【急募】兄を敵(ヴィラン)にしない方法【リメイク】 作:風人雷震
「……ここか」
誰にもつけられていないことを確認しながら、俺はサー・ナイトアイ事務所に着いた。最近目をつけられてるヒーローの事務所に俺1人で行くのはリスクが高い。でも……
「……ッシ!」
意を決して中に入る。
「おい、サー・ナイトアイはいるか?」
「私だ」
「アンタが……」
「一体何のようだ?死穢八斎會本部長、入中常衣。いや、敵名で呼んだ方がいいか?ミミック」
「本名でいい」
「それで?何の用だ」
「助けてほしい」
「は?」
「死穢八斎會組長とその孫娘のエリを救ってほしいんだ」
「………詳しく聞かせてくれ」
「ああ」
俺は話した。今、死穢八斎會がやっていること、組長の状態、エリの個性…俺の知っていること全て話した。
「俺ら死穢八斎會は外道に堕ちた。だが、組長とエリは被害者だ。だから救ってくれ」
「……それだけか?」
「俺は組長とエリが無事ならそれで良い」
「……」
「本当にそれで良いのか?」
「くどいぞ。俺は死穢八斎會の仁義を汚した1人だ。それに、敵がそう簡単に堅気になれると思っちゃいねぇしな」
最近は堅気に憧れることがある。堅気ならアイツに触れれる。堅気ならアイツの名前を呼べる。堅気なら…
「……ま、そう言うことだ。お嬢を保護したらイレイザーヘッドを護衛にしてくれ」
「1つ質問をしても良いか?」
「なんだ」
「なぜそこまで最適なヒーローを知っている?調べた…というのも考えられるが、イレイザーヘッドはつい最近までマスメディアに極力出なかった。なぜだ」
「知り合いのガキに聞いただけだ」
「一般人か?」
「安心しろ、堅気だ。ヒーロー志望で大人顔負けの考えをする…クソ生意気なガキだ」
「……そうか」
「じゃ、次会うのは敵同士だ。あばよ」
ただの入中として見てくれる、息のしやすい場所を作ってくれるガキ…
ただその場所に長く居たい。そう思い始めたのはいつだったか…
「ああ……しくじった…」
横腹がジクジクと痛む。いや、身体のあちこちが痛む。油断した。完全に油断した。エリを逃がせると思ったのに…堅気のように笑えるようになると思っていたのに……
「……約、そ……く………」
アイツと交わした約束。また会う約束…
触れたい…呼びたい…会いたい…俺の……おれ、の……
「圧紘!圧紘!!救急車!救急車呼んで?!!」
「俺の個性使って病院行く方が早いでしょ!?急ぐよ!!」