【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】 作:風人雷震
「ステイン…良い加減寝ようぜ?」
「ダメだ」
「そう言わずにさ。無理したって余計に仕事が増えるだけだ」
「コンプレスくんの言う通りだ、ステイン。貴方はしばらく休むべきだ」
「そんな事をしている暇はない」
「「「……」」」
ラブラバにより身体強化されたジェントルが俺を拘束する。
「とにかく!仕事は一旦やめろ」
「何があったんだよ?ステイン」
「……」
「ハァ……話せ、血染」
「………夢を、見るんだ」
「夢?」
「家族が……血塗が死ぬ夢を…」
「いつからだ」
「2週間前…」
最初の夢は、血塗が生まれる前のものだった。お袋が病で倒れ、生まれるはずの命は散った。
次は、生まれても産声を上げずに消えていった。
その次は、病で。その次は災害で。その次は事故で。
夢の中の俺は毎回敵になって、AFOに殺される。眠るたびに変わるのは血塗の享年で、俺の結末は変わらなかった。
「血染が敵なんて想像できねぇな…」
「だから3時間しか寝なかったのか」
「それ、夢は夢でも悪夢って言うんだぜ」
「とりあえず寝なさい。出来るものも出来なくなるわよ」
「無理だ」
「なんで無理なんだ?」
「近づいてきているんだ。血塗の…今の年齢に」
眠ったら、見てしまう。血塗に起こる最悪を、死を。
「……一旦寝ろ」
「魘されてたら起こしてやるから」
「ホットミルクを用意しました」
「そこはハーブティーだろ…」
ジェントルからホットミルクをもらい、1口飲む。
「ハァ…」
「血染さん」
「なんだ。ジェントル・クリミナル」
「不安になったら、電話をかけたらどうでしょう?」
「は…?」
「貴方はヒーローである前に、血塗さんのお兄さんです。心配したら電話をかけて良いんですよ」
「そうだぜ?いくら周りにダチがいても、相談できる事は限られるんだ」
「血塗ちゃんだってお前を心配してる。訳を話せばこまめに電話だってくれるさ」
「そう…か」
立ち上がり、ゆっくりと仮眠室へ向かう。
「少し寝る」
「おう。仁、ついてってやって」
「はいよー」
仁に見守られながら、眠る。起きたら、血塗に、電話を…かけ………
ふざけるな返せ俺の妹を血塗を血塗の個性を奪うな返せ俺の大切なごめんな返せ何をしたすまない最愛をなぜだ返せ守れなかった返せ大切な護れなかった血塗もう1度血塗どこだ俺の会いたい今度こそ血塗俺が返事をしてくれすまなかった守るから殺す会いたい許さん声が聞きたいヒーローになれば血塗俺は何のために愛してるんだ許さん大切なんだ妹をAFOおのれコロス必ず何度でも俺が血塗を奪うモノ全て俺が血に染まってもアイツを俺がおのれおのれコロスコロスコロス殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す何度でも貴様を殺して
prrrrr
電…話……
「……?」
「ステインが起きたぞ!」
「汗スゲェぞ。タオル持って来たから拭きな?」
「酷い顔よ。しばらくはお仕事休みましょ?」
周りの声を上手く拾えないまま、血塗に電話をかける。
prrrrr…
『もしもし?どうしたの、兄さん』
……生きてる。あれは、夢だった。とても最悪な夢だった。
安心したからか、涙が溢れ落ちる。
『?兄さん?』
「夢を……見た」
『どんな夢?』
「お前が、死ぬ夢を…」
『それで怖くなったの?』
「ああ…」
『大丈夫。生きてるよ』
「わかってる」
『文化祭終わったら出かけようよ』
「ああ、秀一も誘おう」
『無理しないでね?』
「気をつける」
『また学校でね』
「……血塗」
『なぁに?』
「俺が守ってやるからな」
『……』
「?血塗?」
『私も、兄さんを守るからね』
そう言って血塗は電話を切る。
「ステイン、大丈夫か?」
「なかなか起きないから心配したぞ」
「まさか着信音で起きるとは……」
「仕事人間め」
ちゃんと、周りの声を…音を拾える。水を入れたコップを差し出され、受け取り、飲み干す。冷たい。体が汗でベタついてる。俺は、俺も…生きてる。
「しばらく休業だ」
「そうしな」
「文化祭、秀一くんと血塗ちゃんと3人で見て周りな?俺らが学校に事情説明しとくから」
もしも…アレが夢では無く、平行世界の俺の記憶だったら。アレが夢では無く、前世の記憶のようなモノだったら。俺は、託されてるのだろうか…
「ステイン?」
「まだ眠いか?」
「寝る前にご飯食べなさいよね」
コイツらを見て、俺は笑う。大丈夫だと、