星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
アード来訪四日目の朝が来た。予定では今日の正午にアードを出発して地球へ向かうことになっている。その為朝早いけど私は一足先に宇宙ステーションへ上がることにした。必要な物資の積み込みはアリアに任せてあるけど、ここ数日宇宙ステーションに籠りっぱなしのフィーレの事が心配になったからだ。
もちろん体調面は心配していない。フィオレから元気に船を弄ってるって話を聞いているから、どちらかと言えば魔改造していないかを心配してる。
ジョンさん達はばっちゃんが連れてきてくれるみたいなので任せて、フェルを連れて軌道エレベーターから宇宙ステーションへ上がった。
「あっ、ティナ姉ぇフェル姉ぇ。おはよー。あれ?おはよーで良いんだよね?」
「おはよう、フィーレ」
「おはようございます、フィーレちゃん」
「まさかまた徹夜したんじゃないよね?」
「してないよー。おねーちゃんがうるさいし」
うん、目の周りの隈も濃くはなっていない。フィオレがしっかりと管理してくれているみたいだ。
『銀河一美少女ティリスちゃん号およびプラネット号のアップグレードが完了しました』
アリアから不穏な通知が届いたんだけど!?
「フィーレ、何かしたの?」
「んー、取り敢えず最新式の電磁パルスシステムの取り付けとミサイル発射管の増設、ビーム砲のアップグレードに、センサー類の更新。後は地球用の広範囲通信アレイの設置かな」
『これでインターネットを介さずとも瞬時に地球全域のあらゆるシステムへハッキング可能になりました』
「待って待って待って!」
何か不穏なのが幾つもあるんだけど!?
「滅茶苦茶重武装じゃん」
「ティナ姉ぇってば、よくセンチネルと遭遇するじゃん。だから自衛火器を増やした。電磁パルスシステムは、センチネルに有効か調べてほしいってさ」
アードもセンチネル用の兵器を開発しているけど、これまで試す機会は無かったんだよね。いや、それは分かるけどなんか妙な気分になるなぁ。
「センチネル用の武器は分かるけど、最後の奴は何?」
『自衛のため必要と判断し、地球の通信システムを解析、最適化した通信アレイの製造開発を要請。受理されて完成したので搭載しました』
「アリア、オーバーキルって言葉を知ってる?」
アリアのスペックを地球側が防ぐのは不可能らしい。その気になれば、地球文明を中世レベルにまで下げられるのだとか。いや、怖すぎる。
『これまで収集したデータを解析した結果、地球人は極めて好戦的かつ感情的な衝動を引き起こし易い種族であることが判明しています。事実として、ティナが狙われた事件は地球側が未然に防いだものを含めれば百件を超えます』
「そんなに起きてたの!?」
『特に合衆国で発生した自爆テロを事前に察知することができず、マスターフェルが居なければ深刻な事態が発生した可能性が極めて高い。ティナをサポートするのが私の存在意義です。この装備だけは外せません』
「アリア……ありがとう」
アリアの気持ちを無下には出来ない。私のためにやってくれているんだから、断る理由もないしね。
「あー、そーだ。おねーちゃんも一緒に来るんだよね?」
「そうだよ。部屋は一緒にしないといけないから、片付けるように。というか、今から手伝う」
「えー」
フィーレの部屋は間違いなく散らかっている筈だしね。フィオレが同行することが決まった時真っ先に望んだのは、フィーレと同じ部屋になることだからね。愛が深いんだよ。シスコンとも言うけど。
ただ、締めるところはしっかり締めるからフィーレの抑止力になってくれる。
「フィーレちゃん、一緒にお片付けしましょうね」
「フェル姉ぇ意外と容赦無いんだよなー」
「手伝ってもらうんだから文句は言わない」
確かに容赦無いけどね。私の部屋もピカピカだよ。余計なものを棄てられるか片付けられただけとも言うけど。ちなみに不要か否かはフェル基準だ。
ただし、ちゃんと持ち主に了承を取るタイプだから文句はないけどさ。
「あっ、忘れてた。ティナ姉ぇ、局長が餞別をくれたから格納庫に積み込んでおいたよ」
「餞別?」
「X型スターファイター10機。9機は母艦、1機はプラネット号に搭載したから。これでギャラクシー号を合わせて11機だね」
「充実しすぎてない?」
確かにプラネット号は1機、銀河一美少女ティリスちゃん号は10機の艦載機を運用する能力はあるけどさ。
「倉庫で埃被ってるのも勿体無いしね。大丈夫、ちゃんと定期的にメンテナンスしてるからさー」
「いやいや、パイロット居ないじゃん」
フェルは無理だし、フィオレだって無理だ。ばっちゃんは出来そうだけど。
「簡易AIを積み込んであるから心配無用だよ」
アリアは破格の性能を持っているけど、アードでは高性能AIは当たり前のように存在して普及してる。無人兵器の分野でも充分に強い。でもセンチネルは機械生命体で、クラッキングしてくる。
艦艇クラスなら妨害できるけどスターファイターだと防ぐのは難しくて、結果パイロットが搭乗することになってる。
「それ、大丈夫なの?」
『問題ありません。私が総括しますし、万が一クラッキングされた場合は直ぐに自爆させます。無人機でもティナをサポートする程度ならば容易です』
「アリアってどこまで高性能なの?」
艦艇2隻を完全に制御しながら私のサポート、情報収集、ついでにスターファイター10機の操作。チートだ。
まあ良いや。
「アリアを信じるよ。まあ、使わないに越したことは無いんだけどね。フィーレの作業が増えない?」
「作業ポッドを20機貰ったから大丈夫」
「無理はしないように。さて、片付けしよっか?フェル」
「はい。さあフィーレちゃん、お部屋へ行きますよ?」
「はーい」
うん、今日も平和だ。
「んじゃ、オメガ弾百発と……亜光速ミサイルを積めるだけ持っていくよ☆どうせ倉庫で眠ってるだけでしょ?」
「姉上、センチネルの拠点でも攻撃するのですか?」
「まさか。地球には備えあれば憂いなしって言葉があるんだ。確かにその通りだと思うから実践してるだけだよ☆
それに、敵はセンチネルだけじゃない。中途半端な威嚇より、到底抗えない絶望的な戦力差を見せ付けるのも抑止力になるんだよ☆」
「……今だけは、地球の為政者達に同情しますよ」
ティリスちゃんは惑星を吹き飛ばせるくらいの戦力を手に入れた!