【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】 作:風人雷震
運が良かった。だって彼女を見つけることができた。
遠目からでも分かる。癖っ毛の黒い髪に赤く輝く瞳。昔と違うところは前髪の長さだろう。短くなっているから瞳がよく見える。
(可愛い)
自信が無いのだろうか? 伏せられた目がとても綺麗だ 他の女子とは違い声が少し低い 好きだ 隣の男は同じ中学なのだろう 羨ましい 同じ会場だと良いな 話したい 俺のこと覚えているだろうか? 忘れてても構わない
(…俺はこんなにも欲深い人間だったんだな)
彼女が入って行くのを見て、俺も会場へ向かう。
会場での席は後ろだった。彼女はどこにいるのだろうか?個性を使って探したいが…不審に思われるだろうから諦める。
しかし、天は俺に味方した。
実技試験会場で彼女を見つけた。大量の武器を持っており、精神統一をしているのを見た。
「ハイ!スタート!!!!」
プレゼント・マイクの声が聞こえると走り出す彼女…それを追いかけるように俺は走った。
そして見たのは彼女が木刀で1P敵を倒した瞬間だった。美しいと思った。思わず見惚れてしまった。
俺らが追いついてきたからか、彼女は個性を使って多くのポイントを取って別の場所に行った。仮想敵のみを串刺しにしており、俺たちへの被害は無い。
「好きだ」
俺は仮想敵を壊しながら個性を使って探索をした。音が聞こえる方に行くとすでに壊された仮想敵。折れた木刀が足に突き刺さっていたので彼女がやったのだろう。
「好きだ」
15分経過した。彼女は見当たらない。音が聞こえた場所に向かっても、仮想敵を数体壊し立ち去っている。まるで猫のようだ。可愛い。
「好きだ」
ものすごい振動…0P敵が出たのか。ここは撤退した方が良いだろう。
「………いや、彼女なら」
ああそうだ。彼女なら向かうはずだ。手伝わなければ。
ある程度近づいたが、彼女はどこに?
「そこの!マスクを付けた複数腕の!!」
「!俺か?」
「三節棍コレを使って0Pの足を潰せ!!」
「ど…どうやれば?!」
「ぶん回して叩きつけろ!!それは素の力によって威力が左右される!私は頭をやる!三節棍の届く範囲は潰せ!!」
「分かった!」
見つけてくれた。頼ってくれた。三節棍の使い方はあまり分からないが、彼女の言う通りぶん回す。
複製した腕を使って0P敵の足に叩きつけると叩いた場所が凹んでいた。成る程、確かに力によって左右されるようだ。一体彼女はどれ程訓練して
(嬉しい)
彼女が使っていた武器を使える。俺を見てくれた。俺を頼ってくれた。共に戦える。ああ…今日はとても良い日だ。
あっという間だった。制限時間もきて終了…そして、彼女から託された三節棍を壊してしまった……
(嫌われる……)
「大丈夫か?」
「嗚呼。その…すまない」
「?」
「コレを…壊してしまった」
「構わん」
「え…」
「お前は壊したと言ったが、物はいつかは壊れる。コレはその時が来たという事だ。お下がりだしな。長く持った方だ。ところで、壊れた時に怪我はしなかったか?」
「あ、ああ…してない」
「そうか。無事なら良い」
優しい。好きだ。
「……なあ、名前…教えてくれないか?」
「赤黒血塗だ。お前は?」
「障子…目蔵」
「障子、合格したら教室で会おう」
「ああ!!」
赤黒血塗…良い名前だ。素敵だ。話しかけてくれた。名前を教えてくれた。俺を呼んでくれた。
「好きだ」
好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ