星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
遂に恐れていた事態が起きてしまった!ケレステス島でフェルと少しの間ゆっくりしてドルワの里へ戻ってみたら、そこにはフィーレに渡されたドリンクを豪快にイッキ飲みするジャッキー=ニシムラ(ツチノコ)さんが居た。
止める暇もなく飲み干してしまったジャッキーさんは、何故かジョ◯ョ立ちをしながら雄叫びを挙げた。
ドドドドッ!って効果音が鳴りそうなその風景だけで頭が痛くなるんだけど、ちょっと目を離したらこの有り様だよ。これ、私悪くないよね……?
『貴重なサンプルが増えました。速やかな情報収集を推奨します』
「喜ばないでよ、アリア……」
「あはは……」
げんなりしてアリアに突っ込みを入れると、フェルも困ったような笑顔を浮かべた。
うん、あのジャッキーさんを見ればリアクションに困るよねぇ。
「ジャッキーさん、大丈夫ですか?体に違和感とかありませんか……?」
ジョンさんや朝霧さんみたいな見た目の変化はない。
「HAHAHA!今のところ不調はありませんな!ただ、身体の調子は信じられないほどに快調ですぞ!身体の内から力が漲るのを感じますな!」
「覚えがありますよ、力が湧き出てくるんですよね」
朝霧さんが『またか』みたいな顔で応じてくれた。私悪くない。
「ティナ姉ぇ、何か悪いことしたの?」
「私じゃなくてフィーレだよ!何で飲ませたのさ!」
「疲れてるみたいだったからだよ」
フィーレは呑気にジュース飲んでるし!ん?待って。
「フィーレ、何でジョンさん達が変化したのか知らないの?」
「知らないよ、ティナ姉ぇがやらかしたって事以外は」
「あっ」
そう言えば、フィーレにアードやリーフのものを地球人に食べさせたり飲ませたりしちゃいけないって教えてなかった……。
「つまり、今回もティナちゃんが悪いと☆」
「異議あり!」
「往生際が悪いよ?☆」
「フォオオオオオオッッッッ!!!!!」
「うわっ!?ビックリした!」
私とばっちゃんが漫才みたいなやり取りをしていたら、急にジャッキーさんが雄叫びを挙げた。何が起きた!?
困惑する周囲を無視して、ジャッキーさんは何か悟ったような顔をして。
「とぅっ!!!」
「とっ、跳んだーーっ!!」
高々とジャンプして。
「チェェェェンッジッ!!!ジャッキーーーっ!!ワンッッッ!!」
「本当にどうしたの!?」
著作権的なものが心配になる掛け声に合わせて身体が目映い光に包まれて。
「ハハハッ!!ハッハッハッハッハッ!!!ハーッハッハッハッハッ!!!」
まさかの三段笑いと共に、バニースーツ(ガチ)姿のジャッキーさんが着地した。なにこれ?
「あー……ジャッキー、大丈夫かい?」
「ええ、室長!天にも昇る心地ですよ!」
「何がどうなったんですか!?」
「ティナ嬢、難しいことでないよ!脳裏にイメージした姿へと瞬時に変身できる力を手に入れただけさ!」
「なにそれ!?」
いやまあ、意味不明ではあるけどジャッキーさんの変化は比較的大人しいものだよ。少なくとも巨大化したりビームを出したりはしないし、色んな服を着ることが多いジャッキーさんならむしろ便利な力なのかな?
『地球人ジャッキー=ニシムラのマナ反応の増大を確認』
「へ?」
アリアの不穏な報告を聞いて慌てて振り向いてみると、そこには何故か胴着を着て赤いハチマキみたいなものを頭に巻いたジャッキーさんが、見たことがある構えを……。
「波◯拳っ!!!」
「ぐわぁあああっ!!!」
「ちょっと待ってーーっ!!」
ダメだよ!著作権的に絶対にダメだよ!そしてダメな技で朝霧さんを吹き飛ばして……空中で静止した!?
「ニシムラ氏……これは何のお遊びかな?」
朝霧さんが怒ってる!そして何故かジャッキーさんが今度は国民的アニメの主人公みたいな服を着て、何か髪の毛が逆立ってオーラを纏ってる!シュインシュイン!とか鳴ってるし!
そして二人が同じような構えを……。
「「波ーーーーっっ!!!!」」
「もうやめてーーっ!!」
二人から放たれたエネルギーの濁流は互いに衝突して、凄まじい衝撃波を周囲に撒き散らして。
「えいっ」
フェルが拡散する前に魔法の膜で包み込んで消してしまったから、周囲に被害はでなかった。いや軽いな。
「申し訳ない、ミスター朝霧。自分の力を制御出来なかった」
「いやなに、私も経験がありますから大丈夫ですよ」
何か二人とも急に仲直りしてるし。怒涛の展開で疲れた。
「ヤッホーーーっ!!」
「「「ヤッホーーーっ!!」」」
何故か巨大化したカレンが子供達と一緒に疑似山彦をやってるのを見て、心を落ち着かせて。
「いや、ツッコもうよ☆」
「私達はなにも見ていない。いいね?」
「アッハイ」
取り敢えずばっちゃんを黙らせて目の前の問題に取り組むことにした。
「ふむ、どうやら服装に関連する技を使えるようになるみたいですな」
あれから幾つかの服にチェンジしたジャッキーさんは、興味深そうに呟いた。というか。
「別に叫ばなくても変身できるんですね」
「強く脳裏にイメージするだけで構いませんぞ!」
「じゃあ最初叫んだのは?」
「ノリです!」
「そう……」
何だか頭が痛くなってきた。同じような顔をしたジョンさんが疲れた様子で声をかける。
「ジャッキー、その力なんだが」
「無論承知しておりますよ、室長。明らかに地球人には過ぎたものです。公言するつもりもありませんし、極力技を使うのは控えます」
「君の言葉なら信用できるよ」
アリアの解析によると、どうやら漫画やアニメの技を魔法で再現しているだけみたいだ。当然ながら出来ないことも多い。
例えば時間を止めたりとかは出来ない。つまり、ザ・◯ールドは使えない。時空魔法の類いは存在しないんだよ。女王陛下なら使えそうだけどさ。
逆に言えば魔法で再現できることは粗方技として使えるってことだ。これ、とんでもない能力なのは間違いないね。
「懸念には及びませんぞ、ティナ嬢」
いつの間にかジャッキーさんは、彼にしては大人しい(?)クラシックメイド姿になっていた。
「ケラー室長達同様、力の使い方を間違えるつもりはありませんぞ。それに、私が些か常識から逸脱した服装を普段からしているのは周知の事実。私が話さなければ、誰も気付きませんよ!」
うーん、頼もしい。力を得た人達が正しく使ってくれるなら悪いことじゃないのかな。
取り敢えず……うん、深く考えるのは考えるのは後にしよう。そうしよう。
「人体実験☆」
「ばっちゃんうるさい」