星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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私はホラーが大の苦手です(真顔


バイオウェポンの脅威

私達の前に現れたアード人の男性はゆらゆらとよろめきながらゆっくりと此方に近付いてきた。なんだろう、物凄く嫌な予感がする!

 

 

 

「良かったっ……!もう大丈夫です!助けに来ました!他の人達はどちらに?」

 

 

 

フェルが嬉しそうにして……男性は顔を上げて牙を剥き出しにしてフェルに襲い掛かり……。

 

 

 

「させるかぁあーっ!!」

 

 

 

警戒していた私はフェルより先に反応できて、翼を羽ばたかせて加速し、男性の顔面に飛び蹴りを叩き込んでやった。

男性は思いっきり吹き飛ばされて、壁に激突して動かなくなった……いや、ゆっくりと起き上がった!?

 

 

 

「えっ……えっ!?」

 

 

 

「フェル!後ろに!」

 

 

 

私はフェルを背中に隠すように前に出た。

 

 

 

「アリア!」

 

 

 

『解析完了、バイオウェポンです』

 

 

 

「アード人にしか見えないんだけど!?」

 

 

 

『寄生型のバイオウェポンの情報があります。脳に寄生して、三大欲求の最も単純なものを満たすために動き回るのだとか』

 

 

 

「バ◯オじゃん!」

 

 

 

「ばっ、バイ◯?」

 

 

 

「ああ、何でもないよ」

 

 

 

寄生型!?そんなものまであるの!?で、三大欲求とは食欲睡眠欲性欲の三つ。最も単純なものと言えば。

 

 

 

「ァアアアアッッッ!!」

 

 

 

「こんのぉっ!!」

 

 

 

再び向かってきた男性に私はスパルタみたいな円盾を構えて防いだ。衝撃で後ろに押し出されるけど、脚に力を入れてなんとか踏ん張る。

 

 

 

「アリア!助ける方法は!?」

 

 

 

噛み付こうとしてくる!よく見たら顔も血塗れだし、まんまゾンビじゃん!

 

 

 

『生命反応ありません。記録では、寄生型は死体に寄生するそうです。ティナ!救えません!』

 

 

 

アリアは私の性格を理解してるよ。最後はちょっと強めの言葉で教えてくれた。それだけで充分!

 

 

 

「ティナ!」

 

 

 

「大丈夫!ごめんっ!ねっ!」

 

 

 

魔力を込め盾を大きく振り上げて弾き飛ばし、そして右手に握っていたビームランスを突き出して男性の頭をビームの刃で貫いた。

すると彼はまるで空気が抜けた風船のように萎んでいき、皮だけが残された。

 

 

 

「……バイオウェポンが見当たらない訳だよ。寄生型が襲撃してたんだね」

 

 

 

『おそらく外部からの攻撃で出た死亡者に仕込んだのでしょう。動的反応多数確認、居住区です』

 

 

 

やっぱりか。

 

 

 

「アリア、救難信号の発信源は?」

 

 

 

『居住区からです。しかし、寄生型が蔓延している可能性が高く、生存者が居る確率は……』

 

 

 

「アーリーア、分かってるよね?」

 

 

 

『分かっていますよ』

 

 

 

「フェル、私は生存者を探す。だからフェルは……」

 

 

 

「ティナの隣が私の居場所ですよ?今度は足手まといにはなりません」

 

 

 

フェルには私と同じビームシールドを持たせてある。アリアのサポートも期待できるし、大丈夫だよね?

 

 

「分かった。でも無理はしないでね?」

 

 

 

「ティナもですよ?」

 

 

 

「あんまり約束は出来ないかな。アリア、サポートお願い!」

 

 

 

『発信源までの最短ルートを検索……ナビゲーションを開始します。ティナ、フェル。気を付けてください』

 

 

 

私達は通路を通って居住区に侵入した。内部はやっぱり荒れ果てて、しかもあちこちの壁やらに血痕が……何が起きていたのか。考えたくもないけど、先を急ぐ。

 

 

 

「ァアアアアッッッ!!」

 

 

 

道中たくさんの寄生体を発見、老若男女問わず、まるで地獄絵図だった。

ただ、幸いなのは寄生された人達は空を飛ぶことを忘れているみたい。そして居住区全体が高い天井だった事が幸いした。何が起きたかと言えば。

 

 

 

「いやまぁ、素通りするよね。時間もないし」

 

 

 

「先を急ぎますからね。出来れば弔ってあげたいのですが……」

 

 

 

「全員は無理かなぁ」

 

 

 

私達は天井近くまで飛び上がって寄生体の群れをやり過ごした。正面突破するには数が多すぎる。こんなに取り残されていたんだね……。

いや、今は考えない。生存者の確認が最優先!

 

 

 

「アリア!場所は!?」

 

 

 

『この先にある会議室から発信されています。扉がロックされていますが、解除は可能です。ですが』

 

 

 

「分かってる!」

 

 

 

目的地の周りには、寄生された寄生体が十人くらいうごめいてる。蹴散らすしかない!

 

 

 

「換装!」

 

 

 

私は伝統的な鎧を身に纏い、ビームランスとビームシールドを手に取る。

 

 

 

「援護します、ティナ!」

 

 

 

「背中は任せたよ!フェル!」

 

 

 

私は翼を羽ばたかせて一気に急降下。一人の頭にビームランスを突き刺しながら着地。

 

 

 

「でやぁあっ!」

 

 

そのままビームランスを振り回して近くの二人の首を刎ねた。

 

 

 

「ァアアアアッッッ」

 

 

 

「っ!やぁああっ!」

 

 

 

背後から飛び掛かってきた一人をビームシールドで弾き飛ばして、胸をビームランスで貫く。

4人を倒した段階で残り6人が一斉に襲い掛かってきた。

 

 

 

「やっ!」

 

 

 

一人を回し蹴りの要領で蹴飛ばして、身体の回転に合わせたビームランスが別の2人の胴体を払う。

 

 

 

「ガァアアアッ!!」

 

 

 

3人が同時に飛び掛かってきたけど、私は咄嗟に身を屈める!

 

 

 

「来たれ!水の精霊!スライサー!」

 

 

 

飛んだままのフェルが両手を向けて詠唱し、高圧の水がまるでウォーターカッターの様に3人の胴体を薙ぎ払った。

いや、威力がエグい。魔法は便利だけど攻撃力を持たせて戦闘に活用できるまでの魔力を持つ人はアード人でも少ない。もちろんリーフ人も例外じゃないはず。

フェルの魔力が桁外れであることをよく表しているね。

 

 

 

「ゥオッ!」

 

 

 

「ごめんね」

 

 

 

さっき私が蹴飛ばした最後の1人にビームランスを突き立てた。

 

 

 

「片付いた!アリア、早く!」

 

 

 

『お見事でした。ロックを解除します。また通路の隔壁を閉鎖、時間を稼ぎます』

 

 

 

私達は扉が開かれるのを待って会議室へ飛び込んだ。それと同時に予備の隔壁をアリアが操作してくれた。これで少しは時間稼げるはず!

 

 

 

「もう大丈夫ですよ!助けに……」

 

 

 

「ティナ……?……ぁ……」

 

 

 

飛び込んだ私が立ち尽くして、不思議に思ったフェルも息を飲んだ。会議室の中は荒らされていなかった。けど……。

 

 

 

「間に合わなかった……」

 

 

 

壁際に若い男女と小さな女の子が抱き合うように座り込んでいた。

……口から血を流して。

 

 

 

『解析開始……ティナ、残念ですが死亡しています。服毒自殺を行った模様……推定死亡時期は……二日前です』

 

 

 

二日前……追い詰められて、最期は一緒に……と考えたんだろうね……。

 

 

 

「ティナ……」

 

 

 

「……ままならないなぁ……」

 

 

 

奇跡は何度も起きたりしない。そんな現実を見せ付けられた。

……センチネルの振り撒く悲劇をまざまざと、ね。

 

 

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