【呪術廻戦✕ワンパンマン】ハゲの代わりに呪われた人達がやって来た 作:サクラン
今回含めて2話程敵サイドの話をしていこうかなと思います。
それではお楽しみ下さいませ。
血のように真っ赤な水場の中、牛骨の玉座の上で“呪いの王”、両面宿儺は今まで見て来たS級ヒーロー、この時代における最上位の強者達を思い出していた。
まず“ヒーロー”―宿儺の生きた時代では“呪術師”と呼ばれている者達に対しては、名前が変わっている事や数が多い事には多少驚いたが、大して問題とは思わなかった。
(
宿儺はプリズナーの姿を想起するが、その醜悪な姿に表情を顰める。その立ち振る舞い、言動と言い、一度目の人生の際にしつこく絡んで来た女にそっくりだったのだ。戦う上ではなんら問題ないが、個人的な感情の観点から見るとあまり戦いたくはない。
(
タンクトップマスターに関してもプリズナーとおおよそ同じだが、
(次に
金属バットも問題ないのだが、術式の効果を考えると最初の一撃で、念を押すなら斬撃で殺す必要がある。
宿儺の勘違いでなければ攻撃を食らう度に
つまりダラダラと戦っているとどんどん火力と防御力が上がっていくという事であり、脅威というわけではないが面倒だ。
幸いにも素の硬さが桁並み外れているわけではない故に初撃で三枚に卸してしまえばそれで終いだ。殺し方にコツがいるが、大きな問題はない。
(以前にも戦った
そしてジェノス。彼に関してはS級ヒーローの中では唯一まともに戦っている。前回、巨大隕石、今回の戦闘の結果のみから見ると問題なしだ。指一本分の自分と良い勝負をする程度では力を全て取り戻した時には虫同然、自身を揺るがす事などあり得ない。
ただ、宿儺が注目したのはその成長性。
呪力量、出力、それに伴った基礎スペック。どれも最後に見た時よりも向上していた。あの戦いと巨大隕石戦両方を含めてまだ一週間も経っていないのにだ。
よってその成長は念頭に置いておく必要がある。が、今のところは問題はない。何年も時を置けば分からないが、数ヶ月程度の成長では全盛期の自分には到底及ばない。総合的には多少の注目で良いだろう。
(次に
ツクモに関しては攻撃面で注意を払う必要がある。何せS級ヒーローの中でも希少な概念を突破できる実力者だ。自身であっても無防備な所に食らえば致命傷になりかねない。
しかし直線的な攻撃がほとんどなのと本人の速さがそこまでではない事。一対一で戦えばまず当たらない。どちらかと言うと集団戦で他人と戦っている際の横槍を警戒するべきだろう。懸念事項としては大規模攻撃が可能な拡張術式があるかもしれない事。
(
ユウタは確認できた情報が他のヒーローより少なかった事を留意しておくべきだろう。術式を持っているかも分からないが、一瞬姿を見せた“何か”がいた事から持っていると考えて良い。呪力量もタツマキに次ぐ程のものである事から何が飛び出して来るか分からない。
どんなものを隠し持っていたとしてもサトルやタツマキを越えるとは思えないが、警戒はしておくべきだ。
(
豚神は捕まらなければそれで良いので問題ない。あの戦法では他の者との連携も取りづらい事が想像できる為に不意打ちも警戒しなくて良い。
ただ相手を食べて戦う者など千年前に様々な相手と戦って来た宿儺としても初めての相手だ。ジェノスのような呪骸ともまた違った存在が生まれている事と言い、この千年間で変わった事も多くある。ユウジの知識からある程度逆算して得ているが、自分から情報を拾って行く必要がありそうだ。
(
ゾンビマンはその不死性は何よりも目を引くが、直接的な戦闘力はS級ヒーローの中でも間違いなく最弱。全盛期の十分の一の力しかない今の自分と戦ったとしてもただ再生を繰り返すだけの肉塊になるだろう。呪力切れを狙うにしてもこの程度の相手に呪力を使い果たす程宿儺は馬鹿ではない。武装も含めて火力不足に程がある為警戒するに値しない。
(
童帝は子ども故に本人は雑魚だが、式神のレベルが宿儺から見ても高い。自身が生きていた時代まで振り返ってもあのレベルの式神を複数種使いこなす術師はそういない。
本人の呪力量、出力から考えると恐らく何重に縛りを架してあの式神を作り出したのだろう。その知力、発想力は宿儺から見ても目を引くものだった。直接戦闘よりはその知力を警戒していた方が良いだろう。
(
クロビカリはパワーはもちろんだが、一番目を引くのはその硬度。全盛期の自身の最大出力の斬撃を食らわしても死なない可能性が高い程には硬い。以前なら触れた上で至近距離の斬撃を叩き込まねばならなかっただろうが、今はもう
(
フラッシュは呪力特性とその速さが面倒だ。逃げに徹しつつチクチクと攻撃されれば鬱陶しい事この上ない。火力が低めだがそれも電荷移動による攻撃を脳にでも食らえば自身と言えどもタダでは済まない。
しかし如何に速いと言えども避けられる隙間を作らなければ良いだけの事、術式で追い込めばジリ貧で仕留められる。多少時間は掛かるが問題ないだろう。
(
アトミック侍は優れた剣術とそれから繰り出される圧倒的な手数と火力が特徴的だ。呪力強化中の斬撃は自身の術式を彷彿とさせる火力であったし、身体能力の向上率も半端ではない。
だが、それを常時続けられるならばともかく、持続時間が一秒間な上、インターバルが必要なのが大き過ぎる。
インターバルがなければかなり面倒だっただろうが、その隙を狙ってしまえばどうとでもなる。一度で駄目なら何度でも隙を突くまで。そうしていればフラッシュと同じようにジリ貧だ。
(
シルバーファングは武術も相まって最も攻守のバランスが良い。自身の全盛期の肉体であっても呪力強化なしでやり合えば倒すのは相当手間が掛かると宿儺は予想していた。術式も普通の斬撃では受け流されてしまう可能性もあったが、今は問題ない。こちらと同じように術式対象を拡張してくれば別だが、それでもこちらの手数が上回っていれば優位は崩れない。問題ないだろう。
(そして最大の障害は…あの二人だな)
最後に宿儺が思い起こしたのはサトルとタツマキの二人。
今までの者達は最低でも複数人で掛からなければ万に一つでも自身を殺せる可能性などなかったが、この二人だけは単独で自身を殺し得る可能性がある。二人がかりで来られれば流石の宿儺と言えど劣勢は避けられない。それ程の実力を持つ二人だった。
(無限のサトルは呪力量は俺を遥かに下回るが、あの眼の影響か…呪力の消費率が限りなくゼロに近い。特に警戒すべきは概念を突破する攻撃―その中でも一撃でもまともに食らえば致命傷になりかねない極ノ番か。止める力は以前ならともかく今は
サトルは呪力量自体は自分やタツマキを下回っているが、六眼によって呪力効率が圧倒的に良い。効率を気にせず好き放題呪力を使い放題なのは大きなアドバンテージだ。
引き寄せる力、反発する力の応用力も高く、そこから繰り出される強力な一撃は自分であっても手を焼く。本来ならここに無下限による止める力が加わるが、それはもう無いものとして考えて良い。脳の焼き切れを防ぐべく常に反転術式を回している為回復力も相当なものだが、少しずつ削って領域に引きずり込めば良い。
(戦慄のタツマキは様々な点で俺と似通っている。高い呪力量と出力、技量の高さから成る呪力効率…違うのは俺をも越える攻撃範囲、虚弱な身体能力か。奴の攻撃、防御は無限のサトルと違い全てが空間そのものを対象としている―面倒だな)
宿儺は内心毒づくが、対処方法は既に考え付いている。
(無限のサトルとの戦いで奴は基本的に待ち構える戦い方だった。自ら攻勢に出れば主導権を握りやすいのにも関わらずだ。実際術式による飛行速度は無限のサトルの瞬間移動はおろか、
攻撃範囲、速度は油断ならないが、本体の飛行速度は大した速さではない。こちらから攻め続けて防御に意識を削らせ、接近さえしてしまえば後はこっちのものだ。タツマキもそれは対策して近付けさせないように立ち回るだろうが、撃ち合いをするなら望む所だ。
(二人一気に攻め立てて来た場合は―領域を使ってまとめて斬り刻む。あの二人が使えていない時点で他の者共が使えるわけもないだろう。領域は考慮する必要はないな。強いて言うならば必中効果を確認できていないのが不安要素だが…まあ、あちらが領域を使うと同時にこちらも展開すれば良い話だ)
そして同格の戦いであれば最も重要となってくる領域の対策を宿儺は練らない。―というより、既に対策は終わっていた。
二人が領域を使った瞬間、宿儺は領域勝負において自分が負ける事はないと確信した。必中効果を知れていないのが唯一の不安要素だが、これはこちらが先に展開するかあちらが展開すると同時にこちらも展開すれば問題ない。
(総じて、特に厄介なのは無限のサトルと戦慄のタツマキ。鬱陶しそうなのは
軽く頭の中で戦力を整理した宿儺は、先にする事があったのを思い出した。
「…それよりも、まずはこちらを仕上げておくか」
そしてふと思い出したかのように呟いた。今回の観戦において間違いなく一番の収穫。
「……んん」
宿儺は立ち上がり、軽く跳躍して牛骨の玉座から降りる。そして血の池に着地すると自身が先程まで座っていた玉座に向き直る。
「フー…」
そして軽く息を吐くと、呪力を練り上げ、タツマキの戦いを想起する。
ツクモの説明がなくとも、宿儺は一目見た時から気付いていた。タツマキが術式対象を拡張していた事を。
―その理屈も。
術式は違えど、タツマキができたなら自分ができない筈がない。“呪いの王”の矜持に懸けて、あんな小娘一人に負けられるものか。宿儺はそう自分に言い聞かせ、術式を解放する。
「“
ザンッ!!
宿儺が術の名を言うと、次の瞬間には牛骨の山を不可視の斬撃が斬り裂いた。指2本分の攻撃である為出力はまだ控え目だが、見る者が見ればその洗練された術に美しさすら覚えるだろう。
「うむ…感覚としては間違っていないように思えたが…流石に縛りなしに撃つのは難しいか」
しかし当の宿儺は納得の行く出来ではなかったのか、不満気な表情だ。
「ならば…」
宿儺は少し思案した後、掌印を結んだ。それは彼の領域を展開する時と同じ、地獄の支配者を示す掌印。
「“
ゾンッ!!
そして放たれた斬撃は、骨の山を斜めに斬り裂いた。先程とは違い、まるで
「…ケヒッ、クックック。至難の業でこそあったが実に良い手本だったな」
宿儺は感覚を手に馴染ませるように握り締める。
「呪術師はいつの時代でも厄介なものだが…今回に限っては相応の収穫があったな」
そう言って宿儺はS級ヒーロー達が見せた技術を思い出す。
タツマキの見せた術式対象の拡張だけではない、アトミック侍やユウタが使って見せた呪力を圧縮する事で攻撃の威力や射程が増す攻撃技術に、その技術を活かした“旋風鉄斬拳”、攻撃を受け流す柔拳である“流水岩砕拳”…自身の戦闘に転用できそうな技術が多くあった。
(ともかく、今は拡張技術だな。今のままでも問題ないが、縛りをもう少し軽くしたい。他の技術は軽く扱えば十分だ。後回しだな)
宿儺は情報の整理を完成させ、術式の鍛錬に打ち込む。
『勝つさ』
『大した事ないわ!』
その時ふとサトルとタツマキの言葉が頭を過る。それは自身に大しての評価、意気込み。
(…精々生を噛み締めていろ。俺に殺されるその日までな)
不遜極まりない物言いだが、今は身体の自由が利かない。故に見逃す。もし自由を手に入れれば真っ先に殺してやると、宿儺は胸中で誓うのだった。
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一寸先すら闇に包まれた地下道。そこではただ水の滴り落ちる音だけが聞こえていた。
しかし、僅かに聞こえる息遣いと濃厚な死の気配には並の人間であれば身の毛もよだつ感覚を覚えるだろう。
そんな人の通る場所とは思えないような道を、一個の集団が進んでいた。
「…おい、まだか。もう随分経つぞ」
「もうすぐだよ。だからそう怒らないでくれ、こちらまで熱くなる」
火山頭の異形が、袈裟を着た男を半ば脅すように問い掛ける。男は殺気をぶつけられても何処吹く風と言わんばかりに飄々としており、淡々と先頭を歩く。
「空廻を見習ったらどうだい?あんなにジーナスと仲が良さそうじゃないか」
「フン!あ奴が何を考えているかなど儂らでも分からん!」
『だからね〜悲しいんだよぉ〜…ただ大人しく仕方ないと諦めれば良いのにさぁ〜…なんで人間共はわざわざ死にに来るのかなぁ〜?』
「…まあ、常人が何を考えているのか分からない、という点には同意するが…」
袈裟を着た男の後ろでは、雲の塊がおいおいと泣きながら眼鏡を掛けた男に寄り掛かり、眼鏡の男が困惑したような表情で相手をしていた。
「俺も散歩は好きだけどさ〜、こんな風に延々と歩かされるのはあまり好きじゃないね」
「ぶふぅ〜」
『感じる呪力の圧は確実に強くなっています。もうじき着くでしょう』
「ええい、一気に喋るな貴様ら喧しい!」
肌の青白いツギハギの青年と布を被ったタコに似た生物、木のような質感の肌に黒い模様が走り、目がある筈の位置から木の生えている異形が口々に話すと火山頭の異形が叱るように怒鳴る。なおそれでも彼らは黙る事なく好き勝手に話し続けていた。
ズッ…!!
「「「!」」」
その時、明らかに強い呪力の気配が彼らに襲い掛かり、それを感じた彼らは一斉に黙り、気配の方向に視線を向ける。
ここにいる者達は全員並の怪人ではない。災害レベルに換算すれば“鬼”以上に相当し、最も強い火山頭の異形に至ってはレベル“竜”の中でも上位に入り得る程の戦闘力があるだろう。そんな彼らが強く“死”を感じる程に強い呪力の気配。今の気配の持ち主の強さはどれ程なのか…
「…こんな事をしてきたってことは、もうあの広場で待ってるってわけだね」
全員が冷や汗を流していたり警戒心を強めている中、袈裟の男だけは少し目を細めただけで特に恐怖したような仕草は見せなかった。
そしてそこからは誰も何も話さず歩き続け、少し歩くと大きな広場に出た。
「やあ、客人達。何用かな?」
「「「!」」」
広場に出たと同時に反響した声が響く。声の聞こえた方向に顔を向けると、魅惑色の体色をした単眼のふくよかな怪人がこちらを眺めていた。周りを見渡すと、大勢の影がこちらを見下ろしている。
「用は単純、儂らもこの“怪人協会”に参入すべく参った」
火山頭が目的を告げると、魅惑色の怪人は一瞬その大きな単眼を細めるが、すぐに気を取り直した様子で瞳で滑らかな曲線を―人間で言う所の笑顔を作る。
「うむ、歓迎しよう。君達は戦力としてもかなり期待できそうだ。追い返す理由を見つける方が難しい。しかし―」
怪人は無表情に戻ると目線をスグルとジーナスの二人に向ける。その表情からは張り詰めた戦意が感じられた。
「―人間は少々考えなければならないな」
そして呪力を発して二人を威圧する。恐らくこれは警告。引き返すのなら今の内だぞという最終警告だ。ここで引き返さなければ死ぬか説得して仲間になるかの二択しかない。
「…それじゃあ、考えを改めてくれるように説得しないとね」
スグルはそんな気配を当てられてもやはり涼し気な表情を崩さず、少し前に出る。
「まずは自己紹介と行こう。私の名はスグル。こっちは科学者のジーナスだ」
そして、スグルは説得を始めた。魅惑色の怪人の更に奥。そこに鎮座する巨大な存在に、意識を向けながら。
はい、今回はここまで。わりと良い感じに収まったかな。
・両面宿儺
アラサー合法ロリを見て「良い」って反応する1000歳おじさん。S級への評価は本編通り。メグミやまこーらに対しては原作より興味は薄いんじゃないかなと。もうネタバラシしちゃいますが、次元斬会得しました。
・自然呪霊ズ
わりとあっさり怪人協会に加入。原作より一人増えてます。何の呪霊か当ててみて下さい。
・スグルとジーナス
傍迷惑な天才二人組。怪人協会と接触してどのような物語となるかはお楽しみに。
こんなもんかな。心残りとしてはすっくんの批評を思った以上に辛口に書けなかった事ですね…まあそんだけS級が強いってことで。
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
明かされた全貌!殺し合いはどっちが強い?
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五条悟(不意打ち虚式なし、縮小領域アリ)
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宿儺(完全体、十種、術式情報なし)