星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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本日より少し休みます(詐欺か?)


大国の悩み。大国の企み

「全く、誰だか知らないがとんでもないことをしてくれたな」

 

 

 

 時は少しだけ遡り事件当日の夜、ホワイトハウスの会議室ではハリソン大統領が頭を抱えながら深々と溜め息を吐いた。

 一人の地球人がティナを狙い爆破テロを引き起こす。これまでも異星人に対する否定的な意見は存在したし、度を越えた場合は宣言通り拘束逮捕その他の厳しい態度で臨み実力行使を抑制していたのだが、ついに暴発したのである。それも相手は活動家ではなく妙な狂信者であることが事態の悪化に拍車をかけた。

 

 

 

「幸い異星人対策室が手を打ち、アリアの全面的な協力を得て犯人は薬物中毒者として処理することになりました。少なくとも宗教界への影響は最小限に止められるでしょう」

「だがな、マイケル。スーパーマーケット事件のような完全な隠蔽は不可能。地球人がティナ嬢を攻撃したという事実は世界中に知られてしまったのだ。これが何を意味するか……」

「外務省から報告させていただきますと、各国から事実確認の要請が相次いでいます」

「他国には異常者による犯行だと説明してくれ。私も声明を出そう」

「大統領、大事なのは今後です。今回の件で不穏分子が後に続けとばかりに更なるテロを引き起こす可能性があります。ティナさん達が狙われるのは当然として、異星人対策室等の関連施設、交流を強く推奨している大統領ご自身も標的になる可能性もあります」

「野党勢力の動きも活発です。今回の失態を武器に攻勢を強めるかと」

「彼らの背後にはジャスティススピリッツが付いていますからな」

「彼らはまだ諦めていないのか」

 

 

 

 官僚達の言葉にハリソンは再び頭を抱えた。アリアによる制裁を受けてジャスティススピリッツも少なくない被害が生じたが、それでも未だに政財界に強い影響力を保持しているのは間違いない。

 彼らが推薦する候補者達が大統領となれば、アードとの関係をご破算にしてしまう可能性が極めて高い。

 

 

「大統領のやり方は手緩い。もっと積極的に動かねば利益を日本に独占される。野党勢力の声を代弁するならこれにつきますな」

「手厳しいな」

「日本の椎崎首相とティナさんの個人的な繋がりは誰もが知るところです。焦りがあるのかと」

「気持ちは分からないでもないが」

「更に今回の件を受けて、その……ブリテンが動きました」

「なに?」

 

 

 

 外務官僚の言葉に皆が視線を集める。

 

 

 

「曰く、合衆国のセキュリティには問題がある。来訪者の皆様を速やかに安全な我が国へ招待したいと」

「勝手なことを……」

「しかし、次の訪問地はブリテンですしティナさんの了承も得られたと異星人対策室から報告を受けています。決して無理難題というわけでは」

「国内もざわついていますし、他国への避難も検討しましたが…」

「ブリテンは日本が手を挙げる前に自国へ招きたいのでしょう。事実、日本政府はいつでも歓迎する用意があると声明を発表するでしょうからな」

「とにかく、今安全な場所で待機してもらうしかない」

「安全面を完璧にするならば、彼女達は宇宙船に待機してもらい我々が宇宙船へ赴くのが最善なのですが」

「そのような形での交流はティナ嬢も望まないだろう。彼女は地球人と直接触れ合い交流することを望んでいる」

「ならば我々が頑張るしかありませんな」

「うむ。ブリテンには少しだけ待つように伝えてくれ。今すぐに彼女達を渡航させては、それこそ我が国の威信に関わるからな」

 

 

 

 ハリソン達が善後策を検討している頃。ユーラシア大陸北部に君臨する北の大国、連邦。その中心地であるモスクワのクレムリン。これまで異星人関係にはほとんど干渉しなかった北の大国が、静かに動き始めようとしていた。

 

 

 

「それで?」

「はっ、異星人は無傷。それどころか周囲の救助活動へ積極的に参加したとか。死者は今のところ出ていない模様です」

「相変わらず優しいことだ。そろそろその優しさを我が国へ向けてくれても良いと思わんかね?」

「同意します、同志大統領閣下」

「次の目的地は」

「ブリテンになる可能性が非常に高いと思われます」

「ジョンブル共の事だ。裏があるな?」

「優先的に訪問先にしてもらう代わりに、今後異星人関係では合衆国側に立つとの取引があった模様です」

「ふん、あの三枚舌が何処まで約束を守るか見物だな。しかし、ブリテンか。好都合だな」

「はい、同志。合衆国では警戒が厳しく動きが取れませんでしたが、ブリテンならば。更に言えば現地人達が異星人の対応に慣れていません」

「当然多少は合衆国からノウハウを教えられているだろうが、対応力には差が出る」

 

 

 

 連邦を率いるブレンチョフ大統領は静かに口角を吊り上げる。この部屋は機密性が高く、全ての電子機器が排除されている。冷暖房すらないほどの徹底ぶりだ。これはアリアを意識したものである。

 

 

「既にエージェントを多数放っています。英国情報局保安部(MI5)に捕まった者も居ますが、計画に支障はありません」

「エージェント達に手引きさせて、特殊部隊を送り込め。人選は君に任せる」

「畏まりました」

「目的はゲスト達の確保及び我が国への招待だ」

「はっ!」

「ただし……これ以上優れた技術を西側に独占されるのは避けねばならん。私の言葉の意味、君なら理解できるね?」

「……宜しいのですか?」

 

 

 

 ブレンチョフ大統領の意味深長な言葉に、彼の腹心であるイワン補佐官は念のため確認する。対するブレンチョフは目を少しだけ細めることで返事とした。主人の返答を受けて、イワンは深々と頭を下げる。

 

 

 

「畏まりました。事が露見した際の対策も合わせて行います」

「朗報を期待している。ああ、成功した暁には政権内に新たな椅子を用意すると約束しよう。英雄達にも相応の報奨を用意する。我が国の未来のために、励んでくれたまえ」

「はっ」

「大統領閣下、中華についてなのですが。水面下ではありますが連携の話も出ております」

「黄卓満の手伝いをする謂れはない。そのまま適当に泳がせておけ」

「はっ!」

「さて、異星人の脅威は理解した。次は周りのお手並みを拝見するとしようか」

 

 

 次の訪問地、ブリテン。新天地でティナ達は新たな出会いと、そして地球の闇を垣間見ることになる。




休む前に不穏な空気を投げていくスタイル(いつものこと)
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