【呪術廻戦✕ワンパンマン】ハゲの代わりに呪われた人達がやって来た   作:サクラン

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今回からしばらくS級特訓会になります。何話ぐらい掛かるかは正直分かりません(オイ)

しっかり各々の強みを見せて行きたいですね。今回は皆大好き呪術のアイドルが顕現しますよ。

それではお楽しみください。


第十四話 異界神将

「ゲームのホストってどういう事すか?」

 

「まあ見た方が早いから。あまり難しく考えなくて良いよ」

 

 S級特訓会の会場に向かう途中、ユウジとユウタは完全に打ち解けて仲親しげに話していた。互いに年齢が近い事や、比較的常識的なのもあって早くも友人と言える仲だった。

 

「あっ、ユウジはあっちの部屋ね。あの部屋モニタールームになってて見所のあるヒーロー達ももう集まってるから。後ついでにメグミ呼んできて」

 

「あ、うす」

 

 そして外に続く通路の途中、先頭を歩いていたサトルが側の扉を指差した。メグミが必要だと聞いていたユウジは、特に疑問に思う事もなく扉を開けようとする。

 

「ちょっと待って!ユウジさんも見るの?」

 

「!」

 

 だが、そこに一人のヒーローが待ったをかける。そのヒーローはS級ヒーローの中でも最年少の少年、童帝だった。その名を聞いた時にはユウジも耳を疑ったが、天才少年だと言う事は聞いていたので、字面のカッコよさを重視したのだろうと納得していた。

 

「どしたの童帝?ユウジは見所あるし絶対強くなるよ。見せて損はないと思うけど」

 

「…そりゃ彼の才能は聞いてますけどね。確認しておきたい事があるんです。ユウジさん、あなたは宿儺に身体を乗っ取られている時の記憶はありますか?」

 

「あー、あるけど…どしたの?」

 

「それはどんな見え方ですか?」

 

「んー、宿儺がリアルタイムで見てる景色を一緒に見てる感じ。ただ普段と違ってテレビ越しに見てる感じだったかな」

 

「…なるほど」

 

 そして童帝は顎に手を当てて考えるような素振りを見せる。そして続けた。

 

「サトルさん、僕は彼にこの特訓会を見せるのは反対です」

 

「え、何で?宿儺はユウジが抑えてるし、最悪暴走しても対処できるって」

 

「そういう問題じゃありません。ここで彼に―いえ、中にいる宿儺に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 童帝の真剣な声色に、サトルだけでなくユウジや他のS級ヒーロー達も童帝の言葉に耳を傾ける。

 

「先程のユウジさんの言葉から考えるに…今彼が見ている景色は中の宿儺にも見えているし、聞こえている。サトルさんとユウジさんの会話に割って入ったという報告からも、これは確定だと扱っていいでしょう」

 

 童帝はいつも舐めている飴を齧りながら続ける。

 

「つまりこれから行う特訓会を彼が見るというのは…()()()()宿()()()()()()()()()()()()()()()。僕らの戦闘スタイル、術式、それらの長所や短所まで…ユウジさんが宿儺を抑え続ける事ができる保証がない以上、戦う時だって来るかもしれない。中にいる宿儺も、黙って処刑されるのを待つという事はないでしょう。いずれ激突するその日まで、宿儺は自由になる方法と同時に、僕らに対する対策まで練る事ができる!」

 

「!」

 

 童帝の言葉に、S級ヒーローの内の何名かが眉を顰める。戦闘において、事前知識の有無はあまりにも大きい。ヒーローと怪人の戦いにおいてもそれは例外ではなく、術式を持つ者は余程特殊なものでない限りは他人に明かさないのが基本だし、秘密主義であるメタルナイトなどは徹底して素性まで隠している。

 そして宿儺を相手にする際に術式が知られているというのは相当なアドバンテージを渡してしまう事になる。宿儺の知識量がどれ程なのかによっても変わるが、呪術全盛の時代において“呪いの王”とまで謳われていたのだ。わざわざ呪物化していた事と言い、ただの力任せしか使って来ないとは考え辛い。何より宿儺との戦いは間違いなく史上最大規模の人類の命運を賭けた決戦になるだろう。その戦いにおいてヒーローの敗北は許されない。その時の事を考えれば、童帝の懸念もやむ無しと言えるだろう。

 

 

 

 

 

「何ビビってんのよ童帝」

 

「!」

 

 

 

 

 

 少しピリついた空気の中を甲高い声が割って入る。その声の主はこの中で最上位に位置するヒーロー、“戦慄のタツマキ”だった。

 

「多少術式を知られたところでどうって事ないわよ。隠し続けるのも限界があるし、私の術式は知ったところでどうこうできるものでもないでしょ」

 

「い、いや、タツマキちゃん。それはあくまでタツマキちゃんだけの話であって僕らは…」

 

 童帝が多少気勢を削がれながらも反論するが、タツマキの自信に満ちた言葉は止まらない。

 

「そもそも!未練がましく現代に蘇ってる時点で大した事ないわよ!“呪いの王”だか何だか知らないけど、所詮はアタシのいない時代に持て囃されただけの凡人よ!復活したところでどうって事ないわ!」

 

「ええ…?」

 

 タツマキのめちゃくちゃな理論に童帝は言葉を失う。プライドの高さは知っていたが、ここまで対抗心を剥き出しにして来るとは思わなかった。

 

「僕もタツマキに一票。最強なんだから負けるわけないでしょ」

 

「アンタも馬鹿抜かさないでよ。アンタがアタシより強いわけないでしょ!」

 

 そしてサトルとタツマキは至近距離で睨み合う。が、タツマキ側の身長の都合によって可愛い喧嘩のようにも見えた。

 

(とは言ってもなあ…流石に無対策でいるのはマズい気がするし、どうしたもんかなぁ…)

 

 童帝は腕を組んでどうするべきか悩む。この二人がゴネてしまったら納得させるのがほぼ不可能だ。だが、宿儺に対して無対策というのもいただけない。自分が引き下がるべきか、どうにかして二人を説得するべきか。色々と悩んでいると、頭にポンと優しく手を乗せられた。童帝が見上げると、その手はゾンビマンのものだった。

 

「あまり悩み過ぎなくても良いんじゃないか?S級の術式はタネが割れても問題ない奴が多いし、対策…ってわけじゃないが、強くなる時間があるのはこっちも同じだ。強くなる事自体が、対策になると思わないか?」

 

「ゾンビマン君の言う通りだな。宿儺の実力は未知数だが、S級(私達)総出でかかって歯が立たないという事はないだろう。宿儺に関する伝承は少ないんだ。調べたところで得られる情報もたかが知れている。ならば私達が強くなるしかないだろう」

 

 ゾンビマンに続いてツクモも童帝にアドバイスを送る。他のS級も励ましこそしないものの誰も負けるつもりがない不敵な表情を浮かべている。そこまで言われれば、童帝も覚悟を決めるしかない。

 

「はあ〜…分かりましたよ。ただちゃんとして下さいね」

 

「何言ってんの?こんなにちゃんとしてるじゃない」

 

「馬鹿か。童帝に掛かる負担を考えろってんだよ。もうちょい協調性を持て」

 

 童帝の言葉にツクモは心底分からないと言った様子で首を傾げるが、ゾンビマンが軽く頭を叩く。彼も表情の変化は乏しいが、S級の中では常識的であり、報連相等の協調性を重視する。ツクモも特に癖が強過ぎるわけではないのだが、一人で行動するのがほとんどであり、協会の要請に応えるのも稀である為、童帝としては心労の一因となっている。

 

「えと、じゃあ呼べば良いすか?」

 

「うん、お願い」

 

 ユウタに頼まれるとユウジは扉を開く。中には数十名のヒーロー達が集まっており、皆モニターの前の席に座って口々に話している。

 

「メグミー!出番だぞー!!」

 

「声がデケェんだよ。聞こえてる」

 

 ユウジが聞こえやすいように大声で呼ぶと、扉のすぐ側に座っていたメグミがユウジの頭に軽く手刀を入れる。

 

「あれ!?ここにいたの!?」

 

「どうせ呼ばれるのは分かってたからな。お前も座って待っとけ。しばらくしたらモニターが映るから」

 

「おっけー。じゃあ頑張ってな」

 

「ああ」

 

 そしてメグミは外に出てS級ヒーロー達に付いて行き、ユウジは空いている適当な席を探して座った。

 

(結構来てんだなー。こう見ると皆個性豊かだ)

 

「あ、ゴメン、隣いい?」

 

「あ!大丈夫ですよ!」

 

 ユウジの隣に座っていたのは、スポーツ用の体操着を来た長身の女性。オレンジ色の髪を結い上げた、快活そうなヒーローだった。

 

「(俺よりデカい…)いきなりゴメンね。俺ユウジ。よろしく」

 

「こ、こちらこそご丁寧にどうも!私は主将(キャプテン)ミズキって言います!よろしくお願いします!」

 

“B級78位 主将(キャプテン)ミズキ”

 

「ここにいるヒーローは皆呼ばれたの?」

 

「そうっすね!周りの人達に聞いた感じは全員呼び出しの体でここに集められたみたいです」

 

 ユウジが生粋のコミュ力を発揮して話題を振ると、ミズキも話すのが嫌いではないらしく、ハキハキと元気に答えた。

 

「陸上競技とかやってるの?」

 

「そうっす!陸上競技一筋でやって来てヒーローになりました!まあクロビカリ先輩には遠く及ばないですけどね」

 

「あの人すげえよな。さっき見たけどすんごい筋肉してたよ」

 

「私も目標にしてます!ユウジ先輩は憧れのヒーローとかいるんすか?」

 

「憧れ…っていうか一番身近に感じてるのはサトル先生かなあ」

 

「え!?S級3位のサトル先輩っすよね!?どういう関係なんですか!?」

 

 ユウジが言ったサトルの名にミズキは驚く。ユウジが例外であるだけで、S級ヒーローと繋がりのある下位のヒーローなどほとんどいない。C級であるユウジがサトル繋がりがあるのはさぞかし奇妙に思える事だろう。

 

「ちょっと助けてもらってね。そこからの繋がりで色々教えてもらってんの」

 

「へーめちゃくちゃ贅沢じゃないっすか!最強と名高いヒーロー直々に色々教われるなんて!」

 

 ユウジはB級以下のヒーローに宿儺の事は話せない為、上手くぼかして事情を説明する。ミズキも特に疑問に思う事もなく、さぞ羨ましいと言った様子で聞いていた。

 

「流石だな。それでこそ、俺の親友(ブラザー)だ」

 

「「!」」

 

 その時、後ろの席から野太い声が掛けられる。ユウジがぎこちなく後ろを振り返ると、そこにはいつの間にかトウドウが座っていた。

 

「トウドウ先輩!」

 

「何でお前ここにいんの!?」

 

 ミズキは顔を合わせた事があるのか尊敬の意を込めて名前を呼び、ユウジは病院から距離感がおかしくなっている為引き気味に驚いた。

 

親友(ブラザー)のいる所にこのトウドウあり…それに俺も呼ばれたのでな、折角なので師匠(マスター)の模擬戦を見に来たというわけだ」

 

「よかった、俺の位置を特定して来たのかと…いやまて師匠?」

 

 トウドウがストーカーじみた方法で自身の居場所を特定したわけではない事にユウジが安心していると、聞き捨てならない台詞が聞こえた。

 

「S級10位、星崩のツクモは俺の師匠だ」

 

「ええ!?凄え!!」

 

「確かに凄いすけどユウジ先輩が言える事じゃないすよ」

 

 あまりに凄まじいカミングアウトにユウジは大袈裟に驚くが、お前が言うなという意趣の台詞でミズキがツッコむ。そして周囲が更に賑わい始めた頃―

 

 

 

 

 

『はーいモニタールームの皆ー!!おっまたっせー!!』

 

「「!」」

 

 

 

 

 

 ―モニタールームの電源が独りでに付き、画面いっぱいに黒い目隠しをしたサトルの姿が映し出された。

 

『見えてるよね?というわけでここから“S級特訓会”の配信をはっじめっるよー!!』

 

「テンション高いっすね」

 

「カッコいいとこ見せたいんじゃね?」

 

 画面の中で騒ぐサトルに対して中々に辛辣な言葉を浴びせる。サトルに聞こえていなかったのが良かったのかは分からない。

 

『今日直接見たり経験できるのは呼んだ君達だけだけど、今こうして画面で見てる映像は録画してるから、後で呼べてないヒーローに見れるって事伝えてねー』

 

「そういやこれどうやって配信してんだろ?」

 

「協会の出資者の中には腕の立つ実力者がいるらしい。その人物の術式は偵察に使えるものであるという事を聞いた。協力しているのかもしれんな」

 

 ユウジがふと疑問に思った事を口にすると、トウドウがすらすらとその疑問に対する答えを推測の形ではあるものの答える。ユウジはふと(コイツ何で普段はこんなに頭が回るんだろう)と疑問に思った。

 

『ま、そんな裏話はどうでも良いんだ。大事なのはこれからの事!君達の中には何で自分が呼ばれたんだって思った人もいるんじゃない?実際ランクもかなりバラけてるからね』

 

 サトルの言葉に何人かは心当たりがあるかのように頷く。実際ユウジ、ミズキ、トウドウの三人のみで見ても綺麗にA〜C級で分かれている。更にその中で上位の者達のみを集めたというわけでもなく、C級の中にはお世辞にも高いとは言えない100位台の者達もいる為、そういった者達は分からない事だらけだろう。

 

『だけど、そんなに自分を卑下する事はないよ!今回呼んだ君達は、将来的に大物になるって思ったから集めたんだ。これに関しては、僕がハッキリ保証する』

 

 サトルの言葉に何人かは更にざわつく。A級ヒーローと言った実力が認められている者達はともかく、C級や下位の順位に位置するヒーロー達は自分に才能があると言われてもピンと来ない者がほとんどだろう。

 

『まあでも、いきなり才能があるから強くなれって言われてもどうすれば良いか分からないと思うんだよね。今回の特訓会は、強くなる為の第一歩を踏み出すためのものでもある。そこで!!』

 

 サトルが腕を振るうと同時に映像の視点も合わせて動き、映像には座ったS級ヒーロー達が映し出された。

 

『今回はヒーロー界の頂点に立つこの人達が直々に―皆を鍛える

 

「「「!?」」」

 

 そしてサトルが続けた言葉に、ギャラリーには何度目かの激震が走る。A級ヒーローであっても届かない遥か高みにいるS級ヒーロー。そんな者達から手解きを受ける事ができるなどギャラリーのヒーロー達にとっては寝耳に水と言える。

 

『ただ、この会は君達を鍛えるものであると同時に、僕達が強くなる為のものでもある。君達だけに付きっきりになるわけには行かない。そこで頭の良い僕は考えました!!

 

 サトルがまた腕を大きく広げて叫ぶ。

 

 

 

 

 

『S級ヒーローが全力で戦って、それを君達が観戦すれば、S級ヒーローにとっては鍛錬に、君達にとっては目指すべき場所がより鮮明に分かって一石二鳥だってね!!』

 

「「「!!」」」

 

 

 

 

 

 サトルの言葉にギャラリーのヒーローは目を見開く。S級ヒーローの戦闘は滅多にお目にかかれるものではない。何せS級ヒーローが出張る=災害レベル“鬼”以上の相手である為、戦闘そのものが発生し辛い+A級ヒーローであっても余程特殊な状況でない限りは援護にもならない為、自然と目撃者も少なくなるのだ。

 そんなS級ヒーローの戦闘が見られるというのは凄まじく有り難い。が、一つの疑問が生まれる。

 

『でもきっと君達はこう思うだろう。“S級ヒーローが全力を出せる程の鍛錬相手をどうやって用意するんだ”ってね。でも、そこも無問題!スペシャルゲストが解決してくれるからね!それがこの人!』

 

 サトルが腕を振った事で、今まで分からなかったサトルの背後―座っているS級ヒーロー達にとっての正面が露わになった。

 その場所は巨大なスタジアムであり、S級ヒーロー達が座っていたのはそのスタジアムの観客席だったのだ。そしてそのスタジアムの中心部には一人の影が立っていた。

 

 

 

 

 

『B級ヒーローのメグミ君でえーっす!!』

 

『………』

 

(((うわぁ面倒くさそう…)))

 

 

 

 

 

 カメラがズームアップして映し出されたのは面倒くさいという態度を一切隠そうとしていないメグミの不機嫌そうな表情だった。恐らくサトルの長い前置きを話している間ずっとあの場所に立たされていたとなると、流石に同情を寄せる者達が多いようだった。

 

『彼を知っている人は多いと思うけど、なんでB級ヒーローである彼がこっちにいるのか?って疑問を抱く人もいると思う。だけど彼こそが、S級ヒーローの鍛錬相手だったんだ』

 

「え!?そうなの!?メグミ凄え!!」

 

「いや、それは違うぞ親友(ブラザー)。恐らくは奴の術式が何か関係している」

 

 漫画などでよくある隠された力的な何かがメグミにもあるのかとユウジが沸きかけたが、トウドウがそれを諌める。そしてその答えは、直後にサトルから知らされた。

 

『ただ、彼にS級を相手にできるだけの実力があるわけじゃない。将来的にはあると思うけどね。用があるのは彼の術式―正確には、彼の喚び出す式神の内の一体だ』

 

「メグミ先輩の術式って何でしたっけ?」

 

「俺も名前は知らない。確か影から式神を喚び出す術式だった気がするけど」

 

『で、肝心の彼の喚び出す式神の実力だけど―災害レベルに置き換えると、レベル“竜”に匹敵する式神だ』

 

 

「「「!!」」」

 

 サトルの言葉を聞いてギャラリー側のヒーローは全員耳を疑う。災害レベル“竜”の規模は“鬼”を更に上回り、複数の都市を壊滅、機能停止に追い込むレベルなのだ。そんな式神を喚び出してメグミは無事で済むのか―そもそもあのスタジアムが保つのかという疑問が浮かぶ。

 

『心配に思うかもしれないけど大丈夫だよー。彼の安全はきっちり保証するし、このスタジアムだって()()()()()()()()()()()()()んだ。そう簡単に壊れたりしないし、最悪の事態に陥りそうな時は僕やタツマキが止める。だから君達は安心して観戦すれば良いよー』

 

 サトルの説明で一先ずは安心したが、やほり何人かは納得しきれていないように不安げな表情を浮かべている。それはそうだろう。レベル“竜”などこの場にいるヒーロー全員で掛かっても返り討ちに合う相手だ。S級ヒーローがすぐ近くにいると言っても、やはり不安は拭い切れないだろう。

 

『まあ後は、なんでメグミがレベル“竜”クラスの式神が喚び出せるのとか、気になる事はあると思うけど、その辺りは個人の術式に触れる事になっちゃうから割愛するね。戦闘については説明するより見てもらった方が早いし。んじゃ―プリズナー!フラッシュー!』

 

 サトルが客席に向かって名前を呼ぶと、プリズナーとフラッシュが飛び降りた。そしてプリズナーはサトルの側に、フラッシュはメグミから少し離れた場所で待機する。

 

『それじゃあ改めてS級特訓会―スタートォ!!あ、メグミーお願いー』

 

 締まらない始め方で、サトルはメグミに手を振ることで合図を送る。メグミは合図を確認すると溜め息を吐き、拳を握り締めて掌印を結ぶ。

 

「……布留部由良由良」

 

 掌印を結び、詠唱を唱え始めるとメグミから彼のものとも違う呪力が溢れ出る。モニター越しに見ているユウジでさえ、周囲の気温が十度近く下がったように錯覚した。

 

 

 

 

 

八握剣―

 

 

 

 

 

 更に詠唱するとメグミの左右正面に玉犬と蝦蟇が複数現れた。しかし彼らはメグミに付き従うわけでもなく、ただ一心に天に向かって吠えている。その行列も相まって、それはまるで将軍を迎え入れる家臣のよう。

 

 

 

 

 

異界神将―

 

 

 

 

 

 そして更に続けるとメグミの背後に巨大な繭のようなものが現れた。一切の汚れのないその身体と、感じられる呪力は神が現れたと錯覚する。

 

 

 

 

 

―魔虎羅

 

 

 

 

 

 そして、黒き異界より顕わるのは最強の式神。

 繭のようなものが震えたかと思うと、頭頂部から巨大な方陣と二対の翼が生えた。そして繭を突き破るかのようにゆっくりと動き出し、その御形を顕にする。

 

 召喚者であるメグミを二倍強上回る巨体に、筋骨隆々の肉体。シルエット自体は人間に近いものだが、人間であれば目がある筈の場所からは二対の翼が生えている。下半身にのみ黒い装束を纏い、上半身には首飾りのみ身に着けている。頭頂部の上にある法陣は今にも動き出しそうに鈍い音を立てて震えている。

 

 そして魔虎羅は徐ろに一歩を踏み出したかと思うと―

 

 

 

 

 

「━━━━━ッ!!」

 

 

 

 

 

 ―目にも止まらぬ速さで腕を振るい、凄まじい風圧を生み出した。画面越しに見ているユウジ達も、その一撃の威力を感じ取った。

 

「あの速さ…この間の深海王よりも遥かに速いな」

 

「いや感心してる場合じゃねえだろ!!メグミ生きてんのか!?」

 

 トウドウは冷静に魔虎羅の実力に感心するが、ユウジは気が気でないと言わんばかりにメグミの身を案ずる。あれ程の一撃であれば死んでいてもおかしくない。

 

「心配するな。恐らくその為に最速のヒーローが出てきたのだからな」

 

「え?」

 

 トウドウの発言にユウジが疑問符を抱くと同時に画面が切り替わり、魔虎羅の近くにいるフラッシュが映し出された。その腕にはメグミを抱えており、意識もある事からあの一撃が加えられる前に離脱できた事が分かる。

 

「え!?いつの間に!!」

 

「流石だな。最速の異名は一切誇張ではないようだ」

 

 フラッシュ本人は一切息を乱していたりはしていないが、ギャラリーはそのあまりの早業に息を呑んでいる。

 

「━━━━━」

 

 そして魔虎羅はゆっくりと顔を上げ、フラッシュの側に立っているメグミに狙いを定めると、もう一度始末しようと歩き出した。が、その懐には巨体が潜り込んでいる。

 

 

 

 

 

 ドゴォン!!

 

「━━━━━!!」

 

 

 

 

 

 そして超振動する拳が魔虎羅の顔面を打ち抜き、後退させる。そこにはプリズナーが既に全裸になって身体を超振動させていた。

 

「アナタの相手は俺だ!!魔虎羅ちゃん!!」

 

「━━━━━」

 

 挑発するように叫ぶプリズナーに感化されたのか、あるいは単純に厄介だと判断したのかは分からないが、魔虎羅はプリズナーに標的を変えてゆっくりと歩き出した。

 その頭頂部の法陣を、今にも動き出しそうにしながら。




想像以上に長くなっちゃった…これ特訓会相当長くなるかもです。


・ユウジ(虎杖悠仁)
ミズキちゃんと仲良くなった。体育会系同士仲良くなりそうです。

・メグミ(伏黒恵)
と、いうわけで必要だったのは魔虎羅の召喚役でした。ただその後のワンパンはフラッシュを置くことで対策。流石に仮死されたら困るので。

・主将ミズキ
村田版のB級ヒーロー。今回の観戦に呼ばれてるのは怪人協会戦で招集されたメンバー+αです。ユウジと仲良くなった。

・トウドウ(東堂葵)
見所あるので呼ばれてました。ミズキちゃんがタイプじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、実際会った時に「結構タイプだ…」って思ってその瞬間に自分の顔を殴り飛ばしたそうです。アニメで活躍中なのでこっちでも活躍させたいです。

・童帝
苦労人。ユウジの観戦に反対だったけど別にユウジが嫌いというわけではないです。あくまでも敵は中にいる宿儺だと分かってるので。ただもうちょいS級と協会は彼を労ってあげても良いと思います。

・ゾンビマン
常識人。ツクモさんと仲良さげだけど今回がほぼ初対面です。童帝君とも村田版みたいな仲になるんじゃないかな。

・ツクモ
自由奔放だけど常識人。実は特訓会も今回が初参加だったりする。

・タツマキ
最強に拘ってるわけじゃないけど宿儺にもサトルにも負ける気はない。凡人のとこは凡夫にしようか迷ったけどタツマキさんにそんな語彙力があるとは思えなかった(ド偏見)ので凡人にしました。

・魔虎羅
皆大好きまこーら。原作でも教師みたいな事してたし今作でも良い教師になってくれるでしょう。(ただし用途はサンドバッグ)


こんなもんかな。次回は引き続き魔虎羅戦です。

評価、感想もよろしければお願いします。

それでは次回をお楽しみに。

明かされた全貌!殺し合いはどっちが強い?

  • 五条悟(不意打ち虚式なし、縮小領域アリ)
  • 宿儺(完全体、十種、術式情報なし)
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