【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】 作:風人雷震
踏まれた地雷
ただの偶然だったんだ。花畑孔腔が演説してる時に近くを通っただけ、本当にそれだけだったんだ。
「そこの方!」
俺が異形系だったからか、それとも立ち止まろうとしなかったからか理由は分からないが目をつけられた。
「コレをどうぞ」
「……異能解放軍?」
「ええ、未だ蔓延る異形差別に疑問を持ったことはありませんか?」
「そりゃ…あるが、」
「生まれ持った異能で差別される!なんと嘆かわしいことでしょう?!その苦しみから解放するために、異能解放軍は存在するのです」
賛同して欲しいのか捲し立てられる。兄ちゃんたちより先に会ってたら賛同してただろうけど、今の俺からしたら人それぞれだと思った。
「あっそう。俺、急いでるんで」
さっさと話を切り上げて、事務所に戻ろうとした。
「なぜだ」
「あ?」
「なぜ賛同しないんだ?キミは」
その言葉で理解した。コイツは口が上手い。その口の上手さに乗せられない奴は俺が初めてなんだろうな。ああ…めんどくせぇ
「俺はとっくに救われてんだ」
そう。俺は兄ちゃんたちに救われた。だから今度は俺が救う。
「ま、待ってくれ!」
呼び止められるが、無視して歩く。
「待ってくれよ、トカゲくん!!」
久しぶりに言われた単語。兄ちゃんたちに救われる前の幼少期に言われ続けた単語。その単語で忘れていた怒りが爆発した。
「トカゲじゃねぇ!!」
「ってことがあった」
「……え?それだけ?」
「どこからどう見てもヤモリなのに…酷いこと言うんだね。ソイツ」
「嬢ちゃん??」
「全くだ。トカゲとヤモリの区別もつかんとは…秀一が怒るのも仕方ない」
「ステイン????」
なんかドッポが困惑しているが、秀兄さんはどこからどう見てもカッコよくて可愛いヤモリ。花畑孔腔はそんな事も分からなかったらしい。
「仕事の合間に図鑑を見て、できることを増やそうと思ってるんだ」
「個性伸ばし?秀兄さんは真面目で努力家だね」
「ヤモリは種類によっては滑空したり、跳躍力が高かったりするからな。とても良い判断だ」
「だろ?」
できることが増えるのは良いことだよね。私の兄さんたちに後光が見える〜!マジ神〜!!
「「「なに…アレ」」」
「「ただのブラコン」」
「兄妹が仲良しなのは良いことですね」
「落ち着きすぎよジェントル!?」
「間違えただけで嫌われる花畑孔腔が可哀想に思える…」
「うーん…こればっかりは仕方ないんじゃないかな?」
「だな」
「え、お前らもアッチ側???」
「考えてもみなよ。今まで忘れてた怒りを呼び起こされて、ソレがトラウマ関係のものだったら…誰だって呼び起こした奴を嫌うだろ?」
「それは…」
「まぁ……」
「確かに」
「そう言うこと。だから花畑孔腔の自業自得。秀一くんに近づけさせないってことで良いの」
圧紘さんたちの話し声が聞こえる。そうそう、花畑孔腔を秀兄さんに近づかせない。今はそれで良いのだ。
「兄ちゃん、久しぶりに訓練つけてくれ」
「無論だ」
「差し入れ持って来ようか?」
ついでに私も訓練に参加したい。兄妹全員で訓練なんて中学生以来だもん!!
「良いぞ。なら力道も呼んでやろう」
「だなー」
その後、事務所全員+αでの訓練日程が決まった。ラブラバとドッポは文句を言ってたが、「自分の身は自分で守れ」と言う血染兄さんの言葉に反論できず、静かになった。
私は少しワクワクしながら、事務所を後にした。
「ヤモリは全長約10〜14cm程度。体色は灰色や褐色で、不鮮明な暗色の斑紋が入る。環境に応じて体色の濃淡を変化させることができる。全身が細かい鱗に覆われているが、背面にはやや大型の鱗が散在している。尾は基部に2〜4対の大型のイボ状の鱗があり、自切と再生を行うことができる。体は扁平で、壁の隙間などの狭い場所にも潜り込める……」*1
「トランペットの奴どうしたんだ。とうとう頭がイカれたか?」
「ヤモリの個性の子をトカゲって言ったら嫌われたんですって」
「……ヤモリはトカゲの一種なんだが…?」
「四肢には指ごとに1対の