星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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セレスティナ女王とティナ

 なんだろう、地球でお母さん達が盛大にやらかして皆を困らせているような気がする。私は今アードへ帰っているし、私のせいじゃないよね?違うよね?嗚呼、胃が痛くなってきた……。

 

 

 

 フェルと一日ゆっくり過ごした私は、胃が痛くなるお仕事を済ませるために準備している。具体的には、日本の皇室の皆様からの贈り物をセレスティナ女王陛下へ献上するお仕事だよ。

 私個人が持つのは前世の感性的に畏れ多すぎて無理だから、ここは前世のニュースでよく見た皇室外交に倣って、女王陛下へ献上すれば交流の促進になるんじゃないかなと思ったんだ。

 え?厄介なものを押し付けているだけに見える?

 ……ソンナコトハ、アリマセンヨ?

 

 

 

「残念です。またティナと一緒にあの島を散策してみたかったんですが」

 

 

 

「ごめんね、フェル。出来るだけ早く帰ってくるから、待っててほしい」

 

 

 

 女王陛下への謁見はすんなり許可されたけど、今回フェルやリーフ姉妹はお留守番だ。ハロン神殿はアード永久管理機構の庁舎としての機能もある。つまり、国政に参加しているリーフ人も居るんだよね。

 もちろんフェル達へ悪感情を向けているのは一部だけだと信じたいけど、出来るだけフェル達をリーフ人に会わせないようにした方がいいってばっちゃんから助言されたからね。

 私もケレステス島の雄大な自然や神聖なハロン神殿をフェルと一緒に散策したかったけど、危険に晒すわけにはいかない。安全なドルワの里で留守番をしてくれた方が安心できる。

 

 

 

「じゃあ、帰ってきたら料理を教えてくださいね」

 

 

 

「日本の、だよね?」

 

 

 

「そうです」

 

 

 

 前世は独り暮らしだったし、ほとんど惣菜で済ませる明らかに不健康な生活してたけど、たまに気紛れで料理をしてたんだよね。気ままな男料理だけどさ。

 レパートリーは多くないけど、白味噌を使った味噌汁にはちょっと自信がある。具材は豆腐、お麩、昆布、玉ねぎ入れたりしたなぁ。

 で、何となく地球から持ち帰った食材で料理をしてみたらフェルに見つかって、それから料理を一緒にするようになった。簡単な日本食だけどね。

 

 

 

「分かったよ、フェル。お昼までに戻るよう頑張る」

 

 

 

「約束ですよ?」

 

 

 

 フェルに留守番を任せて里にある転送ポートへ向かう。途中でフィオレが薬草を摘んでいるのが見えたけど、邪魔をしちゃ悪いし声は掛けなかった。フィーレはまだ眠ってるんだろうなぁ。

 

 

 

「お待たせ、ばっちゃん。遅れてないよね?」

 

 

 

「大丈夫だよ☆じゃ、行こっか☆」

 

 

 

 待っていたばっちゃんと一緒に転送ポートでケレステス島へ向かう。空を飛ぶにしても時間が掛かるからなぁ。

 ちなみにケレステス島に転送ポートは一ヶ所しかなくて、ハロン神殿の近くにある。セキュリティの観点からそうしてるみたいで、しかも島全体には結界が張られていて転移魔法は使えないらしい。

 無理矢理突破しようと思えば出来るかもしれないけど、少なくともアード人にそんなことをする人は居ないだろうから問題ない。

 リーフ人だってそんな事はしない……よね?

 

 

 

 当然ながらティナは、以前発生したリーフ人三名によるセレスティナ女王暗殺未遂事件を知らない。いや、知っているのは極一部である。閑話休題。

 

 

 

「義姉上、大使殿。昨日ぶりか」

 

 

 

「ヤッホー、アナスタシアちゃん☆」

 

 

 

「アナスタシア様、今日もお世話になります」

 

 

 

 転移した先でアナスタシア様が出迎えてくれた。軍服ではなくアード人の服に白いローブを羽織ってる。これは高位の方にのみ着用が許されているものだ。

 

 

 

「大使殿、女王陛下は地球との交流の進捗をそなたの口から直接聞きたいと仰せだ。本日は直答を許されている」

 

 

 

「がっ、頑張りますっ!」

 

 

 

 うわぁ、緊張してきた!女王陛下と直接お言葉を交わす機会なんて滅多に……あっ、ジョンさん達を連れてきた時に一回あるか。でも緊張するっ!

 

 

 

「あはは、緊張しなくて大丈夫だよ☆」

 

 

 

「義姉上の言う通りだ。女王陛下はそなたとの歓談を楽しみになされている」

 

 

 

「逆に緊張しますよ!?」

 

 

 

 二人に先導されて色んな手続きを済ませた私は、そのまま謁見の間に……え!?

 

 

 

「じゃあ、頑張って☆」

 

 

 

 何とばっちゃん達は部屋には入らず、謁見の間には私しかない!?

 

 

 

「アリア、私だけ?」

 

 

 

『はい、近衛兵も居ません。ティナ、リラックスです』

 

 

 

「出来るわけ……」

 

 

 

 アリアに言い返そうとしたら、部屋に鈴のような音が響いた。私は反射的にその場に平伏した。

 

 

 

『ティナ、顔を上げてください。大丈夫ですから』

 

 

 

 アリアに言われてゆっくり顔を上げると、謁見の間にあるベールで仕切られた小部屋に人影があった。

 

 

 

「ティナ」

 

 

 

 優しげな声が聞こえた。女王陛下だ!

 

 

 

「じょ、女王陛下にご拝謁賜り恐悦至極に存じますっ!」

 

 

 

 こっ、こんな感じで良いよね!?焦りながらも考えていたら、優しげな声が続いた。

 

 

 

「ふふっ、緊張する必要はありませんよ。ゆっくりお話をしたいと思っていましたから」

 

 

 

「こっ、光栄です!」

 

 

 

 ガチガチに緊張しながらも、地球で起きたことをゆっくりとお話しすることが出来た。女王陛下が優しく相槌を打ってくれたからか、途中からは緊張も幾らか解れた。そして、パリでの一件をお話しして私は一つ大切なことを付け加えた。

 

 

 

「パリで起きた事件は、現地の人たちの状況を正しく理解しないで、自分本意な行動を取ってしまった私に責任があります。どうか、地球の皆さんをお許しください」

 

 

 

 アード式最敬礼でお願いした。ばっちゃんから女王陛下が随分と心配されていたと聞いたからね。私なんかのために、とは思うけど女王陛下の寵愛は全てのアード人へ分け隔てなく向けられる。だから、ちゃんと説明しないといけない。

 女王陛下が過激なご指示を仰有るとは思えないけど、アナスタシア様を含めた近衛の皆さんがあの件をどう受けとるか心配だから。

 

 

 

「貴女の一件を耳にした時、私は深い悲しみと衝撃を受けました」

 

 

 

 女王陛下は悲しげな声を出された。

 

 

 

「ですが、貴女がこうして元気な姿を見せてくれたこと。そして貴女自身の決断を尊重することにしましょう」

 

 

 

「ありがとうございます、女王陛下」

 

 

 

 良かった!女王陛下がお許しになるなら、アナスタシア様達も落ち着くはず。私のミスで地球滅亡なんて事になったら大変だった。

 おっと、流れ的にちょっと変だけど。

 

 

 

「女王陛下、実は地球の日本という国の天皇……皇帝より贈り物がありまして」

 

 

 

 そっとポーチから菊の御紋が刻まれた箱を取り出して捧げた。すると、指先から箱の感覚が消えた。

 

 

 

「まあ、贈り物を……お返しをしないといけませんね。貴女がまた地球へ旅立つ前に用意しましょう」

 

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

 ティナはアードを率いるセレスティナ女王からの贈り物、地球の為政者に超新星爆発並みの胃痛が降り掛かる前触れを手に入れた!

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