【呪術廻戦✕ワンパンマン】ハゲの代わりに呪われた人達がやって来た 作:サクラン
さっさと色んなキャラ出したいので結構駆け足で行きます。
それではお楽しみください。
「平和だなぁ」
「毎日怪人災害が起こってたらこっちの身が保たねえんだよ」
「あっ!ねえあっちの飲み物飲みたい!」
F市町中。ユウジ、ノバラ、メグミの三人は並んで緩くパトロールをしていた。
あの顔合わせ以降三人は共に行動する事が多く、戦闘スタイルの相性も良い為に軽い怪人相手なら安定して勝てるようになった。
ノバラはユウジに何かある事には気付いていたが、それ以上にユウジとメグミの対怪人戦闘力が高い為、共にいる事でランクアップが狙い為に同行している。
「おっ、良いなー!俺も飲み―ブッ!」
ユウジも初めて見る色彩豊かなドリンクに目を輝かせるが、その言葉は最後まで言い切る事はできなかった。何故ならユウジが抱えていたぬいぐるみから拳が飛んで来たからだ。
「…相変わらず不便だな。それ」
「別に殴られるのは構わないけど、飲み物飲んでる時とかは止めてね」
「俺の心配してくんねえ?」
メグミからは少し同情されるような視線が向けられ、ノバラのあんまりな言様にそう言ってユウジが拾ったぬいぐるみは少し暴れるが、少ししたら嘘だったかのように大人しくなって眠ってしまった。
これはユウジがサトルから渡された修行道具。呪力を扱えるようになる為の訓練である。
『そもそも“呪力”って言うのはね、人間の悪感情を起源にした力なの。憎悪、恐怖、後悔などなど…その力を使って戦っているのが“ヒーロー”なんだ。怪人はもちろん、人間も持っている力なんだけど、それを引き出せなきゃ怪人は倒せないからね。意識的に引き出すってとこが難しいの』
ユウジが思い出すのはノバラと共闘した後のサトルからの授業。じっくり修行している暇はないからと、ヒーロー活動をしながらでもできる訓練として渡されたのが、このぬいぐるみだったのである。
『何これ?職員さんのぬいぐるみ?』
『そ、よく分かったね』
『いやー趣味が同じだったから。そんでこれで何するの?』
『焦らない焦らない。そろそろだよ』
『えー…?い゙っ!?』
ユウジが疑問に思っていると、抱えていたぬいぐるみから拳が飛んで来た。
『ソイツは一定の呪力を常に流し続けないと目を覚まして襲って来る。強過ぎても弱過ぎてもダメ。今はユウジでも流せる程度の微弱な呪力に設定してるけど、徐々に出力高めていくからね』
『え?じゃあ俺傍から見たらずっとぬいぐるみ抱えて突然殴られてるヤベー奴になるって事?』
『そうだね。まあ頑張れ!!』
『え〜…』
―回想終了。これによってユウジは常に気を張らざるを得ない生活を強要されたわけである。
「で?今は呪力使えるの?」
「常に持ってるからわりと慣れては来たかな。サトル先生がちょくちょく来て出力上げてもらってるし」
「多分三人なら“虎”でもどうにかできる。元から動ける奴だったからな」
「え!マジで!?じゃあキリキリ働きなさいよアンタ!アタシはさっさとB級に上がって給料アップと週一ノルマから抜け出したいのよ!!」
「お前の都合じゃねえか!!」
「……………」
ノバラとユウジが言い争い、巻き込まれたくなかったメグミは黙って少し距離を取った。なお市民からはメグミがヒーローである事はバッチリ分かっている為、生暖かい目で見られている事をメグミは知る由もなかった。
「だからお前は…ん?」
「? どうしたのよ?」
「いや、何あの集団」
「「!」」
言い争いをしていたユウジが何かに気付き、ノバラとメグミが指差した方向に目を向けると、黒いスーツを纏ったハゲの集団がどこかに向かっていた。
「…お前ら、馬鹿騒ぎは終わりにしろ。仕事だ」
「誰が馬鹿よ!!」
「いやそこじゃねえだろ。あの集団何?怪人?」
ユウジの目から見るとどう見ても人間としか思えない為に、戦うのは少し憚られていた。異形の怪人なら躊躇いはないが、人間相手の割り切りまではまだできていないのだ。
「いや、賞金首だ。人間の犯罪者は怪人じゃなくヒーローと同じランク付け形式で賞金首として扱われる。奴はB級賞金首の“ハンマーヘッド”。情報だとあんなスーツは着ていなかった筈だが…まあ良い、とにかく行くぞ」
「おいよ。ノバラ行くぞー」
「チィッ!さっさとボコしてF市巡り再開よ!!」
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「おい、止まれ」
「!」
三人はハンマーヘッド率いるハゲ集団の前に立ち塞がる。メグミは白黒の犬―式神である“玉犬”を側に従え、ユウジは拳を鳴らし、ノバラはトンカチと釘を装備して臨戦態勢と言った様子だ。
「B級賞金首のハンマーヘッドだな。そんな物を着て何をするつもりだ。怪我をしたくないなら今すぐ投降しろ」
「フン、ヒーローか…」
メグミは威圧感を感じさせる声でハンマーヘッドに忠告する。だがハンマーヘッドは三人のヒーローに臆する様子もない。
「子どもでヒーローなんぞをやってる者には分かるまい…俺達の崇高な目的が…」
「我々は断固働きたくない!だからこのハンマーヘッド率いる桃源団が変えてやる!働きたい者だけが働き、他は養ってもらえる理想郷を作るのだ!」
主張そのものはダメな大人どころか論外とも言えるものだったが、ハンマーヘッドはそれを熱意を感じさせる様子で主張した。聞いていけばいく程三人の表情が何とも言えないものになっていく。
「分かった。これ以上聞くのは時間の無駄だな」
「! フフフ…良いだろう。お前達!愚かなヒーロー共を返り討ちにしてやれぃ!!」
「「「はっ!!」」」
「来るぞ」
「おう!!」
「ええ!」
メグミが話を打ち切り、ハンマーヘッドが指示を出すとハゲの集団が怒涛の勢いで押し寄せて来た。
それと同時にメグミは玉犬を放ち、ユウジと共に駆け出した。ノバラは二人とは逆に少し下がりながら釘を取り出す。
「おらぁ!!」
「よっ」
襲い掛かって来たハゲが腕を振り上げると、スーツが一気に膨張して地面を殴り付けると同時に凄まじい衝撃が走った。衝撃が収まると巨大なクレーターが出来上がっており、まともに食らえばミンチになると分かるものだった。
(すっげえパワー。こりゃ一発も食らえないな)
ユウジはハゲの拳を躱しつつ冷静に考える。体術や頑丈さには自信があるが、流石にこれを何発も受けるわけには行かない。それに
(けど、良かったよ)
「━━━━━ッ!!」
「あごっ!?」
ユウジは素早くハゲの懐に潜り込むと、アッパーカットを繰り出してハゲを気絶させた。
(
ユウジは地面を蹴って次のハゲを標的に定める。
「何だあこのガキ!?」
ハゲは驚きながらも拳を振り下ろすが、ユウジはそれをギリギリまで引き寄せて躱すと、頭に衝撃を与えて気絶させた。
そう、ハゲ達はスーツの力によって圧倒的なパワーを手に入れたが、喧嘩が強くなったわけではない。どれだけ力が強くなろうとも元は働いていない哀しい男達である為、喧嘩などボスのハンマーヘッドを除いてしたこともない者がほとんどだったのだ。
対するユウジは学生生活の頃に飽きる程喧嘩はしている為、インファイトは大歓迎なのだ。パワーで上回ろうとも動き自体は素人そのものであるハゲ達などユウジにとってはカモでしかない。
「この野郎ぉ!!」
「“鵺”」
そしてそれは他の二人も同じ。メグミは仮面を被った怪鳥のような式神を呼び出して空へ飛び立ち、ハゲの攻撃を躱した。
「行け」
「ギャアアアアア!?」
そしてそのままハゲの集団の中に鵺を突撃させる。
鵺の式神としての能力は飛行能力と電気を纏った呪力であり、防御力に優れたスーツを纏っていたハゲ達も一気に感電して気を失った。
「“蝦蟇”」
そして落下するメグミは空中で影絵を作り―
「ゲコ」
「ああ!?カエル!?」
―地上から複数匹のカエル、もとい蝦蟇が現れた。
蝦蟇は舌を伸ばしてメグミの腕に巻き付けると、思い切り別のハゲの集団の方向へ投げ飛ばした。
「“玉犬”」
そして今度は玉犬を呼び出し、次々とハゲを制圧していく。メグミもユウジ程の身体能力はないが、ヒーローとして戦っていただけはあり、近接戦闘の心得ぐらいは得ている。ただ闇雲に腕を振るうだけのハゲ達など恐れる事もない。
「ったく、レディに手を上げるとか男としてどうなのよアンタ達」
「お前ヒーローだよな!?」
一方ノバラはのらりくらりとハゲ達を躱していた。
流石に人間相手に呪力を纏ったトンカチで殴るのはオーバーキルになる為封印している。同じ理由で彼女の術式も使っていない。怪人相手には極めて有効だが、人間相手に使うには殺意が高過ぎるのだ。ならば躱すだけで済ませているのかと言うと―
「おお…らぁ!!」
「ぐえっ!!」
―その程度で満足する筈もなく、一瞬で空中に釘を放つと、無防備な背中を晒しているハゲに向かって思い切りトンカチを振り抜き、釘をスーツに突き刺した。
だがスーツは相当頑丈にできているようで、釘は刺さりはしたもののスーツを砕くことはできなかった。
「“簪”」
「ぐおっ!?」
しかしノバラが指を鳴らすと釘が刺さった箇所から大きくヒビが入り、ハゲの上半身のスーツを砕いた。
(手応え的には相当硬いけど、これならむしろラッキーね。簪ならガンガン使える)
ノバラは打開策を見出した事で勢いが増し、次々とハゲのスーツに釘を放っては砕いていく。
「くっ…!お前達!たかが子ども三人相手に何を好き放題やられている!!」
ハンマーヘッドからすれば予想外にも程があった。ヒーローとはいえ相手は子ども。このスーツがあれば一捻りだと思っていた。
だが、実際はどうだ。目の前では同じスーツを纏った同胞が次々とヒーローに倒されていく。それもハンマーヘッドでも知っているようなA級、S級ヒーローではなく、無名のC級、B級ヒーローと思わしき者達にだ。
もう残りの者達も少ない。彼らがヒーローにやられるのも時間の問題だろう。
「〜〜〜〜〜っクソッタレがあああああ!!」
「「「!!」」」
ハンマーヘッドはスーツの力を限界まで引き出し、膨張した両腕を地面に叩き付ける。すると今までの比ではない衝撃が走り、アスファルトの地面は破片が浮かび上がる程に粉々になった。
「よくもここまでやってくれたなお前らァ!!絶対に生かして返さんぞォ!!」
そしてハンマーヘッドは両腕をぐるぐると回すと―
「食らえ!!グルグルアターック!!」
―何の捻りもない技名を叫び、ユウジに突進する。
技名と内容はバカバカしいものだが、威力は間違いなく本物だ。食らえばユウジであっても痛いで済むレベルでない事は分かる。
「ッ! 二人共頼んだ!!」
真正面からではリスクがある。一応潜り抜けられない程ではないが、確証はないのでユウジは頼れる仲間に協力を求める。
「ああ」
「私を賑やかしにするんだから、キチッと決めなさいよ!!」
メグミは端的に、ノバラは自分なりの激励をユウジに送って援護に回る。
「フン!今更お前達如きに何が…」
「あんまりナメんじゃないわよ。“簪”」
「!? ウオオオッ!?」
何をするつもりなのかと訝しんだハンマーヘッドに対してノバラは指を鳴らす事で返答する。
ノバラの術式―“芻霊呪法”は釘を利用した術式。釘に呪力を込めたトンカチで飛ばし、藁人形―人形を打ち抜く事で対象にダメージを与えたり、時間差で釘に込めた呪力を炸裂させる事ができる古来より受け継がれて来た術式である。
その内の一つである“簪”は、釘に込めた呪力を任意のタイミングで炸裂させるもの。ノバラは地面に落ちた釘の呪力を炸裂させ、その衝撃でアスファルトの破片を巻き上げる事でハンマーヘッドの目眩ましとしたのだ。
(だが、あの小僧がいたのは俺の延長線上!このまま突っ込めば行ける!!)
「ウオオアアアアア!!」
目を瞑りながらもハンマーヘッドは腕を回転させたままユウジがいたであろう場所に突っ込む。
グニッ
「あ?」
ハンマーヘッドは何か柔らかい物を踏んだような感覚に思わず足を止める。さっき見た時は特に何も無かった筈だが―
「ゲコ」
―足元にいたのは黒髪の少年が呼び出していたカエルだ。そしてその付近にユウジはいない。
「そんな馬鹿なっ!!あの小僧は確かに俺の―」
ハンマーヘッドが慌てながら後ろを振り向くと―
「━━━━━━━━━━」
―目の前まで拳が迫っていた。
バキィ!!
ユウジはそのまま拳を振り抜いてハンマーヘッドを殴り飛ばした。ユウジのパワーはその一般人と変わらない体躯に対して凄まじいものである為、ハンマーヘッドも一撃で気絶させる事ができたようだ。
「ふぅっ、ありがとう二人共。助かった」
「…正直“蝦蟇”で放り投げたのに着地できた方に驚いたんだが」
「しかもこのハゲも一発で気絶させるとか…アンタ本当に人間?」
「俺なんでキッチリ仕事しただけなのに引かれてんの?」
ユウジは爽やかな表情で礼を言うが、メグミとノバラはユウジの凄まじい身体能力にドン引きしていた。
ちなみにユウジがハンマーヘッドの背後に回れたのは、ユウジの側にメグミが蝦蟇を呼び出し、蝦蟇が舌でユウジを思い切り放り投げた事でハンマーヘッドの背後に回ったのである。
その勢いは相当なものであり、思わずメグミですら「ヤバイか?」と思ったのだが、あっさり着地したユウジを見てその身体能力の高さに戦慄したわけである。
「で、この後どうすんの?」
「賞金首は警察に引き渡す。怪人の処理はともかく、賞金首は“人間の”犯罪者だからな。その辺はヒーローじゃなくて警察が処理するんだよ」
「あ、流石に人間関連は警察がやるんだ」
「ヒーロー協会は国が運営してるわけじゃないからな。S級ヒーローを筆頭に兵器クラスの人材を抱えてるから警察側との仲はあまり良くない」
「へー意外」
ユウジはてっきりヒーローと警察は連携して怪人災害の対処に当たっているのかと思っていたが、現実はそうでもないようだ。
「ほら、お喋りはそこまでにしてさっさと縛るわよ。ポリ公に嫌味言われるのはウンザリなんだから」
「ああ、ごめんごめ…ってあれ!?いねえ!!」
「「は?」」
ノバラの言葉に振り返ったユウジが驚き、残りの二人が呆けた声を上げてユウジの視線の先を見ると、その場に気絶していた筈のハンマーヘッドがいなかった。
「おぉぉい!!テメェらがくっちゃべってる所為であのハゲ逃げちまったじゃねえかよ!!」
「ごめん!!今回はマジでごめん!!」
「落ち着け!今ならまだそう遠くには行ってない筈だ!俺の“鵺”で探せる!!」
ユウジの胸ぐらを掴んでものすごい勢いで前後に揺らすノバラを尻目にメグミは鵺を呼び出して空へ放つ。
「あの森が怪しい!急ぐぞ!!」
「今度はマラソンかよチクショー!!」
「俺先行ってる!!」
「あっ、おい!」
メグミが逃げ先に見当を付けると、ユウジが二人を追い越して一気に遠くへ行ってしまった。
「…つくづく思うけど、アイツ本当に人間?」
「…多分な」
メグミとノバラは何とも言えない顔でユウジの後を追った。
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「どこ行ったー?」
ユウジは森の中に入っで周囲を見渡し、ハンマーヘッドを探していた。メグミが怪しいと言ったから勢いで入ったものの、ひょっとしたら“スカ”の可能性もある。あの特徴的なハゲにスーツは街中だと目立つと思うが、ひょっとしたら逃げ切ったのかもしれない。
それはマズい。ノバラに何を言われるかたまったものではないと、ユウジが周囲を見渡していると―
「人…?」
―黒装束に身を包んだ線の細い人影が見えた。
明らかにハンマーヘッドではないが、ひょっとしたら目撃しているかもしれないと、ユウジは声を掛ける決心をした。
「おーい、そこの人!ついさっきこの辺をスーツを着たハゲの大男を見ませんでしたかー!?」
ユウジは大声で黒装束の男に呼び掛けると、あちらもこちらに気付いたらしく、ゆっくりと振り返った。
「…なるほど、貴様がハンマーヘッドを追い詰めたヒーローか」
「…!!」
冷徹さを感じる男の声に、ユウジは思わず足を止めた。
(…何だこの人。絶対ヤバイ…!!)
それは男から感じる圧倒的な殺気を感じ取ったからだ。ただ立っているだけにも関わらず、ユウジはこの男と戦えば間違いなく殺されると直感した。
「どれ程の者かと思えば…やはりハンマーヘッドがあの程度だっただけに大した事はないか…薄々察していたとはいえ興冷めだな」
「…そうか。で、そのハンマーヘッドはどこに行った?」
ユウジは冷や汗を流し、後退りそうになるのをグッと堪えてハンマーヘッドの行方を聞く。
「奴なら消えた。俺も依頼で奴の始末を承っていたのだが…先程止めを刺したかと思ったが奴の死体が消えた。そこから先は俺も知らん」
「そうか…ありがとう」
ユウジは手掛かりが消えてしまった事に落胆しながらも、礼を言ってその場を去ろうとする。が、その時―
「ユウジ!」
「! うぇっ!?」
―自身を呼び掛ける声と共に思い切り後ろに引っ張られた。そして目の前に白と黒の犬―玉犬と鵺が守るようにして立ち塞がった。
「メグミ!ノバラ!」
「ぜー…ぜー…本当に…速過ぎるだろ…お前…」
ノバラは相当全力で走ったのか、全身から汗を流し肩で息をしていた。
「…ハンマーヘッドは?」
「あ、あの人に聞いたけどなんか消えたらしいぞ。…何?知り合い?」
一方メグミは不自然な程冷静な声でユウジに質問した。ユウジはそんなメグミの様子に何か違和感を感じて知り合いかと思ったが、次に返って来た答えは予想外のものだった。
「知り合いというか知った顔だ。奴はS級賞金首の“音速のソニック”だ」
「…ほう、知っていたのか」
男―音速のソニックは正体を見破られても目を細めるだけで特に動揺する様子はなかった。それは強者故の余裕なのか、それとも何か別の思惑があるのかは、ユウジには分からなかった。
「そう怯えるな。今日俺が受けたのはあくまでも“ボディーガード”だ。“ヒーロー殺し”じゃない。見なかった事にしてやるから、とっとと失せろ」
ソニックの言葉にメグミは目を細める。だが、答えは決まっていた。ここでソニックを相手取る事以上に不都合な事などあるわけもない。
「…戻るぞ」
「…分かった」
「チッ…!」
メグミが端的に撤退の判断を告げ、ユウジは素直に従い、ノバラは不服そうに舌打ちしたが流石にソニック相手には勝ち目がない事は分かっている為、それ以上噛み付く事はなかった。
そうしてソニックとの邂逅を終え、三人は森から出た。
「…ハンマーヘッドどうする?」
「…しばらくはこの辺りの見回りを強化して、数日後にもう一度森の中を探そう。とにかく、今日はここまでだ」
「ちっくしょー!!結局今日振り回されただけじゃない!!あんの忍者ー!!」
三人は格上との遭遇によってかなり疲労しており、もうこれ以上探すつもりにはなれなかった。
苛立ちが頂点に達し、「ヤケ食いしてやるー!!」と叫ぶノバラとそれを諌めるユウジを尻目にメグミはハンマーヘッドの結末について考えていた。
(あのスーツ…ソニックも出処を知らないようだった。ハンマーヘッドとその仲間達もあんなレベルのものを作れるとは思えない。大金叩いて買ったのかあるいは…“裏”から調達してきたかだな)
メグミがハンマーヘッドの捜索を断念した理由は疲労だけでなく、更に厄介事を抱える事を防ぐ為だ。あのスーツが買ったものならまだしも、盗んだものなら間違いなく裏組織が絡んでいる。
そしてそのレベルまで行くと自分達では対応しきれない。ハンマーヘッドを追って見つけたとして、“報復”の瞬間に遭遇してしまっては自分達まで標的にされてしまう。最悪協会に泣き付く事もできるが、そもそも相手の規模も分からない以上撤退が確実だとメグミは判断したのだ。
ハンマーヘッドが見つけられるかは分からないが、どちらにしろ自業自得だとメグミは割り切り、結局帰りにファミレスに寄る事になったユウジとノバラの後を付いて行った。
なお、数日後の調査で結局ハンマーヘッドが就職活動をしている瞬間を目撃したメグミは、何とも言えない表情をするのだった。
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「噂には聞いていたが…あれが宿儺の器か。大した事なさそうだったな」
ヒーロー三人との邂逅を経て、ボディーガードの報酬を受け取って依頼を終えたソニックは隠れ家である廃ビル群に戻っていた。
ソニックは裏社会の人間で忍者である以上、情報収集能力には優れており、ヒーロー協会に宿儺の器がいるという事は掴んでいた。どれ程の者かと期待していたが、ソニックから見れば大した実力に見えなかった為、落胆したというわけだ。
「なんじゃ、
突然ソニックの目元から口だけが出現し、そこからはソニックとは違う快活な老人の声が響いた。
「ええい、出て来るな!鬱陶しい!というか貴様、宿儺は知っていたのか?」
「いや?知らんよそんな存在。じゃがあの童越しでも感じる事ができた強さは相当じゃな。力の一割もないだろうにあの強さ…全盛期を想像するだけで武者震いがするわい」
老人の声にソニックは少し目を細める。自身の実力、特に速さに関しては絶対的な自信を持っているソニックにとっても、宿儺の存在は大きい。
確かに器である少年は雑魚も良い所だったが、彼の肉体越しに感じる宿儺という存在は相当な威圧感を放っていた。それでも勝つのは自分だと信じて疑わないが。
「ふん、俺の邪魔をするなら消すまでだ。どうという事はない」
「にしてもあの童の持っていた小刀…悪くはないものじゃったなぁ…童自身の伸び代も相まって是非とも手合わせ願いたい」
「話を聞け老いぼれ!!」
「お前ももっと刀を振れい。速さも良いが剣術を磨かねば相手を斬る事はできんぞ」
「黙れ!!俺に命令するな!!」
そしてソニックは自身の中に居座る刀狂いの同居人としばらく口喧嘩を繰り広げるのだった。
キャラと展開多過ぎてわりと難産だったけど書き切れて良かった…
・ユウジ(虎杖悠仁)
やっぱりゴリラ。虎杖特有の俗っぽさを出すのってわりと難しい…
・メグミ(伏黒恵)
知識豊富で冷静だから伏黒主観にするとめっちゃ進めやすい。式神を組み合わせた戦闘書くのも楽しかった。原作でもそういうの見せて…(願望)
・ノバラ(釘崎野薔薇)
男二人と違って動く事はできないけど芻霊呪法で悪さできる。連携書くなら普通に書きやすい。新田ァ!!私はまだ期待してるからな新田ァ!!!
・ハンマーヘッド
普通に生きてる。原作と違って部下がソニックと遭遇してないので全員生存。カットしたけど“組織”の追手とも遭遇してます。普通に死んだふりで凌ぎ切った。
・音速のソニック(関節のパニック)
今作だとどう動くか作者も予想できない男。ハゲ(ハンマーヘッドじゃないよ)と出会ってないので原作のような強さになるかは不明(強くならないとは言ってない)。なんか中にいるらしいね。
・ソニックの中の居候
ソニックの中に住み着いてるお爺ちゃん。刀が大好き。ソニックにはもっと刀を振ってほしいと思っている。
こんな感じですね。次回は多分隕石になるかな…?ゆっくりお待ち下さい。
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
明かされた全貌!殺し合いはどっちが強い?
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五条悟(不意打ち虚式なし、縮小領域アリ)
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宿儺(完全体、十種、術式情報なし)