星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
はろろ~~~~んっ!☆みんなのティリスちゃんだよ!☆数日ぶりに地球へやって来ました!☆
私がお留守にしている間、ティナちゃん達はエジプトって地域へ行ったらしいんだ。羨ましい☆私も行きたかったな~~☆
お土産として貰ったコットンの肌触りは最高だった☆
まあ、楽しい想いをして羨ましいけど私はアナスタシアから目を離せなかったんだよね。全く、コイツは基本的に優秀なんだけどセレスティナ女王陛下が絡むと直ぐに暴走する。
これはアード人全般に言えることだけど、お側で武官として仕えた身としては複雑な気分だよ。だって、その狂信性がアードを纏めていると同時に女王陛下を苦しめているんだから。私みたいな年寄りが考えることじゃないのかもしれないけどね。
地球へやって来た私達は二手に分かれた。セシルちゃんはハリソンさんと個別会談に臨んでいる。あの娘はしっかりしているし、むしろ私達が居たらハリソンさん達がやり難いだろうから別行動だ。
セシルちゃんの側には、大使としてティナちゃん達が居るから問題ない。他の首長達が騒ぎそうな気がするけど、知ったことじゃない。気になるなら参加すれば良かっただけの話だ。
合衆国に対応を丸投げしたんだから、当然合衆国が利益を得る権利がある。アナスタシアを怖がる気持ちは分かるけどね。
あんまりな対応だって?そう思われても仕方ないよ。だって、彼は参加しているんだから。
「どうだね?紅茶は口に合ったかな?」
「素晴らしい飲み物です。花から抽出するとは、地球人も面白いことを考える。食の文化で我々は地球人に遠く及びません」
「気に入って頂けたようで何よりだよ」
当たり前のように居るチャブルオジ様と私達二人は、異星人対策室本部の直ぐ側に新設された軍事基地を視察している最中だ。
異星人対策室本部が建設された時、警備のために合衆国の軍隊が直ぐ近くに小規模な駐屯地を設営しているんだよね。
まあ、無理もないよ。だって本部には私達が持ち込んだ色んなアード由来の品があるし、データもある。一般的な治安維持組織じゃ不安があったみたいだね。盗まれたりしたら大変だし、私達からの信用も失う。必死になるよね☆
「しかし、良かったのかね?何なら急拵えになるだろうが、観兵式を執り行うことも出来ただろうに」
オジ様は相変わらず容赦がない。「世界に名を馳せる合衆国軍はその程度の即応性も無いのかね?」とか言って煽ってたし、担当していた人達は今にも倒れそうなくらい青い顔をしてたしねぇ。無理もないけど☆
「私も近衛兵長と言う身に余る重責を背負っていますが、これでも軍の末席に名を連ねる者。同じ職に殉じる者として、無理難題を言うつもりはありません。訓練の様子を見学させていただいているだけでも充分です」
そう、私達は駐屯地にある見晴らしの良い場所でお茶会をしつつ合衆国軍の訓練を見学している。
小規模な駐屯地だから規模は少ないみたいだけど、轟音を響かせる大砲や地面を疾走する鉄の塊、戦車だっけ?それらは迫力満点だ。
それに、訓練に従事してる兵士達の顔付きも真剣そのものだし、行動に無駄がない。私には理解できないドクトリンがあるんだろうけど、彼らが精強なのは分かる。地球最大の軍事力は伊達じゃないね☆
「ふふっ、義姉上。昔を懐かしんでいらっしゃるのでは?」
コイツは全く。
「アナスタシアちゃん、乙女の秘密を言っちゃうのは良くないと思うな☆」
「失礼しました」
謝りながらも口元に笑みがある。わざとだな?チラリとオジ様へ視線を向けてみたら、葉巻だっけ?嗜好品の煙を吐いた。
「持論だが、秘密はレディの美しさを際立たせるスパイスだと考えている。あれこれ詮索するのは紳士の成すべき事ではないし、無論紳士たるワシも同じだ」
「ありがと☆」
うーん、笑顔だけど目は笑っていない。いや、笑っているようには見せ掛けてるけど。本当にこのオジ様の前だと気が抜けない。アナスタシアと二人きりなんてさせたら大変だった。
「とは言え……遙々銀河の彼方よりお越し頂いたのに、ワシのような老人が対応することになってしまって申し訳ない。本来ならば大勢で歓迎すべきなのだが、随分と寂しい想いをさせてしまった」
「そんなことはありません。現に貴方は私の我が儘を聞き届けてくれた。さぞかし名の有る首長とお見受けします」
「ただの島国の田舎首長だよ。至らなさは充分に自覚しているが、今回は納めてくれるとワシも報われるよ」
「あなたに最大限の感謝を」
「その言葉だけで老骨にムチ打った甲斐があるというものだ」
さらっと他の地域の首長達が来ていないことを非難したよね。上手いなぁ。素直なアナスタシアだと、他の地域の首長に対する印象は悪くなるだろうね。
アナスタシアは……ダメだな、優秀な義妹ではあるがコイツの本質は武人だ。パトラウスみたいな政治屋じゃない。近衛兵長は政に関わらないから無理もないが、ちょっと教えないとダメだなぁ。
「オジ様だって忙しいだろうに、ありがとね☆」
「紳士として当然の対応をしただけだよ。まあ、お茶会を開くには些か騒がしい場所ではあるが」
「それは申し訳ない。私は花を愛でるよりは此方の方に関心が向いてしまいますから」
「なに、構わぬよ。淑女と一緒ならば何処でも茶が美味い」
まあ、アナスタシアが満足するなら問題ないか。地球の宇宙技術はお話にならないけど、陸戦の技術は見倣うべき所が多い。軍部にも強い影響力を持つアナスタシアが関心を寄せれば、軍事技術の交流も加速する。
センチネルの問題もある以上、地球の軍事力強化は急務。少なくとも小惑星くらいは問題なく対処できる程度の技術は身に付けて貰わないと。
……先延ばしは出来ない。ティナちゃん達には悪いけど、アナスタシア達と一旦アードへ戻ろう。女王陛下へ謝罪申し上げる必要があるし、万が一に備えて軍備の強化が必須。
それに、地球側にも時間が必要だ。一ヶ月くらい掛けて、面倒な問題を自分達で解決させないと。
「ティリス嬢、考え事かね?」
「うん、明日アナスタシアちゃん達と一緒にアードへ戻るよ☆」
「義姉上?」
アナスタシアは首をかしげたけど、どうやらオジ様は正しく理解してくれたみたいだ。だって愉しげに笑ってるから。
「急ではあるが仕方有るまい。ならば、紳士としては淑女が留守の間に見苦しい部屋の片付けを進めておかないとね?」
「あははっ、話が早くて助かるよ☆」
本当に話が早くて助かる。完全に解決するには世代交代が必須だろうけどね。