星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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……満足です(恍惚とした表情)


ジャッキー=ニシムラ(現場監督)と異星人対策室

 生きとし生ける全ての生命に祝福あれ!どうも、ジャッキー=ニシムラ(ギネス記録挑戦中)だ。私達異星人対策室は今、合衆国北部にあるエリー湖付近にある平原に来ている。もちろん新しい本部施設を建設するためだ。

 先日発生した爆破テロ事件は一部の過激派達を勢い付かせる結果になってしまったのは残念でならない。ティナ嬢達を守るのは当然として、本部に保管されているアード由来の物品やカレンお嬢様、そしてケラー室長とケラー女史を護るためにも本部移設は避けられなかった。

 立地的に多少不便になるのは避けられないと考えていたが、ティナ嬢から提供された転送ポートを使えばワシントンにある旧本部と新本部を一瞬にして行き来できるし、旧本部をカモフラージュとして引き続き利用できるメリットが生まれた事で計画がスタートした。それに、エリー湖周辺は人里からも離れているので何かと好都合なのも決め手となった。

 

 

 

 事が一刻を争う事態であることは、議論の余地もないだろう。直ちに新本部の設計と必要な資材が急ピッチで集められることになった。幸い政府の全面的な協力もあり、資材は充分に揃い施設の設計もかなりの短時間で済ませることが出来た。

 と言うより、今後の交流の加速とアード由来の物品や技術を応用することを見越して増築による拡張を前提とした設計になっている。必要ならば、敷地内で新たに施設を建設すれば良いのだ。

 最優先は我々職員の居住区画及びドクター達の城である研究区画だ。これらは設計図を基に各工場でパーツを作成。現地で組み立てるブロック工法が取り入れられた。建設速度の大幅な短縮が見込めるし、この建設では重機を余り利用しない。何故ならば。

 

 

 

「ジャッキーさーん!ここかな?」

 

 

 

「ええ!そこですよ、カレンお嬢様!遠慮無くやってください!」

 

 

 

「はーい!よいっっしょっとぉ!!!」

 

 

 

 今まさに、巨大化したカレンお嬢様が施設の要である柱を持ち上げて地面に突き立てたのだ。ついでに、上からトントンと叩いて押し込む隙の無さを見せてくれた。

 本来ならば重機を使って穴を堀り、そこに柱を建てるのだが彼女が居ればそれらの重機は不要になる。あとは我々が刺さった根本を補強してやれば完成だ。これだけでも大幅な時間の短縮が見込める。

 重い建材を軽々と持ち歩き、まるで積み木を組むような気軽さで組み立てていく彼女の姿は圧巻の一言である。

 その足元で組み上げたパーツを内側から拳を叩き込みながら補強して回るスキンヘッドマッチョが居るが、気にする必要はない。少なくとも私を含め異星人対策室の紳士淑女の皆は気にしていない。

 

 

 

 更に工期の短縮を手伝ったのは高所作業の大幅な簡略化だ。カレンお嬢様は本来の身長である百六十センチから十八メートルまで自由に身長を変化させることが出来る。どうしてもお嬢様では出来ない細かい作業も、工員がお嬢様の掌に乗って行うので足場を組む必要もなく更に作業ドローンを惜しみなく投じたので工数そのものを大幅に短縮できたのも大きい。

 どの程度かと言えば、最初に取り掛かった宿舎の建設が僅か二日で完了したと言えばその凄まじさを理解していただけると思う。

 その間とても重い家具などを片手で抱えて内装のため駆け回るスキンヘッドマッチョが居たが、気にする必要はない。異星人対策室では日常風景だ。

 

 

 

 そして工期短縮最大の功労者は、フィーレ嬢が厚意で貸し出してくれたアード製の二機の作業ドローンである。

 サッカーボールほどの黒く丸い球体が宙に浮いていて、そこから十本のロボットアームが伸びている。その先端に取り付けられた工具は何の用途か分からないものからレーザーブレード、瞬時に物体を接合してしまう接着剤らしきもの(地球の比ではない)まで多種多様だ。予め設計図をインプットしているみたいで、建材を使って次々と組み上げていく。

 更に周囲の進捗速度を正しく理解しているようで、カレンお嬢様と一緒に家屋を組み上げていく様子はまさにSFの世界だ。

 その二人に負けぬよう、まさに韋駄天のような素早さで二人に建材を手渡していくスキンヘッドマッチョが居るが、気にしなくて良い。空を見たまえ。今日も良い天気だ。

 

 

 

「あー、疲れたぁ」

 

 

 

 ふむ、そろそろ昼時か。そろそろ昼食の時間だな。まあ、抜かりはないが。

 

 

 

「皆様!ジャッキー特製のシチューを御用意致しました!」

 

 

 こう見えて私は料理も嗜む。もちろんプロには遠く及ばないがね。

 

 

 

「美味しいー!!!」

 

 

 

 うむ、美味しそうに食べるお嬢様の笑顔には癒されるな。皆からも好評を得ている。

 さて、ちょっと私は席を外さねば。

 

 

 

 

「室長、昼食です。今回は腕を振るわせて貰いましたよ」

 

 

 

「君は食べたのかい?ジャッキー」

 

 

 

「まだです。折角だから、室長とご一緒しようかと。宜しいですか?」

 

 

 

「じゃあ、一緒に食べようか」

 

 

 

 皆が休む中、密かに作業を続けていた室長に声をかけて一緒に昼食を取る。全くこの人は。

 

 

 

「進捗はどうかな?」

 

 

 

「予定を遥かに上回る速度で進んでいます。この調子ならば、数日以内に本部施設は完成します」

 

 

 

「皆が頑張ってくれているお陰さ。会計課へボーナスを弾むように言わないとね」

 

 

 

「カレンお嬢様にも何かご褒美を用意しなければいけませんな」

 

 

 

「給料を手渡すのは当たり前だが、プレゼントか。悩ましいな」

 

 

 

 ふふっ、こうして娘へのプレゼントに悩む姿を見ると心が穏やかになる。ケラー室長は破滅的な胃痛を抱えながらも、今まさに順風満帆な日々を過ごしておられる。

 ここには彼を冷遇するような者は居ない。彼はようやく評価される様になったのだ。喜ばしい。

 ……むっ、地響きだ。

 

 

 

「やれやれ、若さとは無限の活力だね。頼めるかい?」

 

 

 

「お任せを。室長も少しはお休みを」

 

 

 

「ああ、ちょっと食休みをさせてもらうよ。君のシチューが美味しくて食べ過ぎてしまったからね」

 

 

 

「次回もご期待ください」

 

 

 

 現場に戻ると、巨大化したままカレンお嬢様が跳ね回っていた。いや、それそのものは良いんだ。地均しの代用になる。しっかり踏み固められるからな。専用の機材も必要ない。

 ……まだまだ元気もあり余っているみたいだし、若手を中心に工事を再開するとしよう。

 

 

 

「お嬢様、お怪我をなさらぬように!」

 

 

 

「はーい!」

 

 

 むっ、よく見れば遠くにケラー女史を抱えたミスター朝霧がこちらへ飛んでくる様子を確認できた。よし、異星人対策室揃い踏みだな。気合いを入れねばなるまい。

 

 

 

 ジャッキー=ニシムラ(うさみみ、ネクタイ、ブーメランパンツ装備)はネクタイを締め直して気合いを入れるのだった。

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