星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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今日は十五日!給料日は目前だ!(死んだ目)


英国面

 ブリテンでの初日は色々あったけど無事に終了した。ロンドンの町並みは前世でテレビなんかで見たまんまだったし、ビッグベンには圧倒された。道を埋め尽くすようなたくさんの人に歓迎されたのは素直に驚いたなぁ。

 ただ、同行しているチャルズ首相さんが色々合衆国やジョンさんの悪口を然り気無く言ってくるのは閉口したよ。ばっちゃんが言うには、テロ事件で私が合衆国に不信感を抱いているのは確実だからそれを利用した外交手法のひとつらしい。確かに私が不信感を持っていたら効果的かも。

 でもそんなもの持っていない私からすれば不愉快以外なにものでもない。正直今すぐに帰りたいけど、これも外交の一環だとばっちゃんに言われたので我慢することにした。

 個人的に楽しみなこともあったしね。その日は用意されたホテルで休んだ。夕食はローストビーフ、ちょっと警戒していたけどとても美味しかった。合衆国の食事は色々と濃いものが多かったけど、ローストビーフはソースもあっさりしたもので胃に優しかった。フェル達も大満足だ。ばっちゃんはガッツリ系が好きだけど、フェルとフィーレはさっぱりした味付けが好きみたいだ。この辺りは種族の違いかな。サラダを中心に食べていたし、フェルはドレッシングの事を熱心に聞いていた。

 

 

 

「用意できるだけのドレッシングを直ぐに手配しろ!とにかく種類を集めるんだ!」

「はっ!」

 

 

 

 その様子を見てスタッフに紛れた政府の人達が慌ただしくなったのはご愛嬌だ。お母さんが言うには調味料の類いも需要があるみたいだし、野菜中心の食生活が基本のリーフ人には良いかもしれない。

 ああ、言い忘れてた。アード人の大半は栄養スティックだけど、リーフ人は浮き島の自然を上手く利用して野菜中心だけど生鮮食品を食べている。

 もちろん栄養スティックも口にするけど、自然と共に生きるという彼らの願いを叶えるために専用の浮き島が用意されているくらいだ。

 こうして考えると、有り得ないくらい優遇されているのがリーフ人だ。なのにフェルの存在を許さない。見た目が違うから、それ以外に根深い問題がありそうな気がする。いつか向き合うことになるんだろうなぁ。

 

 

 

 翌日、私達は大英博物館にやって来た。英国と言えば世界中にその影響力を持ったことがある大帝国だ。それだけに歴史も長くて様々な文化の遺産が遺されている。

 産業革命の展示物はフィーレも興味津々で、私達も興味深く鑑賞することが出来た。

 次に兵器の歴史になるとフィーレのテンションが爆上がりした。

 

 

 

「技術の進歩は兵器の進歩を見るのが一番手っ取り早い」

 

 

 

 とはフィーレの言葉だ。まあ、この子の個人的な感想だから気にしないとして、様々な兵器の展示物の中にアレが混ざっていた。そう、前世でもよくネットでネタにされていたパンジャンドラムだ。なんであるの?

 

 

 

「こちらは試作品ではありますが何故かそれなりに有名でしたので、近年有志達が復元したものを寄贈してくれたのです」

 

 

 

 なんで復元したんだろう。

 

 

 

「これは車輪を付けた爆弾にロケットブースターを取り付けた、謂わば自走式爆雷になります。これは当時とても斬新で画期的な発想でした!」

 

 

 

 ガイドさんが興奮気味に説明してくれた。うん、確かに画期的で斬新だよ。ロケットブースターを取り付けたら軽く時速百kmを超えそうだ。そんな爆弾が突っ込んできたら大変だよ。

 まあ、その。目標までが平坦な道ならね。当たり前だけど戦地だよ?地面が整地されているとは思えないし、そんな場所で二つの車輪だけで高速で突っ込む。段差とか石とか瓦礫とかたくさん落ちてるよね。そもそも制御できるのかな?

 前世の記憶だと横転したり明後日の方向へ走ったりしたような……。

 個人的な考えなんだけど、設計したりする人って頭が良いんじゃないのかな……頭が良すぎるからなのかな……。

 

 

 

「決めた!」

 

 

 

「どうしました?フィーレちゃん」

 

 

 

「フェル姉ぇ!ちょっとお願いがあるんだけど!」

 

 

 

 フィーレが目をキラキラさせながらフェルになにかお願いしてる。スキャナーでパンジャンドラムをスキャンしているし、嫌な予感しかしない。

 ガイドさんにお願いしてちょっと休憩することにした。

 

 

 

「じゃあ、いきますよ?」

 

 

 

 フェルが手を合わせると、淡い光が溢れ出して地球の皆さんが驚いている。私は膨大なマナを感じて一歩後ずさってしまった。

 

 

 

「開け」

 

 

 

 フェルが一言喋って、腕を広げた瞬間周りの景色が一変した。なにもない真っ白な空間がどこまでも広がっている。

 これ、確か異空間創造だよね。異次元空間に干渉して自分だけの空間を作り上げる。まあ、トランクに使われている魔法をより高度にしたものだ。海洋庭園に近いかな。あれは魔法具だから出来るけど、個人が使うにはとても難しい魔法だ。私?当たり前だけど出来ないよ。

 あっ、ばっちゃんの顔がひきつってる。

 

 

 

「ばっちゃん、出来る?」

 

 

「出来るけど、精々小部屋くらいかなぁ……」

 

 

 ばっちゃんはアード人の中でも上位の魔法使いだ。マナ保有量も桁違いなんだけど……。

 

 

 

「フェル、ビックリしたよ。フィーレのお願いかな?」

 

 

 私達しか居ないからね。朝霧さん達は今頃大騒ぎだろうなぁ。四人が急に消えたんだから。

 

 

 

「はい、ティナ。取り敢えず地球単位で一キロ四方の空間を作ってみました。海洋庭園の術式を応用したので、時間は気にしなくて良いですよ?」

 

 

 

「いっ……一キロ……」

 

 

 

 あー、ばっちゃんが絶句してるよ。相変わらずフェルはチートだ。しかも騒ぎにならないように配慮までしているし。

 これなら朝霧さん達から見れば一瞬だけ私達が消えたように見える。まあ、見間違いだと思うだけで終わるだろうね。

 で、なんでこんな空間を急に作ったのか。それは。

 

 

 

「ふふふーん」

 

 

 

 腕輪型の簡易クラフト装置を鼻歌交じりに弄るフィーレのお願いを聞いてあげた結果だ。

 クラフト装置は、とんでもなく高性能な3Dプリンターだ。使用者のマナを使ってあらゆる物質を産み出すまさにSF世界の装置だ。まあ、簡易型だから頑張って一軒家を作れるくらいかな。

 私?無理だよ。使用者のマナ保有量が一定数必要だ。と言っても最低値だけど、私だけは使えない。最低値以下だから。ハハッ…。

 

 

 

「よし出来た!」

 

 

 

 弄っていたフィーレが手を翳すと、ブレスレットから光が照射されて……パンジャンドラムが作り出された。

 ……すんごく嫌な予感がする。

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