいるにはいるからね。それを踏まえて行くと…レベル“神”とかかなぁ」

 

「! レベル“神”…」

 

 会議室に向かうまでの道のりで、ユウジは今回の会議についてサトルに聞いていたが、サトルも本当に知らないらしい。てっきりメグミやノバラがいる手前で話せなかったと思っていたのだが、よほど厳重に規制されているらしい。

 そしてサトルの口から出たレベル“神”の言葉にはユウジも息を飲む。災害レベル“神”とはヒーロー協会の基準において最高位のランク。その予測される被害規模は―“人類滅亡の危機”。協会が観測している中では未だに未観測の災害である。

 

「…力を全て取り戻した宿儺のレベルはさ、“神”になるの?」

 

「うーんどうだろうね?でも伝承上だと“鬼神”だとか“天災”だとか、少なくとも呪術全盛の時代においても個人に付けられるとは思えないような異名してるから、協会の予想だと“竜”〜“神”って事になってるよ」

 

 「あくまで指から感じられる呪力を元にした予想だけどね」とサトルは付け足し、話を締め括った。

 ユウジはサトルの話を聞いて、考える。

 人類滅亡。そんな事が実現可能な存在がいるのかと。自分が宿している宿儺がそれを可能とするかもしれない存在と考えると、今まで言われて来た事の意味が分かる気がした。だが、もしその宿儺すら凌駕する程の存在がいたら。人間が立ち向かうなど烏滸がましいと思える程の、本当の“神”がいたら。自分はその時、ヒーローとして立ち向かえるのか。少し、怖かった。

 

「…先生はさ、宿儺には勝てるって言ってたよね」

 

「もちろん。何せ“最強”だからね」

 

 ユウジの言葉に、サトルは軽薄な笑みで答える。それは確固たる自信の現れだった。

 

「もしさ、その宿儺すら敵わない程の―いや、どんな生き物でも勝てないような本物の“神”がいたら、先生はどうする?」

 

 ユウジは不安げな―しかし真剣な眼差しをサトルに向ける。その視線から何か感じ取ったのか、今度は何か考えるような表情になったが、その目隠しの先はどんな瞳をしているのか、ユウジには分からなかった。

 

「本物の“神”ねえ…会ってみたい気はするけどね」

 

 サトルは少し考えた後、いつものように飄々と答える。

 

「でも、もしその牙を僕達に剥いて来たなら―」

 

 だがその先は、少し声のトーンを落として―

 

 

 

 

 

「―“最強”として、きっちり迎え撃ってあげるさ」

 

 

 

 

 

 ―いつものような不敵な笑みを浮かべて、上から目線で物を言った。不敬極まりない物言いだが、それでこそだろう。

 

「その時ユウジ達が隣に並び立ってくれてたら、嬉しいかな」

 

「!」

 

 そしてその先には、仲間への期待の言葉も忘れない。いつかそれが叶う事を夢見ているから。

 

「…うん!頑張るよ!」

 

 ユウジもそれに答える。それがヒーローだと学んだから。未だに背中すら見えていないが、必ず追い付いて見せると、胸中で誓うのだった。

 

 

 

 

 

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「おっ、そろそろ着くよ」

 

 エレベーターで目的の階が近付いて来ると、サトルが呟いた。

 

「ユウジはS級全員知ってんの?」

 

「テレビとかでも出てた人は顔も分かるけど、全員の顔は知らないなあ。名前を聞いた事があるぐらいかな?」

 

「そっか。多分今回の会議はほぼ全員が集まるだろうから、しっかり仲良くなりなよ。ユウジと近い歳のヒーローもいるから」

 

「へー、楽しみだな」

 

 エレベーターの扉が開き、少し進むと重々しい扉の前に立った。中からは話し声が聞こえる為、既に何人かは到着しているのだろう。

 

「わりと来てるね。もう揃ってるのかな?」

 

「なんか無意味に緊張してきた…!」

 

 サトルは扉越しに感じる気配から推測し、ユウジはS級ヒーローに会うという事で多少緊張していた。そしてそんなユウジを見て、サトルのクソガキ精神が発動した。

 

「そうだユウジ。折角ならサプライズをしよう」

 

「サプライズ?」

 

「大抵の事には動じないS級ヒーローとは言え、宿儺の器はビッグネームだ。皆興味津々だし、ファーストコンタクトでユウジが無害である、仲良くしたいって事をアピールしなきゃならない」

 

「あーなるほど」

 

 ユウジは納得するが、サトルとしてはそんな大層な理由ではない。ただ単に面白そうというだけである。

 

「だからね―」

 

 そしてそのまま下らないサプライズ計画は進められるのだった。

 

 

 

 

 

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「…で、何でこうなんの??」

 

 意気揚々と準備を進めていくと思っていたユウジは、今トイレの個室にいる。サトルから「何もしなくて良い!僕の言う通りにしろ!」という言葉を受け、何をさせられるのかとワクワクしていたユウジはこうしてトイレの個室に連れ込まれたのだ。

 そしてサトルはユウジの周りに複雑な呪文を描き、どうするかの説明だけして行ってしまった。少し心細さを感じていたユウジだが、ここがS級ヒーローに自身の人柄を魅せる上でのチャンスだと自身を奮い立たせ、気合を入れる。

 すると突然、サトルの描いた呪文が呪力を発し始めた。

 

(来た!合図だ!)

 

 そしてユウジが身体に力を入れると―

 

 

 

 

 

「宿儺の器のユウジ君でぇーっす!!」

 

「はい!おっぱっぴー!!!」

 

 

 

 

 

 ―一瞬の浮遊感と共に景色が変わり、横にサトルがいる事だけ確認すると言われた通りの言葉と共にポーズを決める。

 

(き、決まった…!)

 

 ユウジはポーズをしたまま内心でガッツポーズを決める。サトルから伝えられていた事は「自分が瞬間移動させるから景色が変わったと同時に自分が側にいる事を確認したらこの言葉と共にポーズを決めろ」といった事だった。“せーのっ”でタイミングを合わせてくれるわけでもなかった為、決められるかは不安だったが、見事成功させられた。自分の中でもかなり手応えがあったのでこれはS級ヒーロー達にもバカ受け―とまでは行かずともせめて表情を柔らかくしてくれる筈だと周囲を見渡すと―

 

 

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

 

 

 

 ―誰一人として笑うどころか無表情、サトルの隣に座っている緑髪の少女に至っては不機嫌そうに表情を歪めていた。

 

(え、えーーーーー!?全っ然!嬉しそうじゃない!!っていうか笑いもしてない!!)

 

 想像以上のスベりとポーズを決めた後の事も伝えられていなかった事もあって、ユウジはぷるぷるとポーズを取ったまま震えていた。そしてそのまま十数秒が経過すると―

 

 

 

 

 

「おい、サトル」

 

「何ですか?」

 

「こんな事をする為だけにユウジを遅刻させたのか?」

 

「素直に言ったら許してくれます?」

 

「質問を質問で返すな」

 

「トイレの床は自腹で直します」

 

「そういう問題じゃない」

 

 

 

 

 

 ―ユウジの面接も担当してくれたマサミチが割って入るまで、地獄のような空気が続いた。

 

 

 

 

 

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「予定時刻を少々超過してしまったが…それではこれより緊急会議を始める!本当なら全員揃ってほしかったが、これ以上待っても埒が明かない。私は今回説明役を任された、ヒーロー協会のシッチだ。よろしく頼む」

 

「……………」

 

「〜〜〜〜〜っ!」

 

 ユウジも席に着き、改めてシッチが会議を始めた事で、少し緩んでいた空気が引き締められる―かと思いきや、マサミチが無言でサトルをシメ続けているので、どこか雰囲気が微妙だった。

 

(にしても、本当に凄い事なんだろうな。ほとんどが出席してる)

 

 サトルに振り回されただけだと見なされ、席に着いていたユウジは改めてこの場の面子を見回す。一部に欠席が見られるものの、ほとんどが出席している事からよほどの一大事だと見られた。

 

 

 一人は囚人服に身を包み、割れたアゴとアフロヘアーが目立つ男性。ユウジも深海王の一件で面識があるヒーローだった。

“S級19位 ぷりぷりプリズナー”

 

 一人は金髪に機械的な身体であり、ユウジと同時期にS級ヒーローとなった超大型の新人サイボーグ。

“S級18位 ジェノス”

 

 一人は特徴的なリーゼントヘアと学ランを着込み、側には得物と思われる金属バットを立て掛けた青年。

”S級17位 金属バット“

 

 一人は鍛えていることが分かる肉体に似合うタンクトップを着た金髪の男性。

“S級16位 タンクトップマスター”

 

 一人は白い制服を着て、一見眠たげにも不健康にも思える眼をした穏やかそうな青年。

“S級15位 異能のユウタ”

 

 一人は犬の着ぐるみに身を包んだ見た目というマスコットのようなヒーロー。

“S級14位 番犬マン”

 

 一人はタンクトップマスターやぷりぷりプリズナーと比較しても規格外と言える程の肉体を黒光りさせる大男。

“S級13位 超合金クロビカリ”

 

 一人は手に持った食料を延々と食らい続ける極度の肥満体型の男性。

“S級12位 豚神”

 

 一人は全身を黒いボディアーマーで覆い、怪しく赤いモノアイを光らせるサイボーグ。

“S級11位 駆動騎士”

 

 一人はグラマスな身体にラフな格好をした美女。

“S級10位 星崩(せいほう)のツクモ”

 

 一人はコートを纏い、血液が通っているのか疑わしくなる程の顔色をした男性。

“S級9位 ゾンビマン”

 

 一人は女性と見紛う程にスレンダーな身体で、目元には()()()()()()()()()()()()()()男性。

“S級8位 閃光のフラッシュ”

 

 一人は個性豊かな面々の中でもぶっちぎりの最年少である少年。

“S級6位 童帝”

 

 一人は和装に丁髷、脇差しには日本刀というサムライ然とした格好の男性。

“S級5位 アトミック侍”

 

 一人は銀色の髪と髭が目立つ、この中でも最高齢の老人。

“S級4位 シルバーファング”

 

 一人は全身黒ずくめの服装に目隠しをした長身の男性。

“S級3位 無限のサトル”

 

 一人は緑髪にボディラインの浮き出るドレスを纏った少女―のような女性。

“S級2位 戦慄のタツマキ”

 

 

 なお7位のメタルナイトと1位のブラストは居場所が分からず、連絡も取れない状態にある為にやむを得ず欠席との事だが、全19名のS級ヒーローの内、17名が揃っている状況は中々に壮観であった。

 

「んで、今回は何の集まりなんじゃ」

 

「知らないわよ!こちとら2時間も待たされてるのに何の説明も無しよ!」

 

 シルバーファングが口火を切るとタツマキが苛立った様子で答えた。他の者も反応こそ無かったが皆何も知らず差はあれど待たされた事は同じようで、中には少し険悪な表情をしている者もいた。

 

「何も説明ができなかった事は謝罪しよう。しかし今回の案件はこれまでの話とは一線を画する。君達を半ば強引に集結させた事からもそれは分かる筈だ」

 

「む…」

 

 シッチが謝罪しつつも説明すると、タツマキの気勢が多少削がれる。事実S級ヒーロー全員を集結させるという事は相応のリスクが伴う。超凶悪怪人が出現した際に、抑えられるS級ヒーローがいない為に被害が甚大なものになる可能性があるからだ。ここA市がピンポイントで狙われない限り、戦力層の低下は避けられない。

 そのリスクを考慮しても集結させたという事は、それだけの事情があるというのにも納得が行く。

 

「そして知りたいであろう君達を集めた理由だが…単刀直入に言うが今回君達には―地球を守っていただきたい

 

 あまりに漠然とした、そして壮大な理由に何人かが面食らったように表情を変える。彼らの様子を確認した後、シッチは話を続ける。

 

「今回は超人揃いの君達と言えども、命を落とす可能性がある。今なら退席してもS級に籍は残すと約束しよう。だが、これからの話を聞いた者は逃がすわけには行かなくなる。最悪の場合はこちらで軟禁させてもらう。混乱は避けねばならんからな。皆、話を聞く覚悟は良いか?」

 

 相当の圧を掛けてくるシッチの話を聞いても、誰一人として席を立つ者はいない。シッチは覚悟ができたと見なし、一つずつ話し始めた。

 

「まず先に把握しておいて欲しい事だが―大預言者、シババワ様が亡くなられた

 

 開幕第一声からかなり衝撃的な報告に、ほとんどのヒーローが目を見開く。

 

「あのシババワが!?誰かに殺されたのか?」

 

「いいや、事件性はない。半年後までの未来を占っていたところ、気が動転したのか息が荒くなり咳が出たため、のど飴を口に入れたら喉に詰まって死んだらしい」

 

「あの齢の老人にそんな危ない物飲ませるなよ…」

 

 ゾンビマンからの迫真がかった問い掛けにシッチが答えると、絶妙に間抜けな理由にツクモが呆れたように呟いた。

 

「なるほど。今後は未来予想抜きで災害対策をしなければならない、というのが今回の話の核だな?」

 

 クロビカリが白い歯を見せながら言うと、シッチは首を横に振った。

 

「違う。シババワ様の術式―“未来視”は何でも見通せる万能なものではなく、あくまで極一部の未来しか見ることができなかった。未来視に頼らず切り抜けて来た災害も多くある。それでも我々がシババワ様の身辺を警護し、特別扱いしていたのは―その予知が、絶対に的中するからだ」

 

 シッチは話しながら、懐から小さな紙片を取り出した。

 

「これが今回の問題の核だ。シババワ様が飴を喉に詰まらせながらも書き遺して下さった大予言文…100%訪れる未来だ」

 

 そしてテーブルに置かれた紙片をスキャンし、皆の目に見えるよう内容が大きく映し出される。その内容は―

 

 

 

 

 

 

“地球がヤバい!!!”

 

 

 

 

 

「分かるな?地球が、ヤバいのだ!!

 

 シッチは冷や汗をかきながら大きく叫ぶ。

 

「シババワ様の予言は100%当たる!洪水、大地震、危険生物の発生…あらゆる大災害を予知して来たが、その内のどれでも取り乱したり、ましてや”ヤバい“という表現をしたことなど一度も無かった!!」

 

 シッチは震えながらテーブルを強く叩く。

 

「数多の犠牲者を出した自然災害や、災害レベル“鬼”や“竜”の怪人の襲来を遥かに凌駕する“ヤバい”事が、半年以内に起こるのだ!!」

 

 鬼気迫るシッチの言葉に、怯える事は無くとも皆緊張感を高める。それはユウジも同じ。シッチは疲れたような顔をしながらユウジを見る。

 

「そして現れた宿儺の器…ユウジ君、君が無意味に他人を傷付けたり、宿儺を使って何かを企むような人間でない事は分かっている。だが、我々が予想している宿儺の推定災害レベルは“竜”〜“神”…それ程の存在を封じているという自覚は持っていてくれ」

 

「わ…分かりました」

 

 S級ヒーローの視線を感じながら、ユウジは自分がここに呼ばれた理由を察する。

 

(俺が予言を実現させるかもしれない事を俺とS級ヒーローに教える為か。まあ当たり前か)

 

 改めて、ユウジは早く宿儺の指を集めるべきだと内心で決意した。

 

 

 

 

 

 ドドン…!!

 

「「「「「!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 それと同時に、建物全体が大きく揺れた。思いも寄らない出来事に、全員が驚いた表情に変わる。

 

「これは…この建物が攻撃されている!?」

 

「そんな馬鹿な!ここはヒーロー協会本部だぞ!」

 

 ジェノスが現状を把握し、クロビカリがその状況を否定する。クロビカリの言う通り、ここはヒーロー協会本部。言うなればヒーローの本拠地である。そんな場所を攻撃する事は自殺行為に等しい。

 

「とにかく外に出ないと状況が分からない!一旦外へ!」

 

「行けそうなら倒しとくねー」

 

「え!?ちょ!?サトルさん!?」

 

 童帝が指揮を取ろうとするが、サトルは気軽に返事をしながら行ってしまった。

 

「何で言う事聞かないのあの人…」

 

「ま、まあまあ、とにかく先生が行ったなら大抵の相手には勝てるし、取り敢えず何があっても良いように僕らも行こう」

 

 相変わらずのゴーイングマイウェイ振りに童帝が頭を抱えるが、ユウタが優しく肩を叩き、他のS級も引き連れて外へ向かった。

 

 

 

 

 

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 そして本部側の上空では、怪人の一行が対空しながら攻撃していた。

 

「中々頑丈な建物じゃが、どうという事はない!ヒーローとやらを倒せば、地上は我らのものだ!この天空王について来い!」

 

「ふーん、完璧な計画だね。不可能な点に目を瞑ればだけど」

 

 不敵に笑う天空王の背後には、サトルが空中に直立していた。

 

「君達だけで襲撃に来たのかな?この程度で勝てると思われるとはね…出不精って怖いね」

 

「貴様ヒーローとやらか!仲間への見せしめにも丁度良い…ここで死んでゆけ!!」

 

 天空王は翼をはためかせて暴風を生み出す。それはただの暴風に留まらず、強過ぎる風によってあらゆる物を切り裂く程の威力だった。

 

「ふわははははは!!これで終わりか!ヒーローとやらも大した事はないな!!」

 

 天空王は高らかに笑う。自分達と同じように空を飛べる事は驚いたが、実力は大した事はない。この程度の実力しかなく、難敵である深海王と地底王も消えた今、自分達が地上の覇権を握るのも時間の問題だと。

 

「さあホーク、イーグル、ファルコン、カイト!あの建物は破壊できた…」

 

 天空王が背後に振り返ると、自身の部下であり息子でもある者達に声を掛けるが、そこにいた筈なのにいない。どこに行ったのかと周囲を見渡すと、上から羽根と手足の一部がボロボロと落ちて来た。

 

「仲間も含めてこれだけ、か。やっぱ弱いよね。君」

 

「!」

 

 上空からの声に天空王が見上げると、そこにはサトルが立っていた。

 

「な、何故生きている!貴様は先程殺した筈…」

 

「殺せてないから生きてるんだよ。いくら僕でも現実改変はできないっての。…特に何かと繋がりも無さそうだし、もう良いね?」

 

「フン!調子に乗るなよ人間風情が!天空の支配者たる儂を怒らせたらどうなるかその身を以てして叩き込んでく―」

 

 

 

 

 

 ボチュン!!

 

 

 

 

 

 ―天空王はその先の言葉を紡ぐ事は無かった。サトルが発生させた“蒼”によって、自らの死を自覚する事もなく圧死させられたからだ。

 

「はー、つまんないの。こんな事してくるぐらいだからもっと手強い奴だと思ってた」

 

 サトルが相手の歯応えのなさにため息を吐いていると、サトルの端末から電話の着信音が鳴り響いた。端末の画面にはユウタの名前が表示されていた。

 

『お疲れ様です先生。怪人の対処はどうですか?』

 

「ユウタね、大丈夫。もう終わったよ。空飛べるだけの蝿だったから大した事なかったよ」

 

『そうですか。他に増援や襲撃者はいないですか?』

 

「んーちょっと待ってね」

 

 そしてサトルは目隠しを少し外し、六眼で周囲を見渡す。地上を見ると民衆が空にいるサトルを見て騒いでいるが、それ以外に変わったものは見当たらない。念の為に空も見上げるが、青空に白い雲がぷかぷかと浮いているだけだった。

 

「大丈夫。地上と空の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『分かりました。ありがとうございます。先に会議室に戻ってますね』

 

「ん、オッケー。僕もすぐに戻るよ」

 

 そしてサトルは少し空を見上げて青空を見渡すと、そのまま協会内に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「何ィ!?どういう事だ!!」

 

「も、申し訳ありません!どうやら急に小惑星群が衝突したようで…船体に破損ができてしまったようで…」

 

「チィッ!もうすぐで到着できたというのに…一体どう申し開きすれば良いのか…」

 

 

 

 

 

「騒がしいな。ゲリュガンシュプ」

 

 

 

 

 

「は、はっ!申し訳ありません!どうやら船体が損傷したようで…このまま進行するわけにも行かず…」

 

「…修復に掛かる時間は?」

 

「かなり大規模な修復となりますので…最低でも一月以上は…」

 

「修復さえできれば辿り着く事はできるのだな?」

 

「はっ!それはもちろん!しばらくは足止めとなりますが…」

 

「構わん。確実に辿り着く事さえできればそれで良い。修復に全力を注げ。指揮も貴様に任せる。好きにすれば良い」

 

「はっ!かしこまりました!迅速に修理致しますので…」

 

 

 

 

 

(20年も掛けたのだ…高々数ヶ月、待てば良い…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ふー…サトル君が対処してくれたお陰で被害は大きくならなかったようだな…」

 

 所戻って会議室。サトルも含めた全員が席に戻り、シッチは額の汗を拭いながら息を整えていた。

 

「とにかく…会議の内容としては以上になるが、これからも予言の件は頭の片隅に置いておいて欲しい。先程の怪人もサトル君が対処してくれたから良かったが、恐らく災害レベル“鬼”は下らない相手だ。S級の君達ならば早々に負ける事はないだろうが…先の深海王の件からも分かる通り、日々の怪人災害はこれから激化していく事が予想される。皆、十分に注意して欲しい」

 

 シッチが全員に注意して、会議の締めとしようとした時―

 

 

 

 

 

「はーいちゅうもーく!!」

 

「「「「「?」」」」」

 

 

 

 

 

 ―サトルの軽薄な声で遮られた。シッチも含めた全員の視線がサトルに集まる。

 

「いやー怖いよねえ。怪人がどんどん強くなるって。もちろん僕は例外としても、ひょっとしたらいつか皆ですら手こずる怪人が出て来るかもしれない―って、待って皆!なんで帰るの!?

 

 サトルが前口上を長ったらしく述べていると、一部のS級が話を無視して帰り始め、サトルは思わず全力で止める。

 

「だってアンタの言う事10割どうでもいい事じゃねえか。今日俺はただでさえ妹の大事なピアノの演奏会を抜け出してきてんだ。冗談に付き合ってる場合じゃねえんだよ」

 

「僕一応真面目に話してるんだけど!?」

 

 金属バットの辛辣な発言にサトルは切実に反論するが、周囲の者達も仕方ないと言った様子で擁護する者は現れなかった。その反応を見たサトルはやれやれと言った様子で肩を竦めた。

 

「はー分かったよ。じゃあせっかちな皆の為に本題に入らせてもらうけど、S級がこんな一箇所に会するなんて中々ないわけじゃん?だから僕はこの機会を逃す手はないって思ったんだ」

 

 サトルの言葉に、何人かのS級はピンと来るものがあったのか、目の色を変える。

 

「…まさかアンタ今から」

 

「そう、やっちゃおうよ。久し振りのS級特訓会!!

 

「「「「「!!」」」」」

 

 サトルが高らかに宣言し、他のS級は驚いた様子でサトルを見つめている。

 

「メグミはもう呼んであるし、見所のあるA級以下のヒーローも集めてある。やろうと思えば今からでも始められる。どう?」

 

「どうっつってもなぁ…」

 

「良い案じゃないか?これからの怪人対策を考えると、S級(私達)を含めたヒーローの強化は必須だ。私としては是非とも参加させてほしいね」

 

 金属バットは突然の事に困惑している様子だが、ツクモがサトルをフォローするように参加の意志を表明する。

 

「俺としても大賛成だ!丁度強くなりたいと思っていた所だからな!!」

 

「俺もこれまでさらなる着こなしの高みを目指して鍛えて来た…その成果を示す、絶好の機会かもしれん」

 

『俺も参加する。宿儺の器ってのも気になるしな…』

 

「おい、身勝手に出て来るな」

 

(あ、お揃い)

 

 プリズナーとタンクトップマスターも同調し、突然フラッシュの目元から口が出現し、同意の意志を示した。フラッシュ本人も諌めてこそいたが、特に反対するわけでもなく、それは他のS級も同じだった。

 

「私は帰らせてもらうぞ。今日は戦闘するつもりで来たわけではないからな」

 

「……………」

 

「えー帰るのー?つまんないなー」

 

 一方で駆動騎士と番犬マンは身支度を整えて会議室から退室して行ったが、他のS級は取り敢えず残っていた。

 

「この場に残った面子は参加するって事でOK?」

 

 残った面子はサトルの問い掛けに対し、頷く事で答えた。

 

「よし、じゃあS級特訓会開幕ー!って事で、場所変えようか!」

 

 サトルの言葉と共にS級は部屋から退室して行く。蚊帳の外気味だったユウジがついて行って良いのか迷っていると、ユウタが近付いて来た。

 

「こんにちは。慣れない場所で疲れたよね。僕はユウタ。よろしく」

 

「あ、うす。宿儺の器のユウジって言います。よろしくお願いしゃす。ユウタ先輩もこれから特訓会行くんですよね?」

 

「うん、折角の機会だからね。ユウジ君も来なよ。君もサトル先生が期待してる人の内の一人だろうから」

 

 ユウタに案内されるがままに、ユウジは後をついて行った。その途中に、特訓会の事について話していた。

 

「特訓会って何するんすか?S級同士で戦うとか?」

 

「それもあるけど、それだけじゃないよ。身内同士だとどうしてもブレーキが掛かりやすいからね。メグミ君にも協力してもらうんだ」

 

「(そういや先生もそう言ってたな…)メグミの奴がなんかするんですか?」

 

「うん。メグミ君がいる事で全員が平等に訓練てきるからね。僕にとってもかなり為になるよ」

 

「どんな役割するんですか?」

 

「うーん、説明が難しいけど一言で言い表すと…」

 

 ユウタはそこで迷うように顎に手を当てて考えると―

 

 

 

 

 

「…ゲームのホスト?」

 

「ゲームのホストォ!?」

 

 

 

 

 

 ―予想外の答えにユウジはこれから行われる特訓内容に少しだけ不安を覚えるのだった。




はい、今回はここまで。次回S級特訓会です。


・ユウジ(虎杖悠仁)
今回は終始聞き役。それぞれのS級に対する印象はここから書けて行けたら良いなって。

・ユウタ(乙骨憂太)
今作だとこの順位。低くねって思うかもしれませんが色々事情があってのこの順位です。そこら辺も後々書くと思います。

・ツクモ(九十九由基)
わりとあっさり登場したヒーローネーム思い浮かばなかったお姉さん(鋼の意志)。ちゃんと理由はあります。原作ではもう出て来ないだろうからしっかり強いとこ見せたいです。

・フラッシュ(肩甲骨クラッシャー)
なんでこの順位?って思った方もいると思いますが、当然理由があります。と言ってもほぼほぼ答えが出てますが…中にいる人も予想しやすいと思うので。

・サトル(五条悟)
ちゃんと考えるとこは考えてるけどそれ以外はやっぱり馬鹿目隠しクオリティ。ユウジを会議室に飛ばしたのは0巻のワープの応用です。ちなみに床も消し飛んだので修繕費は自腹したそうです。

・メグミ(伏黒恵)
S級特訓会の核。でもユウタの台詞で何となく察せられたんじゃないかな?見せ場は次回で。

・宇宙人
という事で今はまだ出ません。今出たらほぼほぼ勝てないし勝てたとしても死人がヤバい事になるので。


こんなもんかな。今回は一部のS級だけ抜粋したけど他のS級の相違点は今後書いていきます。

評価、感想もよろしければお願い致します。

それでは次回をお楽しみに。

明かされた全貌!殺し合いはどっちが強い?

  • 五条悟(不意打ち虚式なし、縮小領域アリ)
  • 宿儺(完全体、十種、術式情報なし)
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