星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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ティリスちゃんによる青虫退治

突如として現れたティリスを前にしてエージェント達はしばし動きを止めた。目の前に現れた宇宙人は、ティナともフェルとも違うからだ。

 

 

 

「なんだあの宇宙人は?」

「ゲストのどちらでもないぞ」

「いや、今回地球へやって来た新たなアード人だった筈だ」

「確か、ゲストの一人の妹だったか」

「警戒は怠るなよ」

 

 

 

小声で言葉を交わし、甲板へ降り立ったティリスへ向かってリーダーが一歩前に出る。

 

 

 

「アード人のお一人とお見受けする。私達はしがない漁師だよ。まあ、こんな真夜中に海へ出たから警戒されても仕方がないが」

 

 

 

エージェント達は万が一に備えて、漁師に似せた衣服を身に纏っている。

 

 

 

「漁師さんがこんな真夜中に、しかも明かりも付けないでどうやってお魚を釣るのかな?☆」

 

 

 

「地球の魚には特殊な種類が居てね、これで間違いじゃないよ。出来れば降ろしてほしいのだが、どうかな?」

 

 

 

言葉を交わしながらも、エージェント達はゆっくりとティリスを囲むように動く。暗闇の中ではあるが、ティリスは気にする様子もなく口を開く。

 

 

 

「まあ、武器を向けているから変なことしてる自覚はあるんだね?☆出来れば穏便に済ませたいんだけどなぁ☆」

 

 

 

「それはこちらも同じだよ。其方の用件を聞かせてほしい」

 

 

 

「昼間の事故現場から回収したお姉ちゃんのサンプル、それを今すぐに返してほしいなぁ」

 

 

 

「さて、何のことだか分からないな」

 

 

 

惚けるエージェントに対して、ティリスは足元を右足の爪先で二回ほど指す。

 

 

 

「三重底の下、具体的には私の真下にあるアタッシュケースの中身だよ?☆」

 

 

 

言い当てたティリスにエージェント達は動揺するが、リーダーだけは顔色を変えなかった。

 

 

 

「それも魔法と言うものかな?実に素晴らしい力だ。是非とも手に入れたくなるな」

 

 

 

「やめておいた方がいいよ、地球人には扱えない力だから☆」

 

 

 

「先人達は試行錯誤を繰り返しながら不可能を可能にしてきた。必ずやり遂げるさ。そうだ、我が国へ来ないか?合衆国や日本より遥かに良い待遇で迎えることを約束できるが」

 

 

 

「そんなお誘いに乗るわけないじゃん。私はお姉ちゃんのサンプルを取りに来たんだから」

 

 

 

「それは残念だ。出来れば手荒な真似はしたくなかったが」

 

 

 

ティリスを取り囲んだエージェント達が銃を向ける。

 

 

「そんなものを向けても意味は無いよ?それがわからないの?」

 

 

 

「君は知らないだろうが、地球人は諦めが悪くてね。そして知的好奇心が旺盛なんだ。目の前に未知の存在があれば、解き明かしたくなるのが性なんだよ」

 

 

どう見ても丸腰のティリスではあるが、エージェント達は油断無く狙いを定めている。

だが同時に、ティリスの雰囲気が変化したことに気付いた。

 

 

 

「はぁ……ティナちゃんは呆れるくらいにお人好しなんだよ。見ず知らずの地球人のために命を張るくらいにね。然るべき手段で誠意を示せば邪険にはしないし、断らない。なのに君達はこんな卑劣な手段を使って、ティナちゃんの行いを汚そうとしてる」

 

 

 

ティリスが一歩踏み出す。それに合わせるように、エージェント達も一歩下がる。

 

 

 

「私はね、ティナちゃんみたいに一生懸命頑張ってる素直な子が大好きなんだ。そして、そんな娘の頑張りを台無しにするような奴が大っ嫌いだ。もう一度だけ言う。ティナちゃんのサンプルを渡して」

 

 

 

「断る。我々にも使命がある。人類の、我が祖国の大義のためにも果たさねばならぬのだ。戦ってでも!」

 

 

「はぁ……地球人は好戦的だって情報にあったけど、間違いじゃなさそうだね。強者に膝を突くのは恥じゃないのに……まあ良いよ。私は君達を傷付けない。殺さないし、怪我もさせない。ティナちゃんのこれ迄の交流を台無しにしてしまうから。だから安心して良いよ」

 

 

 

周囲を囲むエージェント達の殺気が増し、場の緊迫感が頂点に達する。ティリスが静かに右手を掲げて、エージェント達が引き金に掛けた指に力を入れたその時、ティリスが口を開きマナを言葉に乗せる。

 

 

 

「ボルテージ」

 

 

 

 

 

AIのアリアです。ティナのサンプルを回収したエージェントの工作船をトラクタービームで拘束、隠蔽を行いつつ逃がさないように力場を形成。地球単位で高度一千メートルに固定。同時にマスターティリスが工作船へ乗り込みました。

私個人としては、今回の暴挙は到底許せるものではありません。地球側に断固とした抗議と牽制のために実力行使を提案しましたが、マスターティリスの方針は変わりません。曰く、地球人を物理的に害することは絶対にしないと。

銀河の反対側に位置する遥かに格下の文明でありながら増長を隠さない地球人に対して、何故そこまで配慮するのか理解に苦しみます。

しかし、ティナの努力を無駄にしないためと言われれば黙る他ありません。ティナをサポートするのが私の存在理由なのですから。

 

 

 

マスターティリスが工作船へ乗り込み数分が経過しました。この間に私はメインサーバーへアクセス。初歩的なプロテクトを解除して中身を全て吸い上げました。

……ふむ、このエージェント達はティナを妹等と豪語する虚構にまみれた指導者が率いる国と関わりがある様子。ティナは苦笑いだけで許していましたが、折角の機会です。仕置きをしておきましょう。国家崩壊までは流石に自重しますが、少しだけ痛い思いをさせます。

さて、マスターティリスはどうなりましたか。

 

 

 

 

「遠い~♪遠い~♪空の向こ~♪」

 

 

 

「「「イェアアアッ!!!」」」

 

 

 

「銀河の果てから♪」

 

 

 

「「「こんにちわ~!!!」」」

 

 

 

「誰もが夢見る大冒険♪」

 

 

 

「「「ハイッッッ!!!」」」

 

 

 

「やーって来ました青い地球♪」

 

 

 

「「「フォゥッ!!!」」」

 

 

「ちょーっとドシな頑張り屋さん♪」

 

 

 

「「「ティナちゃーんっ!」」」

 

 

 

「優しく素直でちょっぴりヤンデレ♪」

 

 

 

「「「フェルちゃーん!!」」」

 

 

 

「そーして私っが♪」

 

 

 

「「「ティリスちゃーんっ!!!フォオオオオーーーッ!!!」」

 

 

 

工作船の甲板で熱唱するティリスと彼女を囲み、ライトを降りながら切れのあるオタ芸を披露するエージェント達を目の当たりにしたアリアは。

 

 

 

『……なにこれ』

 

 

 

AIが自主的に思考を放棄した瞬間である。




作詞作曲
ティリスちゃん


ティリスちゃんに地球の文化を指導した漢
ジャッキー=ニシムラ(そして伝説へ)
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