星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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ティナ、家族の不在を知らされる

 地球を後にした私達は七日間の旅を終えてアードへ戻ってきた。宇宙ステーションで皆と別れた私とフェルは、ステーションにある宇宙開発局長の執務室へ向かった。ザッカル局長らしく質素なお部屋だけど、執務机の後ろには大きな窓があって青い星、私達の故郷惑星アードの雄大な姿とどこまでも広がる星の海が見える。

 

 

 

「ザッカル局長、ただいま戻りました」

 

 

 

「今回もご苦労だったな、ティナ。フェラルーシアもサポートに感謝する」

 

 

 

「私がやりたくてやっていることですから」

 

 

 

 フェルも笑顔だ。

 

 

 

「既にアリアを経由して詳細なレポートは受け取っている。地球で負傷した件についてだが」

 

 

 

「あれは私が悪いんです。だから、地球の人達を責めないでください」

 

 

 

 私の無理解が招いた結果だから、報復なんて考えるつもりもない。

 

 

 

「それについては問題ない。君の意思を尊重すると女王陛下より勅令が出されている」

 

 

 

「女王陛下!?」

 

 

 

 いきなり話のスケールが大きくなった!?

 

 

 

「驚くことはないだろう。君は正式な親善大使なのだ。その君が現地で負傷したとなれば、本来ならば外交問題になる。

 いや、実際なっていたのだ。地球に対する何らかの措置も外交部が検討していた」

 

 

 

「うっ……」

 

 

 

 確かに今の私は大使、私だけの問題じゃなくなる……気を付けないと。

 ……またやらかすんだろうなぁ……。

 

 

 

「だが、女王陛下より君の意思を尊重するとの勅令が出されて事態は沈静化している。少なくとも我々が地球へ何かを求めることは無い」

 

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 良かったぁ……。

 安心していると、隣に立ってるフェルが手を握って笑顔を向けてくれた。嬉しい。

 

 

 

「しかし、統一した政体を持たないことは承知していたが、地球人のモラルには大きな問題があるように思えるが?

 少なくとも来訪されたケラー氏達を見る立場としては、今回の件には強い衝撃を受けた」

 

 

 

「地球にも、色々と抱え込んでしまっている人がたくさん居るんです」

 

 

 

 格差社会は私が生きていた頃より更に深刻だ。枯渇寸前の地下資源を考えても、正直今の地球は詰みに近い。

 そう考えていると、フェルが手を挙げた。

 

 

 

「ザッカル局長、良いでしょうか?」

 

 

 

「フェル?」

 

 

 

「ああ、もちろん構わない」

 

 

 

「地球の人々と接して感じたのは、地球には政体以外にも統一した言語もありませんし、価値観や文化も地域で違いがあります。環境の違いもあるんです。ラーナ星系みたいに寒い土地や、一面砂しかない砂漠と呼ばれる地域までありました」

 

 

 

「環境のコントロールを行えていないということか。それに、統一した価値観が無いだと?」

 

 

 

「そうなんですよ、局長。地球には地域ごとに格差があるし治安も違うしルールも違う。価値観もバラバラだし、善悪の区別にも差があります」

 

 

 

 国によって法律まで違うんだよね。アード人やリーフ人からすれば信じられない状態だろうなぁ。

 

 

 

「それはまた……難儀だな」

 

 

 

 ザッカル局長が頭を抱えるのも無理はないよ。アードにも問題はあるけど、地球の場合クリアしなきゃいけない問題が山積みなんだ。ハリソンさん達に頑張ってもらうのは勿論、私も交流を通してお手伝いするしかないんだよね。

 

 

 

 

「まあ良い。交流するメリットはあるし、何より女王陛下のご意志なのだ。交流はこのまま継続する。君は引き続き交流促進のために動いてくれ」

 

 

 

「分かりました!」

 

 

 

 良かった、交流中止とか言われたらどうしようかと思ってたよ。

 

 

 

「自由裁量は変わらないが、以後は気を付けるように。政治的な問題もあるが、何よりもティアンナ女史やティドル博士も随分と気を揉まれていた。親御さんにあまり心配をかけてやるな」

 

 

 

 

 そう、だよね。お父さんもお母さんも心配させちゃった。

 

 

 

 

「……ごめんなさい。里に戻ったらすぐに謝ります」

 

 

 

 お父さんはまだしも、お母さんには怒られるだろうなぁ。前世でも子供は居なかったけど、心配をかけてしまったことだけは分かる。

 あー、でも怒ったお母さん怖いからなぁ。よし、フェルも一緒に居てもらおう。隣に居てくれるだけで安心感が違うからね。

 

 

 

「なんだ、聞いていなかったのか?」

 

 

 

「え?」

 

 

 

 考え事をしていると、ザッカル局長が妙なことを口にした。なんだろう、物凄く嫌な予感がするんだけど!?

 

 

 

「ティアンナ女史とティドル博士は娘さんと一緒に地球へ向かったぞ。そろそろ到着する頃じゃないか?」

 

 

 

「ええーーーッッ!!!???なんで!??」

 

 

 

「私も初めて知りました」

 

 

 

 フェルもビックリしてるじゃん! 

 

 

 

「知らなかったのか。実は科学省の連中が地球のある星系、現地呼称では太陽系だったか?そこに強い関心を寄せていてな。

 調査団を派遣することが検討されていたんだ。そこにティアンナ女史が音頭を取って調査団派遣が速やかに決定されてな、調査船オリンポス号で地球へ向かったんだ」

 

 

 

「聞いてないですよ!?いやお母さんはまだ分かるけど、お父さんとティルも一緒に!?」

 

 

 

 お父さんの所属は魔法省で、科学省とは完全に別の組織だ。

 

 

 

「我が子を心配する親心というものだろう。私にとっても完全に別の部署の話だ。詳細は分からないが、滞在期間は数日程度を予定している。まあ、半月以内には戻ってくるだろう。念のためフリゲートを六隻付けたからな」

 

 

 

「ジョンさんの胃が大変なことになっちゃいますね、ティナ」

 

 

 

「うん、次の訪問で皆さんに謝らないと」

 

 

 

 これ、当然だけど私の責任になるんだろうなぁ。お父さんは常識的な人だけど、お母さんは色々と型破りな一面があるから不安しかない。

 

 

 

「アリア、ちゃんとサポートしてあげてね?」

 

 

 

『問題ありません。地球には分身体を残していますので、相応に対処します。マスターティアンナもティナの頑張りを台無しにするような事はしないと愚考しますが』

 

 

 

「パリの一件があるからなぁ。私達と地球人じゃ価値観がまるで違うから下手に騒ぎにならなきゃ良いけど」

 

 

 

「どうしますか?ティナ。すぐに地球へ戻りますか?」

 

 

 

 

「ううん、数日間の滞在ならどのみち間に合わない。ここで帰ってくるのを待とう」

 

 

 

 

 不安ではあるけど、アードでやることも色々あるからなぁ。フェル達も休ませてあげたいし。

 

 

 

「良い心がけだ、ティナ。不在の最中に溜まりに溜まった仕事を速やかに済ませてもらおうか」

 

 

 

「はーい……」

 

 

 

 まあ、お仕事しながらフェル達とアードで待とう。それしかない。はぁ……胃が痛い……フィオレに胃薬作ってもらお。

 

 

 

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