【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】   作:風人雷震

37 / 131
皆んな大好きUSJ その後…

 

 

「血塗!」

 

 

俺は、胸に倒れ込んだ血塗の安否を確認する。先ほど吐いた物で喉を傷つけたのかゴロゴロと音が鳴っている。

 

 

「ステイン!」

「…ミッドナイト、血塗を病院に」

「ダメよ」

「ミッドナイト」

「このまま行ったら、貴方…ボルターを殺すでしょう」

「………」

「貴方が連れて行って。その方が血塗ちゃんも安心するわ」

「……すまなかった」

 

 

血塗を背負い、入り口まで走る。俺の心臓がうるさく鳴る。当たり前だ。妹が死ぬかもしれなかったのだ。GPSの反応が消えた時、俺はUSJに行こうとした。だが、他の奴らに止められた。振り解いて行けば血塗はここまでならなかったかもしれない。

 

 

「血塗…血塗…」

 

 

目の前で吐いた妹…涙を浮かべて苦しそうに、必死に異物を吐き出してた妹……

 

 

「ステインさん!」

「……力道…」

「血塗は…?!どうしたんだよ血塗!?」

「赤黒…!」

「ステイン、彼女は…」

「早く、病院に連れて行ってくれ。ハァ……ボルターと戦闘して、火傷が何ヶ所かある。そして、個性が暴走したのか、ハァ……剃刀を吐いて、喉に傷が…」

「「「「「っ!?」」」」」

「分かりました。同伴していただけますか?」

「ああ」

 

 

俺は血塗と共に救急車に乗せられ、病院へ向かった。俺は病院に着く間、血塗の手を…握ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ステイン」

「……婆さんか」

「彼女の様子はどうだい?」

「検査の結果、火傷は全て軽いもので、喉は深い傷はないとのことだ」

「そうかい」

「婆さん」

「なんだい?」

「俺は何で雄英にいるんだろうな」

「……」

「妹の危機に駆けつけられなくて、目の前で苦しそうにしていたのに、守るためにヒーローになったのに…俺はなんで、」

「そういうのは誰にでもあるさ。オールマイトにも、ね」

「!」

「今回は助かった。だけど、次はどうなるか分からない。それを踏まえて、アンタがどうすれば良いか考えな」

「………そう、だな」

 

 

流石に話し声がうるさかったのか、血塗の目が覚めた。

 

 

「血塗!」

「体力は大丈夫かい?」

「……寝ていたのである程度は回復してます

「無理して話さなくてもいいんだよ」

すみません

「はい、チユーーーー」

 

 

俺が出る前にやるなよ。何で婆さんが血塗にチューしてるとこを見なくちゃいけないんだ。

 

 

「………結構体力持っていかれますね」

「ペッツお食べ」

「あ、シンリンカムイ。私、ギャングオルカの入れ物持ってます」

「おや、ファンかい?」

「ギャングオルカに一度だけ会ったことがあります。不審者かと思って失礼なことしちゃいましたけど…。シンリンカムイは、どうやって水飲んでるのかなぁ…って気になりはしますけどファンではないです」

「そうかい。それじゃ、次の患者のところに行ってくるよ」

「はい、ありがとうございました」

 

 

相澤も重傷だったからな…

俺は椅子に座り、血塗を見る。

 

 

「……血塗、秀一や力道たちにメールしておけ。心配してたぞ」

「あ、分かった」

「メールしながらで良いから聞いてくれ」

「うん」

「ボルターが死んだ」

「……は?」

「護送車の中で死んでいた」

「自害?」

「分からん。だが、死因は感電による重傷不整脈のようだ」

「個性を使用した形跡は?」

「不自然なことに全くない。そして、一度だけ護送車が大きく揺れた時があったようでな。その時には死んでいたのでは?と言われている」

「………」

 

 

血塗の瞳が揺れている。何かを知っているのか?血塗を見つけた時、血塗はボルターが死なないようにしようとしているのを見た。今にも個性が爆発しそうな敵を助けようとしていた血塗を。

 

 

「ボル、ターは…ヒーローに、なれたはずなんだ」

「血塗?」

「個性事故のか、意図的かは分からない…でも私は前者だと思うんだ。己の個性で人を、殺してしまって、誰も助けてくれなくて、救ってくれなくて、夢を諦めてしまったアイツを…助けたかった……」

「だからといって…」

「…兄さん?」

「だからといって!お前が死にかける必要はないだろう!?」

「にい」

「どれだけ心配したと思ってる?!目の前で剃刀を吐いてたお前を見て!!俺がどれだけ不安になったと思っている!?!!」

「……」

「お前が…死ぬかと、目の前から消えるかと思ったんだ……」

 

 

怖かった。守ると決めた妹が死んでしまうかと思った。

 

 

「兄さん、私は助けられたんだよ」

「ハ……?」

「ボルターに、助けられたんだ」

「何を言って…」

「今日気づいたんだけどね?私の個性の金属変換は、欠けているんだ」

「欠け…」

「ボルターに触れた時にちょっと感電してさ…その後に吐いちゃって…今はすごくスッキリしてるから、ああ…何か欠けてるんだなぁ…って思ったの」

「それと、助けられたのがどう結びつくんだ…」

「あのままだったら内臓から刃物とか出てたかもしれなくて…」

「は?!!!」

「だから、結果的に助けられたんだよ。私は、ボルターに。兄さんを不安にさせて、心配させたのは…その、ごめんなさい。でも、私は自分の行動を後悔していない。私はヒーローになるって決めたんだ。例え、相手が敵であっても、私は助けたい。救いたいんだ。兄さんのように」

「!………もう、今回のようにならないでくれ…お袋達も心配していた」

「うん。ごめんなさい」

 

 

本当に…無茶をする妹だ。だが、そんな妹を守ると決めた俺も……ああ、アイツらが俺に注意するのはこういうことか。次からは、できるだけ無茶をしないように気をつけよう。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。