星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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中旬になると言ったな、あれは嘘だ(今更)ただ、今月は色々は色々とアレなので不定期になります(白目)


アリアに挑んでしまった者達

 ティナ達がエジプトへ電撃訪問を行っている頃、大西洋を挟んだ反対側に位置する合衆国首都ホワイトハウスでは何時ものように緊急会議が行われていた。

 とは言え、内容としては何時ものアード関係なのだが。

 

 

 

「なに?ティナ嬢から新たな交易品についての提案があると?」

「はい、大統領。ティナの話では月に移住するアードの人々が、新たな交易品として特殊な花を栽培しているそうです。この花はアードでも医薬品の原材料に広く使われているとの事です」

「それはありがたいな。つまり、地球の医療レベルを向上させるチャンスと言うわけだ」

 

 

 

 ジョンの報告を聞いて参加した一同は表情を明るくする。トランクは物流や在庫管理の概念を根本から作り替えてしまう程の革新的な道具であることは間違いなく、また医療シートはあらゆる外傷を癒すまさに奇跡の医薬品である。

 だが、問題はどちらも魔法による産物であり、地球で再現することは不可能であると結論付けられていた。作成に魔法が必要不可欠である以上、再現など最初から出来ない産物なのだ。

 しかし、それでは地球の様々な分野における技術力の向上には寄与しない。今回提示される予定のものは魔法の産物ではなく植物であり、更に医薬品の原材料として重宝されている。

 もちろんアード人と地球人は生物学的にも別の存在であるので注意は必要だが、未知の植物の研究から得られるものは多い。

 なにより魔法を介さないアードの技術協力が得られる可能性も高いのだ。ひいては地球の医療技術向上を図れる。

 

 

 

「それで、詳細はまだかな?」

「残念ながら、ティナはサプライズを狙っている様子で」

 

 

 

 ジョンの言葉を聞いてハリソンは笑みを浮かべた。あの異星人の少女には何度も驚かされている。正直、サプライズを仕掛けるなど可愛らしいものだ。

 

 

 

「それは楽しみだ。とは言え、全く別の惑星の植物だ。アリアが調査して害はないと判断しているのであろうが、取り扱いには細心の注意を払う必要があるな」

「はい。当面は異星人対策室で保管管理し、調査研究を行うつもりです。本部にはアリア監修の保管庫があります。

 おそらく地球上の何処よりも厳重なセキュリティで護られていて……気恥ずかしくはありますが、地球人は私だけがアクセス可能であります」

「ははは、恥じる必要はないよ。君とティナ嬢の間に存在する絆は、ここに居る皆が知っているんだからね」

 

 

 

 和やかな雰囲気のまま会議は進み、エジプト政府と連携してティナ達の観光が無事に終わるように手を回し、更に対外的なアピールを強めることを確認して会議は終わった。だが、不穏な存在は国家だけではなかった。

 

 

 

『どうだった?』

『ダメだ、そもそも言語そのものが違うし理論なんて意味不明だ。とてもじゃないが入り込めない』

『諦めるしかないのか』

『宇宙人相手にハッキングが成功するのはSF映画の中だけって事だな。考えてみれば相手は遥かに進んだ電子技術があるだろうし』

『そもそも土俵が違うんだ。素直に諦めよう』

 

 

 

 セキュリティレベルの高い秘匿回線でメッセージが交わされる。彼らは国際的なハッカー集団イシス。

 国家や企業相手にサイバー攻撃を仕掛ける犯罪者集団であるが、国家や大企業の不正を暴くこともあり英雄視する人も少なくない。

 だが、大半の人間からすれば各サービスを妨害する傍迷惑な集団でもあるが。

 今回彼らは総力を挙げてアード側のネットワークへ侵入しようと試みたが、そもそも技術レベルが隔絶しているので失敗に終わった。だが、ここで引き下がるようなら国を相手に喧嘩を売らない。義侠心なのか承認欲求のためなのか、それはメンバーによって異なるが。

 

 

 

『だが、合衆国の反応を見ても絶対に俺達が知らない何かがある。アード側との密約がな』

『俺達には知る権利がある。それを権力者が隠しているんだ。だから、俺達が暴いて世に知らしめなきゃいけない』

『でもよ、アード側には無理だったぞ』

『アードは無理でも、同じ地球ならやれる』

『何処を狙うんだ?ホワイトハウス?』

『いや、彼処には大した情報はない。攻撃した連中の話だと、ホワイトハウスにはアード関係の情報が一切存在しなかったらしい』

『じゃあ何処だ?ペンタゴンとか?』

『軍も持っていない。可能性が高いのは、彼処だ』

『……異星人対策室か』

『そうだ。相応のセキュリティはあるだろうが、アード側とは違って土俵は同じなんだ。やり様はある』

『ジャスティススピリッツの凋落を見ても、アード側が内政に関与しているのは間違いない。その証拠を暴いてやれば』

『大騒ぎになるな』

『ああ、彼の主張が正しかったと証明される。そうでなくても、密約の内容次第じゃお祭り騒ぎになるぞ』

『よし、皆に動員を掛けるぞ。決行日はまた連絡する』

 

 

 

 彼らの不幸はいくつかある。先ず第一に、指導者的な立場の者がクサーイモン=ニフーターの信者であったこと。これまで一部の国が同様の攻撃を仕掛けて秘密裏に処理されたこと。

 そして最大の盲点は、異星人対策室のネットワークセキュリティは全てアリアが統括していることを知らなかった事だ。

 異星人対策室本部にはこれまで合衆国が交流を通じて収集した様々なアード関連のデータが蓄積されており、更にティナ達がこれまで地球へ持ち込んだアード由来の産物も保管されている。カレンにプレゼントした海洋庭園も本部で保管されている。

 緒勢力にとって宝物庫と呼ぶに相応しく、もしこれらを手中に収めれば地球上のパワーバランスを一変させてしまうような品物も少なくない。

 

 

 

 だからこそ、ジョンは恥を自覚した上でネットワーク関連を含むセキュリティをアリアに委ねたのだ。

 結果、ネットワークセキュリティは言うまでもなく物理的な警備もフィーレが持ち込んだアードの警備ドローンが十機敷地内を巡視している鉄壁を誇る。

 そんな場所へイシスは手を出してしまったのだ。

 

 

 

『不正アクセスを確認、逆探知開始……特定しました』

 

 

 

 アリアは直ぐ様察知。イシス側も逆探知を警戒して巧妙に偽装していたが、アリアに通じる筈もなく逆にメンバー全ての情報をイシス側に察知されずに引き抜いてしまう。

 そして、彼らにとっての悲劇は。

 

 

 

『複数箇所からの不正アクセス継続。マスターフィーレ、判断を』

 

 

 

 よりによって現場に居たのはフィーレであることだ。これがティナならば何時ものように温情を見せるだろうが、更に幼いフィーレは違う。子供は純粋故にシンプルな決断を下すものだ。

 

 

 

「ジョンおじちゃん」

「なんだい?フィーレ」

「地球は人のネットワークへ勝手にアクセスするのは悪いこと?」

「ん?ハッキングのことかな?もちろん悪いことだよ。だからフィーレはしないようにね」

「はーい」

 

 

 

 ジョンはフィーレの疑問に答えただけである。彼に罪はない。アリアの情報収集については、諦めている。ティナならば悪用しないと信頼しているからであるが。

 

 

 

「悪いことだって。アリア、やっちゃえ」

『畏まりました。傷付けはしません。地球側の判断に委ねますが、二度と愚かな行為が出来ない程度に反撃します』

 

 

 

 この日、世界中に散らばるイシスメンバーはその後援組織に至るまで全ての情報が関係機関に暴露され、数日中に逮捕されることになるのである。更にイシスが隠れて行っていた悪行の数々を全世界にばらまき、その支持者達に失望感を与えた。

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