【呪術廻戦✕ワンパンマン】ハゲの代わりに呪われた人達がやって来た   作:サクラン

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もうアニメも終わるなぁ…今年の呪術は激動の年だった(色んな意味で)。来年で終わらせるっぽいし、しっかり見届けて行きたいですね。

それではお楽しみください。


第十五話 S級特訓会―壱―

 サトルの計らいにより始まったS級特訓会。最強の式神、魔虎羅の顕現によってモニター越しに見ているヒーロー達には驚きの連続だったが、それは初見であればS級ヒーローも例外ではなかった。

 

「…凄まじいな」

 

「だよね~。あのレベルの式神がやろうと思えば術式を自覚したての子どもでも召喚できるってんだから恐ろしいよ」

 

 魔虎羅の強さに驚いているのは今回で初参加のジェノスとツクモ。二人共知識として十種影法術で喚び出せる式神には奥の手と言えるものがいるというのは知っていたが、まさかこれ程のものとは思わなかった。

 

「それにしても、奴は何故あれ程の式神を喚び出せる?奴自身のレベルを考えれば、どう考えても不可能な筈だが…」

 

 そしてジェノスは魔虎羅の―というよりは十種影法術について言及する。

 用途や状況において様々だが、基本的に式神は使用者の実力の範疇を大きく上回る事はない。だが、今回の魔虎羅に関してはあまりにも実力が隔絶し過ぎている。メグミの実力を災害レベルで表すなら精々“虎”止まりだが、魔虎羅は“竜”はあるだろう。実に二段階以上の差であり、強さを数値化できればその差はより大きい。

 メグミ自身の実力に対して、魔虎羅はあまりにも強過ぎる。それがジェノスにとっては不可解だった。

 

「…あの魔虎羅とやらを召喚できるのは、奴の術式―“十種影法術”とやらが関係しているらしい」

 

「!」

 

 ジェノスの疑問に答えたのは、前の席で煙草をふかしているゾンビマンだった。

 

「サトルの奴から聞いた話だが、十種影法術はその名の通り十種の式神を操る術式らしい。式神は最初、十種の内の二種だけが与えられ、残りの八種は与えられた式神を駆使して“調伏”…謂わば撃破して実力を示す事で扱えるようになるらしい」

 

「なるほどね…最初から全てを扱えるわけじゃないのは中々異端だね。影を操って式神と戦うという点だけ聞けば呪術らしいが、術式のシステムがらしくないね。まるでゲームみたいだ」

 

 ゾンビマンの説明に対してツクモは感想を漏らす。()()()()()で呪術や歴史について調べているツクモから見ても、十種影法術のシステムは奥が深い。メグミが良ければ他の式神も見せてもらおうと、ツクモは思った。

 

「待て。結局実力に差があるにも関わらず強力な式神を喚び出せるのは何故だ?」

 

「式神の調伏は、別に順番が決められているわけじゃないらしい。おまけに調伏の儀に必要な呪力は本当に僅かでほとんど消耗がないんだ。そして調伏の儀は、何か特別な場所や状況が必要になるわけじゃない。掌印と詠唱さえ行えば、いつでも調伏の儀は可能だ」

 

「…なるほど、つまり今の状況は調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そういう事だな」

 

 ジェノスは説明に納得し、迫って来る魔虎羅に向かって連打を叩き込むプリズナーの姿を観察するのだった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「オオッ!!」

 

 魔虎羅を殴り飛ばしたプリズナーは間髪入れずに空中へ飛び出した。その姿は見る者に漆黒の翼を幻視させる。

 

「バイブレーション☆ダーク☆エンジェル☆ラァァッシュ!!!」

 

 ズドドドドド!!!

 

 そして超振動する連打が魔虎羅の身体を貫き、後退させる。一見それは、プリズナーが圧倒しているように見える。しかし―

 

 

 

 

 

「レベル“鬼”をグチャグチャにしたプリズナーさんの連打に耐えてる…」

 

「凄まじい耐久力だな。レベル“竜”の扱いにも納得が行く」

 

 ―一度規格外を見た者達にとっては別の驚きを与える。特につい最近深海王戦でプリズナーの頼もしさに戦況を預けたユウジにとって、ノーガードで連打を受けている魔虎羅の防御力には驚いた。

 トウドウもユウジ程の驚きはないが、サトルの前評判に嘘偽りがないと改めて納得していた。

 

「にしてもプリズナー先輩も凄い筋肉…あの式神の方も凄い!!」

 

 ユウジの隣に座っているミズキは同じ肉体派のヒーローとして通じるものがあるのか、男性の裸体を見ているにも関わらず目を輝かせて見ていた。流石に枯れすぎてないかと、ユウジはいらない心配を抱いた。

 

「このまま行けば勝てるかな?」

 

「どうだろうな、あの式神の能力が分からん以上何とも言えんが…Mr.プリズナーの連打であれなら、どちらにしろ分は悪いだろうな」

 

 トウドウがそう言うと同時に、ギャラリーが一気に湧いた。ユウジが画面に目を戻すと、魔虎羅がプリズナーの連打を物ともせずに殴り飛ばしていた。

 

「プリズナーさん!!」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「ガフッ…」

 

 プリズナーは魔虎羅の反撃によって血反吐を吐き、白目を向いていた。

 

「━━━━━」

 

 魔虎羅はそんなプリズナーに対して容赦する事もなく、追撃しようと大地を踏み込む。右腕からは鋭い剣を装備し、プリズナーを刺し殺さんとしたその時―

 

 

 

 

 

「ふん」

 

 ボチュン!!!

 

 

 

 

 

 ―タツマキが手を翳すと魔虎羅が突然見えない手によって叩かれたかのように潰された。身体はグチャグチャにされた事によって影に戻り、方陣だけがガランガランと音を立ててその場に落ちた。

 

「うーん、強くなったけどまだまだだねプリズナー。パワーだけじゃなくてスピード方面ももうちょいなんとかした方が良いかもだ」

 

「しょ…精進する」

 

 一瞬で色々と起き過ぎたのにも関わらず、サトルはプリズナーの戦闘に対しての評価を淡々と告げる。プリズナーはボロボロながらもその評価に対して答えた。

 

「ま、後はしっかり休んで見学してなよ。参考にできるとこは参考にしながらね。ユウター!ショウコー!」

 

 サトルが二人の名を呼ぶと、ユウタとS級が固まっている所から少し離れた席に座っていたショウコが降りてきた。

 

「治療、頼んだよ」

 

「分かりました」

 

「できれば早めに止めてくれよ。あまりに重傷だと後半手が回らなくなるからな」

 

「わーってるわーってる。ちゃんとタイミングには気を付けるって。じゃ、次!」

 

 サトルがプリズナーをユウタとショウコに運ばせると、次のヒーローが客席から降りて来た。そのヒーローはプリズナーにも負けない程の筋肉量に、イカしたタンクトップを着込んだ男性、タンクトップマスターだった。

 

「今日はどんなタンクトップで来たの?」

 

「今日は機動力特化の薄手のタンクトップだ。生地の厚さ、面積ともに少ない為に防御力は低いがその分動きやすさ、攻撃の連打性は凄まじい!“適応”させる間もなく終わらせる!」

 

「そ、頑張ってね」

 

 サトルは隣に降り立ったタンクトップマスターに対して世間話をするような気軽さで今日着て来たタンクトップについて聞くと、タンクトップマスターは如何にも真剣な声色でタンクトップについて解説する。

 

「…なあ、タンクトップって着るだけでゲームの装備みたいにステータスが変化するもんだっけ?」

 

「いやあそんな事はないっすね…」

 

 なお、モニタールームの見ていたユウジ達は当然混乱していた。当然だろう。タンクトップを着ただけで気軽に身体能力が変動する人間など滅多にいるものではない。

 

「とは言うものの、実際侮れんぞ。Mr.タンクトップマスターを慕う舎弟は多く…タンクトッパーという徒党までできる程だからな」

 

「新手の宗教かよ…」

 

 ヒーローである以上悪人でない事ぐらいは分かっているが、タンクトッパーに入りたいかと言われると少し首を傾けざるを得ない。S級である以上ちゃんと強いのだろうが、それでもあの独特過ぎる感性にはついて行けそうもない。

 

『それじゃあメグミー!またお願いー!』

 

 そうこう言っている内に、準備が整ったようだ。メグミが掌印を結び、詠唱を唱えると、無傷の魔虎羅が顕現する。どうやら一度破壊されたとしても、喚び出すのにインターバルは必要ないらしい。

 

「━━━━━ッ!!」

 

 喚び出された魔虎羅は目の前のメグミを仕留めようと腕を振るい、それをフラッシュが救出する。そして逃れたメグミを追ってゆっくりと歩き出した時、タンクトップマスターが動いた。

 

「フン!!」

 

 ズゴン!!

 

「!!」

 

 タンクトップマスターが地面を殴り付けると、拳が直撃した箇所からヒビが蜘蛛の巣状に広がる。その凄まじい衝撃に大きく揺れ、魔虎羅もグラついて体勢を崩す。

 

「タンクトップ―」

 

 そしてタンクトップマスターは体勢を低くしてクラウチングスタートのように構えると―

 

 

 

 

 

「―タックルッ!!!」

 

 バゴォン!!!

 

 

 

 

 

 ―一瞬姿が搔き消え、踏み込んだ地面が大きく割れると同時に、魔虎羅が吹き飛ばされた。

 

「すっげえ!!何今の!?」

 

「やった事は単純だ。地面を揺らして体勢を崩した後、無防備な所にタックルで突っ込んだだけだ。それを目にも止まらない速さでな」

 

 ギャラリーの者達はそのあまりの早業に息を呑む。あの巨体でありながら走っている姿が見えなかった。

 

「機動力特化のタンクトップってマジなんだ…」

 

 そしてここまでの効果を示されれば、タンクトップの効果も認めるしかない。ユウジは呆然としながらも、その戦いの様子を見続けた。

 

「…中々の速さだな」

 

 そしてその速さは最速のヒーローとしても関心する程だ。フラッシュはタンクトップマスターの動きを目で追えていたが、それでも速さはフラッシュの基準としても少し速いと感じる程。

 

『だなー。あのパワーにあの速さ、大したもんだよ』

 

 そしてフラッシュの目下から口が出現し、タンクトップマスターの強さに感心する。

 

「フン、だが少し速い程度だ。まだまだ大した事はない」

 

『味方なんだからそこは素直に認めてやれよなー、全く』

 

 相変わらず高いプライドの相方に、同居人は愛想を尽かすのだった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「オオッ!!」

 

 魔虎羅を吹き飛ばしたタンクトップマスターは更にその場を大きく踏み込んで追撃する。未だに飛ばされ続けている魔虎羅に追い付くと、拳を握り締め、大きく振り被る。

 

「タンクトップラッシュ!!!」

 

 ズドドドドド!!!

 

 そして繰り出されるのは拳撃のラッシュ。腕の動きが残像となって増えたと勘違いする程の速さで叩き込まれる連打は、魔虎羅の身体を歪ませる。

 

「フンッ!!」

 

 ズドォン!!

 

 そして一際強力な一撃を叩き込み、魔虎羅を地面に叩き付ける。

 

「━━━━━……」

 

 そして地面に叩き付けられた魔虎羅は立ち上がりこそしたものの身体の所々に拳の跡が目立ち、口の端からは血が垂れていた。明らかに、攻撃が効いている証拠だった。

 

「タンクトップミサイル!!!」

 

 そしてタンクトップマスターはトドメを刺すべく空中から落下の加速を活かした蹴りを放つ。今のタンクトップマスターのスピードとパワーから繰り出されるそれを受ければ更に無視できないダメージを追う事になるだろう。

 

「━━━━━」

 

 だが、魔虎羅は回避する動きを見せない。まるで何かを待っているかのように。

 

 

 

 

 

 ガコンッ

 

 

 

 

 

 その時、魔虎羅の頭頂部にある法陣が音を立てて動いた。すると魔虎羅の身体に刻まれていた傷が一瞬で消えてしまった。治った、だとかそんなレベルではなく、まるで攻撃された事自体が綺麗さっぱり消えてしまったかのようだ。

 

「━━━━━」

 

 そして、こちらに向かって攻撃して来るタンクトップマスターの姿を捉えると―

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━━ッ!!」

 

 ドガァン!!!

 

「グハッ…!?」

 

 

 

 

 

 ―一瞬で空中にいるタンクトップマスターの元に跳躍し、地面に叩き落とした。加速によって更にスピードが増していたタンクトップマスター本人でさえ、今の魔虎羅の動きを追う事ができなかった。

 

「━━━━━」

 

 そして魔虎羅は地面に叩き落としたタンクトップマスターを追撃するべく、右腕から鋭い剣を生み出す。そしてその剣が、タンクトップを捉える寸前―

 

 

 

 

 

 ボチュン!!!

 

 

 

 

 

 ―タツマキによる魔虎羅への横槍。つまり、戦闘終了のストップが掛かった。

 

「ハァッ…ハァッ…仕留め切れなかったか…」

 

 大ダメージを食らったタンクトップマスターは息切れしながらも悔しげに唇を噛む。かなりの手応えがあっただけに、負けた事がやはり口惜しいようだ。

 

「発想は凄い良かったけどね。実際一定の効果はあったわけだし。けど、魔虎羅を破壊しようと思うならあれじゃまだ足りない。やっぱパワーとスピードの両立、もうちょい地力を上げてこう。少なくとも特化型のタンクトップを着た時のパワー、スピードはクロビカリやフラッシュに匹敵する程にならないとね」

 

「ああ、更なる着込みの高みを目指すさ…!」

 

 サトルからの批評を聞き、タンクトップマスターは更に強くなろうと決意を固め、ユウタとショウコに運ばれて行き、既にある程度回復して歩く程度は問題なくなったプリズナーにその戦い振りを労われていた。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「…なんだあの式神は」

 

 そして間近で戦闘を見ていたS級―特に初参加のジェノスとツクモは、タンクトップマスターの大立ち回りとそれを圧倒して見せた魔虎羅の戦い振りに驚愕していた。

 

「恐らくはあの法陣の回転が魔虎羅の能力の肝だろうね。最も、まだ一度しか見てないからどんな能力か確信は持てないけど」

 

 二人が何より驚愕していたのは魔虎羅の能力だ。あの法陣が回転したかと思いきや、次の瞬間にはダメージが完全回復し、一瞬でタンクトップマスターを戦闘不能まで追い込んだ。当然法陣の回転には条件があるのだろうが、あれ程の強さの式神が条件次第で完全回復するだけでも相当な悪夢だ。

 

「今まで何回か参加している君達なら知ってるのかい?」

 

 そしてツクモは前の席に座っているゾンビマンやシルバーファング、アトミック侍達に質問する。自分やジェノスとは違い彼らは特訓会を何度か経験している。魔虎羅の能力も既に知っていると踏んだのだ。

 

「んん?まあ知っておるよ。教えて欲しいのかのう?」

 

「いや、これでも研究者気質なものでね。答えまでは自分で行き着きたい。ただ単純に気になっただけさ」

 

 シルバーファングが教えようかと聞くが、ツクモはそれを断り、自分で答えを出す事にした。横で黙っていたジェノスも、既に考えを巡らせていた。

 

(あの法陣が回転した直後、身体の損傷が治っただけでなく呪力の満ち方が変わった。しかもタンクトップマスターからの攻撃を受ければ受ける程、呪力がまるで桶に水を注ぐように溜まって行き、回転したタイミングで呪力の流れが変わり、腕から剣を生やした…)

 

 ジェノスは身体を改造されたサイボーグであり、呪力の見え方も常人のそれとは少し違う。さながらサーモグラフィーのように、事細かに呪力の動きを見る事ができるのだ。

 

(あれを見るに、あの式神の能力は攻撃を受ければ受ける程身体能力が向上する…?いや、向上とはまた違う。もう少しパターンを見なければ、能力の断定はできないな)

 

 ジェノスが思案に耽っていると、サトルがジェノスの方に視線を寄越した。

 

「! 何だ?」

 

「いや色々考えてるみたいだけどね?次の次には君にも戦ってもらうからしっかり心構えはしといてね」

 

「無論だ。何の為にこの場に来たと思っている」

 

「分かってるようなら良かった」

 

 サトルが連絡も兼ねた挑発を行うと、ジェノスも分かり切った様子で答える。ジェノスも他のS級の実力を見るついでに強くなる為にこの場に来たのだ。むしろ見るだけで終わってしまう方が不満だ。

 

「よし、じゃあ次!バットー!!」

 

「応!!」

 

 サトルが次に呼んだのは金属バット。バッチリ着込んだ学ランを改めて着直し、バットを構える。

 

「気合い十分?」

 

「ああ!とっとと終わらせて妹に土産買って帰る!」

 

 サトルは金属バットに心意気を聞くが、金属バットからは少しズレた答えが聞けた。

 

「ま、やる気十分なら大丈夫か。んじゃ、メグミー!!」

 

 そしてサトルはメグミへ合図を送り、先程と同じ流れを踏んで魔虎羅からフラッシュの手を借りて逃れる。金属バットはメグミを追う魔虎羅の懐に潜り込む。

 

「オラァ!!」

 

 ガゴォ!!

 

 そして思い切りバッドを振り抜き、魔虎羅の顎を殴り飛ばす。そしてそのままバッドを上に構える。

 

「必殺、気合い―」

 

 

 

 

 

怒羅厳(ドラゴン)シバきィ!!!」

 

 ドガガガガガ!!!

 

 

 

 

 

 そしてバットの連打をお見舞いする。圧倒的な連打によって魔虎羅手も足も出ないと思われたが―

 

 

 

 

 

 ガコンッ

 

 

 

 

 

 ―再び法陣が回転する。

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━━ッ!!」

 

 ドゴォ!!

 

 

 

 

 

 金属バットの猛攻を物ともせずに叩き付けた。金属バットは頭から血を流し、白目を剥いていた。

 

「終わったな。やはり災害レベル“竜”は一筋で行かないという事か」

 

 戦況を眺めていたジェノスは冷静に魔虎羅の強さを見定めていた。自らの強さを疑っているわけではないが、自分と同格のヒーローがほぼ抵抗もできずにやられていくとなると気を引き締めざるを得ない。

 

(能力について未解明なのは痛いが、情報を集めながらやるしかない。パワースピード共に凄まじいが、上手く立ち回らなければな)

 

 ジェノスは次の戦いに向けて戦意を高めていると、タツマキが魔虎羅を止める様子がない。魔虎羅は金属バットにトドメを刺そうと腕を振り上げている。

 

「おい!止めないのか!あのままでは本当に死ぬぞ!」

 

 ジェノスは戦いを止めるように促すが、誰も焦っている様子がない。まさか金属バットが何処かしらの組織のスパイなのかとでも思ったが、その疑問にはユウタが笑顔で答えた。

 

「大丈夫だよ。バッドさんはここからが本番だから」

 

「治療する側としては、中々気が気でないだけどね。彼みたいなタイプは」

 

「何?」

 

 ジェノスがどういう事なのか聞こうとすると―

 

 

 

 

 

 ドガァン!!!

 

 

 

 

 

 ―凄まじい轟音と共に土煙が上がった。まさか金属バットにトドメを刺したのかと思ったが、瓦礫に埋もれているのは手足があらぬ方向に曲がった魔虎羅だった。

 そして先程魔虎羅がいた場所には、金属バットが頭から血を流しながら立っていた。

 

「あ〜いってぇ…初っ端からやってくれるじゃねえか。ま、お陰で気合いが入ったけどな」

 

 金属バットは明らかに大ダメージを受けているように見えるが、本人は全く気にした様子もなく素っ気ない態度で立っている。

 

「よお、どうした?こんなモンで倒れる程柔じゃねえだろ、テメェは」

 

 

 

 

 

 ガコンッ

 

「━━━━━」

 

 

 

 

 

 金属バットが挑発すると、魔虎羅の法陣がそれに答えるようにして回転し、手足も元通りに戻って回復していた。

 

「はん、そう来なくっちゃな。いい加減テメェの回復にも飽き飽きしてたんだ。その頭のやつカチ割ってやるよ」

 

「━━━━━━━━━━ッ!!」

 

 金属バットがバットを構えると、魔虎羅は地面を踏み込んで金属バットに肉薄する。その腕からは剣が生えており、一突きでもされればひとたまりもない。

 

「ッ!!」

 

 そして金属バットは魔虎羅の突きを半身になって躱し、そのまま野球のバッターのように構える。

 

「必殺―」

 

 

 

 

 

「―鬼殺しホームラン!!!」

 

 バゴォ!!!

 

 

 

 

 

 そしてドンピシャの位置に来た魔虎羅の顔面に向かってバットを思い切り振り抜く。見事にバットは直撃し、魔虎羅はボールのように吹き飛ばされた。

 

「━━━━━━!」

 

 しかし魔虎羅は器用に空中で体勢を整えて着地すると、そのまま金属バットに向かって猛進する。

 

「! オオッ!!」

 

 金属バットも向かって来る魔虎羅を視認すると、上等だと言わんばかりにバットを振り上げて魔虎羅に向かって突進する。

 

 ガコンッ

 

「━━━━━━━━━━ッ!」

 

 だが、激突する寸前に法陣が回転し魔虎羅は自身の剣を地面に突き刺し、スコップのように引っ剥がす。

 

「グッ…!?」

 

 細かい破片によって目眩ましを食らった金属バットは一瞬魔虎羅の姿を見失ってしまう。

 

「━━━━━━━━━━ッ!!」

 

 そして金属バットの背後に回り込んだ魔虎羅は、剣を金属バットに向かって振り抜く。その剣からは毒々しい色の液体が滴っている。

 

「ッ!? オラァ!!!」

 

 金属バットも直感で自身に危機が迫っている事を悟り、背後の魔虎羅に向かってバットを思い切り振り抜く。互いの得物が相手の身体を捉えるその寸前―

 

 

 

 

 

 ボチュン!!!

 

「!?」

 

 

 

 

 

 ―タツマキの介入によって魔虎羅が破壊された。まだまだ戦えるつもりであった金属バットは困惑して問いかける。

 

「なんだもう終わりか?まだまだやれるぜ俺は」

 

「いや僕としてもまだまだ続けて欲しかったけどさ、まさかの()なんて手段使って来られたら中断するしかなかったんだよ。毒の治療は難しいからね」

 

「そういう事だ。治すからさっさと来い」

 

 サトルが理由を説明し、金属バットは無事ショウコに連行されていった。

 

(先程の式神の変化…そしてサトル()の発言…これらの事を考えるにあの式神の能力はまさか…)

 

 一方戦いを見ていたジェノスは魔虎羅の能力の推測が立っていた。が、その予測が外れている事を願った。もしこの予測が当たっていたらこれ以上に厄介な能力はないかもしれないとまで思った。

 

(だが、負けるつもりはない。予測が当っていた所でやりようはある筈だ)

 

 しかしここで気負けする程ジェノスの心根は弱くない。心構えを決めて席を立った。

 

「お!行くのかい?」

 

「ああ、式神の能力の予測も立った」

 

「そうか、頑張っておいで」

 

 ツクモからの送り出しの言葉を受けながら、ジェノスはサトルの元まで降り立った。

 

「どう?勝ち目はありそう?」

 

「端からそのつもりだ」

 

「良いねえ。その意気だ。メグミー!!」

 

 サトルと簡潔にやり取りを済ませ、メグミに喚び出された魔虎羅を睨む。

 

「さて…お前を排除する」

 

 鋼鉄の腕から放たれた焼却砲が、戦いの火蓋を切った。




はい、今回はここまで。一話で三人ぐらい進めていかないとマジで終わらねえ!!


・ユウジ(虎杖悠仁)
規格外で分かんない事だらけ。タンクトップが似合う漢になれ…!

・トウドウ(東堂葵)
ギャラリー側の解説役。Q,なんで解説役できるのかって?A,トウドウだからです。アニメ見てるとコイツの気持ち悪さを全然表現できねえ!

・ぷりぷりプリズナー
原作最新話では“竜”も撃破できたけど、こっちはまだ早い。でもやっぱり人間じゃないですよね?

・タンクトップマスター
原作では中々良いとこなし。けどやっぱり人間辞めてる。攻撃特化のキツいタンクトップ、防御特化の生地しっかりめのタンクトップが出たので今作では機動力特化のタンクトップを採用。フラッシュよりは遅い。

・金属バット
気合いでどこまでも強くなる。けど魔虎羅との相性が悪過ぎる。戦い続けたらマジで泥試合過ぎて終わんない。

・フラッシュ
メグミの救出役。タンマスをちょっと速いなって思った。

・ゾンビマン
S級側の解説役。魔虎羅との戦いは間違いなく泥試合化する。

・魔虎羅
世界一優秀なサンドバッグ。まこーらいつもありがとう。

・ジェノス
可愛い新人。次回はまこーら相手に大立ち回りなるか…!?


こんなもんかな。次回はジェノスVS魔虎羅から。

評価、感想もよろしければお願いします。

それでは次回もお楽しみに。

明かされた全貌!殺し合いはどっちが強い?

  • 五条悟(不意打ち虚式なし、縮小領域アリ)
  • 宿儺(完全体、十種、術式情報なし)
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