星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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あら、気付いたら三百話……遠くへ来ましたな。皆様のお陰です!今後ともよしなに!


ラーナフラワーの可能性

 セシルさん達とのお話を終えた私は、ラーナフラワーのサンプルが入ったケージを持って用意された部屋に戻った。オーロラ号の内装は戦闘艦らしく質素だけど所々に高価そうな調度品が飾られている。

 まあ、アードはどちらかと言えば質素なものを好む傾向があるからギラギラした豪華な品はあんまり見かけないけどね。

 

 

 

 部屋に戻ると、フェルが目を覚ましていてベッドに腰掛けていた。私が部屋に入ると笑顔を向けてくれた。

 

 

「お帰りなさい、ティナ」

 

 

 

「ただいまー、フェル。ぐっすり眠れたかな?」

 

 

 

「はい、ゆっくり休めました。ただ、寝坊してしまってごめんなさい」

 

 

 

「謝ることじゃないよ、フェル」

 

 

 

 私もフェルの隣に腰を下ろした。

 

 

 

「ティナ、この床に敷かれているのは地球のものではありませんか?」

 

 

 

 フェルが素足で床を擦りながら質問してきた。今朝の出来事もあって気にしていなかったけど、改めて見てみたら確かに床には絨毯が敷かれている。

 足裏に感じるふわふわした感触からして、かなり高級そうな感じだ。いつの間に?

 

 

 

「これって確か、持ち帰った交易品だよね?」

 

 

 

『はい、ティナ。前回の交易で入手した中東連合からの贈り物です』

 

 

 

 これまで何度か交易と言うか物々交換をしたんだけど、食料品以外にも地球が用意してくれた美術品なんかも少しだけどアードへ持ち帰っている。

 食料品以外にもアードが興味を示す可能性があったし、地球としても交易で使える品物が増えることを望んでいる。

 アードに居るアード人、リーフ人全員のお腹を満たせる量の食料は流石に用意できない。下手をすれば飢餓輸出になってしまうからね。

 当然私としてもそんな事態は望んでいない。だから色々持ち帰って反応を見てる。この絨毯は中東連合が用意してくれたものだ。

 

 

 

「中東……確か、砂漠と呼ばれる乾燥した地域が広がる場所でしたね?」

 

 

 

「まあ砂漠以外にも色々あるけど、そうなるね。昔から東西交易の中心地として栄えた地域なんだよ。今は地下資源かな?」

 

 

 

 シルクロードは有名な話だし、重要な地下資源である石油の算出地としても有名だ。織物文化もあって、中東産の高級絨毯の特集を前世で見た覚えがある。

 

 

 

「暖かくて触り心地も良いです。アード人より私達リーフ人が好むかもしれませんよ?」

 

 

 

「そっか、リーフ人は基本裸足だからね」

 

 

 

 地球との交流にリーフ人は消極的で、ばっちゃんの話だと地球の食べ物を買おうとしないみたいだ。でも、同じ星で生きている家族なんだから、出来れば関わってほしい。

 アードの床は板張りで暖かみはあるけど絨毯には及ばない。そして許されるなら出来る限り裸足で過ごしたいリーフ人に、絨毯は魅力的だと思う。

 フェルはもちろん、フィーレも機械弄りをしていない時は裸足だ。そしてフィオレに至っては四六時中裸足だからなぁ。

 

 

 

「フィオレとフィーレちゃんに試して貰って、その結果で判断してみてはどうですか?多分、二人とも気に入ると思いますけど」

 

 

 

「予備はあるし、試してみようかな」

 

 

 

 リーフ人相手の交易品になるし、距離を置かれている中東の皆さんと交流する切っ掛けになる。仲間外れは寂しいからね。

 ただ、中東だけは洒落にならないから無断で行かないようにとジョンさんに言われてるんだよね。治安云々の話じゃなくて、宗教的に難しい扱いらしい。

 確かに宗教はデリケートな問題だし、迂闊なことをして火種をばら蒔くような真似はしたくない。ジョンさん達に提案はするけど、あとは任せよう。

 

 

 

「ところでティナ、そのお花は?」

 

 

 

「ああ、これ?ラーナフラワーと言って、セシルさん達が用意してくれた新しい交易品候補だよ。氷の花なんだ」

 

 

 

 ケージに入ったラーナフラワーを見せると、フェルも興味深そうに見つめていた。

 

 

 

「本当に氷のお花なんですね。お世話が難しいのではありませんか?」

 

 

 

「どうなんだろう?」

 

 

 

 水をあげれば良いのかな?

 

 

 

『ラーナフラワーは周囲に存在する熱を吸収してエネルギー源とする性質を持ちます。今はケージに入っているので安定していますが、大気中の熱さえ吸収してしまうので一輪で小部屋ひとつを冷凍庫に変えてしまう程です』

 

 

 

「冷凍庫に変えちゃうの!?」

 

 

 

「上手く使えば、冷房が要らなくなるのでは?」

 

 

 

「あっ、そうか。屋外でも効果はあるのかな?」

 

 

 

『少なくともラーナフラワーの花畑周辺は急激な気温の低下を示します。ラーナ星系は極寒地帯でしたので、適応するために進化したものと思われます』

 

 

 

 大気の温度を下げる。それってつまり。

 

 

 

「アリア、上手く調整したら物凄く熱い場所を冷やすことも出来るって事かな?」

 

 

 

『はい、ティナ。微調整は必要になりますが、可能です。アードでは、ラーナフラワーを使うことで惑星環境を改善する研究も行われていました。残念ながら研究の途中でセンチネルと遭遇、中止となっています』

 

 

 

 地球の温暖化問題は私が生きていた頃から深刻だったし、今の地球は尚更だ。暑すぎて住めない土地が増えている。

 もちろん調整は必要だし植物だから難しいだろうけど、上手くやれば地球の環境改善に効果があるかもしれない。

 

 

 

「医療や観賞用以外にも使い道はいくらでもありそうだよ!セシルさんに感謝だね」

 

 

 

 確かに医療シートやトランクは交易品として有効だけど、魔法の産物だから地球じゃ再現できない。交流を盛んにして地球そのものの文明レベルを上げるには、技術協力が出来る分野も広げないといけない。

 つまり、魔法を使わない分野だ。ラーナフラワーはその切っ掛けになるかもしれない。

 

 

 

「ふふっ、ティナが楽しそうで何よりです」

 

 

 

 フェルが微笑ましいものを見るような慈愛に満ちた目を向けてきた。なんか恥ずかしいな……。

 

 

 

 取り敢えず私達は地球へ戻ることにした。ばっちゃんはまだ用事があるみたいで、後で来るらしい。ギャラクシー号があるし、問題ないかな。

 いきなりホワイトハウスへ転移するとビックリされるから先ずは異星人対策室の本部へ転移することにした。フェルと手を繋いで不思議な浮遊感を感じ、そして視界が入れ替わって本部に……あれ?

 

 

 

「……ピラミッドじゃん!スフィンクスもあるし!」

 

 

 

 一面に広がる乾燥した大地と、テレビで何回も見たことがある特徴的な建造物……って!

 

 

 

「ここもしかしてエジプトぉ!?」

 

 

 

「間違えちゃいました」

 

 

 

「許す」

 

 

 

 フェルのテヘペロが可愛かったから些末なことだよね、うん。

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