星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
合衆国に戻ったらフィーレがまた著作権に引っ掛かる作品を増やしてしまっていた。頭が痛くなったけど、作ってしまったものは仕方ない。
直ぐにハリソンさんと連絡を取って、合衆国でも日本と同じように異星人対策室本部で管理して技術調査と観光資源として取り扱うと約束してくれた。悪用なんてされたら洒落にならないからね。
で、当事者のフィーレは熱心に端末を弄りながら研究を重ねていた。中身を覗いてみたら、そこに映し出されていたのはたくさんのスケッチ、巨大ロボットが主人公のアニメ作品に登場する水中用モビル◯ーツだ。これってもしかして。
「これまで作ったのは、人形巨大ロボットの構造を研究するためだよ、ティナ姉ぇ。本命はこっち」
「水中用が本命?」
「うん。アードは海洋惑星なのに、海の開発をほとんどやってない。魔物が居るからだけど、今から研究しても時間が掛かる。だから、地球の発達した海洋技術を借りる」
アードの海洋はほとんど手付かずだ。それは巨大で強大な海洋生物の存在があるからだけど、正直勿体ない。
それに、地球産の食べ物が流通を始めたら間違いなく人口爆発が起きる。今の段階ならそもそも人口が少なすぎるから問題はないけど、将来的には居住地が足りなくなる。
ばっちゃんはそれを見越して浮き島を増やすように要請していたし、パトラウス政務局長も前向きだ。ただ浮き島は大きさに限界があるし、維持管理が大変と言う問題もある。爆発的な人口増加が起きても、完全に対応できるとは思えない。
でも、広大な海を開発できれば話は変わってくる。埋め立てたり海上にメガフロートを作ることが出来れば、浮き島を新しく作るより安上がりだし広大な土地を手に入れられる。何より豊富な海洋資源が手に入るんだ。アードとしてもメリットが大きい。
「もしかして、アニメを参考にしたのは海洋開発のため?」
「いや、発想が凄かったから。でも、調べていくうちに使えそうだと思った。戦闘力もあるし、作業用になる。地球の技術もあれば、一気に開発できると思う」
フィーレなりにちゃんと考えてくれていることが分かって、ちょっと感動しちゃったのは秘密だ。
「わかった。でもフィーレ、これから何か作る時はちゃんと言ってね?許可とか要るから」
「……なんで?」
「それはもちろん、地球のルールだからだよ」
ちなみにアードには著作権その他の概念は存在しない。どんどん模範して、更に良いものを作るって気風があるからなぁ。
悪用するなんて考え方そもそもアード人には無いし。まあ、善人ばっかりのアードだから成り立つ制度だけどさ。
「私、地球人じゃないよ?」
首をかしげる姿が可愛らしいけど、うーん。難しい。
私達にも地球の法を適用するか完全な治外法権にするか、まだ議論が続いているらしい。異民族問題は地球にもあるけど、そもそも私達は種族どころか星まで違う。身体の構造も違うし……うーん。あっ。
「ジャッキーさん、ちょっと良いですか?」
「もちろんですともぉ!!」
たまたま近くに居たジャッキー=ニシムラ(ナ◯ガ装備)さんに声をかけたら、走ってきたからビックリした。特にフェルがビクッてなった。可愛い。
「実は、フィーレに地球のルールを教えるべきか考えているんです。その辺りはどうなっていますか?」
「ほう、地球のルールを。それに関しては合衆国でも結論が出ていないのですよ!」
「やっぱり難しいんですか?」
「ふむ、取り敢えずフィーレ嬢。地球のルールは気にせず報告だけ先にしてくれると我々やティナ嬢達が助かると考えていただけませんかな?」
「分かった、気を付ける。じゃ、設計があるから」
ジャッキーさんは難しい話をしないで、簡単な約束だけをしてフィーレを送り出し、私とフェルを近くの椅子へ招いた。
「フィーレ嬢にはまだ難しいでしょうからなぁ。それに、アード人やリーフ人に現在の地球の法を適用すべきか否かは難しい問題なのですよ」
「そんなに難しいのですか?」
「フェル嬢、中々理解するのが難しいとは思いますが、地球では国家毎にルール、つまり法律や憲法が違うのですよ」
「そうなのですか?」
「ええ、それぞれの国の文化、歴史、風土、宗教が絡み合って法は作られています。そして、これらの法は本当に多種多様でしてな。他国では何気無い行為が、その国では犯罪となることもあるのですよ」
私も前世で聞いたことがある。本当か嘘かは分からないけど、ギリシャだと偉人の石像の前で同じポーズをしたらダメだとか。
「まあ、これが単なる観光客ならば現地の法に従うのが道理なので問題はありませんが。しかしながら、ティナ嬢達は異星人!各国のルールの違いによる複雑さはもちろんありますが、それは重要ではありません。
我が国を始め、大半の国では危険物の所持を禁じています。これは安全のためであり、また犯罪を抑制するためにあります。
さて、ここからが問題なのですが」
「問題?」
私とフェルがお互いに顔を合わせて首をかしげると、ジャッキーさんが重々しく口を開いた。
「危険物の定義は国によって変わります。では、ティナ嬢達の場合はどうでしょうか。
まず自由に空を飛べる翼、地球人を凌駕するバイタリティ。そして未知の魔法。地球とは隔絶した技術力の産物。敢えて言おう!危険物の塊であると!」
何かジャッキーさんの眉毛が一瞬消えたように見えた。じゃなくて!
「私危険じゃないですよ!?」
「ええ、承知しておりますよ。私はティナ嬢がナイス美少女であることを十分に理解しています。しかし、法とは幾らでも解釈できるものです。
極端に言えば、アリア殿だけでも特級の危険物となります。その気になれば、一瞬で世界中のインフラを破壊できますからな」
『えっへん』
「誉めてないからね?アリア」
「まあつまり、こちら側へ歩み寄ろうとしてくださる今の姿勢だけで良いのです。こちらのルールを適用するのは無理がある。
交流が進み、改めてアード、リーフ、地球で協議してルールを作る。それが最善だと私は考えますな。
それまでは地球のルールは気にしなくて宜しい。ティナ嬢達が悪行を働くとは思えませんからな!」
ジャッキーさんの言葉を聞いて、何処か安心したのが本音だ。正直法律には詳しくないけど、これまでの交流で片っ端から犯しているような気がしてたからさ。
……ただ、ジャッキーさんの露出が多い網タイツ姿が気になってあんまり集中できなかったのは秘密だ。