【呪術廻戦✕ワンパンマン】ハゲの代わりに呪われた人達がやって来た 作:サクラン
それではお楽しみください。
「━━━━━ッ!!」
スティンガーがやられたとユウジは判断した瞬間、深海王に向かって全力の蹴りを叩き込んだ。少しでも怯ませ、時間を稼ぐ為に。
(ここまで近付かれたらもう逃げられねえ。お前も死にたくねえなら協力しろよ宿儺!)
そう、ユウジの狙いは宿儺を呼び起こすことで深海王を撃破する事だった。A級ヒーローの中でも上位に位置するスティンガーが反応もできずにやられた時点でレベル“鬼”はある筈だ。ヒーローランクは必ずしも実力を示すものではないとは言え、ワンランク上でなお通用する程の実力を持っているのは各ランキングの1位のヒーローぐらいだろう。
そうなれば当然、残ったユウジ達でどうこうできる相手ではない。精々時間稼ぎが限界であり、倒すにはS級ヒーローの協力が必要になる。
だが、この場にS級ヒーローはいない。故にユウジは苦渋の決断として宿儺を頼る事にしたのだ。サトルの予想が正しいのなら、現在の宿儺ならば深海王の実力をどれだけ高く見積もっても手も足も出ない、という事はない筈だ。深海王の強さがレベル“鬼”の範疇を出ないのなら倒す事もできる。その予想は、決して間違っているとは言えないだろう。
しかし、それは―
「断る」
「!」
―宿儺がユウジの意見に賛同すればの話だ。宿儺はユウジを嘲笑い、端的に否定の言葉を言い放った。
「お前の中の俺が終わろうと斬り分けた魂はまだ18もある。しかし腹立たしい事にこの身体の支配者は俺ではない。代わりたいのなら代わるがいい」
「しかしその時はそこの
宿儺は下衆な笑みを浮かべながら恐ろしい事を誓言する。実際宿儺からユウジに代わるまでは僅かだが時間が掛かる。宿儺ならその僅かの間にマキ達を殺す事も不可能ではないのだろう。
「そんな事俺がさせねえよ…!」
「だろうな。だが俺にばかり構っていると―それこそ仲間が死ぬぞ?」
「何話してるのかしら?」
「“止まれ”!!」
「!?」
宿儺が面白がるようにユウジに忠告すると同時に、深海王の薄ら寒い恐怖を感じる声が掛けられた。そしていつの間にか迫っていた深海王の拳がユウジを捉える直前にトゲが呪言を言い放ち、深海王の動きを止めた。
「ユウジ!走れ!」
「! うす!」
「パンダ!スティンガーさん抱えて逃げろ!」
「あいよ!」
そして深海王の動きが止まったと見るやマキが指示を出し、全員で一斉に駆け出して深海王から距離を取った。
「…ユウジ、さっきのがお前がヒーローやってる理由か?」
そしてマキは第一声に先程の会話の内容―宿儺について切り出す。B級以下のヒーローには、ユウジが宿儺の器だという事は知らされていない為、当然マキ達も初めて知った形である。
「まあ、そっすね。宿儺っていうバケモン飼ってるんすよ」
「そんな軽く流していいモンでもねえだろ。しっかしそりゃあ大変だな。上の奴らからも目付けられるだろ」
「しゃけ、ゴホッ」
だが、マキ達はユウジが宿儺の器だと知っても特に恐れる様子もなく、ただ「大変だな」というその身の上に同情するような反応を見せた。
「あの、怖がらないんすね」
「ああ?まあそりゃやべぇとは思うけどよ。そういう実はやべぇ奴でしたパターンは知り合いにもいるからな」
「暴れてるならともかく、今のお前にビビる事はねえよ。上から目付けられてるのはお互い様だ」
「しゃけ!」
「…ありがとうございます!」
ユウジは嬉しかった。こうして自分の存在を受け入れてくれる事が。覚悟はしていた。ヒーローである以上、自分は疎まれる、恐れられる事が当然だと思っていたから。
それでもやっぱり、こうして自分を“宿儺の器”ではなく“ユウジという人間”として見てくれるのは、嬉しい。
だからこそ―
「先輩、全員で逃げてくれませんか?」
「ああ?」
―この人達には死んでほしくないと、ユウジは思った。
「とにかく限界まで距離を取って、環境が整ったら合図出して下さい。そしたら宿儺に代わって―駄目だ…!」
ユウジの言葉に割って入ったのはスティンガー。深海王からもらったダメージが回復しきっておらず、息は絶え絶えであり、顔色も悪い。だが、その表情からは真剣さが見て取れた。
「いくら
「う…」
スティンガーの言った事は確かに正論だった。ユウジは一度抑え込めたから大丈夫という風に思っているが、同じように抑え込める保証もない。
何よりスティンガーはヒーローとして呪術にもユウジより長く携わっている為、足し引きの観点から“宿儺を自分の目的の為だけに利用する”事で発生するかもしれない不都合を警戒していた。
ただでさえ災害レベル“鬼”相手という手で余る相手をしながら宿儺という爆弾を扱う事は非常に危険だ。もし最悪のパターンを引けば自分達はもちろんJ市の市民も鏖殺される事となる。
「忘れるな…俺達の役目はあいつを倒す事じゃない…人々の命を守る事だ…!」
「でも、俺達じゃあいつは…!」
「分かってる…!けど、不幸中の幸いな事に、この近くにとあるS級ヒーローがいる。災害レベルも更新されてるからこっちに向かって来てる筈だ…」
「「「!」」」
スティンガーの発言に四人は目の色が変わる。S級ヒーローが援軍に向かって来ている。これ程の朗報はない。S級ヒーローは規格外と称される程の戦闘力を持っている者達の集まりである為、最低でも災害レベル“鬼”相手でも戦えるだけの実力があるとされている。
つまり―時間さえ稼げば、十分な勝ちの目が出て来るという事だ。
「じゃあ、今のアタシらの役割は…」
「ああ、S級ヒーローが到着するまで全力で時間を稼ぐ事だ…!!」
スティンガーは息を荒くしながらも、はっきりと皆にやるべき事を告げた。
「基本的にはトゲの呪言を軸に…引き気味に戦いながら引き付けるぞ」
「まあそれで良いとは思うんだが、あの魚追い付けるのか?もうかなり走り続けてるが…」
「なぁに話してるのかしら?私も混ぜなさいよ」
「「「!?」」」
パンダが深海王が付いて来ているのか確認しようと後ろを振り向くと、眼前まで深海王が迫っていた。
「くぁwせdrftgyふじこlp!?」
パンダは驚愕のあまり奇声を発しながらも咄嗟の反応で拳を叩き込む。が、深海王はあっさりと水かきの付いた掌でパンダの拳を受け止めてしまった。
「なっ!?―ゴハァ!?」
「パンダ先輩!」
そのまま返す拳で巨大な拳がパンダの身体を貫き、ビルまで吹き飛ばした。
「“止まれ!!”」
事態を把握したトゲが呪言を言い放ち、深海王の動きを止める。動きが止まったのを見て即座に動いたのは、スティンガーとマキの二人だった。
「ギガンティックドリルスティンガー!!」
「━━━━━━━━━━ッ!!」
スティンガーはタケノコを突き出し、マキは大刀で深海王の身体を何度も斬り付ける。だが、それ以上の攻撃は加えず、すぐに踵を返して走り出した。
「ユウジ!走れ!」
「でも、パンダ先輩が!」
「あいつはあれじゃ死なねえよ!とにかく今は距離を取れ!」
マキがユウジを引っ張り、ユウジは吹き飛ばされたパンダを心配するが、マキは心配ないと言い切りそのまま走り出す。だが―
「また逃げるの?もう追い掛けっこは飽きたから遊んでくれないかしら?」
「ッ!」
―これ程近い状態では深海王から逃げられなかった。格上である以上呪言の効き目や効果の持続時間も短く、とても逃げ切れるようなものでもなかった。
「止まっ―」
それでもマキへの攻撃を止めようと、トゲは呪言を放とうとするが―
「あなたは邪魔だから、死んで構わないわよ」
「ガッハ…!」
―既に呪言によって動きを止めてくるのがトゲだという事を学習していた深海王は呪言を言い切る前にトゲを殴り飛ばした。
「トゲ!クッソ!!」
マキは歯軋りしながらも大地を踏み込んで最速で深海王に迫る。彼女は
「あら、良い動きね」
バギィ!!
「グッ…!」
―レベル“鬼”となると相手が悪い。深海王はマキの攻撃を目で追いつつも避ける事はせず、その上で攻撃をあっさりと受け止めると返す拳で殴り飛ばした。
「マキ先輩!」
「ユウジ!余所見してる場合じゃねえ!来るぞ!!」
「さて、もう残りも少なくなってきたわね。精々楽しませてくれるかしら」
「ナメた事ぬかしてくれるじゃねえか…!その面ブチ抜いてやるよ!!」
「ッ…!!」
スティンガーとユウジは同時に駆け出し、タケノコと拳を振るう。だが―
「愚かね。敵わない事は知ってるでしょうに」
「ウゴ…!」
「グッ…!」
―やはりどちらもあっさりと受け止められると、スティンガーは地面に叩き付けられて気絶し、ユウジは巨大な掌で捕まえられた。どうにか脱出しようと藻掻くが、深海王のパワーには敵わない。
「あなた、他の三人と違って私を恐れていたわね。そうでしょう?」
「…!」
深海王は突然ユウジに語り掛けるが、その内容はユウジにとっては事実だった。
(そうだ。いつもの俺なら、さっきマキ先輩と一緒に仕掛ける事もできた筈だ。いつもなら、あの一歩は躊躇なく踏み出せた。それができなかったのは―)
―恐怖を感じていたからに他ならない。
「必死に強がって可愛いわね。でも安心して良いわよ。ちゃぁんと美味しく味わって食べてあげる」
「〜〜〜〜〜ッ!」
深海王の口が開かれ、凶悪な牙と生臭い口臭が漂う。ユウジは必死に藻掻くが、やはり深海王のパワーには勝てず、腕も一緒に掌の中に収まっている為抵抗もできない。
(クソッ!何とか抜け出す方法を考えねえと…!!)
ユウジは声に出さずとも全力で頭を回して脱出する方法を考える。だが、その脳裏には別の考えも渦巻いていた。
(嫌だ。死にたくない。辛い。なんで俺が!!あの時俺が指なんて拾わなかったら!!喰わなかったら!!)
(考えるな!!)
(嫌だ!!もう嫌だ!!逃げたい!!逃げたい!!死にたくない!!ここで死んで!!死んだとして!!それは“正しい死”か!?)
(考えるな!!)
「考えるなあああああ!!」
脳裏に思い浮かぶ恐怖や後悔に塗れた思考を打ち消すべく、ユウジは叫ぶ。しかし叫んだ所で状況が好転する筈もなかった。
「ふふ、良い声で鳴いてくれるじゃない。それじゃあ、もっと色んな声が聞きたいわねぇ」
深海王はユウジの叫び声を心底心地良さそうに聞き、喰らおうと口を開いた。そしてユウジの身体が深海王の口に収まる直前に―
「
「稲妻大車輪かかと落とし!!!」
―白黒の巨体の掌打と、黄色の髪の青年のかかと落としが深海王の頭部に炸裂した。
「………ッ!」
深海王は少し効いたかのように身体が揺らぎ、その隙にユウジは抜け出した。攻撃を加えた二つの影は、ユウジを守るように正面に立ち塞がった。
「…ヒーロー、イナズマックスだ。立てるか?」
「よう、ユウジ。なんとか生きてるみたいだな。大丈夫か?」
「…はい、なんとか…パンダ先輩…ですよね?」
イナズマックスはTVなどでも少し見覚えがあったのだが、パンダは明らかに体色以外が異形と化していた。
人間で言う所の腕が非常に太く、逞しくなっており、腕以外も全体的に筋肉質になっている為、腕を接地して歩く様はまるでゴリラのようだった。
これがパンダのもう一つの姿―
「まあ訳あって今はゴリラなんだ。気にしないでくれ」
(宿儺の器か…思った以上に普通の高校生っぽいな)
―パンダ(ゴリラ)は見た目こそゴツくなったものの、中身は相変わらずのようで、ゆるく会話を交わしつつ、イナズマックスは初めて見る宿儺の器に内心興味を惹かれていた。
「…あら、また新しい兵隊さんが来たのかしらぁ?」
だが、長く会話をする事はできない。もう深海王は立ち上がり、特にダメージが後を引く程受けたわけでもないようだった。
「…マジか、
「ほとんど効いてねえみたいだな…こりゃどうしたもんか」
二人は深海王の硬さにいい加減苛立ちを通り越して感心を覚える程になっていた。
「…退かないんですか?」
ユウジは何となく聞いてみた。ヒーロー歴がそこそこある二人なら、今の一撃で深海王に敵わない事は十分理解できただろう。このまま戦い続ければ運が悪ければ命を落としかねない。何故死ぬかもしれないのに戦う事ができるのか。
「…退かねえよ。俺達が逃げたら一般人を狙うかもしれねえからな」
「ま、言いたい事は何となく分かるけどな。でも、これが俺達の選んだ道なんだ。やるしかないんだよ」
「…!」
ユウジの問い掛けにイナズマックスは冷や汗を流しつつも覚悟を感じる表情で、パンダはユウジの言葉に一部同意しながらも逃げる事はせずに深海王と対峙し続ける。
(自分の選んだ道…やるべき事…そうか)
「「!」」
イナズマックスとパンダの言葉を頭の中で反芻させていたユウジは二人の間に並び立ち、拳を構える。
「…良いのか?死ぬかもしれねえぞ?」
「良いんすよ。どの道俺が死ぬのは既定路線だし、逃げた所でって感じですし」
パンダがユウジを軽く案ずるが、ユウジにはもう迷いはない。
「…もう、退きながら戦うっていう手は使えねえ。次の一撃で決めるつもりで行くぞ」
「おう!」
「うす!」
「最期の話し合いは終わり?」
並んで構えた三人に対して深海王はニヤつきながら聞く。構える三人とは対照的に構えるどころか力を入れる様子もない。
「ナメやがって…食らってから後悔すんなよ!!」
イナズマックスが叫ぶと同時にパンダとユウジも駆け出した。三位一体の攻撃が襲い掛かって来るにも関わらず深海王は棒立ちだ。何もできないと高を括っているらしい。
(ビビってちゃ話にならねえ。オーバーキルぐらいの心意気で行け!!)
(力を貸してくれ!!お兄ちゃん!!)
(ここで死んでも!!それが正しかったと言えるように!!憎悪も恐怖も後悔も、全部出し切れ!!拳に乗せろ!!)
イナズマックスは前方宙返りを繰り返し、ユウジとパンダはそれぞれの利き腕を振り上げる。そして―
「稲妻大車輪両かかと落とし!!!」
「
「ウオアアアアアァァァァァ!!!」
―三人の全力の攻撃が文字通り炸裂し、深海王は爆炎に包まれた。各々間違いなく最高の一撃と言えるものだった。深海王に対しては―
「無駄でしたぁ」
―全くの無傷だった。流血はおろか、かすり傷すら付いていない。
「弱いなりに頑張ったわね。お礼に三人まとめて食べてあげる」
「「「!」」」
そして深海王は目にも止まらぬ速さで三人を掴み取ると、ゆっくりと口元に運んで行く。三人共藻掻くが、ガッチリと掴まれていて脱出できない。ここまでか…と皆の心に諦めが過ったその時―
「ッ!!」
ドゴォ!!
「!?」
―巨大な影が割り込み、深海王を殴り飛ばした。それも今回は見て分かる程に深海王の顔が歪み、血を流していた。その拍子に解放された三人は、優しく乱入した影にお姫様抱っこで抱え込まれた。
「よく頑張ったな」
そしてダンディーな声が頭上から掛けられる。ユウジが見上げると、青ひげが目立つ割れた顎が目に入り、ファンキーなアフロヘアーに囚人服という明らかにヒーローの見た目ではないファッションだった。
だが、そのヒーローこそ、人類の最高戦力たるS級ヒーローに名を連ねる者の内の一人―
“S級19位ヒーロー ぷりぷりプリズナー”
「S級ヒーローぷりぷりプリズナー!アナタに会いに、脱獄成功!」
―最強の援軍が到着した瞬間だった。
やっと終わった!!次は絶対確認する!!(血涙)
・ユウジ(虎杖悠仁)
原作でも今作でも可哀想な目に遭う男。虎杖が曇るのは可愛いからね仕方ないね。一瞬突撃の場面は黒閃出そうかなとも思ったけど止めた。強くなれると良いね。
・マキ(禪院真希)
まだ半端なゴリラな為呪力への耐性がないのでワンパンでダウン。この世界でパーフェクトゴリラになれるかは不明。
・トゲ(狗巻棘)
頑張って止めようとしたけど流石に深海王へのスピードには反応できずにダウン。この世界ではもっと鍛えるかもね。
・パンダ
乙骨除いた二年ズの中だと一番バランスが良い気がする。パンダ核はダウンしたのでゴリラ核で活動中。何気に一級クラスの実力になればドラミングビートって強い気がする。
・スティンガー
前回のダメージが尾を引いてダウン。特に術式は持ってないです。後これはスティンガーに限らないけどA級ヒーローはほとんど黒閃経験してます。
・イナズマックス
格上足掻く姿が個人的に一番似合うヒーロー。一応まだ戦えます。
・深海王
何気にプロレス精神が強い怪人。そろそろ歩を進めようかな…と思ってた所に変態が乱入した。
・ぷりぷりプリズナー
個人的に一番化け物じみてるS級だと思います。次点はタンマス。今作でもきっとわけ分からん進化してる。19位なのは呪術キャラがS級に入って嵩増ししてるからです。誰がどのランクなのか予想してみて下さい。
本当にお待たせしました…次からはちゃんと投稿前に確認します…
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
明かされた全貌!殺し合いはどっちが強い?
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五条悟(不意打ち虚式なし、縮小領域アリ)
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宿儺(完全体、十種、術式情報なし)