星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

232 / 467
惑星アード到着

 ジョンさん達使節団の皆さんを乗せた航海は順調に進んだ。これまでの経験からセンチネル関連のアクシデントをある程度覚悟していたけど、特に問題なく一週間が過ぎた。

 艦内の食事は地球から持ち込んだ食料を使ってジャッキ-さんが作ってくれた。調理マシーンを使う手もあるんだけど、エナジーカートリッジの予備が少なかったし、なにより地球産の食べ物の方が遥かに美味しいんだよね。ちなみにジャッキーさんの作った料理はいずれも高級レストラン並みの腕前だった。本当に何でも出来るな、あの人。

 

 

 

 一週間の艦内生活は大きな負担をかけてしまうか心配だったけど、むしろアードの技術に興味津々だった。ただ、ジョンさん達三人は忙しそうにしていたから、夜くらいはゆっくり休めていれば良いけど。

 カレンは毎日元気一杯だ。フィーレと一緒に変なもの作ろうとしたり、フェルと一緒に植物園で過ごしたり、ばっちゃんを愛でたり、私とお喋りしたりと休んでいる様子がない。いや、相変わらずタフだなぁ。

 アリアは地球のデータを整理してくれて、ジョンさん達にアード式の作法を教えていた。と言うより資料を纏めてくれたからジョンさん達も助かったらしい。まあ、悪いことじゃないから感謝だ。

 

 

 

『間も無く目的地に到着します。ゲートアウト、アード星系です』

 

 

 

 極彩色の空間を抜け、再び広大な星の海が視界を埋める。そしてジョン達を驚かせたのは、太陽より少し大きな恒星と連なる九つの惑星群であった。

 

 

 

「驚いたな……あれは、ダイソン球かな?」

 

 

 

 まずジョンが気になったのは、巨大な構造物に覆われた恒星である。

 

 

 

「はい、地球で言えばダイソン球になりますね」

 

 

 

「あんな構造物があれば、センチネルに見つかるんじゃないかい?」

 

 

 

「星系そのものを隠していますから、少なくとも今は大丈夫ですよ。でも」

 

 

 

「未来永劫大丈夫って訳じゃない。技術の発展はセンチネルも変わらない。アイツらは魔法に対応できるように進化してる」

 

 

 

 ティナの言葉に続いたのはフィーレである。ラーナ星系での戦いでアード側が衝撃を受けたのは、センチネルが隠蔽魔法に対応しつつあるという事実である。アード星系を隠している隠蔽魔法もいずれは破れる。アード上層部が危機感を抱くのは当然と言えた。

 

 

 

「だから地球との交流を?」

 

 

 

「まあ、いざとなれば避難場所になるからねぇ☆」

 

 

 

 ティリスが小声でジョンに耳打ちする。地球の産物に感銘を受け、更にアード人の人口問題解消の切っ掛けとなるのは間違いないが、最悪の場合は避難するための場所として太陽系が挙げられたのもある。銀河の反対側へ逃れたとなれば、センチネルの脅威も数百年は逃れることが出来るだろう。

 必要ならば火星などをテラフォーミングすることも可能なのだ。もちろんこれらは上層部の思惑であり、ティナが知るところではないが。

 

 

 

「凄い……お父さん!大きな輪っかがあるよ!」

 

 

 

 カレンの指差した先にある青い惑星には、巨大なリングが存在していた。アード人達の故郷、惑星アードである。

 

 

 

「あれが、アードなのかい?」

 

 

 

「はい、惑星アードには輪があるんですよ。地上から見上げると、とても神秘的なんです。今夜はアードの夜空を堪能してくださいね」

 

 

 

「はははっ、それは楽しみだよ」

 

 

 

「いやはや、まさにSFですな。この映像があれば、未だにやらせだとか騒ぐ連中も黙るでしょう」

 

 

 

 展望室からの風景を撮影しているジャッキー=ニシムラ(誠に残念ながらビジネススーツ)は感嘆の声を漏らす。地球では一部の陰謀論者等がティナの来訪から始まる一連の件をやらせであると吹聴していたが、これらの映像記録は彼らを黙らせる好材料となるだろう。

 

 

 

 銀河一美少女ティリスちゃん号はプラネット号を引き連れてアードへと近付きつつあった。ジョン達は下船準備のため部屋へ戻り、ティナ達はブリッジへ上がり入港準備を進めていた。巨大なリングの内側に存在するアードの玄関口である宇宙ステーション及び連なる軌道エレベーターが視界に映る。

 

 

 

「うん、変わりはないね」

 

 

 

『ティナ、宇宙ステーションより通信です。回線を開きます』

 

 

 

「え?通信?」

 

 

 

「誰か居るのでしょうか?」

 

 

 

 ティナとフェルは一緒に首をかしげた。宇宙ステーションは基本的に無人であり、フィーレやティナのような変わり者しか立ち入ることはない。

 だが、モニターに映し出されたのは意外な人物だった。

 

 

 

「ザッカル局長!?」

 

 

 

 そこに映っていたのは、ティナの上司である宇宙開発局長ザッカルであった。

 

 

 

『久しいな、ティナ。君が不在の間に動きがあってな。地球との本格的な交流に先立ち、我々宇宙開発局も本来の任務へと復することになった。今後は宇宙ステーションを活動拠点とする。これまで以上に君達のサポートを行えるようになったということだ』

 

 

 

「そんなことが……」

 

 

 

『既に承知していると思うが、これも女王陛下のご意志に因るものだ。これまでの冷遇は何だったのかと言いたくなるほどの予算が追加されてな。と、失礼した。先ずは入港してくれ。客人達へのワクチンを準備している』

 

 

 

「分かりました。入港用意、ガイドラインに従って!」

 

 

 

「分かりました!」

 

 

 

「いやぁ、出迎えがあるのは嬉しいねぇ☆」

 

 

 

 問題なく入港を済ませたティナ達は使節団の面々を連れて宇宙ステーションへと降り立った。無機質で広く高い天井を持つ搭乗口広場は一面ガラス張りであり、宇宙ステーションの外観や巨大なリング、そして惑星アードと無限に広がる星の海を存分に堪能することが出来た。

 そして使節団を十数人のアード人達が盛大な拍手と共に迎えたのだが。

 

 

 

「あの、局長?その格好は……?」

「地球で祝い事をする際に着る服だと記されていたが?」

 

 

 

 恐る恐る尋ねるティナの気持ちも分からないでもない。何故なら宇宙開発局の面々は地球の和洋問わぬ様々な服に身を包んでいたのだ。

 日本の着物、チャイナドレスなどの東洋から西洋風の鮮やかなドレス、貴族のような礼服ならまだしも、カボチャを模した被り物をしたり仮装したりと色々混ざってしまっている。ちなみにザッカル局長は何故かサンタのような格好をしているので、極めてシュールであり地球をよく知るティナの頬をひきつらせるには充分な光景であった。

 まさに文化の誤解が生んだ悲劇だが、スーツに身を包んだジョンは気にすることなく前に出て笑顔を浮かべた。

 

 

 

「使節団長を務めるジョン=ケラーです。アードの皆様の熱烈な歓迎に心から感謝します。どうか、宜しくお願いします」

「ティナが世話になっていますな。上司のザッカルです。こちらこそ、あなた方地球の新たな友を歓迎させて頂きます」

 

 

 

 スーツに身を包んだスキンヘッドマッチョと翼を広げたサンタが笑顔で握手を交わし、遂にアードへ地球人が降り立ったのである。

 

 

 

 




ティナ
「なにこれ?」


アリア
『歴史的瞬間です』


ティリス
「カオスとも言うよ☆ドンマイ☆」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。