星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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アードへ帰還

 オリンポス号来訪で地球を騒がせている頃、ティナ達も七日間の航海を終えてアード星系へ帰還を果たす。オーロラ号と銀河一美少女ティリスちゃん号は惑星アードの軌道上にある宇宙ステーションへドッキングを果たし、乗組員達もまた航海の疲れを癒すべく本星へ降りていく。

 銀河一美少女ティリスちゃん号から宇宙ステーションへ降りたティナ達だったが、ティリスが逆さまにふわふわと浮きながら少女達へ声をかけた。

 

 

 

「ティナちゃんはどうする?☆」

 

 

 

「ザッカル局長にレポートを提出するよ。直接報告したいこともあるし、本星へ降りるのはその後かな」

 

 

 

 セレスティナ女王が地球との交流を望んでから閑職であった宇宙開発局は瞬く間に活気を取り戻し、その活動拠点を宇宙ステーションへ移していた。

 ティナ達が持ち帰る地球のデータの分析、産物の保管、交易品の管理選定はもちろん、銀河中に取り残された同胞達の調査も本格的に開始された。

 とは言え艦艇や調査団の派遣はセンチネルとの遭遇の危険性が高く、今はまだ救難信号の受信や解析が主な業務であるが。

 

 

 

「真面目だねぇ☆フェルちゃん、ティナちゃんをお願いね☆」

 

 

 

「はい、里長」

 

 

 

「わざわざお願いしないでも簡単な仕事だって。ばっちゃんは?」

 

 

 

「私は用事があるから、先に里へ戻ってて☆あっ、そうだった。フィオレちゃん、フィーレちゃん」

 

 

 

「はい、ティリス様」

 

 

 

「ん、なに?」

 

 

 

 帰るべき里が無いリーフ姉妹へティリスは優しげな笑みを向ける。

 

 

 

「ドルワの里に二人のお家を用意してあるから、自由に使ってね☆家具とかは一通り用意してあるけど、足りないものがあったら遠慮なく言ってね☆」

 

 

 

「……良いんですか?私達を受け入れたら、里からなにか言われるんじゃ?」

 

 

 

 フィオレとしては、自分達姉妹を保護しているだけでも迷惑を掛けていると自覚しているのだ。それ故に銀河一美少女ティリスちゃん号で過ごそうと考えていたのだが。

 

 

 

「大丈夫大丈夫、ティリスちゃんにドーンと任せなさい☆ミドリムシが何を言ってきても無視して良いからね。と言うか、なにか言ってきたらちゃんと報告するように☆」

 

 

 

「そうそう、ばっちゃんがこう言ってるんだから遠慮なんてしなくて良いよ。私達も居るし、里にはリーフ人も何人か居るからさ」

 

 

 

 ドルワの里に居るリーフ人は皆特務艦隊所属、或いはその遺族達である。一般的なリーフ人のような排他性を持ち合わせていない極めて友好的な人柄だ。

 

 

 

「この銀河一美少女ティリスちゃんにお任せあれ☆」

 

 

 

「銀河一美少女ティリスちゃん(年齢十世紀)」

 

 

 

「笑うな☆」

 

 

 

「ありがとうございます、ティリス様。このご恩は必ず……」

 

 

 

「難しい事考えなくて良いの、フィオレちゃん。元気一杯にやりたいことをやれば良い。変な大人の思惑なんか気にしないで☆」

 

 

 

 少女達と別れたティリスは、そのままアナスタシアを伴いケレステス島のハロン神殿へ向かう。

 

 

 

「では義姉上、私はここで留守の間の処理を行います。また後程お会いしましょう」

 

 

 

「パルミナちゃんは?」

 

 

 

「午後からは休暇だそうです。義姉上とお会い出来ると知れば喜びましょう」

 

 

 

「叱っちゃダメだよ、アナスタシアちゃん。パルミナちゃんも頑張っているんだからね?☆」

 

 

 

 先の暗殺未遂事件でパルミナはロクに動けなかった事を悔いていた。パトラウスから知らせを受けたティリスも可愛い姪っ子を気にしているのだ。

 

 

 

「無論です、義姉上。近衛兵長としてはヴァルキリーでありながら不甲斐ない姿を晒してしまったことは遺憾ですが、母として責め立てるつもりはありませぬ」

 

 

 

 珍しく口許に笑みを浮かべる義妹を見て、ティリスも安堵の息を吐く。そして、表情を引き締めた

 

 

 

「ならば良い。私も案じていたとパルミナに伝えてくれ。夜には伺うともな」

 

 

 

「はい、義姉上……女王陛下は寛大な処置を降されるでしょう」

 

 

 

「信賞必罰は組織の依って立つところ、疎かには出来ぬ。私の落ち度を叱って頂かねば、示しが付かん」

 

 

 

「義姉上……」

 

 

 

「本来ならばこの命を以て償わねばならぬ程の失態だ。だが、女王陛下はそのようなことを望まない。だからこそ、罰が必要なのだ」

 

 

 

 アナスタシアと別れたティリスは、近衛兵達に先導されて最奥部よりやや手前にある小さな部屋へ通された。

 ここは謁見の間を使わずセレスティナ女王が個人的に謁見する部屋であり、質素な玉座と対面用のテーブル、椅子があるだけである。

 ただ、室内には相手を威圧しないように鮮やかな花が随所に飾られて彩りを与えている。

 ティリスは部屋へ入るとアード式最敬礼を行い、膝を突く。

 

 

 

「女王陛下。臣ティリス、ただいま御前に参上致しました」

 

 

 

「お帰りなさい、ティリス。よく戻ってきてくれました」

 

 

 

 玉座に腰掛けているセレスティナ女王は悲しげにティリスを見つめる。

 

 

 

「女王陛下の御心を乱しましたこと、臣として断腸の思いでございます。本来ならば御前に参上することすら憚られる身でありますが、改めて地球で何が起きたのか奏上させて頂きたく」

 

 

 

 ティリスは地球で発生した事件について改めて詳細に報告し、自分の策が外れた結果であることも伝えた。セレスティナ女王は口を挟まず悲しげな視線を向けたまま静かに話を聞いていた。

 

 

 

「全ては私の不明によってもたらされた結果でございます。その結果、殿下の玉体に傷を付けてしまいました。何卒、厳罰を賜りたく」

 

 

 

「貴女を罰するつもりはありません」

 

 

 

「畏れながら、信賞必罰は秩序を保つために必要不可欠にございます。罰を受けねば、示しが付きませぬ。どうか」

 

 

 

 改めて頭を下げるティリスを見て、セレスティナ女王は小さく息を吐いた。

 

 

 

「では、こうしましょう。これまでの貴女の功績を称えて改めて勲章を授ける予定でしたが、此度の不手際を以て取り下げとします」

 

 

 

「それでは罰になりませぬ」

 

 

 

「良いのです、ティリス。なにより、貴女を罰すればティナも深く傷付くでしょう」

 

 

 

「あっ……」

 

 

 

 ようやく思い至ったティリスを見て、セレスティナ女王は優しげな視線を向ける。

 

 

 

「あの娘は優しい。ザッカル局長を介して届いたメッセージには、貴女を罰しないでほしいと嘆願していました。私も、そしてティアンナも貴女を罰するつもりはありません」

 

 

 

「女王陛下……」

 

 

 

「それでも責任感が強い貴女は罰を求めるでしょう。ですから……」

 

 

 

 セレスティナ女王は珍しく悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 十数分後、謁見を終えたティリスをパトラウスが出迎える。

 

 

 

「姉上、お帰りなさいませ……姉上?」

 

 

 

 俯く姉を見てパトラウスは怪訝な表情を浮かべる。そして顔を上げたティリスは、明らかにどんよりとした表情で。

 

 

 

「……ムチ打ちの方が良かったなぁ……」

 

 

 

 罰として、一ヶ月甘味禁止を言い渡された甘党のティリスちゃんであった。

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