【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】   作:風人雷震

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極道とヒーローの卵

 

 

今日は振替休日で雄英はお休み。兄さん達は仕事があるらしいので、私1人で留守番……は、流石に寂しいので散歩をしているところだ。

海岸を歩いていると背後から肩を叩かれた。

 

 

「よ」

「入中さん。お仕事ですか?」

「あー…そんなとこだな。お前、昼飯は?」

 

 

この言い方…裏の方の仕事だな。

そう言えばお昼まだ食べて無かったな。

 

 

「まだですけど…奢りですか?」

「おう。予定が無いならチョイと付き合ってほしいとこがあるんだが…」

「怪しい所じゃ無ければ良いですよ」

「……俺、一応極道なんだけどなぁ」

「個性が無かった時代では警察と協力関係にあったりもしたらしいですし…極道だから敵と一括りにできないから敵予備軍になんてなってるんでしょう?でも、何も悪い事はしていなければ敵予備軍ではなくヴィジランテの方が納得いくし……」

「おーし!!飯行くぞ!!!!」

「うるさっ」

 

 

何かやったんだな…入中さんがって言うより、入中さんより上の立場の人かな?入中さんの立ち位置って中間管理職あたりかな?めんどくさそう…。

 

 

「何食いてぇ?」

「中華!!」

「良いぜ。美味いとこ教えてくれ」

 

 

私オススメの店に連れて行ってみた。外装はゆる〜い感じで中華料理店には見えないけど、味は本格。コレぞ本物の中華だ!的な味。癖になるんだよなぁ…この味。無性に食べたくなる時があるけど、量が多いから誰かしら連れてからじゃないと行けない。基本、家族を連れて来るんだけど…中学からは力道を連れて来ることが多かったな。

 

 

「美味っ?!!!」

「でしょ〜?」

「滅茶苦茶美味い……今度アイツら連れて来るか…?」

「定休日は水曜日と日曜日。稀に水曜日に開いてることがあるけど、その時は大体新メニュー作り。味見係をある程度確保するために開いてる」

「つまり?」

「他の客よりも先に新メニューが食える事がある」

「……明日水曜だよな?」

「うん」

「店主、明日開いてるか?」

「残念ながら休みだよ」

「クソッ!!」

「分かる。食いたいもんね〜誰よりも先に」

「クッ……おい、連絡先交換してくれ」

「私あまりココに来る事は無いよ。前は通るけど」

「店主ぅぅぅ!!」

「俺家電しか持ってねぇよ」

「キエェェェェェェ!!!八方塞がりかよ!!」

 

 

にしても、相変わらず客がいないな…もしかしてあの噂のせい?

 

 

「親父さん、あの噂はどうなったの?」

「あの噂?」

「ああ…アンタは知らないんだね。ウチの店は敵を匿ってるって噂が何処からか出ちまって……」

「はぁ?!!!」

「噂の出所は何となく分かるんだけどね…」

「?何処だ?」

「この店に立ち退きを言ってくる○○会社。ここ半年、ずーと立ち退け立ち退けって言ってくるんだって。この店が潰れれば立ち退く他無いと思ってるのかもしれないけど、近所の人や常連さんはあの噂は信じてないし、ここにはヒーローが来ることもあるから匿うなんて無理だろって思ってる人もいる」

「ヒーロー来んのか?」

「たまにだよ」

 

 

敵を匿ってるんじゃ無くて、敵が飯食いに来てるってのが正しいと思うけどねぇ。ま、あんな常識の無さそうな会社には何言っても無駄だろうけど。

 

 

「……○○会社…今日俺が行った所じゃねぇか?!」

「「は?!!!」」

「お前は俺が今日みたいに遠出する事があるの知ってるだろ?」

「う、うん…まぁ」

「ホテルに泊まると金がかかるから軽く泊まれる場所が欲しくてな…不動産も経営してるその会社が任せろって言ってきたんだよ」

「それが…」

「半年前だ……あ"ぁ〜マジかぁ…」

「気づいて良かったね」

「ウチでもこんな強引な立ち退きはさせねぇぞ…堅気の会社のはずなのにやり方が堅気じゃねぇ…!」

「なんだ。アンタも裏の(もん)か」

「アンタ?」

 

 

あ、そうか。入中さんは知らないんだった。

 

 

「この店、元々は反社の人が経営してたんだよ」

「????」

「親父さんは前店主さんにお世話になったらしいよ」

「おうよ!おやっさんの恩返しのためにこの店を守るって決めてんだ!」

「私の母の実家もヤーさんだよ」

「?!!」

「今は足を洗ってるから、元ヤーさんだけどね」

「血塗ちゃんとこの爺さん達には世話になったぜ…」

「爺ちゃんたち、食にうるさいからね…」

「ココは…ココにとって極道ってのは敵じゃ無いのか……?」

「むしろ恩人(ヒーロー)だろうね。その人たちのお陰で今があるんだから」

「ッ……」

 

 

入中さんは静かに泣いた。私と親父さんは入中さんが落ち着くまで話しかけることはしなかった。

 

「すまねぇ…」

「良いよ、別に。お昼奢ってもらったんだもん」

「……あー…約束の件なんだが…」

「うん」

「また別の日に頼むわ」

「どしたの?」

「やる事ができたんでな」

 

 

そう言って入中さんは来た道を戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日…兄さん達と中華店に行ったら親父さんがご機嫌だった。

 

 

「店主、今日はえらくご機嫌だな」

「おう!あの鬱陶しい会社の立ち退きコールがなくなったからな!!」

「やっとか…」

「まぁ、ここの奴らはあの噂信じてねぇしな」

「噂も撤回されて客も戻って来て万々歳だ!ホレ、血塗ちゃん。サービスの餃子」

「ずるいぞ店主」

「そーだそーだ!」

「うるせぇ!血塗ちゃんのお陰でもあるんだからサービスぐらい良いだろ!?」

「「???血塗、何したんだ?」」

「ん〜」

 

 

カウンターの奥で料理をガツガツと食べている見慣れた背中を横目で見て笑う。

 

 

「知り合いを連れて来ただけだよ」

 

 

 

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