星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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会談中のティナ

 大使としてハリソンさん達にセシルさんとアナスタシア様を紹介したあと、アナスタシア様についてはばっちゃんとブリテンの首相さんが対応してくれることになった。

 セシルさんもハリソンさんと会談を開いているし、私は手持無沙汰になった。大使として色々やることがあるんだろうなって身構えて勉強してみたけど、拍子抜けだったかなぁ。

 

 

 

「ハリソン大統領にお二人を紹介したんです。それだけでも充分にお仕事していますよ、ティナ」

 

 

 

「そうなのかなぁ?」

 

 

 

「里長があとを引き継いでくれましたし、私達は大人しく待ちましょう」

 

 

 

 私は異星人対策室にある客室でフェルと一緒に過ごしつつ、セシルさんとハリソンさんの会談が終わるのを待っている。アナスタシア様については完全にばっちゃん任せになったけどさ。

 ばっちゃん曰く私が居ない方が話がスムーズに進むらしいし、政治が絡むなら私が邪魔をしない方が良いだろうしなぁ。

 政治外交も勉強したいけど、ばっちゃんからは無理に覚えるなとも言われてる。覚えてしまえば、全ての事柄に裏があると思うようになってしまうし、素直さと純粋さを失ってしまうって言ってた。

 まあ確かに、政治家とか怖い裏のお話とかしそうなイメージはあるけどさ。

 

 

 

「ティナはそのままでいてください。皆がそれを望んでいますよ。もちろん、私も」

 

 

 

「フェル……ありがとう」

 

 

 

 フェルとのんびり過ごしていると、会談に参加していたジョンさんがやって来た。

 

 

 

「会談は上手く纏まりそうだよ、ティナ」

 

 

 

「ジョンさん」

 

 

 

「当分はラーナフラワーの観賞用の品を交易品として受けとり、研究用は少しだけ異星人対策室で預かることになった。それと生きているラーナフラワーについては、充分に研究が進むまでは公表しないことにしたよ。

 対価としては、新鮮な食材やお菓子等の物品だ。後は経済の専門家達と議論して、双方の為替レートを定めようと考えている」

 

 

 

「お話が纏まって良かったです!」

 

 

 

 ラーナの人達には子供も多いし、お菓子は喜ばれる。それに、ラーナフラワーの価値を元に為替レートをある程度定められたら交易ももう少しやり易くなるかなぁ。いつまでも物々交換じゃお互いに大変だからなぁ。

 

 

 

「為替レートはラーナフラワーを基準にするんですか?」

 

 

 

「そうだよ、フェル。正直トランクや医療シートは地球からすれば破格の品物だ。値段をつけられるようなものじゃない。

 でも、観賞用のラーナフラワーならインテリアとしての価値を地球人が決められる。宇宙の産物だと言うブランドは付くけど、それでも他の品物よりは価値を決めやすい」

 

 

 

 ジョンさんが言うには、今回セシルさんが持ち込んだ観賞用のラーナフラワーは専門家の皆さんを招いて会議を開き、平均的な価格を設定して市場に流してみるみたいだ。

 まあ、その辺りは地球の皆さんにお任せしよう。個人的には1クレジット1円みたいな感覚なんだけどね。

 

 

 

「セシルさん達と仲良くしてくれると有難いです」

 

 

 

「もちろんだよ、ティナ。ただ、彼女達も環境に慣れることを優先するそうだ。君達が設置してくれた転送ポートがあるから、地球へ来ることはいつでも出来るからね」

 

 

 

 月の居留地と繋がってる転送ポートは、ホワイトハウスと異星人対策室本部の二ヶ所に設置してる。ばっちゃんとしては、将来的には月を地球とアードの中継基地として使いたいみたいだね。

 地球のあちこちに転送ポートを設置して、月と繋ぐ。逆に月には大型のドックや関連施設を設置。ここを中継地として、地球と交流する。

 フィーレが言うには宇宙ステーションを建設するより安上がりになるみたいだし、まだ先の話だけどワクワクするね。

 

 

 

 それと、地球の食べ物が与える影響……強い媚薬効果なんだけど、この効果についても少しずつデータが集まりつつあるみたいだ。ドルワの里の皆はもちろん、食べたアード人のデータをAIが集計したら、不思議な特性が見つかった。媚薬効果については、相手が居る人に限ることが判明してる。つまりドルワの里にも独身の人が居るけど、この人達にはまるで影響がなかった。

 セシルさん達ラーナから避難してきた人達も女性と子供だけだから、影響は見られていない。

 そりゃそうだよね。だって間違いなく地球の食べ物を一番食べているのは私なんだから。

 もし効果があるとしたら、大変なことになる。いや、今世が女の子だって自覚はあるし性自認は間違いなく女性だ。

 けど、やっぱり前世が男だからか男性を好きになれる自信がない。将来的には避けて通れないことだとは思うけど、まあその時に考えれば良いか。

 

 

 

「地球へ来る前に連絡して貰うことが必須だが、警備も万全にするよ。ただ、数日前に知らせてほしいこと、来訪者の名簿も必要になるかな」

 

 

 

「アリア」

 

 

 

『問題ありません、マスターケラー。マスターセシル以下全員のプロフィールは異星人対策室本部サーバーで一括管理しています。アクセス権限がある地球人はマスターケラーのみです』

 

 

 

「アリア、その件なんだがハリソン大統領も加えてはくれないかな?」

 

 

 

『セキュリティ上の理由から、その要望は拒否させていただきます。あなた以上に信用できる地球人が存在しない以上、アード、そしてティナの身を守るために必要な措置です』

 

 

 

「ハリソンさんなら大丈夫だと思うけど」

 

 

 

『ティナ、パリでの一件をお忘れですか?用心に用心を重ねることが大切です』

 

 

 

 パリでの事件でアリアは地球人を更に警戒するようになった。

 ただ同時に、私が信頼する人達には色々と便宜を図るようになった。異星人対策室本部とホワイトハウスのセキュリティを請け負ったり、必要な情報を無償で提供したりね。ばっちゃん曰く飴と鞭だって。

 

 

 

「君の心配は尤もだ。すまない、今の要請は忘れてほしい」

 

 

 

「ごめんなさい、ジョンさん」

 

 

 

「ティナが謝ることじゃないよ。さて、会談はもう少し掛かるだろうし、それまではゆっくりと過ごしてほしい。生憎カレンとメリルは用事で不在だが、夜には戻るから」

 

 

 

「ありがとうございます、ジョンさん!」

 

 

 

「ティナ、あの件をまだ伝えていませんよ?」

 

 

 

 フェルに言われて大切なことを伝えていないことを思い出した。危ない危ない。

 

 

 

「ありがとう、フェル。ジョンさん」

 

 

 

「なにかな?」

 

 

 

「アナスタシア様とセシルさんは明日まで地球で過ごすみたいたみたいですから、お願いしますね」

 

 

 

「あっ、ああ。もちろんだ」

 

 

 

 激しい胃痛を覚えつつ、ひきつった笑みを浮かべたジョンだった。

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