【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】 作:風人雷震
昨日…兄さんが並行世界の兄さんを連れて帰ってきた。母と父も事情を聞き、自分の世界に戻るまでの間は私のお世話係ということになった。
「じゃあ、お願いするわね〜」
「……ああ」
「いってくる」
「いってらっしゃい!」
初日である今日、私は並行世界の兄さん……ステインと2人で留守番だ。もう一度言おう。2人で留守番だ!
「……」
「………」
空気が地獄!!
「あー……テレビでも見るか?」
「……」コクリ
「……ヒーロー特集で良いか?」
「うん」
電源の入ったテレビ。映っていたのはNo. 1ヒーローであるオールマイト。ステインは少年のようなキラキラとした目で、オールマイトの映る画面を見る。
私は……おそらく、死んだ魚のような目をしていると思う。背負ったものを1人で抱え続ける
「………」
オールマイトの手が届かない場所は必ずある。今もオールマイトに助けを、救いを求める声はあちこちで上がっている。なのに助けられない。当たり前だ。人は
「人間は神の失敗作に過ぎないのか、それとも神こそ人間の失敗作にすぎぬのか」
「……過去の偉人であるニーチェの格言か」
「全知全能の神ソロモンは人間であった。しかし、全知全能なのに何もしなかった。戦争が起きても、災害が起きても」
「全能ならばすぐにどうにかできそうだがな。全知だからこそ動けなかった」
「全てを知るということは、その後のことも知っているということ。何もしなかったのではなく、何もできなかった。ただ見守ることしかできなかった」
「それに国民は不満を持ち、ソロモンが死んだあと王国は分裂……」
「もしかしたら、この社会もそうなる」
「そう……かもな」
ニーチェの格言は的を射ている。人間に神は務まらないように、神に人間は務まらない。全知全能を生み出すからこうなるのだと思う。
「神のように崇めるオールマイトは人間で、必ずしも終わりがくる。終わりが来た時に、この社会は破滅へと進む」
「……」
「何のためにオールマイト以外のヒーローがいるのだろうと思う」
「……お前、本当に4歳児か????」
「一応4歳」
「早熟し過ぎだろ……」
「知ってるのは貴方含めて3人だけです」
「兄たちか」
「違います…不本意ですが、敵にバレたんですよ」
「?!危なくねぇか!?!!」
1人はテレパシーの個性を持つ同志。もう1人はパンドラ……後者が一番危険なんだよな…
「1人は要注意…というより、危険人物である事には違いない」
「ハァ……」
「……貴方は、」
「?」
「ヒーローを、人を……殺しましたか…?」
「嗚呼」
ああ…やっぱりそうなんだ。この人は、ステインは……もう、
「だが、別の方法でヒーローを殺すことを考えてる」
「へ?」
「お前の兄に言われた。ヒーローを殺すなら、社会的に殺せと」
「血染にぃが…?」
「俺の考えを否定しなかった。己も考えた事があるからと言ってな。しかし、肯定もしなかった。お前に、家族に迷惑をかけるからと…お前に深い傷を負わせてしまうからと言った」
「!」
兄さんは…なんとなく気づいて……?
「アイツが羨ましいと思った。それは、ヒーローになっていたからなのか、お前がいるからなのか…分からんがな」
くぅ〜〜……
「……ふっ、飯にするか」
「うどんが食べたい」
「多かったら残して良いからな」
「………」ウトウト…
「眠いなら昼寝するぞ」
「やだ…」
まだガキだな。いくら精神が大人であっても、年相応の態度をとる。この年だとイヤイヤ期だろう。こんなに眠そうにしていて昼寝をしたくないと言うには無理がある。
「俺が昼寝をしたいから一緒に寝るぞ」
「……良いよ」
昨日見た時は怯えていた。俺から血の匂いがしていたからだろう。普通なら怪我をしていると思うだろうに、この子供は俺がヒーローを殺したのか聞いてきた。よく見ている。よく感じている。とても賢い子供は、同年代の子供達からしたら異質に見えるだろう。
「ぅ……すぅ……」
「…あまり考え込むな。お前は子供らしく、自由にしていろ」
すでに社会の不安定箇所を把握している子供…体が精神に追いつけていない子供……そう、まだ子供だ。護られるべき子供。
この子供が、少しでも年相応に笑えるようになれば良い。ヒーローにならず、平和に暮らしていてくれれば……
気になる人は
「キンポウゲ 花言葉」
と検索してみよう!
ザミオクルカスとキンポウゲって毒があるって知ってた?