【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】 作:風人雷震
「………っ…ん?」
ここ……病院…?
「血塗!」
「秀…兄、さん」
「良かった…!お前、丸2日寝てたんだ」
「マスキュラー…は?」
「タルタロスに収監された。兄ちゃんがお前を救出してる時に逃げられたが、お前のクラスメイトの…緑谷?が、戦闘して勝ったけど緑谷は重傷…そりゃそうだ。血狂いと戦闘したんだからな」
「私の、せいで…」
「…血塗のせいじゃない。兄ちゃんのあの行動が最善だった。あのまま戦闘してたらお前が危なかった。腕と足は折れかけて、肋は2、3本ヒビが入ってた。それに内臓破裂しかけてたんだ」
「失礼します」
「外に出てる。終わった頃には戻るから」
「うん」
ナースが来たから兄さんは退出した。2日間、ずっと見舞いに来てくれてたのだろう。それが少し嬉しかった。
「良いお兄さんですね」
「はい。自慢の兄さんたちです」
その後…血液検査、レントゲンなど一通り検査をした。
「安静にしててね。明後日にはリカバリーガールが来るから」
「……一応聞きますが、普通だったらどれぐらい安静にしてれば良いんですか?」
「骨の状態からして……2週間かしら?血液検査の結果次第で変わるわね」
「そうですか。ありがとうございます」
「良いのよ」
皆んなは無事だろうか?
「あ、お友達がお見舞いに来てたわよ」
「え?」
「「「「「良かった!赤黒も無事だ!!」」」」」
「2週間は安静だ」
「「「「「全然無事じゃなかった!!!」」」」」
「緑谷の容態は少し聞いてる。緑谷と比べれば無事だろう」
「手足骨折、肋2、3本にヒビ、内臓破裂寸前のどこが無事だ」
「秀兄さん」
ナースさんが教えたのだろうな。検査の終了間際、少し席を外してたみたいだから。
「赤黒のお兄さん?!」
「てことはステイン先生の弟?!」
「異形系なんだ」
「ヨッ、秀一さん」
「力道か。あとはクラスメイトだな。体育祭見てたから知ってる。俺は赤黒秀一。ヒーローステインの弟で、血塗の兄だ」
「ヒーローですか?!」
「一応免許は持ってるが基本、事務所から出ない。戦闘向きの個性じゃないし、俺は経営科卒業生だから戦闘経験は皆無に等しい」
「秀兄さんは雄英の経営科を卒業して兄さんの事務所設立を手伝ったんだ」
「だからデビューから事務所を持つまで年数かかってたのか」
血染兄さんだけでも事務所設立はできただろうが、効率重視してるからなぁ…秀兄さんが、兄さんが持ち帰ってた不動産の書類見て止めたんだよね。それほど酷かったらしい。秀兄さんのおかげで悲劇は回避できた。
「……」
「どうした?口田」
「ごめん……僕の、せいで……」
「…口田、あれが最善だった。2人で戦ってくたばるより、1人が逃げてヒーローを呼び、もう1人が時間を稼ぐのが最善だった。マスキュラーは私を狙っていた。お前が逃げてくれて良かったよ」
「でも!」
「逃げるは恥だが役に立つ」
「え?」
「逃げることは恥に見えるが、有効な解決策になり得ることがある。現にお前は兄さんを呼んでくれた。そして私は助かっただろ?」
「!」
「今の私たちはヒーローでも何でもない。あの時の戦闘許可は敵を倒すためじゃなく、自分の命を守り、逃げるためのものだ。どうしても逃げられる状況じゃない場合はヒーローが来る時間を稼ぐための戦闘許可だ」
「……そろそろ面会終了時間だ。血塗、また明日な」
「うん。また明日、秀兄さん。皆んなもまたな」
「ほらほら、お前らも出るぞー」
少し話しすぎて疲れた。ゆっくり休もう…リカバリーガールが来るまでに…体力を回復しないと、だし……
血塗の病室から出た俺は、血塗のクラスメイトたちについて行き、緑谷出久の病室に入る。緑谷出久は驚いてた。ま、そりゃそうだろ。顔も知らねぇ他人がいれば誰だって驚く。ステインと血塗の兄弟だと説明して、血塗と口田甲司の会話も聞かせた。
「さて…血塗に殆ど言われたが、一応俺、ヒーローっつー立場になるからな。緑谷出久、出水洸太を守ったのは賞賛に値するが、その後の行動が危険すぎる」
「……はい」
「血塗も言った通り、あの戦闘はお前たちが死なないようにするために許可された。マスキュラーとムーンフィッシュなどの凶悪敵がいたからだ。イレイザーたちは、お前らが自分の命を守って逃げ切ることを想定していたはずだ」
「それは……」
「現にお前は自分の体を見てみろ。マスキュラーとの戦闘でそれほど重傷を負ったのに何故動いた?自分の命を顧みない行動は返って足手纏いだ」
「………すみません」
「お前らはヒーロー志望の学生。仮免も持ってない学生だ。偉そうに言ったが…後援でステインたちの行動を見ているから、お前の行動が理解できなかった。仲間を助けようとする気持ちは素晴らしいが、お前らの行動が不利になることもある。分かったか?」
「「「「「……」」」」」
「言っとくが、爆豪勝己を救出に向かうとか言うなよ」
「なっ…?!」
「やっぱりか……兄ちゃんが予想してた通りだな」
「ステイン先生が?」
「俺は兄ちゃんから血塗の見舞いのついでにお前らの説教と釘刺しを任されただけだ。緑谷出久は爆豪勝己を救出しに行く可能性大って言われたからな」
同じヒーローに憧れているからこそ分かるんだろうな。オールマイトにならそうするって思って行動する緑谷出久を、兄ちゃんは心配している。いつか心身共に滅びそうになる行動理由だからな。
「何よりヒーローはとっくに動いてる。
「トゥワイス、Mr.コンプレス。状況は?」
『爆豪くんはこの2日間乱暴にはされてないよ。全くの無傷。違和感がない程度に止めてるからね』
『敵連合に残ってるのは死柄木弔、黒霧、トガヒミコ、荼毘、マグネの5人だ。トガヒミコとマグネ以外の3人は本名不明…外見で探してみたが、行方不明者リストにも合致しなかった』
『DNAが手に入れば探しやすいんだがな』
行方不明者リストに無ければ死亡者リストを探すしか無いな。脳無とかいう改造敵がいる連合だ。死亡者リストで合致してもおかしくは無い。
「お前らは他のヒーローが来るまで敵連合の妨害を頼む。無論、怪しまれない程度にだ」
『分かってるよ。何のためにここまで頑張ったと思ってるのさ?』
『けどよ、マスキュラーやムーンフィッシュがいたとなりゃ公安連中忙しくなるだろうな』
「俺らには関係ない事だ。依頼された仕事をやる。それ以上の詮索はしない」
『だな』
『言えてるね』
「お前らのおかげとはいえ、あの騒ぎで死亡者が出なかったのが奇跡だが…奴らの狙いは本当にヒーローたちの失脚か?」
『ラグドールと爆豪勝己を拉致って言ってたが…』
『爆豪くんは言動からのスカウトだね』
「ラグドールの拉致は防ぐことができたが、アイツはプロヒーローだぞ?拉致する意味が不明だろ」
『個性目的か?サーチって便利だからラグドールを洗脳してとか…』
「洗脳個性を持つ奴が敵連合にはいないはずだろ」
『
『なら個性をコピーとかか?』
『ソイツもいなかっただろ』
コピー…物間のような個性持ちか?
「いや、待て。爺さん世代に個性を奪う個性を持った敵がいたはずだ」
『爺さん世代ってことは、ソイツがまだ生きてたら確実にジジイじゃねぇか?!』
『落ち着けトゥワイス、個性は未知数だぜ?延命の個性とか若返りの個性とかあるかもしれねぇだろ』
『だとしても、50年経ってんだぜ?いくらなんでもあり得ねぇだろ?!』
個性を奪う個性…物語のラスボスのような個性を持つ敵だ。信じがたいが、それ以外にラグドールを狙う理由が見つからん。
「ストック数に限りがあり、使用できる回数が決まっているなら、トゥワイスの言う通りあり得ない。だが仮に、そのストック数に限りが無く、使用回数も定められていないとしたら?」
そう、1番重要なのは敵連合の背後の存在。いきなり現れた敵連合…珍しいワープ個性に、全てを崩壊させる個性を持った男。1度も引っかからないなんておかしすぎる。
「敵連合の背後に、そんな個性を持った奴がいるとなれば…」
『荒れる…どころじゃないね』
『暗黒時代に逆戻り…かもな』
「ああ。最悪の結末になるのは確実だ」