星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
セシルさんとハリソンさんの会談やアナスタシア様の視察が無事に終わって、私達はそのまま異星人対策室本部で宿泊することになった。急なことで警備の手配が間に合わなかったみたいで、それなら地球最高峰のセキュリティがある本部で泊まった方が良いと判断されたみたいだ。まあ、本部には来賓用の部屋もちゃんと用意されているから、おもてなしも充分だ。
「贅を凝らした部屋でなくても良い。寝泊まりできるなら、それだけで充分だ」
「あまり豪勢だと落ち着かないので、普通のお部屋だと嬉しいのですが」
もちろんアード人用の部屋はアリアの監修で用意されているけど、お二人の要望で私が泊まるようないわゆる普通のお部屋にした。ベッド、テーブルくらいしかないけどね。
「慣れぬ土地で少し疲れた。大使殿、私はもう休ませてもらう」
「私も緊張してしまって。早めに休ませていただきますね」
お二人とも疲れもあって早々と部屋へ引っ込んでしまった。異星人対策室の皆さんと交流をと考えたけど、無理は言えない。疲れているだろうし、そもそも交流は私の仕事だ。
会談や視察の結果を簡単なレポートに纏めて、宇宙開発局のザッカル局長へ向けて転送する。数日後になるだろうけどね。
さて、現実逃避は止めよう。お二人の対応に集中した結果、フィーレを半日ほど放置してしまった。
「フィオレ、フィーレを止めてよ」
「地球の軍事力が上がるのは悪いことじゃないでしょ?それにあの子毎日楽しそうなんだから、止めさせる理由がないわ」
この姉バカめ。いや、鬱々としていたフィーレは私もよく知っているから、今の楽しそうなフィーレを見ると嬉しくなるけどさ。
放置している間に、地球外技術研究センターの豪徳寺所長が異星人対策室本部へ打ち合わせのためにやって来ていたのもタイミングが悪かった。
さて、現実に向き合おうか。
「ティナ、こちらのロボットは?これまでと形状が違うみたいですけど」
フェルの疑問も当然だ。私達が見上げているロボットは、全体的に丸みを帯びた古き良きロボット。まあつまり、ビューン!と飛んでく28番目の鉄人さんだ。何故これをチョイスしたのか。
豪徳寺さん、弁明をどうぞ。
「正直魔神さんと悩んだのですがね、あちらは光線を出すので難易度が高い。よって、先ずは親しみやすい鉄人さんをお勧めした次第!」
「リモコン奪われたらダメとか、地球人は愉快なことを考えるね。これはAIに制御を任せたから良いも悪いもAI次第だよ。ちなみに命令権がある地球人はジョンさんにしといた。誉めて」
「無駄に高性能化するの止めよっか?ついでにさらっとジョンさんの負担増やすのも止めよ?」
「残念ながら私はまだまだ信用が足りない様子!次の機会には操縦士として名乗れるくらい、フィーレちゃんの信用を獲得できるよう精進じゃ!」
豪徳寺さんの強い熱意を感じるけど、原作に忠実でテロリストに渡ったら洒落にならないからねぇ。
「というか、豪徳寺さん。著作権とか大丈夫ですか?」
私が尋ねると、豪徳寺さんは強面の顔に愛嬌のある笑顔を浮かべた。
「それについては心配無用ですよ!ティナさん!こちらをご覧くだされ」
豪徳寺さんが差し出してきた書類には、たくさんの聞いたことがあるような会社の名前がズラリと並んでいた。これって!
「我が地球外技術研究センターと政府が共同で業界へ働き掛けましてな、アードに限りあらゆる著作権の侵害や権利を放棄すると言う誓約書です!」
「ええ!?そんな、大丈夫なんですか!?」
「当然です。彼らはアイデアから素晴らしい作品を産み出しましたが、実現する術を持たない。むしろ誰もが望んだ夢を実現してくれたのですぞ!」
尚、それぞれの会社には豪徳寺と椎崎首相が直接出向いてお願いすると言うある意味鬼畜の所業を敢行。しかも椎崎首相のスケジュールの問題でほぼ突撃訪問となり、各会社の上層部に凄まじい胃痛旋風が吹き荒れることになったが、それは別の話である。
「ティナ、つまりどう言うことですか?」
「えっとね、地球には著作権と言う制度があってね?」
ティナがフェルに簡単な説明をしているが、側に居た豪徳寺は何故アード人であるティナが著作権を知っているのか疑問を抱いた。だが、直ぐにその疑問を消した。
彼は裏社会で生きてきた人間である。世の中には知らない方が幸せなこともあるとよく知っているのだ。つまり、胃痛回避である。
「つまり、私が何を作ってもティナ姉ぇは困らないってこと?」
「ちゃんと事前連絡……ああ、私じゃなくても良いから、誰かには伝えてよ?地球にも色々抱え込んでしまっている人はたくさん居るんだからさ」
これだけは譲れない。フィーレが作り出す作品群は、原作に限りなく忠実な性能を再現している。
つまり、ここにある旧ザ◯だって地球から見れば完全にオーパーツだ。そんなものが悪い人の手に渡れば、大変なことになる。
一応、アリアがこれまで製造されたロボット群についてはセーフティーを含めて管理しているけどね。
「分かった、忘れないように頑張る」
「フィオレ、止めないのは分かったからフィーレがなにかを作り始めたら教えてよ」
「善処するわ」
「フィーレちゃん、次はおじさんと一緒にアクエ◯オンみようねぇ」
「なにそれ?」
「豪徳寺さん!あれは色々危ないから子供には見せないで!」
色んな意味で刺激が強すぎるんだから!
「ならVガン◯ムを見ようねぇ」
「フィーレが鬱になるからダメ」
ロボット系鬱アニメの代表格の一つじゃんか!
「あー、ごめんティナ姉ぇ。そしておじちゃん」
「うん?フィーレ、なんで謝るの?」
嫌な予感がするんだけど!
「鉄人さんを作ってる最中に、こっちも気になったから作ってみた。ニシムラのお兄さんが好きな奴だって」
フィーレが携帯端末を操作すると、地面が轟音と共にゆっくりと開いて、下からロボットが現れる。
その特徴的なシルエットにジ◯ンの系統を色濃く残した機体。
「あっ、ああああアメリアーーッッ!!」
「ジャッキーさん!それはダメーっっ!!!」
それは勇者(意味深)であるジャッキー=ニシムラ(ティ◯ーンズコス)がこよなく愛するMS、マラ◯イであった。