星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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アリア『またさらっと重要なことを』

「これはなんですか?」

 

 

食事を続けていると、フェルが緑色の練り物みたいなものに興味を持った。日本の伝統、わさびだ。私は個人的に苦手だったりするけど、フェルがどんな反応をするか興味はある。

 

 

 

「わさびだよ。ちょっと辛いけど、食べてみる?」

 

 

 

「辛いのですか?では……」

 

 

 

フェルはお箸で器用にワサビを摘まんで口へ運んだ。ちょっとだけ味わうように咀嚼して……あっ、目を見開いた。涙が溢れてる。

 

 

 

「~っ!?????」

 

 

 

「あはははっ、フェルも苦手みたいだね。私もだよ」

 

 

 

《なんでワサビを知ってるんだろう?》

 

 

 

御一同の心の声である。

 

 

 

あー、お腹一杯食べたー。

前世以来の和食にテンションが上がりすぎてついつい食べすぎてしまったよ。いや、代謝の関係でこの身体でも前世の倍くらいは食べてしまうんだけどさ。

用意された和食は野菜と魚料理が中心だった。肉料理も問題はないんだけど、瑠美さんが言うには品質に自信が持てなかったみたいだ。この旅館が純和食を売りにしているのもあるだろうし、フェルはお肉より野菜が好きだから問題ないんだけどね。

ただ、流石にお刺身には抵抗があったみたいで残してたけど。

まあ、刺身が苦手な外国人も多いって話は前世でも聞いたことはあるしね。逆にお箸を使って遠慮無くパクパク食べてる私を不思議そうに見ていたから、ちょっとテンションに任せてやりすぎてしまったかなって反省してる。

いや、そうだよね。異星人が当たり前のように和食の食べ方やお箸の使い方を知ってたらビックリするよねぇ。

私としては前世以来のお米と日本食を堪能できたから大満足なんだけどね。

 

 

今は部屋で食休みをしてる。テーブルは片付けられて敷布団が用意されている。ベッドと悩んだみたいだけど、私が敷布団を要望してみた。

フェルは慣れない環境で疲れたのか少し横になってる。眠っている訳じゃなくて、ぼうっと部屋を見渡してる感じかな。

私は縁側に用意された椅子に座って、夜空を見上げながら回線を開いている。お相手は。

 

 

 

『そうか、実に君らしいエピソードだよ。だが、君が怪我をしたと聞いた時は耳を疑った。もう大丈夫なのかな?』

 

 

 

ジョンさんだ。時差の関係で合衆国はまだ早朝のはずなんだけど、心配して連絡してくれたんだ。ジョンさんとは個人的な連絡用の回線を用意しているからね。

 

 

 

「心配を掛けてしまってごめんなさい。どうしても助けたくて、ちょっとむちゃをしてしまいました。怪我は日本のお医者様が手当てをしてくれて、その後にフェルが治してくれました。その、治療の際に出たものは日本政府に提供してしまいましたけど」

 

 

 

『ああ、もちろん構わないよ。君自身の判断で提供したことなら文句を言うつもりもない。わざわざ教えてくれてありがとう』

 

 

 

「ジョンさんには全部伝えたいですから」

 

 

 

美月さんとは前世繋がりで特別な縁があるけど、それは二人だけの秘密。地球で一番信頼しているのはジョンさんだ。これだけは胸を張って言えるかな。

 

 

 

『ありがとう。日本はどうかな?おもてなしの国として有名だから、対応についてはそこまで心配していないけどね』

 

 

 

「とても良くして貰っています。合衆国とは何もかもが違うので新鮮です」

 

 

 

フェルは人種の違いに驚いていたかな。地球には大別すると黄色人種、白人、黒人の人種が存在するけど、アードやリーフには居ない。

それにフェルは開拓団で生まれ育ったんだ。他の人種なんて見たことがないだろうからね。

 

 

 

『そうだろう?地球には様々な風土や文化があるんだ。是非とも満喫してほしい。数日間滞在するんだったね?』

 

 

 

「そのつもりなんですが、明日には一旦合衆国へ行こうかと思っているんです」

 

 

 

『おや、何かあるのかな?』

 

 

 

今回の訪問では大事な使命もある。そのためにばっちゃんも一緒に来たんだからね。

 

 

 

「はい。実は、アードの政務局長からの個人的なメッセージを持ってきているんです」

 

 

 

宛先は地球の首長となってる。地球が統一政体を持たないことは知ってるはずなんだけど、ばっちゃんが言うにはその方が色々とやり易いみたいだ。

 

 

 

『政務局長?』

 

 

 

「えっと、地球で言えば大統領とか首相に当たる人かな?」

 

 

 

アードを率いているのはセレスティナ女王陛下だけど、政策のトップはパトラウス政務局長だ。

40歳くらいに見える渋いイケオジさんなんだけど、何とばっちゃんの弟さんだそうだ。アード七不思議のひとつであることは間違いないね。うん。

 

 

 

『アードの大統領からのメッセージ!?それは、親書と言うことかい!?』

 

 

 

あっ、ジョンさんがビックリしてる。

 

 

 

「親書と言う形はまだ取れませんでした。あくまでも個人的なものだそうです。宛先は地球の首長となっていますから、その事も踏まえてハリソンさん達とお話をしたいかなって」

 

 

 

センチネルの脅威を伝えたときみたいに、また国連の場で各国首脳陣に向けて再生した方が良いんじゃないかなって思ってる。

ばっちゃんは駆け引きに使えるとか言ってたけど、出来れば格差は生み出したくはないかなぁ。センチネルに立ち向かうには、一致団結しないと無理だからね。

 

 

 

『地球の首長か……それはまた難問を。分かった、大統領には私から伝えておくよ。詳しい話は此方へ来た時で良いかな?』

 

 

 

「お願いしますね、ジョンさん」

 

 

 

何故か胃が痛そうな顔をしてるジョンさん。また胃薬をとか考えてしまったけど、それはまたやらかしてしまうので自重した。私が提供したらジョンさんは拒まずに飲んでしまうかもしれないからね。私だって少しは学ぶのだ。

 

 

 

 

尚、いきなりアードの重要人物からのメッセージがあると伝えられ、しかも宛先は地球の首長であると知ったジョンさんと合衆国上層部は激しい頭痛と胃痛に悩まされることになる。しかし、ティナがその事に気付くことはなかった。

つまり、いつもの事である。

 

 

 

その後、身体を休めたフェルと一緒に大浴場も満喫。いささかテンションが上がりすぎたティナの振る舞いは日本人そのものであり、スタッフを困惑させて。

 

 

 

「ちょっ!待って待って!フェル落ち着いて!あっ……!」

 

 

 

深夜、色んな意味で満たされたフェルが若干暴走する場面も発生したが割愛させていただく。

翌日早朝、部屋へ直接転移してきたティリスに。

 

 

 

「昨夜はお楽しみでしたね☆」

 

 

 

「なっ!なに言ってんのさ!?ばっちゃん!」

 

 

 

と言われて良く分からず首をかしげるフェルと顔を真っ赤にして叫ぶティナが居たとか。




アリア
『色々と昂るものです。何がとは言いませんが』
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