【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】   作:風人雷震

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疑問

 

 

「なあ、ステイン」

「何だ」

「何で俺らを雇ってくれたんだ?」

「それおじさんも気になってた。なんで?」

「………強いて言うなら、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の人生はクソだった。両親が死んで、親戚付き合いが無かったため引き取られず天涯孤独になって、16で住み込みで仕事をしていた。でも、事故で取引相手の親戚を撥ねてしまって会社を追い出された。俺に落ち度があったとするなら、運を持たずに生まれたことだった。

話し相手が欲しくて個性を使って自分を複製した。複製した自分が複製して、また複製して…そうして増えていった自分達。まるで王様気分だった。

ある日、銀行強盗をして来た分身が子供を連れて帰ってきた。

 

 

「……なんで子供…?」

「はじめまして、赤黒血塗と申します」

「え、あ…はじめまして、分倍河原仁です……?」

「何で子供なんて連れてきたんだよ」

「人質…?」

「何でお前が疑問系なんだ?」

「……成る程、自分自身を増やす個性ですか」

「いや、俺の個性は二倍。相手の情報が分かっていれば増やせる」

「何と便利で使い勝手のいい個性!素晴らしいです!!」

「そ、そうか…?」

 

 

誰かに褒められるのなんて久しぶりだった。褒めてくれた相手が子供だとしても、俺は嬉しかった。

 

 

「しかし…こんなに多いと脳がバグりそうですね。誰が本物なんですか?」

「「「「「それは勿論、俺……ア?」」」」」

「あらら」

「マジかよ…!?」

 

 

俺の複製達が暴れ始めた。本物は俺だと主張して、殴られて、消えて、このままじゃ危ない。せめて、せめてこの子だけでも逃さないと!

 

 

「あまり使いたくなかったんだけど…」

「おい、何して…」

 

ビイィィィィィ!!!!

 

「しばらくしたらヒーローが来ます」

「何でそんなに落ち着いてるの?!!」

「……慣れ、でしょうか?」

「慣れないで!?それは慣れちゃいけないやつだから!!」

「3歳の頃から敵には遭遇してるので…」

「……天に見放されてんのか…?」

「そんな事は無いと思いたいですね」

 

 

けど、こうやって話せてるのだから運を持っているのだろう。敵の遭遇率でプラマイ0かもしれねぇが。

 

 

「……そろそろですね」

「なに「血塗ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」が…?!」

「窓ではなくドアからの登場。そしてドアはお亡くなりになりました」

「誰?!!!!」

「私の兄です。ヒーローしてます」

「嬢ちゃんの兄ちゃん?!ヒーロー!?!?!!!!」

「貴様に義兄(あに)と呼ばれる筋合いは無い!!」

「俺もねぇよ?!!!」

 

 

その後、ステインは俺の複製達の腕や足を折って複製達を消していった。見ているだけで怖かった。複製達が消えた後、俺は捕まった。しかし、何故かすぐに釈放された。

 

 

「よお」

「ヒッ…!ステイン?!!」

「お前は今日からウチの従業員だ」

「へ……?」

「行くぞ」

「ちょ?!え、!?まっ…待って!?!!」

 

 

それからヒーロー免許を取得するための訓練が始まった。土日にはステインの弟の秀一が差し入れを持ってきてくれて、勉強は圧紘が教えてくれた。

血塗と会ってから運が上がったような気がした。そして、現在…常に疑問に思ってた事をステインに聞いた。

 

 

「………強いて言うなら、何となくだな」

「「は????」」

「え…何となくでおじさん達を雇ったの?!!」

「ああ、お前達は放っておくと危ないと思ったからな。先に見つけたのは血塗だし、血塗に聞いたら『良いと思うよ』と言われたしな」

「理由あるじゃん!?!!」

何となく危ない奴ら…って思ったから雇ったってこと!?!!酷くない?!!」

「俺はパトロールに行ってくるから留守は頼んだ」

「「待てやゴラァ!!!!」」

 

 

しかし、足の速さでステインに勝てるわけが無い。大人しく2人で留守番をすることにした。

 

 

「あれ?血染兄さんいないんですか?」

「おー!血塗ちゃん!!いらっしゃい!」

「ステインならさっきパトロールに行ったぜ」

「あらら…入れ違いになったか」

「聞いてくれよ血塗ちゃん!!ステインの奴、俺らを何となくで雇ったとか言ったんだぜ?!酷くない?!!」

「え?兄さんそんな事言ってたんですか???私が聞いた時はちゃんと理由あったのに……」

「「え?」」

「血染兄さん、敵でも雇えるなら雇うって言ってて、敵の情報をずっと調べていたみたいなんです。指名手配されてた圧紘さんや仁さんは目をつけてたみたいで『見つけたら俺のところで雇う!!』って言ってたんですよ」

「なんで……?」

「血染兄さんは一度、個性事故で並行世界の自分と出会ったんですよ。並行世界の兄さんは人を殺してた」

「「っ……!?」」

 

 

ステインが…人を……?

 

 

「自分も考えた事があったらしくて…欲に塗れたヒーローを殺して、オールマイトのようなヒーローだけの社会にする事…でも、私たち家族に迷惑をかけてしまうからってやらなかったらしいですけど」

「並行世界のステインは…やったんだろ?」

「だからなんだと思います」

「?」

「一つ間違えたら同じ道を辿っていたと自覚したから…そうなってほしくなくて、辿っていたとしても『まだやり直せる』って引き返して欲しくて…そのために2人を雇ったんですって」

「「………」」

 

 

俺ら……もしかして、

 

 

「「愛されてる……????」」

「信頼はされていますね」

 

 

ステイン…意外と素直じゃねぇな。

 

 

「差し入れ持ってきたんですけど、どれ食べます?」

「おじさん、コーヒーゼリー食べたい!!」

「プリンあるか?」

「どうぞー」

「「やったー!!」」

 

 

 

ハーデンベルギア

 

 

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