【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】   作:風人雷震

113 / 131
アナタが思ってなくても

 

 

「揺れてるな」

「地下での戦闘が激しくなってるんでしょう。予想ではあと10分ぐらいで決着がつくはず…」

「そうなのか?」

「最短で、ですけどね…長くても1時間はかかるかと」

 

 

あ、メール…

 

 

「ドッポたちが組長さんを見つけました」

「1つは達成か」

 

 

それにしても揺れがすごい。マスキュラーか乱波肩動が暴れてんのか?今のところ(活瓶力也を除けば)着々と進んでる。だけど油断はできない。

 

 

「…トゥワイスさん、入中さんに繋いでください」

「分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電話が鳴った。裏口で作戦を実行してる血塗(アイツ)からだった。

 

 

「なんだ。作戦で変更でもできたか?」

『違います。不本意ですけど、入中さんの力を借りたいんです』

「不本意ってなんだ。不本意って」

 

 

相変わらず失礼なガキだと思う。

 

 

『……入中さん、エリちゃんを迎えに行ってください』

「!」

 

 

それ…は……

 

 

「…むりだ」

『なぜ?』

「おれは…お嬢、を、守れなかった」

『はい』

「お嬢を、地獄に置いたまま…生き延びちまって、」

『はい』

「オレ、は…」

『入中さん』

「お嬢を迎えに…行く、資格は……」

『言い訳は終わりましたか』

 

 

言い…訳…って

 

 

「あのなぁ!俺はお嬢のためを思って!!」

『どこがです?』

「お嬢は俺なんかよりヒーローに救われる方が良いに決まってる!!俺は、俺は…お嬢を見捨てたも同然の事をしたんだ。だから」

『死穢八斎會内でエリちゃんを守り続けたのは治崎廻の命令だったからですか?』

「違う!!」

 

 

違う。アレは俺が決めた事だ。治崎の命令じゃない、俺自身が決めたことだ!

 

 

『それが答えですよ』

「……」

『命をかけてエリちゃんを守ろうとした貴方だから頼むんです』

「なんで、俺に行かせようとする」

 

 

お前でも良いはずだ。お前のクラスメイトでも、ルミリオンとか言う奴でも、誰だって良いはずだ。なのになんで…そこまでして俺に行かせようとするんだ。この作戦が、戦いが終わるまでは俺は敵なのに!

 

 

死穢八斎會(じごく)で守ろうと動いていた貴方は間違いなく、エリちゃんのヒーローなんです』

 

 

どうしてお前は、

 

 

『今度こそ貴方の手で救い出してあげてください』

 

 

そこまでして…

 

 

ミミック(ヒーロー)

 

 

ああ…ずるい。本当にずるいよな。気持ち悪くて仕方なかった名前が、お前が呼ぶから…

 

 

『お願いします』

「……分かった」

 

 

お前が願うから、

 

 

「お嬢は任せろ」

 

 

応えたくなっちまう。

 

 

『入中さん…ありがとうございます』

「外道に堕ちた俺にできることならなんだってやるさ」

『……』

「あん?どうした?」

『貴方が思うほど、貴方は外道に堕ちてませんよ。少なくとも私はそう思っています』

「は?」

『ではエリちゃんよろしくお願いします』

「待て、さっきのはどういう」

 

 

ブツリ…と、通話が切れた携帯を呆然と見つめた。

 

 

ガンッ!!

 

 

「ちょっと!……何してんの?」

「マジでずるいじゃねぇか……!!」

「アナタ頭打ちつけておかしくなった?」

 

 

ジンジンと打ちつけた額が痛む。夢じゃなかったか。現実なのか。ああクソ…アイツはどれだけ人を狂わせれば気が済むんだよ。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。