星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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絶賛コロナ中……


宇宙食

さぁてフェルをご飯に誘ったは良いけど、どうしようかな。アードの宇宙食には二種類ある。

一つはカロ◯ーメ◯トみたいな栄養食で、スティックを一本食べれば1日に必要な栄養を補えて空腹も抑えてくれる優れもの。携帯食料の究極形だよ。宇宙に限らず、アードでは基本的にこれを食べてる。

 

 

 

地球より大きな惑星だけど、陸地面積は多分地球の半分くらいしか無いんじゃないかな。だから農地は限られてくるし、こんなものが開発されるのも必然なんだよね。新鮮な野菜とかお肉とかはお金持ちか貴族様しか食べられない。海洋資源は豊富だから魚はたくさん獲れるけど、庶民は基本的に栄養スティックとお魚かな。

 

 

もう一つはエナジーカートリッジと呼ばれるカートリッジをロボットに差し込んで生成される本格的な料理。もちろんお野菜やお肉もある。登録されている料理から自由に選べるんだよね。

これはエナジーカートリッジに内蔵されている素材を注文に応じて加工したもの。結構美味しいけど、新鮮なものには遠く及ばないし何よりエナジーカートリッジはバカみたいに高い。素材が高いんだろうなぁ。

 

 

 

カートリッジ1つのお値段は100万から1000万クレジット。質によって違いがある。

感覚的に1クレジットが1円と同じくらいだから、100万円。1つで100食作れるらしいから、1食1万円かな。

……庶民が手を出せる代物じゃないよ。調理ロボットも1000万クレジットくらいするし。

で、なんでこんなものを私が持ってるか。10年コツコツ貯めた給料をぶち込んだからだよ。

それでもエナジーカートリッジは一本しか買えなかったけどさ。しかも質が悪い一番安いやつ。

一番高いカートリッジは新鮮な食材と同じくらいに美味しいらしいんだ。いつか食べてみたいな。

 

 

 

まあ今回はフェルとの出会いを記念して奮発しよう。

 

 

 

「アリア、調理ロボット起動。料理は……」

 

 

 

あっ、忘れてた。私は振り向いてフェルを見る。

 

 

 

「食べられないものとかある?」

 

 

 

種族が違えば文化も違う。地球でも文化によっては食べたらいけない食材なんてあちこちにあった。

 

 

 

「特にはありません。ただ、私達リーフ人は森の産物が好きですね」

 

 

 

森の産物。野菜とか果物。いや、お肉も良いかな?後は……鶏肉とかどうだろう?

 

 

 

「分かった。じゃあサラダとフルーツゼリー。あと焼き鳥」

 

 

 

『畏まりました、ティナ。直ぐに作らせますね』

 

 

 

この調理ロボット、中古で古い型なんだけど私がちょっと改造した。いや、レシピを増やしただけなんだけどね。記憶にある地球の料理を食べたくて。

……味?お察しだよ。でも、栄養スティックより文化的だと思う。うん。

 

 

 

「焼き鳥?鳥を食べるのですか?ティナさん」

 

 

 

私の翼を見ながらフェルが遠慮がちに聞いてきた。あれ?もしかして共食い……?

……うん、深く考えないようにしよう。

 

 

 

「リーフ人は肉を食べないのかな?」

 

 

 

「いえ、星に居た頃狩りで仕留めて頂いていたとは聞いたことはありますが……」

 

 

 

「それなら問題ないね」

 

 

 

しばらく待ってると、まるで大きなレンジみたいな調理ロボットからサラダとフルーツゼリー、そして焼き鳥が盛り付けられたお皿が数枚出てきた。

取り敢えずフェルと二人でお皿をテーブルに並べて、フォークを用意した。飲み物は水。味気無いけど、贅沢はできない。

 

 

 

「じゃあ食べようよ、フェル」

 

 

 

「はい、ティナさん」

 

 

 

私がいざ食べようとすると、フェルが手を組んで眼を閉じた。

 

 

 

「大地の精霊の恵みに感謝します。我らの糧となり、次代へと命を紡ぐことが出来ることに感謝を捧げます」

 

 

 

あー、お祈りかな?一応私も待つとしようかな。

眼を開いたフェルは何処か恥ずかしそうにしながらサラダに手を伸ばした。それを見て私も笑顔を返してサラダを口に運んだ。

しゃきしゃきしてるけど、瑞々しさはないなぁ。敢えて言うなら前世で食べた野菜の缶詰に近い。

 

 

 

フルーツゼリーはジュースみたいなものかな。フルーツの色と香りを混ぜたもの。まあ、美味しいかな。

そして本命は焼き鳥。串に刺した様々な種類が目を楽しませてくれる。私が好きだった股肉とか胸肉。あと皮もある。タレは作り方が分からないから塩一択なのが寂しいけどね。

 

 

 

「これが、焼き鳥ですか?」

 

 

 

フェルは興味津々みたいだ。

 

 

 

「そうだよ。味付けは塩だから、さっぱりしてるよ」

 

 

 

「ど、どうやって食べれば?」

 

 

 

あー、分からないよね。戸惑うよねぇ。

 

 

 

「こうやって豪快に食べる!」

 

 

 

私は皮の串を掴んでかぶり付き、串を引き抜く。うん、味はまあまあかな?悪くはないと思う。

 

 

 

「え?え?」

 

 

 

私の食べ方を見てフェルは目をパチクリさせてる。なぁんか高貴な生まれっぽいし、もしかしたら抵抗があるのかもしれない。

 

 

 

「あー、フォーク使う?串から外そっか?」

 

 

 

食べ方を強要するようなことはしない。そんなの美味しくないしね。

私が取り皿を用意するために立ち上がろうとしたら、フェルが慌てた。

 

 

 

「待ってください!」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

フェルを見ると、目を閉じて何か覚悟を決めてるみたい。目を開いたフェルは。

 

 

 

「頂きます!」

 

 

 

私と同じように皮の串にかぶりついて、一気に引き抜いた。刺さらなくて何よりだよ。まあ、先端が尖ってないから怪我の心配はないけどさ。

……どうやって串に刺したのかな。不思議だ。

 

 

 

「美味しい!」

 

 

 

おー、目を輝かせてる。食べたことが無いんだろうなぁ。

 

 

 

「でしょう?じゃんじゃん食べよ?」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

お腹空いてたんだろうなぁ。パクパク食べる姿が可愛らしい。じっと見つめるのも悪いし、私も食べるけどね。

 

 

 

無言で食べるのもアレだから、私達はマナー違反にならない程度に雑談を交わした。まあ、主に星でどんな暮らしをしてたか。とかだね。

フェルはリーフ人らしく緑豊かな自然の中でのびのびと暮らしていたみたいで憧れる。出来れば惑星リーフを見てみたかったけど、今彼処はセンチネルに占領されてる。自然や動植物は遺されているだろうけど、リーフ人の生き残りは居ないんだろうなぁ。

惑星アードの話にも興味を持ってくれた。

 

 

 

「では、アードにもリーフ人が?」

 

 

 

「少しだけど居るよ。ちゃんと保護されてる。むしろフェルの事を知ったら皆が驚くと思う」

 

 

 

リーフ人は保護された人達以外は全滅したと考えられてるからね。

 

 

 

「それは楽しみです。ティナさんは戻らないのですか?」

 

 

 

「いや、戻る予定だよ?」

 

 

 

フェルを送り届けなきゃいけないし。まあ降りるかどうかはまたその時に改めて聞くとして、私は地球を見つけて文明を確認できたら一度アードへ戻るつもり。

報告もあるし、折角なら手土産があったほうが地球の皆さんも喜ぶと思うから。

 

 

 

私はフェルと楽しく食事をしながら、目的地の地球に想いを馳せた。

 

 

 

 

 この時フェルは嘘を吐いていた。産まれてからずっと開拓船暮らしだったが、規則によりその詳細を話すことが出来ない故であり、またティナ自身もリーフ人のことをそこまで深くは知らなかったからだ。彼女が真相を知るのは少し後になる。

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