星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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かっ、感想が多すぎると言う嬉しい悲鳴状態であります!ありがとうございます!
ただ、返信に関してはしばしご容赦を……無論!全て目を通しておりますぞ!


そして、黒幕登場。そりゃあ、あの国が転けて終わる筈もない。ね?(産業革命時のロンドンの大気並みに澄んだ瞳)


黒幕

 フランスで発生した事件は合衆国がアリア経由で入手した情報を速やかに主要国へ伝えたことから、地球全土に衝撃を与えた。

 これまでティナが怪我をしたことはあったがあくまでも事故から人を救うためであり、襲撃などでも怪我を負うことはなかった。

 この事件は反アード過激派を勢いつかせることになったが、既に各国で大規模な粛清が行われた後であり大きな行動は起こせなかった。

 真っ先に反応を示したのは、お隣のブリテンである。

 

 

 

「やってくれたな、あのエスカルゴ共!!!」

 

 

 

 会議室にて口汚く罵りテーブルに拳を振り下ろしたのは、新たにブリテンを率いる立場となったチャブル首相である。

 先日ロンドンで発生した大規模なテロ事件によってブリテンは混乱状態に陥り、前政権は崩壊。

 後を継いだ彼は直ぐ様国の舵取りを開始して僅か一ヶ月で混乱を収める手腕を見せた。尚、彼は前の大戦を率いたかの宰相に所縁がある人物であると噂されているが真偽は不明である。

 

 

 

「閣下、落ち着いてください。今回に関してはアード側にも問題があるのでは?フランスの主権を侵害したようなものですから。もちろん、あってはならない事件ですが」

 

 

 

 閣僚の言葉にチャブルは深々と椅子に座り、愛用の葉巻に火をつけた。

 

 

 

「君の言葉は正しい。実に見事だ。反論のしようもない。私も声を大にしてフランスを擁護しただろう。相手がアードでなければな」

「閣下?」

「先ず第一に、前の会議で合衆国が提案した協定に批准している以上不法入国には問われん。次に戦闘機を侵入させた件だが、現地で危険に晒されている自国民を救助するためと言われれば何も言えん」

「それは些か乱暴では?」

「そうかね?これまで我々地球人は何度も繰り返してきたぞ?開戦の口実としてな。

 アードがやってはいかんなど誰が言える?少なくともワシはそこまで面の皮は厚くないぞ」

 

 

 

 チャブルの言葉に一同は黙り込んだ。充分分厚いですよと思ったのは内緒だ。

 

 

 

「確かにアード側も軽率であった。それは事実だ。いつかこのような事態が起きるとは思っていたよ。それも事実だ。

 で、誰が抗議する?誰が糾弾する?やりたいなら勝手にやれば良い。国が焼かれても知らんがね」

「それは余りにも横暴では!?」

「インド、アフリカ、中東。我らが偉大な先達がやってきた事だ。次は我々の番がきた。それだけだ。

 あのエスカルゴ共もアフリカで、アジアで散々やらかした歴史があるのだ。もちろん、我々は清算などせんがね?」

「閣下……」

 

 

 

 だがここでチャブルはニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

 

「だからこそ、政治と外交は大切なのだよ。前任者は残念ながらアプローチを些か間違えてしまったが、今回は上手くいった」

「それは?」

「我々が失敗したのは痛手だ。にも拘らず、エスカルゴ共だけが成功するなど許されん。違うかね?」

「……まさか」

 

 

 

 ティナに危機感を抱かせるためにティリスが手頃な場所を探っていた頃、チャブルは合衆国を介してティリスと面会する機会を得ていた。

 一目でティナの妹等というのは嘘であると看破したこの老練な宰相は、候補地として世情が不安定なフランスを推薦したのである。

 もちろん表向きはヨーロッパへの招致であるが、当然ながら政治的に利用したのだ。

 チャブルはティナ相手に政治を仕掛けるのは論外であるが、ティリスならば問題ないと判断したため話を持ち掛けたのである。

 結果両者の利害が一致してフランスへ招致する運びとなったが、ティリスとしてはまさか危害を加えられるとは考えていなかった。

 反対にチャブルはある程度予想していたのは言うまでもない。

 

 

 

「エスカルゴ共には悪いが、汚名返上の礎となってもらわねばな」

 

 

 

 そして夕方。急遽記者会見を開いたチャブル首相は衝撃の真実を暴露する。

 

 

 

「では、ティナさん達をフランスへ招いたのはチャブル首相であると!?」

「そうです。正確には合衆国を通じてフランス訪問を推挙したのは私で間違いありません」

 

 

 

 首相の言葉に記者たちはざわめく。

 

 

 

「何故ですか!?」

「我が国は前の訪問で失敗してしまい、アードの皆様に不信感を抱かせてしまいました。しかし、それではヨーロッパに対する評価は悪いままでしょう。

 そこで、同じ欧州の友としてアードの皆様の不信感を払拭すべく観光地として有名なパリのある我が盟友フランスを推挙した次第であります」

「なんと……!」

「しかし、それ故に今回の事件の原因の一端は私にもあります。今回の一件はまさに不幸な行き違いによるもの。

 アード側に深く謝罪申し上げると共に、各国の皆様方にお願いします。どうかフランスへの糾弾を行なわないで頂きたいのです。彼らの不手際は確かに責められるべき案件ではありますが、全ては推挙した私の不徳の致すところであります。既に私とフランス政府連名で合衆国を通じて此度の件についての謝罪をしました」

「首相は、無関係な我が国を巻き込まれるおつもりですか!?」

「前のテロ事件についても謝罪出来ていなかったのです。今こそ我が国は襟を正し、欧州を代表する立場としてアード側へ不手際を謝罪し、先頭に立ってアードとの関係改善と更なる交流の加速へ邁進すべきであると考えています。

 全ては、我が国と欧州のより良い未来のために。国民の皆様、今こそ私達が範を示そうではありませんか。伝統ある我がブリテン王国は過ちを認め、そしてより良い未來へ進む力があると!」

 

 

 

 チャブル首相の演説は様々な議論を生んだ。だが同時に率先してフランスを庇い、アードへ公式に謝罪しつつ交流の加速を先頭に立って行なう姿勢に好意を抱く人も少なくはなかった。何よりも欧州の代表という言葉は、ブリテン人の自尊心を擽るには充分な威力があった。

 少なくとも前のテロによる失敗でブリテンを攻撃する声が下火になったのは事実である。

 

 

 

「外交の失敗は外交で取り戻す。当然の話だと思わんかね?」

 

 

 

 唖然とする官僚達を前にチャブル首相は葉巻を楽しみながらウィンクしてみせた。そして、その夜。

 

 

 

「そろそろ来る頃だと思っていたよ。君達相手に警備など居ないのと変わらないようだからね。久しぶりだね、お嬢様」

「ヤッホー、叔父様。上手いこと利用してくれたみたいだし、色々説明して貰おっか?☆」

「心外だな、私は騙してなどいないよ。名誉に誓おう」

「胡散臭いなぁ☆そういうの、嫌いじゃないよ☆」

 

 

 

 当たり前のように人払いを済ませた深夜執務室にて、チャブルとティリスの秘密会談が始まる。

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